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2007年11月13日

運動会向きファミリーカメラの完全デジタル化完了!

いつの間に???

銀杏の葉が少しずつ黄色に染まり、運動会シーズンもそろそろ過ぎようとしています。
今シーズンも私の店ではたくさんのお客さまから現像、プリントのご注文をいただくことができました。
また私自身も、学校アルバムや広報用の撮影依頼で何校かの運動会を訪問させていただきました。
その際改めて感じたのは、デジタルカメラがこれほど普及した今でも、フイルムカメラを大事に使われている方がまだまだ少なくないようだということです。

ところが最近、国内カメラメーカー各社のサイトを調べたところ、本格的に望遠撮影できるファミリー向け全自動フィルムカメラの販売は、どこも完全に終了していることが分かりました。
ほんの2年ほど前まで、そのようなフィルムカメラは一眼レフでもコンパクト機でも、複数のメーカーから豊富に販売されていたのです。
ある程度予測していた結末ですが、正直言って時代の変化のあまりの早さに、少しばかりショックを受けました。

私の店ではこのところ、使い古して調子の悪くなったフィルムカメラを持ち込まれるお客さまが増えていますが、もし修理不能で買い替えになった場合、もうデジタルカメラしかお取り寄せできないことを説明しなければなりません。
運動会で誰もが子供を大きく写せるフィルムカメラは、もはや過去のものになってしまったのです。

フィルムカメラと市場を分け合っていた頃、デジタルカメラの市場を支えていたのは、主にパソコンやプリンターが使いこなせるお客さまでした。
パソコンですぐ画像が見られ、それをその場でプリントできるし、誰かにネットで送ることもできる。そうした利点がデジタルカメラを選ぶ方の大きな動機付けになっていたのだと思います。
しかしこれからは、パソコンが苦手な方やパソコンに向かう時間の取れない方でも、否応無くデジタルカメラを選ばざるを得ません。

お店プリントの出番! 店頭端末機の改善は?

そこで、お店プリントの出番です。インクジェット印刷の画質や耐久性が良くなったとはいえ、プリント処理能力の高さではカラー印画紙による銀塩写真の方が益々レベルを引き離しつつあります。
にもかかわらず、とても残念に思うのは、プリントの注文を受けるための店頭端末機に、あまり使いやすい製品が見当たらないということです。店頭で導入しやすいよう、メーカー側が開発時にコスト削減を最優先してしまったことが裏目に出たようです。
今年に入り、ファミリーユーザー向けのカメラでも画素数は1200万画素に達し、メモリカードの容量も次第に増えて2GB以上が普通になってきました。そうした中、現行の端末機は早くも時代遅れになり、どの店も苛立ちを押さえきれなくなっているのが現状です。

先月、都内の富士フイルム本社で店頭ミニラボシステムの新製品内覧会があり、私も店長として担当営業の方から招待を受けました。その会場では、試作中の次世代店頭端末機に触れる機会も得られました。
本社内の開発の現場を良く知る担当の方ともお話しさせていただいたのですが、私が改善して欲しいと思っていたことはほとんどすべて、新製品の検討事項の中に盛り込まれていました。例えば、大容量メモリカードの膨大な画像ファイルの中から特定の撮影年月日のものだけを抽出したり、画像をフォルダ別にスライドショーで大きく表示したり、選択画像から複数のサイズを自在に注文したりできる機能などです(そのような基本的なことさえ、現行製品ではできないのです)。
ただ、どのようなナビゲーションにするか、画面のデザインも含め社内でも色々と意見が分かれ、新機能の搭載は段階的に行われていくことになりそうです。発売は年明け頃が目標とのことでしたが、パソコンへの負荷も増しコスト高になるため、現行製品も廉価版として並行販売していくとのことでした。

カメラユーザーの期待に応えるために

ところで、デジカメプリントはどの店に出しても仕上がりは似たり寄ったり、と思っていらっしゃる方も少なくないかもしれません。これは、店頭ミニラボシステムのメーカーがブランドイメージを大切にするするあまり、プリント品質を自動調整により全世界一律に保てる設計を重視してきたことによります。チェーン店などには好都合ですが、別の見方をすれば店ごとにプリント品質やサービスを競おうとしても、機能上それがしにくい設計になっていたのです。
富士フイルムの本社で見た新システムはオプションのソフトも含め、そうしたチェーン店や系列店にありがちな横並び意識を根本から排した、クリエイター向きのシステムに生まれ変わっていました(同社サイトのニュースリリース)。「難しい。とても使いこなせない」と漏らす店主の声も聞こえてきましたが、出張撮影からRAW現像、レタッチ、プリント制作・販売まで一貫して手がける私にとって、これこそが本物の店頭ミニラボシステムだという印象を抱きました。むしろ、今までこのレベルのものが無かったこと自体、不思議なくらいです。

私の店へはいつ導入できるか、となると、店内のレイアウトも見直さなければならず、予算の問題も含めそれらの見通しを立てる方が先です。まず、おおよその費用については資料とともに社長へも報告しました。
カメラのデジタル化のせいで写真屋にはお客が来なくなった、と嘆く人も相変わらず多いようですが、私は逆に店舗数はまだまだ少ないと思っています。ちょっと写真をプリントしようと思ったとき、用紙やインクを置く店より写真屋さんの方が遠ければ、大抵の人は面倒でも自宅プリントを選ぶでしょう。
店頭ラボは置かないまでも、せめてプリントの受け渡しができる店舗はもっと増えた方が良いと私は考えます。

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2007年10月17日

今ごろ、何で? 写真屋店長の独り言

デジタル一眼レフを売る!?

早いものでもう、すっかり秋ですね。

写真産業が斜陽化し、いわゆる町の写真屋さんというものが次々廃業していく中、よりによってその“店長”という職に就いて3ヶ月が経とうとしています。
写真館の支店の雇われ店長ではありますが、フリー時代の出張撮影も続けながらの勤務なので、何かと結構多忙です。

さいたま市内で先週、県内のカメラ商関係団体が主催するニコンデジタル一眼レフの商品説明会が開かれ、「本気で売りたい!」と話す私の何十倍も多忙な社長に代わり、さてどのようなものかと行ってきました。
ニコンの営業の方が、自社製品のセールスポイントを他社ライバル製品と比べながら価格帯別に説明してくださったのですが、出席者の関心は「それらをいかに売るか」ということより、間もなく発売されるであろうD3やD300を「買うべきかどうか」ということに多く寄せられていたようです。もちろん、店主が自分で買って使った上でお客さんに勧めてもらえればニコンとしてもありがたいのでしょうけれど。

郊外へ続々進出する家電量販店に対抗し、デジカメやデジタル一眼レフを売ってやろうという個人経営規模の写真屋さんは至って稀です。廊下のロビーで開催を待っていたとき、「デジカメ売ったらお客さんはみんなプリントを注文しに来なくなってしまったじゃないか。メーカーは我々の業界をメチャクチャにしておいて何を考えているんだ。この流れをどこかで止めないと」と嘆く高齢の店主を、「今はね、待ってるだけじゃ駄目なんですよ。これからは店を留守にしてでもお客さんから撮影の注文をとるような、そういうお店が伸びるんですよ」と諭す年配の店主の声が聞こえてきました。

