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2006年01月12日

一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (その2)

*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
 (その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
 (その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
 (その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
 (続編1)これからの富士写真フイルム(株)
 (続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?

フィルムカメラのこれから?

 「朝日新聞」 :1月13日付記事 〔1月13日引用追加〕 より
  ニコン、フィルムカメラから撤退へ デジカメに押され

1917(大正6)年創業の老舗(しにせ)カメラメーカーのニコンが、フィルムカメラから事実上撤退する。一眼レフ全8機種のうち6機種の生産を順次終了。残る2機種も新規開発をやめる。デジタルカメラに経営資源を集中するためだが、愛好家やプロに愛された往年の名シリーズは姿を消す。
〔中略〕
撤退の理由は、デジカメに押され、売れ行きが急減したため。ニコンは00年度にはフィルム一眼レフを108万台出荷したが、05年度は約14万台に落ち込む。一方、デジタル一眼レフは160万台に伸びる見通しだ。カメラ事業の売上高に占めるフィルムカメラの割合は3%(04年度)に過ぎない。
ただ、デジカメ市場も競争激化で価格が下落。京セラが撤退し、コニカミノルタホールディングスもカメラ・写真フィルム事業全体を大幅に縮小する。利幅の大きい一眼レフのデジタル化を進めるニコンは昨年「D70s」や「D200」などを発売して好調だが、ソニーや松下電器産業がデジタル一眼レフへの新規参入を計画しており、競争は激化しそうだ。

 Nikon Imaging :1月11日付新着情報 より
  フィルムカメラ製品のラインアップ見直しについて

フィルムカメラ市場が急激に縮小する中、コンパクトデジタルカメラは普及率も高まり、今後はより高機能、付加価値の高い製品が求められております。また、デジタル一眼レフカメラにおきましては、今後はフィルム一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラからの買い替え需要などの拡大が見込まれ、より高性能な新製品の発売が期待されております。
このような市場環境の中、お客様のご要望により迅速に対応するために、デジタルカメラ事業に一層の経営資源を集中し、フィルムカメラ製品のラインアップを見直ししてまいります。

 継続して生産、販売するフィルムカメラボディー
  F6FM10

これはもう、「まさしく最後通告だな」というのが正直な感想です。

トップメーカーがフィルムカメラから事実上の撤退予告

継続して生産されるフィルムカメラは2機種とも一眼レフですが、FM10は他社製品のOEM供給ですから、残るはF6ただ1機種のみとなります。2004年10月に多額の開発費をかけてデビューしたばかりですから、まだやめたくてもやめられない、というのが実情なのかも知れません。
写真館やポスター制作などで使用されてきた大判カメラ用レンズ、そして引伸し用レンズについても「全品の生産を終了し、在庫がなくなり次第販売を終了いたします」とのこと。
D200購入費を大判カメラ用レンズの売却で捻出しようと考えていた私にとって、あまりにも象徴的過ぎる新年早々のニュースでした。

(株)ニコン(以下、ニコン)はいうまでもなく、これまで世界の写真産業界を、経済的にも文化的にもリードしてきたトップレベルのメーカーの1つです。
そのニコンがフィルムカメラから事実上撤退しようとしているのですから、他のメーカーも遅かれ早かれ、後に続くことになるでしょう。
今後市場に残る製品はおそらく、用途の極めて特殊なもの、趣味性の高いものに限られていくと思います。そして一般的な傾向ですが、そういった製品は値段も修理代も非常に高くなるのが普通です。

絶たれるフィルム撮影のためのプロへのサポート

レンズ付きフィルムや玩具カメラのようなものはまだまだ当分残るとは思いますが、ごく一般的なプロ向けの機材やフィルムは、これからいよいよ供給が縮小されていくに違いありません。現像などのサービスも然り、です。
都市部で大きな仕事をしているようなプロの方々は、もうほとんどデジタル撮影への対応を済ませているのではないかと思います。
ですがそれに対し、ローカルな仕事をしているようなフォトスタジオなどでは、人手も予算も足りず試験段階に止まっている業者も少なくないのが現状です。
私もプライベートでご相談をいただくこともたまにあるのですが、私自身もまだまだ勉強中の身ですから、あまりにも急激過ぎる時代の変化にこのまま翻弄されてしまいそうな不安もときに感じています。
実用面、採算面で、地方の中小スタジオの用途にもどうにかマッチする最初のデジタルカメラは、やはり2001年6月に発売の一眼レフ、ニコンD1Xでしょうか。ほんの4、5年前の出来事です。
フォトスタジオの備品はいずれも高額で、その減価償却は数年単位で計画されます。その最中にあって、フィルム撮影中心の体制を今後も継続するか否か、修理などのメーカーサポートの将来性が絶たれた今、どの業者も舵取りに悩まされていることと思います。仮にサポートが存続したとしても、採算に見合うものになるかどうか定かではありませんから。

