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2006年06月01日

「ふるさと」あるいは「祖国」という言葉について

教育基本法改正案をめぐる「愛国心」論議の高まりを受け、埼玉県教育局が「国を愛する心情の育成」に関して小学6年生の社会化の評価項目を対象に調査した結果、52の小学校(5月25日現在の新聞報道では45校)が通知表に盛り込んでいたことが分かりました。

 「毎日新聞」 :2006年5月25日付記事
  教育基本法改正:「国や日本愛する心情」の項目、通知表記載45校

小川町については、町議員の柳田たえこさんが町教育委員会で確認されたところ、「調査した結果、町内全小学校において「国を愛する心情を持つ」などを評価項目に盛り込んだ通知表はない」との回答があったそうです。

 「おげんきですか 柳田たえこです」
  2006年5月30日付記事 「愛国心通知表」

このような県内小学校の「愛国心評価」について、上田清司知事は5月30日の記者会見で、「自分がもし教師で、評価をつけろと言われたら困る。〔中略〕ふるさとを愛するのは大事だが、教えた内容を(子どもが)本当にマスターしているのかを、はかるのは難しい」という主旨の見解を示しました(「朝日新聞」2006年5月31日付記事より)

ところで私は、3月13日付記事の最後の方で次のようなことを書きました。

「卒業アルバム」に収録される写真のほとんどは、学校生活のスナップや記念の集合写真、顔写真、キャンパス風景くらいです。自分の生活のため、職業として私が撮るのはそのほんの一部分に過ぎません。
けれどもフォトグラファーとして手がけた仕事を完結させようとするなら、私はその学校から旅立っていった卒業生たちのふるさとを撮り続けなければならないでしょう。

ここでいう「ふるさと」とは、もちろん人が生まれた土地、育った土地という意味での「ふるさと」です。
しかし、私自身の経験も踏まえて考えれば、「ふるさと」あるいは「祖国」という言葉には、もっと幅広い意味や解釈も含まれるのが自然なのではないか、とも思えます。
いくつもの土地や国を自分のふるさととして深く愛せる人もたくさんいるはずですし、また人によっては長い人生を送る中で、生まれ育った土地や国を何らかの事情でどうしても愛せなくなる、という場面も経験するかもしれません。
私見ですが、「国を愛する心情の育成」で大切なのは、生徒たちに人それぞれで異なる多様な価値観や立場の違いについて気付かせ、国際的な視野で理解が深められるような環境を与えてあげることではないでしょうか。

学校とは、人々が幸福に生きていくための知識や経験、情報を蓄積し、皆で共有しあえる知恵を育む場所であって欲しいと、私は願っています。

項目: 一般

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