私の勤務する店では今年のはじめ、ペンタックスK10Dを買ってくださったお客さんがいました。その方は根っからのペンタックスファンで、私と同じようにフィルム一眼レフのLXやZ-1も愛用しています。私が店先に立つようになってからは、さらに交換レンズや用品類も購入してくださいました。もちろん、デジカメプリントの注文でもよく見えられます。店では以前からプリント調整のノウハウや現場をオープンにしているので、仕上げにこだわるお客さんに喜んでいただいています。
14日の日曜日は、そのお客さんの地元の神社に伝わるささら獅子舞の獅子頭の修繕記念式典が行われ、記念写真やスナップの出張撮影もさせていただきました。何十年かに一度という、貴重な体験でした。式典に参列するお客さんが手にするカメラはK10D。私のカメラもK10D。デジタル一眼レフで結ばれたご縁です。

さて、話を元にもどしますが、ニコンの営業の方の説明で印象に残るコメントがありました。D80に対する他社ライバル製品との比較で話題がペンタックスK10Dに及んだときのことですが、その弱点というのが「品数が少なくて伸びなかったんです」のひとこと。そして、「私が言うのもおかしいのですが、品数が少なくて本当に良かったです。K10Dはたいへんバランスのとれた、非常に良くできたカメラです」と、賞賛を惜しまなかったのです。こうした良いものは良いと率直に評価する姿勢には清々しさを感じました。
思い起こせば去年のちょうどこの時期、私はD200にD80を追加してペンタックスのシステムは整理すべきか、それともまだ完全には揃えていないニコンのシステムを手放しK10Dの2台体制にすべきか、究極の選択を迫られていたのです。会場の各席にはD80のデモ機が配られていたのですが、それを手にしながら私は、「これが自分のカメラになっていた可能性もあったんだなぁ」と複雑な気持ちになってしまいました。

2007年下半期のデジタル一眼レフ新製品発表は、キヤノンを皮切りにニコン、ソニー、パナソニックと続き、今日、17日はオリンパスからフラッグシップ機のE-3が発表されました。残るはペンタックスとささやかれているようですが、果てさて真相やいかに。気になるところです。

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2007年05月30日

ペンタックスの経営陣が6月中にさらに刷新

次期経営陣にお馴染みの鳥越興さんが就任の見通し

たびたびこのブログでもインタビュー記事をご紹介してきたペンタックス上級執行役員の鳥越興さんが、時期経営陣に就任されることが近く正式に決まるようです。ペンタックス筆頭株主の投資ファンド、スパークスグループも新人事案を十分信頼できる提案と評価していることが今日の時点で報じられていることから、TOB(株式公開買い付け)実施予定のHOYA関係者も納得できる条件が整ったと言えそうです。

 Impress「デジカメWatch」:2007年5月30日付記事
 →スパークス、ペンタックスへの株主提案を取り下げ
  ~ペンタックスの鳥越上級執行役員らの取締役就任が条件

鳥越さんはペンタックス販売の社長を経験され、ペンタックスデジタルカメラ事業を統括していく中で特にK10Dとそれに続く新製品の前宣伝に努められるなど、その実績や行動力は業界だけでなくペンタックスカメラファンの間でも注目されています(昨年以来話題を提供してきた、Impress「デジカメWatch」による主なインタビュー記事を次にまとめてみました)。

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月12日付記事
 →【PMA07】1年半のモデルチェンジサイクルは長すぎる
  ~ペンタックス 鳥越興氏と畳家久志氏に聞く

 Impress「デジカメWatch」:2006年9月28日付記事
 →【インタビュー@Photokina 2006】夢を語れる会社に生き返ったペンタックス
  ~ペンタックス イメージングシステム事業部長 鳥越興氏に聞く
  (↓記事より抜粋)

-- 具体的な数字として、社内の目標はあるのでしょうか??

「ソニーがαレンズを21本開発すると話しています。これも大変な数ですが、私個人の気持ちとしては、もっとたくさん出したい。具体的な数は言えませんが、そうした意気込みはあるということです。さらにもう一度、構造改革を実施して、レンズ開発の体制を強化します」。

-- トキナーとの共同開発も、さらに推し進めるのでしょうか?

「トキナーとは、レンズの共同開発を今よりもさらに密にしていきます。言い換えれば、他社との協業にしても、積極的な製品開発にしても、製品が売れて事業が好転しているからこそできることです。それほど我々の状況は明るくなってきました。レンズで夢を語れるようになった。そんな会社に生き返ったのです」

管理人注)トキナーは現在、HOYA創業家の同族企業である写真用品メーカー、ケンコーの傘下にあるそうです。

 Impress「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事
 →【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ~ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

同時に、新社長には経営企画担当で執行役員の谷島信彰さんが就任される模様です。谷島さんは欧州子会社の社長を経験し医療機器事業の経験もあるうえ、HOYAとの合併協議にも携わってこられ、スパークスからも期待されています。

このニュースは新聞各紙が今日付けの朝刊で報じていますが、私が特に感心したのは「朝日新聞」や「読売新聞」など、大手各紙の経済欄より前のページに全面を使って掲載されたペンタックスK10Dの華やかな広告です。日・欧2大カメラ賞受賞に合わせた広告ですが、鳥越さんは5月11日に発表された中期経営計画「ペンタックスバリューアッププラン」の説明会でも「入門機、中級機、上級機を投入しラインナップの充実を図りデジタル一眼レフシステムを強化する」、「本年度は10本の新型レンズを投入、さらに2009年度までに約25本の新型レンズを投入したい」(5月11日付「デジカメWatch」より)と公言されています。受賞のチャンスを上手に活かした積極的な姿勢に、大きな魅力を感じます(「ペンタックスバリューアッププラン」は単独経営が建前ですが、HOYA首脳のマスコミへのコメントによると、両社経営統合の協議内容とよく似ているとのことです)。
K10Dの全面広告には、次のようなメッセージが綴られています(抜粋)。

愛情と技術を込めてつくった「K10D」が皆さんに愛され、なおかつ世界からも最高の評価をいただいたことは、ものづくりをする会社にとって、本当に幸せなことだと思います。
これまでも、これからも、ペンタックスはより良い製品づくりで皆さんに応え続けます。

注目したいのは、この広告の掲載はすでに5月25日の時点でペンタックスが公式サイトを通じ予告しているということです。この日はスパークスから綿貫社長をはじめ現経営陣が退陣を迫られ新人事案作成に取り組むなど、緊迫した状況を新聞各紙が夕刊やネット上で報じた日です。現経営陣に代わる新人事報道とK10Dの広告掲載日とが一致しなければ宣伝効果が最大限に発揮されないことから、5月25日以前の広告企画段階で新人事はとっくに内定していたと考える方が自然です。4月に退任された浦野前社長も含め、5月29日までに取締役全8人がこれまでの経営混乱の責任を取るため辞任を表明しスパークスへも正式に申し入れたとのことですが、当初はそれぞれが復帰や続投への強い意欲を見せていたのも(浦野前社長の退任は辞任ではなく内紛による「解任劇」と報じられています)新人事報道までの時間調整(時間稼ぎ)だったようにも思えます。私は以前勤めていた会社で広告企画を担当させていただいた経験があるのですが、広告代理店の協力を得て大手新聞各紙の希望するページへ希望する日に広告を出すには、周到な計画や交渉力、そしてお互いの秘密が守れる強い信頼関係が必要になるものです(私は担当者として結局落第生のままでしたが)。

