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2005年08月29日

8月28日、昨年春イラクで拘束されたボランティア、高遠菜穂子さんの記念講演が、『おがわ町九条の会結成総会』で催されました (小川町民会館)

8月27日付記事も、あわせてご覧ください。

記念講演 高遠菜穂子さん『命に国境はない』
おがわ町九条の会結成総会に参加して

△貴重な講演を聞かせてくださった高遠菜穂子さん(左)
△会場には130人以上もの住民の方々が集い合いました(右)
  当日の寄付金は「イラク“命の水”支援プロジェクト」に役立てられます。

高遠さんは毎日休む間もなく、イラクの傷ついた市民の方々の救援、特に肉親を亡くした子どもたちの自立支援のため世界中を飛び回っています。
上映時間90分にわたる資料の中には、高遠さんたちをはじめ、内外のジャーナリストたちが命がけで、激しい戦乱の地から複数のルートを使い持ち出した情報が収録されていました。
取材した真実の多くは米軍により強硬なやり方で没収、破壊されたそうです。
「気分が悪くなりそうな方は予め下を向いていてください」
高遠さんの説明は、その後スクリーンに映し出される、戦乱の犠牲になられたイラク市民の方々の、悲惨な姿を告げようとするものでした。
途中で耐え切れず退席した方もいらっしゃいましが、それは最後まで真実から目を逸らすまいとした、真摯な気持ちがあったからでした。
「私は早口でたくさんお話しするのですが、それは私の後ろにはいつでも、人質にされていた間戦乱で亡くなられた何百人ものイラクの人たちがついているからです。その人たちが私を話さずにはいられなくさせるのです」
高遠さんの言葉が、重く響きます。

「報道の見えざる壁」、「最大の敵は無知」

高遠さんはファルージャなどイラク各地の病院へ、不足している医薬品や救援物資を届けるボランティアを続けてこられました。
2004年春に人質となって解放された後、日本へ帰国して目にしたニュースは、恐ろしいことにそれら病院を制圧したと伝える米軍の発表でした。
本当に病院は、テロリストが潜伏するアジトと化していたのでしょうか?
驚いて現地の知人へ問い合わせると、テレビ映像の中の米軍に拘束された人たちは武装過激派集団などではなく、病院職員や患者さんたちだったのです。
これではその後の正確な死傷者の数も分からず、救援の手も届きません。
情報もライフラインも遮断し完全密室状態にしたファルージャで、米軍は武装集団を目標とした無差別攻撃作戦を展開していたのです。
「報道の見えざる壁」、「最大の敵は無知」、高遠さんが講演中、繰り返し強く口にしていた言葉です。

私たち市民が最も警戒すべきこと。
戦争はいつの世も、権力や資本による情報操作から始まるのです。
このことについては後日機会を改めて、記事にすることができたらと思います。

*関連サイト
 ○『イラク・ホープ・ダイアリー』
   イラク支援ボランティア、高遠菜穂子さんの
   「リアルタイムでイラクの今をお知らせする」公開日記です。
 ○『イラク・ホープネットワーク (略称:イホネット)』
   高遠さんたちの呼びかけでつくられた、世界の人たちが
   「政府に左右されない信頼関係を築いていく ための」
   市民によるネットワークです。
 ○『「九条の会」オフィシャルサイト』
   各地や小川町で結成されている「九条の会」は、上記「九条の会」の
   アピールの趣旨に賛同し、自発的につくられている独立した組織です。

『おがわ町九条の会』が結成されました

△経過報告をする上智大学名誉教授の松本榮二さん(左)
△議長を務める小川町前町長の増田幸次さん(右)
  (今は町の里山を活用するため、森林保全活動を続けられています。)

△司会を務める東海林阿佐子さん(左)
△会の約束(会則)の提案をする小川教会牧師の長尾邦弘さん(右)

△総会アピールを読み上げてくれた高校2年生のAさん(左)
  彼女にとって高遠さんの伝える真実は、
  あまりにも辛く衝撃的な出来事だったかもしれません。
△活動方針の提案をする税理士の西田一雄さん(右)
  憲法九条改悪の動きが報じられている新聞を手に、
  町の有権者の過半数が「改悪ノー」と言えるように、と訴えます。
▽会場で配布された主な文書です(クリックで拡大できます)。


「総会アピール」(左)/「おがわ町九条の会の約束(会則)」(右)


「会の活動方針」(左)/「おがわ町九条の会 秋の行事のご案内」(右)

 【問合せ】
  「おがわ町九条の会」 電話0493-72-4445(西田)


*トラックバック先へのリンク

soroさんのブログ、『No Blog,No Life!』です。
会場では終始最前列で、いちばん活発に発言していらっしゃいました。

柳田たえこさんのブログ、『おげんきですか 柳田たえこです』です。
私は都合で出られなかったのですが、柳田さんの記事によると、講演会の後の「囲む会」で高遠さんは、「私がイラクでやってきたことは、九条を守るという受動的なことではなく、実践すること」だと話されていたそうです。
今の自衛隊イラク派遣のあり方が果たして「憲法九条」の実践に値するか?
「たとえ護衛のためでも武器を持つということは相手をいつでも撃つことが出来るということ。そこには信頼関係はない」と言い切る高遠さんの言葉が、その答えを示しています。

