比企ライフネット

話題のこーなー

 
最近の小川町市街俯瞰写真等
−『続・ペンタックスレンズの思い出』として−
去る9月6日、ペンタックス(株)から待望のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、
「*istD(イスト ディー)」が発売され、私も早速購入しました。
去年8月にアップした記事、 『小川生まれの珠玉の逸品 ペンタックスレンズの思い出』で触れたように、
同社は一時、この分野の市場への参入を見合わせていたときがありました。
正直、もう開発を断念してしまったのかと思い他社製品へ移行した時期もありましたが、
今こうして私は、ふたたびペンタックスのレンズで比企の風景を撮り始めています。
ペンタックスレンズ デジタル試写レポート

*istDとペンタックス交換レンズ群の描写力を、ここでご披露したいと思います。
レンズは、私が所有するものの中から現在発売中の比較的新しい製品を選びました。
注記のないものはすべて、9月中に小川町で撮影したものです。

今回は特別に、600万画素相当(3008×2008ピクセル)のオリジナルサイズJPEGファイルを
ダウンロードしていただけるようにしました。サムネイル画像をクリックしてください。
画質は、できれば高解像度のプリンターでA4サイズ程度に出力してお確かめいただくことをおすすめします。
シャープネスは「弱」に設定してありますので、プリンタドライバー等で適宜調整してください。

各画像の詳しい撮影データはこちらをご参照ください(少し専門的です)。
なお各製品の詳細はペンタックス(株)の公式サイトhttp://www.pentax.co.jp/japan/をご参照ください。

 SMC PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited

標準レンズの部類に属しますが、やや望遠寄りです。遠近感を誇張しない端整な構図の撮影に適しています。全長わずか27mm(カメラ装着時)の超コンパクト設計にもかかわらず、高い解像力を示します。

仙元山見晴らしの丘公園から見た小川町の中心部です。

 SMC PENTAX-FA☆ 200mmF2.8ED[IF]

本格的な望遠レンズです。このクラスとしては大変明るい(口径が大きく集光力のある)レンズで、かつ類のない接写能力を備えています。被写体に1.2mの近さまで寄ることができ、早朝や夕方に昆虫をアップで撮るときなど、特に威力を発揮してくれます。

上と同じ場所から小川町駅周辺を望遠撮影。駅のずっと後方に工場のような建物が見えます。ペンタックス(株)研究開発センターオプティカル・テクノロジーデパートメント(2005年7月以降、ペンタックスオプトテック小川)の施設、即ち歴代ペンタックス交換レンズ群の生まれ故郷であった旧小川事業所です。同所は昨年春まで40余年間、ペンタックスの主力レンズ工場として稼動してきました。ここにご紹介するレンズも、ほとんどが小川町で生産された経歴のある製品だと聞いています。

土手を覆うススキ。立体感のあるぼけ描写です。

*istDのファインダースクリーンは大変見やすく、微妙なピント合せが正確にできます。このようなオートフォーカスの苦手なシーンでも手動に切り替え、トンボのはねと頭部にしっかりピントを合せることができました。

蕎麦の花のアップ。これも手動でピントを合せました。

 SMC PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited

スタンダードな望遠レンズです。背景をほど良くぼかして被写体を浮かび上がらせる構図に適しています。そのことから光学設計上、解像力の高さはもちろんのこと、どんな条件で撮影してもぼけ像が見苦しく崩れたりしないよう、特別に注意が払われているそうです。明るさと携帯性も兼ね備えた守備範囲の広いレンズで、これが使いたくて新たにペンタックスを求める人も少なくないようです。

彼岸花のアップ。繊細な描写性能は至近距離でも乱れることなく発揮されます。

手前から奥まで、滑らかに変化して行く稲穂のぼけにご注目ください。

オリジナルサイズでは、画像を回転させていません。

花虎ノ尾。光に透けた花弁の質感描写が見事です。

 SMC PENTAX-FA☆ 24mmF2 AL[IF]

スタンダードな広角レンズです。あまり遠近感が誇張されないので、標準レンズ的な感覚で用いることができます。明るさも申し分なく、光量の少ない場面でもストロボを使わずに安心して撮影することができます。

広角レンズでの接写は、背景に周囲の環境を取り込むのに適しています。
明るい広角レンズは、絞りの加減でボケ量が大幅に変化するので、使いこなし甲斐があります。これはあまり絞らず、前後を適度にぼかした例です。

上の写真とは逆に、絞り込んで背景のぼけを小さく押さえた例です。もっと絞って画面全体にピントが合ったように見せることもできます。

 SMC PENTAX-FA J 18-35mmF4-5.6AL

本格的な広角から標準域にかけてのズームレンズです。ここでは最も広角の18mm域で撮影した画像を掲載しました。このレンズだけは*istDと同時発売の新設計のレンズで、ベトナム工場製です。店頭価格3万円前後の廉価版ですが、作りに手抜きは見られません。特別高解像ではありませんが、それより驚くべきは画面周辺での色滲みの少なさ(直線の歪みも大変少ないです)や、逆光シーンでのコントラスト低下の少なさです。広角系のズームレンズは他社製品もいくつか使ってきましたが、これほど徹底して欠点を除いたものは極稀です。

うんとローアングルで蕎麦の花に寄ってみました。遠近感がかなり誇張されて見えます。

上と似たアングルによる、光線状態のまったく異なる環境下での比較撮影。*istDは、あらゆるペンタックスレンズとの組み合わせで、明部から暗部まで濁りのない豊かな色再現を示してくれます。この写真はお隣りの嵐山町で撮影しました。

逆光シーンでの撮影。コントラスト低下やゴースト(レンズの内面反射の虚像)がほとんど見られません。ペンタックスは反射防止処理に関して、独特のノウハウを確立しています。
この撮影では、夕日の周囲の雲が白く飛びすぎないよう、露出を控えめに調節しました。そのままでは地上が暗いので、専用ソフトを使って明るく整えてあります。このような場合、色が濁ったりノイズが浮いたりしがちなのですが、*istDとレンズの底力のおかげで自然な感じに再現することができました。

安価な割にはあまりに逆光に強いレンズなので、ちょっと意地悪してあら探しをしてみました。いろいろとアングルを工夫したところ、ようやくゴーストをとらえることに成功(?)しました。画面右上から左下にかけて、エメラルド色の斑点の列が写っています。もっともその規模は小さく、光線をちょっと手の先で遮れば消えてしまう、儚いゴーストでした(より賑やかなゴーストを画面に添えたい場合は、デザインソフトのフィルター効果等の利用をおすすめします)。
デジタルカメラでの広角撮影で、画面スミに現れがちな色滲みの少なさにもご注目ください。レンズとカメラ側のイメージセンサーとのマッチングが優れていることを物語っています。

[各画像の詳しい撮影データはこちら

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* この記事の更新履歴 *

2006.08.08 旧小川事業所を俯瞰撮影した写真のコメントに、(2005年7月以降、ペンタックスオプトテック小川)の表記を追加しました。
2003.10.25 「PENTAX PHOTO Laboratory Version1.00」主要機能一覧表
に「暗部ノイズリダクション」の項目を追加
2003.10.22 「詳しい撮影データ」を追加
2003.10.02 UP