ペンタックスには以前、一眼レフカメラ事業の創始者でオーナーだった故松本三郎元社長が亡くなったとき、莫大な株の相続税が遺族には払えず、その対策に大変な苦労をされたという苦い経験があると伝えられています。株を売却したことで、信用できない他企業から敵対的買収の危機にさらされる不安が常につきまとってきました。
あくまで結果論ですが、ペンタックスはスパークスの顧客である投資家の資産を利用して自社株を回収し、昔から取引のあるHOYAの豊富な資産で友好的に買収してもらうことになったと見ることもできそうです。そのタイミングは、スパークスが顧客から成功報酬を得られ、かつ買収額についてHOYA側の株主が納得できる範囲内でペンタックスの株価が向上したときがベストでしょう。K10Dの成功は、その大きな契機になったように思われます。
TOBを成功させるには株の買収価格が少しでも高い方がより確実ですが、HOYA側が4月初めに示せた額は一株770円だったそうです。5月11日のペンタックスの決算報告が極めて好調だったことからその後の値動きが客観的な根拠になると期待されたものの、株式市場の反応は鈍く、770円をなかなか上回らないようです。しかし、もうこれ以上の時間稼ぎはできず、ペンタックスとHOYAは明日にも臨時取締役会を開き、TOB開始を正式決定するとのことです。
ところで、株価が上がればHOYAはTOBを断念しペンタックスの単独経営案はスパークスからも認められたはず、という論調がマスコミの間にはあるようですが、果たしてそれはどうでしょう。株価が下がれば、株主の売り控えも考えられます。

ペンタックスが迎えるアリックス・パートナーズとは?

さて、ここで改めてペンタックス提案の次期経営陣を確認してみましょう。

 代表取締役社長候補:現経営企画担当 執行役員 谷島信彰氏
 取締役候補:現イメージングシステム事業部長 上級執行役員 鳥越興氏
 社外取締役候補:アリックス・パートナーズ日本代表 西浦裕二氏
 社外取締役候補:弁護士(元福岡高等検察庁検事長) 豊嶋秀直氏
 備考) HOYAはTOB成立後、取締役2人を派遣。

ペンタックスは今回、社外取締役を初めて迎えるそうです。2人の候補者のうち、アリックス・パートナーズ日本代表の西浦裕二さんはスパークスからの推薦です。当初4月25日の時点では、浦野前社長や森前専務の復帰を求めるスパークスの株主提案の中で候補者として推されていました。5月29日までに取締役全8人が辞任を表明し、上記取締役選任議案が6月27日の株主総会の目的事項とする合意ができたことで、この株主提案が取り下げられたことは既報の通りです。

アリックス・パートナーズについてごく簡単に調べてみましたが、企業再建を専門とする世界でもトップクラスのコンサルティング会社だそうです。その方針について同社関係者が学生向けに説明した記事を、予備校の東進公式サイト「東進ドットコム」の中に見つけましたので、ご紹介します。

羨望の職業を追え! コンサルタントシリーズ【1】 戦略コンサルタント編
 アリックス・パートナーズ戦略コンサルタント 高橋秀夫氏

 ■どんな企業にもいいところがある
 -ターンアラウンド(再生)・スペシャリストとは-
  (↓記事より抜粋)

一度力を失ってしまった企業を再生させるのは、非常に難しいことです。ひとつの企業が破たんすると、その会社の社員から商品まで、全てが悪く見られがちです。しかし、どんな企業でも必ずどこかいい所があるものです。実は素晴らしい技術を持っていたり、固定ファンがいる商品を持っていたりする。
そういう企業に対して、どうすれば短期間で業績がよくなるのかを、きちんと整理して道筋を示していきます。

 ■「絶対に立ち直らせる」という熱意が、人の心を動かす
  (↓記事より抜粋)

私がプランを説明しても、皆さんは「本当にできるのか」と半ば投げ出している状態でした。しかし私は諦めず、従業員を集めて何度も何度も説明しました。自分のプランに確信を持っていたからです。
すると、徐々に社内のムードが変化していきました。最初は「外部の人間の言うことなんか」と言っていた役員も、私のプランに納得して「ぜひやりたい」「これしかない」と前向きになってくれたんです。
〔中略〕プランの内容はもちろんですが、それだけでは人は動きません。戦略を作る冷静さはもちろん、絶対に立ち直らせるという熱意、人の心に訴える力がいちばん必要なんだと実感できた一件でした。

私は、谷島さんや鳥越さんを選んだペンタックスの取締役選任議案作成には、直接的にせよ間接的にせよ、アリックス・パートナーズのアドバイスが何らかの形で及んでいるのではないかと読んでいます。いえ、それよりもっと前から私は、ペンタックスのバックに相当有能でしたたかな経営コンサルタントの気配を感じていました(1社とは限らないと思いますが)。
スパークスの顧客にしてもHOYAの株主にしても、一般の投資家は内視鏡などの医療機器のように、誰もが儲かると予想しやすい事業にしか興味を持たない傾向が多分にあります。そのため、ペンタックスの企業価値の向上策についても、まず医療機器事業の将来性から説明していかざるを得ません。しかし、儲かる事業だけ常にフル回転で続けることができるなら、世の中に経営コンサルタントはなくても済むはずです。
どんな分野の製造業でもそうですが、新製品がヒットした直後は生産に追われ、その後しばらく次の買い替え時期まで工場や倉庫に余力が生じることはよくあります。本業と副業とを区別する必要は必ずしもありませんが、複数の事業を上手に組み合わせることで、そうした余力をも最大限に活かし、企業価値を高めることだってできるはずです。だから、一番儲かる事業ばかりに目を奪われることは、決して賢明とは言えないのです。

【追記】

ペンタックスとHOYAは5月31日、HOYAがペンタックス株式のTOBを実施して完全子会社化することで合意しました。
買い付け価格は予定通り1株770円ですが、31日のペンタックス株の終値はその額をわずかに上回り、776円に。

惜しい…。あと1円で777円!