項目: 講演会・講習会・勉強会

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» 命の水 from おげんきですか  柳田たえこです
 今日の日刊紙の「潮流」に高遠菜穂子さんについての記事が掲載されていました。少し長くなりますが引用させていただきます。 バグダットの夏は、日中の気温が50度にも... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年10月13日 00:24

コメント

あまりにも衝撃的な映像でした。
「市民○○人がこの戦闘で犠牲になりました」テレビのニュースからはガレキの山と嘆き悲しむ犠牲者の家族の映像しか映し出されてきません。
「戦争で人が死ぬ」ということがどういうことなのか、自衛隊を「自衛軍」に、日本も軍隊を持つべきだという人達に見てもらいたいと思いました。
前線にたっている米軍の兵隊は20代から30代の若者です。帰還して心身に支障をきたす人達も多いようです。かつてのベトナム帰還兵がそうでした。
今、戦闘ゲームに興じる20代から30代の若い人たちの中に改憲派、日本も軍隊を持つべきと主張する人が増えていると聞きます。「仮想空間」ではなく事実を見てほしい。あなたたちが当事者になるかもしれないのですよ。無知は最大の敵であり罪です。

投稿者 柳田多恵子 : 2005年08月30日 06:03

『「知らないこと」の恐ろしさ』へのトラバ
ありがとうございました。いま、あの日、会場で
購入した高遠菜穂子さんと会田法行之さんの本を
読んでいるところです。

投稿者 soro^^ ~ : 2005年08月30日 09:26

恵比寿の“東京都写真美術館”でこの夏開催されている
『12人の写真家たちと戦争』(7月23日~9月11日)を、
今月の初めに見に行きました。
 http://www.syabi.com/topics/t_10anniversary.html
 http://www.syabi.com/map/map.html (地図・開会時間など)

木村伊兵衛さんをはじめ、「軍国主義の中に飲み込まれ」、国民の関心を戦争へと煽り立てる「国策のプロパガンダに協力」せざるを得なかった1940年前後の報道写真家たちの苦悩が、展示写真の間からにじみ出ていました。

曲がりなりにも写真を学び(私の母校では報道、商業、記録、表現等各ジャンルのコース分けはしていません)、今こうしてネット上で情報を収集発信している私は、権力や資本による情報操作は決して過去の時代の出来事ではないと認識しています。
米軍部による取材妨害とニュースの捏造。そして情報を利益優先(スポンサー本位)でしか流さない内外のマスメディア。高遠さんが強く訴えていた、イラクの悲惨な状況が歪められ伝えられていることへの悔しさは、私たちが知らぬ間に直面している日常そのものへの悔しさです。
ご存知のように日本では今、出版、放送、そして通信(ネット)の各業界間で、情報流通の主導権をめぐる熾烈なサバイバル戦が繰り広げられています。この競争が本当に、読者や視聴者、利用者である私たち市民の利益に寄与するものとなり得るのか?
これらマスメディア(大手WEBサイト等も含む)が流す情報は極めて低料金、さらには無償で手に入りますが、「タダほど高くつくものはない」という言葉をここで思い出してみたいと思います。
市民が自らの力で情報を収集し共有し合うことはそれ相当のリスクも伴いますが、その営みの中で育まれていくつながりを、大切にしていきたいですね。

*以下はご案内です。ご都合のつく方はぜひご覧になってください。

 東京都写真美術館 開館10周年特別企画展
 『写真はものの見方をどのように変えてきたか』

 第3部 [ 再生 ]:12人の写真家たちと戦争
  7月23日(土)~9月11日(日)

 【交通】JR山手線恵比寿駅東口より徒歩7分
      (恵比寿ガーデンプレイス内)

 ◎出品作家
 小石清・河野徹・木村伊兵衛・林忠彦・植田正治・濱谷浩・桑原甲子雄
 ・熊谷元一・中村立行・大束元・福島菊次郎・東松照明

 写真作品のほか、それらが掲載された戦時中の雑誌等も展示されていま
 す。記事も広告も軍事色一色。旧日本軍の国民向け宣伝誌『フロント』では、
 巧妙な合成写真による兵力の誇大宣伝が行われていました。

▽『東京都写真美術館』公式サイトより抜粋
「1930年代に入って出現したフォトジャーナリズムは、写真がその媒体の長所を生かすことができる新たなジャンルとして、多くの写真家たちが夢と希望を抱きました。しかし1937年に日中戦争が勃発し、日本中のすべてが大きな戦争へと巻き込まれていく中、フォトジャーナリズムも国策プロバガンダのための道具として利用されていきます。これは写真家たちが期待し、望んでいたフォトジャーナリズムとは違っていました。自分たちが苦心して撮ったものが、時には切り刻まれ、偽装するために別の写真に作り替えられるなど、写真家たちにとって屈辱に堪えなければならない苛酷な状況だったからです。〔後略〕」

投稿者 ヒロキ : 2005年08月30日 13:58

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