揺れる写真教育の現場

こうした悩みは、写真を教えている専門学校や大学などにも共通しています。総合大学ならカリキュラムは4年単位ですから、今度の卒業生はデジタル撮影をほとんど授業で学んでいない場合もありえます。
フィルムオンリーの時代は、撮影機材はたとえ高価でも丈夫で長持ちしたので、中には10年以上も実習で使われ続けるものもありました。ところがデジタル撮影機材やパソコン、周辺機器などは高価なうえに教材としての価値の寿命も短く、とても従来通りの予算編成では授業運営が成り立たなくなります。カリキュラムの再編成どころか、学部学科の再編、場合によっては少子化の追い討ちまで受け、学校そのものの経営存続にまで影響を及ぼしかねない事態だとも言えます。こうした状況の中では、デジタル画像の研究に実績のある理工系の教育機関が新規に写真教育コースを設ける方が、むしろ簡単です。
もしかすると、母校の私の出身学科もそろそろ、その果たしてきた役目を終えようとしているかも知れません。伝え聞くところによると、デジタル撮影の教育は、もはや現場の自主努力に任されっきりの状態だそうですから。

話が最初に戻りますが、私が売却しようとしていた大判カメラ用レンズの中には、ニコン製品も含まれています。もう新品は手に入らないのかと思うと、何だか手放すのが惜しい気分になってきました。
私が大学の撮影実習で初めて使わされたカメラが、4×5インチのシートフィルムを使うスタジオ用大判カメラでした。翌年の新入生から、カリキュラムの変更で一般的な35mmフィルムからの実習に切り替わりましたから、ある意味貴重な体験だったのでしょう。
その意味でも愛着はあります。大事に手入れすれば一生使えるはずのレンズでした。今後も継続してフィルムが供給されるならば…。
手元に残すか、それとも本当に欲しがっている、必要としている人の元へ旅立たせるか、もうしばらく悩んでみたいと思っています。

〔2月4日追記〕

1月11日付で(株)ニコンが発表した上記「フィルムカメラ製品のラインアップ見直し」を伝える報道に対し、同社は改めて、ラインアップを見直しした上でのフィルムカメラ関連事業の継続を2月3日に発表しました。詳しくは2月4日付記事をご覧ください。
〔追記文、終わり〕


*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
 (その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
 (その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
 (その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
 (続編1)これからの富士写真フイルム(株)
 (続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?

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 No Blog,No Life!:2006年1月13日付記事
  D200と、りえ(Rie)さんと
 小川町の木工芸家にして生粋のブロガー、soroさんのブログです。
 なんと、ニコンがかつて世に送り出したプロ用フィルム一眼レフカメラの名機、
 F3やF4を愛用された経歴をお持ちだそうです。おおっ!初耳でした(@@;)

項目: 写真・カメラ

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コメント

トラバ、ありがとうございました。(^-^)/~

今回のヒロキさんのエントリーは、とても、勉強になり
ました。

>ニコンが、フィルムカメラから事実上撤退する。
soroにとっても、かなりショッキングな出来事でしたが、
この影響は、写真業界だけでなく、大学教育のあり方
にまで及ぶ可能性があるのですね。驚きました。

投稿者 soro^^ ~ : 2006年01月14日 23:12

> この影響は、写真業界だけでなく、大学教育のあり方
> にまで及ぶ可能性があるのですね。驚きました。

写真関係の学科を文系、理系、どちらの学部に設けるかで、
これまでどの大学も、それぞれの特色を発揮してきました。
私の出身学科は文系の学部に属していましたが、これから
各校とも合理化のため理系学部に集約されそうな気配です。
一方、デジタル化により写真表現の研究や授業の敷居も低く
なったので、専門教育以外でもカリキュラムに取り入れる
機会は、義務教育も含め増えていくのではないでしょうか。
小学生でも校内新聞作りにデジカメを使う時代になりました。

実は今、私の通った校舎は建替えのため工事の真最中です。
新しい校舎で、しばらくは大判で撮ったモノクロフィルムを
手作業で現像し印画紙に焼付けする、昔と変わらない実習
風景が見られると思います。けどそれも時間の問題でしょう。
モノクロ印画紙もまた、製造中止の銘柄が増えつつあります。
(現像器具や引伸ばし機を買い揃えるのは必須条件でした。)

学生時代をふり返る手がかりが、現実の世界から消え去ろう
とする日がこんなに早く来ようとは、夢にも思いませんでした。
まだ、追憶の中に面影を探るような歳ではないつもりでいる
のですが。。。

投稿者 ヒロキ : 2006年01月15日 11:14

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