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2007年04月30日

読者の皆さまへ 更新休止のお知らせ

誠に勝手で申し訳ないのですが、管理人多忙につき、
期限未定で更新を休止させていただくことにしました。
今までご訪問くださり、どうもありがとうございました。

近況報告に代えて

この春から仕事での写真撮影が本格的にデジタル化し、撮影の無い日は画像処理のためパソコンに向かう時間が一気に増えました。また、クライアントさまへの画像データ渡しをネット経由で行う必要性から、現在このWEBサイトで利用しているレンタルサーバも活用することになり、常時十分な空きスペースを確保しなければならなくなってきました。
このような状況を考慮し、少し寂しいのですが、各ブログも含め当サイト全体の更新を期限未定で休止させていただくことにしました。同時に、サイト本体である「比企ライフネット」や姉妹サイトの「関東甲信越写真の旅」から、最近はすっかり私の個人日記としての性格が強まったブログコンテンツを、ほぼ完全に独立させることにしました。「比企ライフネット」はクライアントさまにもご覧いただく機会があり、長らく更新休止の予想されるブログなら、予め切り離しておいた方がすっきりするだろうとの判断からです。どうぞご理解ください。

更新再開に際しては、すでにサーバの空きスペースが不足しつつあることから、より大容量で経済的なレンタルサーバへの移転も検討すべきだろうと考えています。現在はさくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ」スタンダードサービスプランを利用していますが、5月9日から提供開始予定の「さくらのレンタルサーバ・ビジネス」プロサービスプランに、今は関心を寄せているところです。WEBサイトは一度構築すると、移転は大変手間のかかる大作業になるので、他社のサービスの動向も見ながら時間をかけ慎重に検討したいと思っています。

最近の仕事のようす

まず広告関係ですが、4月19日に私の地元のおがわ温泉花和楽の湯さまが増床リニューアルされ、それにあわせた新しいパンフレット用の写真撮影のお仕事をいただくことができました。
カラー刷りのパンフレットは5月下旬の出来上がりになると思いますが、先に一色刷りの館内見取り図入りのチラシが出来上がりましたので、ご来館の機会がありましたらぜひお手にとってご覧いただけたらと思います。表側は全面、新しく完成した足湯で寛ぐ浴衣姿の女性のポートレートが掲載されています。夕暮れ時の撮影で、とても風情豊かな花和楽の湯の雰囲気をお伝えできたのではないかと思っています。デザインは、オープン当初から花和楽の湯のパンフレット、広告や館内サインなどを手がけてこられた、プリゼント・クリエイティブ社長の千葉さんです。
千葉さんと、その知人で花和楽の湯を開業プロデュースされた(株)アクトパス社長の望月さんへは、花和楽の湯社長の新田さんからオープンに先がけ紹介していただきました。このときの出会いは、私がフリーカメラマンとしての一歩を踏み出す大きなきっかけになりました。千葉さんからはその後も、東京や横浜などの企業さまの商品や店舗の撮影のお仕事を、度々いただいています。

学校アルバム関係でも、環境に大きな変化がありました。
学校アルバムの撮影や編集制作の仕事は、これまで伝統的に写真館の仕事でした。ある写真館が急な事情で学校関係の仕事が請けられなくなり近隣の写真館も忙しくて引継げないような場合など、取引している印刷会社が撮影から代行するケースもありましたが、それはあくまで緊急の備えに過ぎませんでした。印刷会社が写真館を通さず直接学校と取引するにしても、それは主に会社の周辺地域に限られていました。印刷のための写真原稿は従来ネガやプリントで入稿されていたため、それらの編集や整理まですべて印刷会社側で請け負うことはとてもできなかったからです。
ところが、撮影機材の急速なデジタル化で状況は一変しました。写真館にとっても重労働で負担になっていたネガやプリントの整理作業が不要になり、社員カメラマンが撮影に専念できるようになってきたのです。印刷会社もスキャニングの作業から開放されるようになりました。そのことから、学校側への営業活動、アルバム委員の生徒さんや顧問の先生との連絡、撮影、編集制作などの業務の分担について、写真館と印刷会社との間で見直しが進められる機運が高まってきました。
学校アルバム関係の私の直接のクライアントさまは今、越生町にある老舗の写真館、山口写真さまです。社長の山口さんは、私の母校である日本大学芸術学部写真学科の10年先輩で、若い頃は広告写真界や放送界で活躍され、写真館業界のコンテストでも上位入賞経験豊富な実力の持ち主です。実は、小川町へ越してきてからも長い間、失礼なことに私はそのようなことも知らずに過ごしていたのですが、何人かの方が私を山口さんに紹介してくださり、仕事のお手伝いもさせていただけるようになったのです。
山口写真さまでは入間北西部から比企南部にかけ、小学校から大学、専門学校まで数多くの学校アルバムの仕事を手がけられていますが、このたびその営業活動や編集制作がさいたま市にある老舗の学校アルバム印刷会社、(株)イシクラさまへ移管されることになりました。また、これまで山口写真の社員カメラマンとしてそのような複雑な仕事をほとんど一人で進行管理してこられたNさんも、6月からフリーカメラマンとして独立されることになりました。同時期、私のクライアントさまも山口写真さまから(株)イシクラさまへ変わることに決まっています。山口写真さまへは機材や車のレンタル料、連絡事務所の家賃などしか入らなくなりますが、これで人件費やアルバム制作に関する様々な負担が生じなくなることになります。それでも、山口さんやNさんからはこれからも撮影の上で公私ともどもご指導いただけるとのことなので、まだ経験の浅い私のような新人カメラマンにとっては心強い限りです。
今後の私の役割は、ほかのフリーの先輩カメラマンとともに、Nさんの補佐をすることです。担当する学校は当面今まで通りですが、この頃は県内でも後継者難や経営難から廃業したり、従業員の高齢化や人手不足で学校アルバムから撤退する写真館も少なくはなく、その仕事を引継ぐ場合も考えられるとのことです。背景には、急速な撮影機材のデジタル化に一部の写真館は設備投資を諦めてしまっているという事情もあるようです。
(株)イシクラさまでは、Nさんをはじめとする私たちのようなフリーカメラマンの組織に撮影や学校側との連絡を依頼するようなケースは初めての試みとのことです。この試みが軌道に乗れば、近い将来デジタル撮影や画像処理に精通したフリーカメラマンの組織が、学校アルバム撮影の担い手として普通になる時代が来るのかもしれません。それだけに今、正直なところ不安もありますが、私はこれまで以上に大きな責任を感じているところです。

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2007年04月16日

ペンタックスとHOYAとの間で間もなくトップ会談の見通し

ペンタックスはHOYAとの合併に代わる
企業価値の向上策を作成中

「毎日新聞」4月15日付記事によると、いよいよペンタックスとHOYAとの間で、経営統合問題を巡るトップ会談が行われる見通しになったようです。

 「毎日新聞」:2007年4月15日付記事(抜粋)
 →HOYAが再質問状 ペンタックスにTOB賛否問う

〔前略〕HOYAは14日、TOBへの賛否などについて明確な態度を示していないペンタックスに対し、再質問状を出したことを明らかにした。HOYAとしては今週前半までに書面で回答を得た上で週内にトップ会談を行い、取締役会を開く23日を節目に、統合問題に対する態度を決めたい意向だ。
〔中略〕一方、10日に就任したペンタックスの綿貫宜司社長が翌11日、同社の筆頭株主である国内系投資会社スパークス・グループに就任あいさつで訪れた際、「白紙に戻したHOYAとの合併に代わる企業価値の向上策を作成中なので、出来上がり次第、知らせる」と口頭で伝えていたことが14日分かった。〔後略〕

綿貫宜司新社長はHOYAとの経営統合に向けて昨年春から交渉役を務め、HOYAの鈴木洋CEO(最高経営責任者)とも面識があるという報道もあります。綿貫社長は浦野文男前社長の代とは異なる案を準備し自社のペースで統合協議を有利に運ぶ重要な機会を得たことになります。ただ、HOYA首脳陣はペンタックスの一連の動向から10日に臨時取締役会を開いており、先方の社外取締役も含め業務のスケジュールを混乱させてしまったことについて、非難は避けられない苦しい立場にあることも事実です。HOYAの鈴木洋CEOはペンタックスとの合併について株主の理解と協力を得ることに努めてきたことからも、交渉にはHOYAの立場を害さないよう十分な配慮が求められることになるはずです。たいへん難しい仕事になりそうですが、ペンタックス新経営陣はどうこの課題を乗り越えるのでしょうか。その行方を占う上で気になる報道もあります。

