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2006年01月21日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (続編1)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
これからの富士写真フイルム(株)
「朝日新聞」 :1月21日付【天声人語】
(公開期間は1週間△)
新聞社に入社して、まだ間もないころの夜だった。取材で撮ってきたフィルムを暗室で現像したが、何も写っていない。シャッターを切るたびに巻き上げたつもりだったが、フィルムの入れ方が悪く、空回りしていた。
フィルムを使わず、撮った像をその場で確認できるデジタルカメラでは、まずこんなミスは起きない。銀塩(フィルム)からデジタルへ、写真の世界で新旧の移り変わりが激しく続いている。
コニカミノルタホールディングスが、「サクラカラー」の名で知られた写真フィルムなどのフォト事業とカメラ事業から撤退するという。ニコンもフィルムカメラからの事実上の撤退を発表した。こうした流れの中で「撤退しません」という富士写真フイルムのコメントが目についた。
「人間の喜びも悲しみも愛も感動も全てを表現する写真は、人間にとって無くてはならないものであり……その中でも銀塩写真は、その優れた表現力等でデジタルに勝る優位さもあり、写真の原点とも言えるものです」。なかなか熱がこもっている。
簡便さでは、デジタルの方がかなり優位なのだろう。しかし写真とは、絶え間なく流れてゆく時間の中で、ある一瞬をとらえるものだ。そんな「時の肖像」をとどめる手だてとして、愛好家の間ではアナログの人気も根強いそうだ。
フィルムが空回りした写真は、取材の相手方におわびし、翌朝撮り直して何とか掲載日に間に合わせた。30年以上前の失敗だが、その後しばらくは、何も写っていないあのフィルムが夢の中に現れることがあった。
今朝、1月21日付「朝日新聞」の「天声人語」ですが、まるで自分のことのように読んでしまいました(^_^;ゞ
近所の友だちに誘われ、初めて上野駅へ特急電車の写真を撮りに出かけたのが小学5年生の春。めったにカメラを持たせてくれなかった父が、そのときはなぜか快く貸してくれました。さっそく、教わった通りにフィルムを装てんしてみたのですが、「何だ、やってみるとずい分簡単じゃないか」と子供心にも思えたものの、甘かったですね。
以来今日まで約30年。フィルムの装てんや現像に関わる失敗は、いくら経験を重ねてもついぞ無くすことができずにいます。巻き戻しの済んだフィルムをカメラから出そうと、良く確かめもせずふたを開けたらまだだったとか…。光線引きで最後の数枚は確実にアウト!(撮影に追われフィルム交換の時間が惜しいからと、カメラを2台以上リレーで使っているときなど特に危険)です(>_T)
デジタルフォトの場合はすぐその場で撮り直せたり、壊れたデータや間違えて消したデータもソフトで復旧できたり、完全なコピーをバックアップできたりと、失敗や不慮のトラブルの挽回策にはフィルムと比較できないほど恵まれていますね。フィルムの「優れた表現力等でデジタルに勝る優位さ」とは、例えば解像力とか、再現できる色や諧調の範囲の広さなどでしょう。もっとも、それらの点でデジタルフォトが致命的に劣っていた時代は、もはや過去のことになりました。
今私が主に心配しているのは、保存されたデータの再生が未来永劫保証できるか、ということです。データを保存するメディアの耐久性やそれらの規格の継承、画像ファイル形式等(特に機種別カメラRAWファイル形式)の規格の継承、カラースペース(色空間)等の規格の継承など、配慮されるべき要素はいろいろあります。フィルムなら例え色褪せようと傷もうと、辛うじて画像の痕跡さえ残れば、それを後世に伝え記録として活かすことはできます。しかし、デジタルデータは再生できなくなればすべての価値は失われます。
予防策として、高画質かつ耐久性のあるプロセスで何らかの支持体へ出力する方法が考えられますが、そうなると結局、現時点では画像をフィルムか銀塩カラー印画紙に焼き付けて保管するしかなさそうです。それらの製造、販売、現像サービスなどに携わる事業から「撤退しません」と公言した富士写真フイルム(株)の社会的使命は重く、同社の決断は将来、世界史に刻まれても良いはずだと私は評価しています。
つまるところ私は写真を撮る者として、家電産業界やIT産業界のことを心の隅ではまだ信頼していない、ということなのかも知れません。
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
項目: 写真・カメラ
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