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2006年08月08日
ニコンD200の疑問とペンタックスの思想
ニコンD200を使い始めてから半年が経ちました。たった半年ですが、この時期このカメラとの出会いがなければこうも仕事は進まなかったな、と思える場面を幾度となく経験しました。
お寿司屋さんの店頭メニューディスプレイ、中学校の移動教室の集合写真、ありとあらゆる運動部の公式試合、看護専門学校の戴帽式。守備範囲の広い、文字通りの中堅機だと実感しています。
激しく動き回る被写体にも素早くピントが合い、シャッターボタンを一押しすればすべての動作がテンポ良く進んでいく。スポーツ撮影に強いのはもちろん、撮影後の再生や拡大表示が早いので、メニュー写真のように撮り直しの難しい撮影でも料理人さんやデザイナーさんとの確認がスムーズにでき、忙しいスケジュールに対処して行くことができました。写り具合は「さすが1000万画素」の一言に尽きます。
プロ用一眼レフカメラの製造では特別長い歴史を誇るニコンですが、中堅機にさえその底力を見せ付けられる思いでした。
デジタル撮影ならではの写真表現の原点はどこに?
しかし、当初は衝撃をもって迎えたものの、いくらも使わないうちに私は、D200に強い違和感を覚えるようにもなっていきました。
彩度(色の鮮やかさの度合い)、コントラスト(明暗の諧調再現)、そしてシャープネス(輪郭強調)。写真表現の重要要素であるピントや露出(明るさの調整)、ホワイトバランス(照明光別の色補正)に加え、デジタル撮影では画像の仕上がりに関する先の3つの要素が調整項目として欠かせないものになりました。撮影者はシーンに応じてこれら項目を巧みにコントロールし、自分の表現意図をより明確に写真の中へ反映することができるようになったのです。
ところがD200では、ピントや露出、ホワイトバランスは素早く手動調整へ切り替えできるのに、彩度やコントラスト、シャープネスに関しては極めて手動調整しにくい設計になっているのです。調整時は背面のメニューボタンを押し、モニターの画面表示をキー操作で切替えながら、何度も行ったり来たりしなければなりません。代わりに半自動と言えば良いのでしょうか、「仕上がり設定」という、「標準」、「ソフトに」、「鮮やかに」、「より鮮やかに」、「ポートレート」など表現意図に応じたメニューを選べば、あとはカメラが適宜自動調整してくれるニコン独自の新機能が備わっています。ですがそれも、撮影中積極的に設定変更しやすいようにはできていません。まるで“隠し機能”のようなこうした扱いは、いったいどういうことなのでしょうか。使用頻度に関わらず、こうした重要な調整機能は奥へ仕舞い込むべきではないと、私は考えます。
RAWモードで撮影すれば、後から対応ソフトで画像仕上がりの各要素を再調整することもできます。ニコン純正RAW対応ソフト「Capture NX (Ver.1.0)」はダウンロード販売価格が13,320 円(税込) ということですが、機能の差こそあれ今や同種のソフトを無償でカメラに同梱しているメーカーが多い中、この値段が安いか高いかは評価の分かれるところです。
ペンタックスに貫かれた写真表現の思想
もう一台、私が3年近く愛用してきたペンタックス*istDではどうでしょう。*istDにもD200とほぼ同じ位置にメニューボタンがありますが、押して最初にモニターへ表示されるのが彩度、コントラスト、シャープネスをそれぞれ一緒に調整できる画面です。この設計思想は7月14日に発売された最新のファミリー層向けエントリー機、ペンタックスK100Dにも貫かれています。同機にはニコンの仕上がり設定に似た「画像仕上」という設定機能もあるのですが、「鮮やか」と「ナチュラル」の2種だけに絞り、初心者向け撮影モード以外では彩度、コントラスト、シャープネスも同じ画面上で手動調整できるようになっています。私は、これこそがカメラ本来のあるべき姿だと思っています。もちろん、純正RAW対応ソフト「PHOTO Browser 3」、「PHOTO Laboratory 3」は無償でカメラに同梱されています(そうです。7月20日、レンズの分解清掃をペンタックスのサービスセンターへ依頼した帰り、私はK100Dを購入したのです)。
PENTAX「美写華写ブログ」:2006年8月8日付記事
圧倒的な売れ行きのK100D、どこが評価されたのか?
8月8日、ペンタックス純正RAW対応ソフト最新版アップデータ公開
ご参考としてお知らせいたします。
「デジカメWatch」:2006年8月8日付記事
ペンタックス、*ist DシリーズのソフトをK100D相当にするアップデータ公開
項目: 写真・カメラ
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