 「毎日新聞」:2007年4月15日付記事(抜粋)
 →ペンタックス:経営陣内紛 新経営陣、1日で変節

〔前略〕合併推進派の浦野前社長と森勝雄前専務執行役員の2人は4日、混乱の責任を追及されて辞意を表明した。辞任は10日の臨時取締役会で正式に決める予定だった。
反対派役員5人は9日、浦野前社長ら2人に改めて合併断念を申し入れ、どのような形でもHOYAとの経営統合は断念すべきだとする文書を手渡したという。
翌朝、東京都板橋区の本社で開かれた臨時取締役会では、冒頭に議長役の浦野前社長が「本来の議題に入る前にTOB(HOYAによる株式公開買い付け)を含め今後の話をしよう」と切り出したが、さえぎる形で三浦順夫上級執行役員が浦野前社長の解職動議を提案した。反対は森前専務だけで、前日の申し入れに加わらなかった鶴田昌隆上級執行役員も賛成に回り6対1で可決。森氏も解職された。更に岡本育三常務執行役員(創業家と姻戚関係)が綿貫宜司氏を新社長に選任する動議を出し、浦野、森両氏の反対を退け可決された。
新経営陣は人事議案だけで取締役会を終えようとしたが、浦野、森両氏が「合併を断念するなら、きちんと決めて情報を開示すべきだ」と主張。議長になった綿貫新社長が受け入れ、前日の申し入れとは異なる「合併は断念するが、統合協議は継続する」ことを提案。議論の末「広い意味での統合」を検討することで可決されたという。
〔中略〕ペンタックスは昨年12月にHOYAと合併で基本合意した際、4月上旬の最終契約を目指していた。しかし、交渉が長引いた場合などに備え、有効期限は5月末としていたという。「期限前に一方的に協議を打ち切れば、契約破棄の責任を問われかねないことに気づいた新経営陣が、期限切れまで交渉を引き延ばす方便としたのでは」(関係者)との指摘もある。〔後略〕

これも「毎日新聞」の4月15日付記事ですが、こうした内部事情に係わる情報がどこからどのような意図をもってもたらされたのか、記事中には「関係者の証言で明らかになった」とありましたが実に不思議な気がします。契約破棄の責任逃れというのは単なる憶測だとしても、これから交渉に臨む新経営陣が最初からHOYAに経営統合を断念するよう仕向けているかのような書き方でもあり、HOYA首脳陣に不快感を与えかねない報道とも思えます。ペンタックスの1ユーザーとしては、両社の間で統合協議が建設的に進められることを祈らずにはいられません。

やはり必要と思われるHOYAの協力

ペンタックス綿貫新社長は就任時の会見で、次のように述べたとあります。

 Impress「デジカメWatch」:2007年4月10日付記事(抜粋)
 →ペンタックス綿貫新社長が会見
  ~経営統合の検討を継続、カメラ事業は好調

〔前略〕「IS(イメージングシステム)の収益源はボディより交換レンズなので、デジタル一眼レフへのシフト戦略を立てた。レンズは素材さえあればすべて社内で作れるから、付加価値がすべて社内に落ち、貢献利益率が最も高い。ベトナム工場の生産能力を上げ、増産している」と、現在はカメラ事業が好調であるとした。〔後略〕

「レンズは素材さえあればすべて社内で作れる」とありますが、その素材である光学ガラスの最大手メーカーがHOYAです。ペンタックスは今、デジタル一眼レフ事業がようやく好転したのを機に、交換レンズの新製品開発や工場の増床を急ピッチで進めています。ところが、長年財務状況が良くない状態が続いていたとの報道もあり、これから拡大が期待される市場に対し十分な投資ができるかどうか、不安も無いわけではなさそうです。
素材メーカーとしては、納品先の資金繰りが良好であれば増産にも安心して協力できますが、一般論として一時的な評判や期待感だけで先方の事業に乗ることには、どうしても慎重にならざるを得なくなると考えられます。もちろん、納品先の財務状況が透明であればそれが安心材料になるわけですが、企業秘密に関することでもあり、そこには別企業であることの超えられない壁があると言えそうです。
ペンタックスと資本力のあるHOYAとの合併は、こうした問題をクリアする手段として私は好意的に受け止めていました。ペンタックスの内視鏡事業も将来の成長が期待され、一種の保険としても有望という印象を抱いていました。
また、私の地元にあるペンタックス小川サイト(旧小川事業所)の土壌・地下水汚染恒久対策工事も、来年5月には完了する予定になっています。旧小川事業所は5年前まで、ペンタックス交換レンズの主力工場でした。こうした資産も、両社の間で有効に活かされないかと期待していました。

ペンタックス新経営陣が果たしてどのような新案を準備しているのか、現時点では知る由もありませんが、ペンタックスのカメラ史上最大の転機を上手く乗り切って欲しいと願っています。


【余談】

内視鏡事業ですが、
保険というより、担保に例えて活かすようなことは、できないものでしょうか?
(↑ただの茶飲み話です。どうもたいへん失礼しました<(_ _)>)

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2007年04月10日

ペンタックスの社長が若返り

ペンタックスは4月10日付で「代表取締役並びに役員の異動」を正式発表しました。今回の異動で、7年間の長期にわたりペンタックスの経営を指揮してきた浦野文男社長(63)が取締役へ退き、新社長には取締役で最年少の綿貫宜司取締役上級執行役員(54)が就任しました。
また、同日の臨時取締役会で新経営陣は、社内外の諸事情から10月に予定していたHOYAとの合併断念を決議し、その旨が同社首脳陣へ文書で伝えられたことも報じられました。

ペンタックス新経営陣の各報道機関への説明によれば、合併は浦野前社長が水面下で独善的に進めたことであり、それゆえ取締役会での合併断念は正当なもので、混乱の責任は浦野前社長及び森勝雄前専務(取締役に降格)が負うことで事態を収束させるとのことです。しかしながら、HOYAとの「広い意味での経営統合については、今後とも検討を進める」との決議も“しっかりと”しています。実にペンタックスらしいですね。
HOYAも同日に臨時取締役会を開き、ペンタックスの意向を聞いたうえでの経営統合の検討継続を確認したようです。

両社の経営統合に関する2006年12月21日付基本契約から、もうすでに4ヶ月近くが経とうとしています。言わば「乗りかかった船」でしょうか。結果的にHOYAの首脳陣は、企業規模のずっと小さいペンタックス側が用意した土俵に、自ら臨まざるを得ない状況に立たされたと見ることもできそうです。
覚えておかなければいけないことがあります。ペンタックスは昔から、ハネウェル、カール・ツァイス、フィリップスなどの世界的な巨大企業を相手に、新製品開発に欠かせない重要なノウハウを自社のペースで吸収してきた経験の持ち主だということです。

