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2005年05月24日

尼崎JR脱線事故について (その4)

時速120km運転は速過ぎか?

JR西日本宝塚線(福知山線)の直線区間の最高制限速度は、2003年12月のダイヤ改正で100km/hから120km/hへ引上げられました。
一気に20km/hのアップですが、在来線でのこの速度は特に目新しいものではありません。
旧国鉄(現JR)が1968(昭和43)年10月1日に実施した「ヨン・サン・トオ」と呼ばれるダイヤ改正で、電車特急「とき」(上野~新潟間)が高崎線内で120km/h運転を開始した経緯があります。
もっとも、その後長い間、この水準での高速運転は途中停車駅の少ない長距離特急などに限って行われてきました。

ところが、今回120km/hで高速運転した後事故を起こしたのは、通勤区間を走る停車駅間隔の短い快速電車です。
宝塚を出ると、尼崎までの7駅のうち、通過するのはたった3駅のみ。
この間をノンストップで走る特急などと違い、途中の伊丹駅を出てから現場の急カーブまで、わずか4kmちょっとの距離しかありません。
参考までに私の地元を走る東武東上線で例えると、この距離は小川町から次の武蔵嵐山までの途中、嵐山町志賀の信号所付近までの間に相当します。
線形が違うので比較はできませんが、120km/hに達した後、速度を50km/hも落とすまでどれほど短い距離しかないか、運転の煩雑さが窺えます。

数年前に私が宝塚線の快速に乗車したとき、最高制限速度は東上線と同じで、まだ100km/hでした。
それが先のダイヤ改正で120km/hまで引上げられていたことを、事故のニュースで初めて知ったとき、内心かなり驚かされてしまいました。
そこで、ほかにもこのような運転が行われている路線はないか、時刻表やネットなどで調べてみましたが、今のところまだ見当たりません。
伊丹市の村山さんがメールで教えてくださった、同じJR西日本の新快速にしても、最高の130km/hまで出す区間の駅間距離は10km以上離れています。
首都圏の私鉄でも、京浜急行の品川~横浜間で快速特急(JR西日本の新快速に相当)が最高120km/h運転をしていますが、やはり駅間距離には余裕があります。

最高速度いっぱいで走り続けることができる最も距離の長い区間が、わずか4kmちょっと。その一寸先は制限速度70km/hの、半径300mの急カーブ。
宝塚線の快速は、ダイヤ改正から脱線事故までの約1年半、前代未聞の過酷な運転を強いられてきたのだと言えそうです。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

項目: 東武・JR

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