HOYA首脳陣は今のところ、ペンタックスのデジタル一眼レフ事業に一定の理解は示しながらも、それほど強い関心は抱いていないそぶりを見せています。ですが、光学部材のメーカーがお得意先である購入者の事業内容を十分把握していないことなど考えられません。工場の操業計画や原材料の仕入れ計画などに直接影響することですから。
今、ペンタックスは交換レンズの増産に追われ、私が予約した「近日発売予定」の新製品は、2ヶ月近く経った今なお「近日発売予定」のままです。きっと予約が多過ぎて、全世界へ同時出荷できるだけの在庫がまだ準備できないのでしょう。HOYAにとっても稼ぎ時のはずですが、では一体どのような形での協力ができ得るか?
同社首脳陣は近く、何らかの回答を用意することになると思われます。いずれにせよ、お互いにとってなくてはならないビジネスパートナーだということは、両社ともよくよく承知していることなのでしょうね。

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2007年04月08日

春爛漫の小川町


 ↑クリックで原寸画像が開きます(3872×2592ピクセル、トリミングなし)。

 画題:『菖蒲沢の山桜』
 埼玉県比企郡小川町中爪菖蒲沢
 2007年4月7日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:SMC PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited
 アドビ「Photoshop Lightroom 1.0」でRAW現像


 ↑クリックで原寸画像が開きます(3872×2592ピクセル、トリミングなし)。

 画題:『槻川岸に咲く桜』
 埼玉県比企郡小川町下里寒沢
 2007年4月7日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:SMC PENTAX-FA 77㎜F1.8 Limited
 アドビ「Photoshop Lightroom 1.0」でRAW現像

埼玉県熊谷市では3月29日に早くも25.4度の夏日を観測。さらに4月1日には静岡県静岡市で31.8度の真夏日を観測したかと思えば、4月4日は都心でみぞれ混じりの雪が降るなど一転冬に逆もどり。この日は丹沢から奥多摩、秩父地方にかけての山沿いも雪になったようです。何ともおかしな今年の春です。

私の家の周りではようやく桜が咲き始めていたのですが、4日までの冷たい雨続きでだいぶ花が痛んでしまい、ソメイヨシノのほとんどは鮮やかな満開になるタイミングを失ってしまいました。残念ですが、幸いヤマザクラの方はそれほど痛みも少なく、この週末には見事に咲き誇る姿を見せてくれています。

ごく短時間でしたが、仕事の合間に春爛漫の里山の風景を撮影することができました。画像の整理の時間が取れないので少しでだけですが、7日に撮った写真をお見せします。

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2007年04月02日

「Photoshop Lightroom先行予約キャンペーン」当たる

「予約・購入された方の中から抽選で合計300名様」の一人!?

はじめ、NITTSUメール便が届いたときは、何のことかさっぱり分かりませんでした。依頼主はビックカメラドットコム。
昨夜、確かにペンタックスのDA 18-55mmF3.5-5.6 ALレンズを発注しましたが(ああ、K10Dとセットで買えば安かったのに…(T_T))、それにしては到着が早過ぎる上、薄過ぎて且つ軽過ぎるし、しかもメール便?

おそるおそる開けてみると、中には次の2品が!

 同封:
 「IOデータ メディア」×1
 「Adobe メディアケース」×1
 計2点

思い出しました。抽選に当たったんですね、私σ(^_^;)。
このキャンペーンの概要は次の通り(もしくはこちら)。

Adobe Photoshop Lightroomの発売を記念して、アドビストアやキャンペーン参加オンラインストア各社で同ソフトを予約・購入された方の中から抽選で合計300名様に、アドビオリジナルCF カードケースと、(株)アイ・オー・データ機器製115倍速512MBメモリカード「CF115-512M」をセットでプレゼントいたします。
〔中略〕当選は発送をもって発表に代えさせていただきます。

デジタルフォトグラファーの必需品とも言える、出るべくして出た待望のソフトです。予約も多かったはずです。「抽選で合計300名」という規模からどうせ当たりっこないと思った私は、「当選は発送をもって発表」される限り発表など無いも同然と考えた私は、このようなキャンペーンの存在自体景品が届くまですっかり忘れてしまっていたのでした(いかに日頃くじ運が無かったかを物語っています)。
でも、当たるときは当たるものなんですねぇ。。。

このCF、所有するカメラではペンタックス*istD(現在予備機)しか使うあてがありません。実はペンタックスK10Dを購入後、ニコンD200は知人が欲しいというのでシステムごとお譲りしてしまったんです。
とは言うものの、K10Dの発売記念キャンペーンでもれなくもらえたSDカードとそのケース(梱包している化粧箱がなかなか立派)だって、結局使わず記念に仕舞っておくような私ですが(笑)。

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2007年03月23日

アドビ「Photoshop Lightroom」ついに到着!

待望の「Photoshop Lightroom」(1月30日付記事参照)が先ほど届きました。
早速インストールしてみましたが、ベータ版に比べ動作はさすがに速くなっているようです。ちょっと弄っただけでも体感できました(操作性も良くなりました)。これならまだ、マシーン(Windows XP、CPU=Celeron 2.4GHz、メモリ=1.0GB)の買換えはしなくて済みそうです。
もちろんペンタックスK10DのRAW(PEF)形式にも対応済み。これで残りの卒業関係イベントの画像処理も一気に進められるでしょう。個人的には赤目補正もこのソフトでできるようになったことが大助かりですね。

思えば今まで、よくこのようなツール無しでやってこれたものです。非常に重要なソフトだと思うのですが、(写真家)業界の関心の度合いはかなり個人差が大きいようです。どちらかというとデザイン、印刷業界と縁の深かったアドビですが、もっとこの業界に対しても宣伝に力を入れてよいのではないでしょうか。
(「フォトイメージングエキスポ2007」にも出展しているようですね。)

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2007年03月22日

フォトイメージングエキスポ2007に見るデジタル一眼レフ開発競争

イメージセンサーの大革命が始まりそう

今日から25日まで、東京ビックサイトで「フォトイメージングエキスポ2007」が開催されます。私は見に行けませんが、今はネットでほぼリアルタイムに現地の情報が入ってくるので、毎日楽しみに関連サイトをチェックしています。
今回の各社の展示で私が特に注目しているのが、キヤノンとソニーの最新動向です。両社とも、デジタル一眼レフ用イメージセンサーの開発では世界的な大手メーカーです(キヤノンは今のところ社外への供給はしていません)。

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月22日付記事
 →【PIE2007】フォトイメージングエキスポ2007が開幕
  ~ソニーの次期αなど参考出品や新製品を展示

キヤノンは今回、5月下旬発売予定のEOS-1D Mark IIIで注目を集めているようです。店頭予想価格が50万円前後(レンズ別売)とのことですから、私が5年ほど前に買ったことのあるニコンD1Xとほぼ同じ価格帯になります。
しかしその当時に比べれば、EOS-1D Mark IIIに秘められた新機能はまさに夢の機能としか言いようがありません。1000万画素もの高画素でありながら秒間約10コマの高速連写を可能にしたばかりでなく、多くのデジタル一眼レフで見送られてきたライブビュー機能も採用され、背面の液晶モニターを見ながらの撮影もできるようになっているのです。これらの新機能はイメージセンサー(EOS-1D Mark IIIではCMOSセンサー)の進歩があって初めて実現したもので、これからはプロだけでなく、アマチュアカメラマンにとっても当たり前の機能になっていくのでしょう。

一方、イメージセンサー開発ではライバル関係にあるソニーですが、こちらも新しいセンサーを採用した新機種を開発中とのことです。ハイアマチュア向けモデルとフラッグシップモデルの2つのモックアップを出展していますが、詳しい仕様は一切不明です。ソニーは以前からニコン、ペンタックスなどへもイメージセンサーの供給をしており、スペックの前宣伝ができないのは取引先との間に守秘義務があるためだろうと思われます。
フラッグシップモデルの方はデザイン上、ファインダーのペンタプリズム部の大きな隆起が目立ち、APS-Cサイズより大きな、おそらく35mm判フルサイズ相当のイメージセンサーを採用しているのではないかと想像したくなるほどです。
なお、両機種ともカメラ内手ぶれ補正が搭載されるそうです。

ところで、ソニーのデジタル一眼レフ事業は元々イメージセンサーの供給先だったコニカミノルタから引継いだものですが、カメラ愛好者の中にはそのうちセンサーの社外供給を中止し、優秀な新型センサーを自社製品のために独占するのではないかと想像力を逞しくする人もいるようです。もちろんこれは素人考えで、もしそんなことをしてニコンやペンタックスのユーザーがキヤノンへ転向でもしたら、ソニーは大損することになってしまいます(つまりは共倒れ)。
各社間の開発競争はお互いの技術向上のために行うもので、その最大の目的はユーザーの要望に応え社会に貢献することだと言えます。それには開発費を回収すべく売上げ増進のため各社が最大限の努力を続けることが必要で、ソニーのセンサー開発事業のためにはニコンもペンタックスも(厳しい注文はつけつつも)協力は惜しまないことでしょう。

互いに競争しながら開発した技術やシステムの規格などは、成熟するにつれ、やがては業界全体の共有財産になっていくものです。それを促すために特許権に関する法が整備され、その有効期限も定められているのですから。

イメージセンサーの進歩はレンズの描写力も進歩させる

先ごろ、Impressから「PENTAX K10D/K100D完全ガイド」というムックが出版され、私もユーザーなので買い求めました。特に興味深かったのが、カメラやレンズ開発者へのインタビュー記事です。
35mm判フルサイズデジタル一眼レフの可能性について訪ねる記者に、ペンタックスのレンズの企画担当者や設計担当者が次のように答えています。

「フィルム時代の35mm判フルサイズに対応しているレンズがありますが、フルサイズの撮像素子(管理人注:イメージセンサー)に対応できるかというと検証しないとわからない。レンズが撮像素子に追いついていないという現象が考えられるんですよ。ちょっとこれは並大抵の性能のレンズではまともに描写できないぞと。もしうちがフルサイズのデジタル一眼レフをやるときには、ちょっとレンズをやり直さないといけない可能性が出てくると思っています」
「撮像素子のメーカーに、フルサイズしかありませんとかいわれたらどうしようかなと思って(笑)」

最後には冗談も飛び出す余裕も見られましたが、いつ社内で指示が出ても対応できるよう、戦戦兢兢と開発に備えている様子が伝わってくるインタビューでした。

フルサイズデジタル一眼レフについては現在キヤノンの独走状態が続いていて、今のところ画素数は1600万までですが、レンズの描写性能改善に関しては同社もかなり苦労しているようです。ソニーはドイツの名門光学メーカー、カールツァイスに応援を求めていますが、ペンタックスは単独、あるいはトキナーやHOYAとの協業でこの難題に取り組むことになります。レンズ設計には独特なこだわりを持つペンタックスのことですから、本領をどう発揮してくれるか大いに期待したいと思います(もうすっかり出るものと思い込んでいる私…笑)。

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2007年03月20日

35mmフィルム一眼レフカメラ中国に健在

ニコンFマウント仕様のほか
ペンタックスKマウント仕様も

3月16日付記事でご紹介したニコンFマウント仕様の純機械式フィルム一眼レフですが、写真用品メーカーのケンコーが自社ブランドで発売する予定とのことから、私は同社と関係が深い光学機器メーカーのコシナが受注した製品とばかり思っていました。

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月15日付記事
  ケンコー、カラーメーターや露出計などを発表
   ■ フィルム一眼レフ

ところが、すでに3月18日付記事のリンクで周知したように、このカメラは中国の主力光学機器メーカー、鳳凰光学江西工場が一貫生産している製品だったのです。

同工場にはニコンFマウント仕様以外の製品もあり、その中には意外や、私も望んでいたペンタックスKマウント仕様のものもありました。また、電子制御式シャッターの絞り優先AE一眼レフも用意されています。いずれも、日本のコパルやセイコーが開発したシャッターユニットを採用しているようです。
これらの製品は以前から日本の業者を通じて輸入され、主にネット通販で流通していることも分かりました。先のケンコーの発表以来、カメラ関係のサイトなどで一気に話題が広まりつつあるようです。

 鳳凰光学 PHENIX 輸入発売元 EYEOPTICOM:製品紹介
  機械式一眼レフ DC303NE、DC55 (ペンタックスKマウント仕様)
  機械式一眼レフ DN60、DN66 (ニコンFマウント仕様)
  機械式一眼レフ DC303YC (旧ヤシカ/コンタックスマウント特注仕様)
  機械式一眼レフ DC901 (旧ミノルタMDマウント仕様)

PHENIXブランドの中国製一眼レフについては、もう大分前にカメラ雑誌の記事で読んだことがあり、その存在は知っていました。製造技術は日本の京セラ(旧ヤシカ/コンタックスブランド)から導入され、その後ペンタックスKマウント仕様の機種が追加されたことも後に報じられました。しかし、それらが今なお細部に改良を重ねながら製造されていて、さらに旧ミノルタMDマウント仕様やニコンFマウント仕様の機種も登場していたとは思いもしませんでした。
最初のPHENIX一眼レフは旧ヤシカブランドのFX-3という製品をほぼそのままコピーしたDC303という機種で、当時のコシナ製一眼レフとは同仕様のコパル製シャッターユニットを採用するなど、部品や設計の一部に共通点も見られました。ケンコーがこの夏発売する予定のニコンFマウント仕様の一眼レフは外観からDN60と同じ製品だと思われますが、内部構造はDC303を踏襲しているらしく、私がコシナ製と思い違いしたのもそのためだったのです。
(「フォトイメージングエキスポ2007」のケンコーブースでは、DN66ベースと思われる製品も参考出品されたようです。)

それにしても、国内輸入販売元であるEYEOPTICOMさんの通販サイトを見ると、改めて中国製品の安さを実感させられます。私が小・中学生の頃だったらとても考えられないことです。
DN60はボディーのみで税込18,000円(送料別)。ケンコーの希望小売価格はいったいいくらになるのでしょう。
EYEOPTICOMの通販サイトのFAQに、次のようなことが書かれています。

 Q 東京(名古屋、大阪等)で現物を見たいのですが。
 A 取扱店がございません。 
   薄利で取り扱いをして頂ける方がございましたら、
   ご連絡いただけたらと存じます。

ケンコーがDN60を扱うのは果たしてこの呼びかけに応じたのか、それとも独自の判断で鳳凰光学に発注したのかまったく分かりません。販売終了した一眼レフ、ベッサフレックスTMの発注先であるコシナとの関係も含め、今後どのような展開が見られるか興味は尽きないですね。

なお、鳳凰光学広東工場の公式サイトには日本語ページも公開されています。事業内容は日本のHOYAとも競合し、かなり高度な技術を持っているようです。

 鳳凰光学(広東)有限公司 日本語公式サイト

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2007年03月18日

PHENIX!?

 鳳凰光学 PHENIX 輸入発売元 EYEOPTICOM:製品紹介
  機械式一眼レフ DC303NE、DC55 (ペンタックスKマウント仕様)
  機械式一眼レフ DN60、DN66 (ニコンFマウント仕様)
  機械式一眼レフ DC303YC (旧ヤシカ/コンタックスマウント特注仕様)
  機械式一眼レフ DC901 (旧ミノルタMDマウント仕様)

〔続く〕

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2007年03月16日

写真用品メーカーのケンコーが35mm判フィルム一眼レフカメラを発表

この夏発売予定

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月15日付記事
  ケンコー、カラーメーターや露出計などを発表
   ■ フィルム一眼レフ

実は、何となく期待していたんです(↑)。
できるとしたらもう、この会社しかないんじゃないかな、って(^_^)。
見込みがあったからこそ私は、今年の初めに次のような一連の記事を書いたわけなんです。

 ▽1月7日付記事より

既報の通り今年10月、ペンタックスは光学材料メーカーのHOYAと経営統合し、新会社HOYAペンタックスHDが発足します(2006年12月27日記事参照)。実はそのHOYAの傘下にある写真用品メーカーのケンコーが、ついこの間までベッサフレックスTMという、(ニコン)FM10に“とても”よく似た(それでいてずっと高級感のある)一眼レフを発売していたのです。
〔中略〕ベッサフレックスTMはりんごのふる里、長野県にある光学メーカー、コシナが設計、生産を請負ったカメラでした。それは、同社がかつて他のブランドで輸出用、通販用に生産していた(ひょっとしてまだ生産している?)一眼レフをベースにリニューアルしたものです。そのベースとなった一眼レフこそ、何を隠そう、ペンタックス現行のD FAレンズが使用できる規格のカメラだったのです。
そのような一眼レフをペンタックスの商品として、ペンタックスブランド誕生50周年記念事業の一環として、世に出すことはできないものでしょうか。

 ▽1月23日付記事より

欲しい、子供も大人も満足できるフィルム一眼レフ

一眼レフに限らずフィルムカメラは急速に品数が減り、特殊な用途のものか熱心な写真愛好家向けの高級機種などに製品の種類が絞られてきています。その中で一部の安価なコンパクトカメラ等はなお健在ですが、せっかく限られた時間の中で存分に写真の勉強を楽しもうというのなら、やはり自由にレンズ交換のできる手頃な値段の一眼レフが欲しいところです。
ニコンFM10(税込希望小売価格38,850円、レンズ別売)は唯一、現行製品の中ではその条件を満たすフィルム一眼レフだと思います。
〔中略〕FM10の発売元はニコンですが、一説によるとその設計は長野県にある光学機器メーカー、コシナによるものだと言われています。コシナにはペンタックスと交換レンズが共用できる一眼レフを生産してきた実績があり、FM10はそのニコン向け仕様だという説です。
〔中略〕願わくばペンタックス仕様のFM10のようなカメラも近いうちに登場し、子供も含む初心者の選択肢が少しでも広がってほしいものだと思います。

 ▽1月27日付記事より

カメラメーカーさんへのお願い(独り言)

〔前略〕これは私のお願い、といっても独り言に過ぎないのですが、仮にもしも、もしも小・中学校に写真の授業があるとしたら、カメラメーカーさんにもどのようなカメラが教材として贈り物に喜ばれるか、一度じっくり考えてみていただけたらと思うのです。商品企画や開発、設計に携わる方々にはそれこそ我が子に、おられない方なら親戚や友人、知人のお子さんに贈るつもりで、ぜひこんなカメラを持たせてあげたいと思うようなカメラを、つくり上げてもらえたらと願うのです。
お子さんがそんなカメラと青春をともにし、いつか大人になりもう一度使ってみたとき、ああ、あのとき両親は本当に良い物を選んでくれたんだなぁと感じてもらえれば、それもまた一つの幸せなのではないかと思えるからです。

ケンコーがベッサフレックスTMの販売を終了したことから、おそらくそれに続く次の企画がシリーズの一環として進んでいるのだろうと読んでいたのですが、予感は的中しました。ただ、ペンタックスユーザーの私にとってちょっと残念だったのは、ペンタックスKマウント仕様ではなくニコンFマウント仕様だったということ。主な機能から、純機械式のニコンFM10の基本設計を踏襲し、プラスティック製の外装を金属製に変えたものだろうと考えられます。試作品を写真で見る限り、どこか懐かしい“手づくりの味”を感じさせる仕上がりですね(笑)。
でもこれで、フィルムカメラによる写真入門の扉が閉ざされるようなことは、当分の間避けられそうです。何しろケンコーは、一度手がけた企画は必ずと言って良いほど息の長いロングセラーシリーズに育ててしまう、類まれな粘り強いメーカーですから(例:テレプラス)。中学や高校の写真部員にとっても、新品のフィルムカメラで撮った写真を学校の暗室で現像、プリントすることは、どれほど世代が代わっても失いたくない喜びなのです。

ペンタックスKマウントの
純機械式フィルム一眼レフの可能性

さて、今年10月にペンタックスは、ケンコーの株主でもあるHOYAと経営統合して新会社HOYAペンタックスHDになります。ペンタックスの商品もケンコーの商品も、資本的には同じグループ企業による事業ということになるのでしょうか。ちょっとユニークな展開になりそうです。
そうした中、ペンタックスKマウントの純機械式フィルム一眼レフ発売の可能性が、改めて見えてきました。

2月22日付記事でもお伝えしましたが、ペンタックスは仮称とはいえ、当初フィルム一眼レフ兼用として企画していた望遠レンズの試作品を、デジタル一眼レフ専用のシリーズ名で発表しました。そのため、もうフィルム一眼レフ関連の開発への意欲はなくしてしまったのかと私は心配していたのですが、それも杞憂だったようです。
先ごろアメリカで開催された写真機材ショー「PMA 2007」でのImpressによるインタビューによると、ペンタックスは従来発売してきたフィルム一眼レフと兼用できる交換レンズシリーズのリフレッシュについても、来年から取り組み始めるようです。

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月16日付記事
  PMAを終えて振り返るデジカメのトレンド
   ■ 各社インタビューの補完 ・ペンタックス

私が今まで愛用してきたレンズも、きっと新設計で復活することでしょう。万一なくしたりしたら代替品はもう手に入らなくなるのではないかと不安で仕方なかったのですが、これで一安心できました。
交換レンズが継続されるなら、フィルム一眼レフ本体についても新製品を期待することは大いにできそうです。ブランド名はケンコーかペンタックスか、それともまったく違うものになるかは分かりませんが、新生HOYAペンタックスHDグループによるこれからの展開に注目したいと思います。

なお、ペンタックスはデジタル一眼レフの開発についてももちろん、これまでとは比べ物にならないくらい意欲的に取り組んでいくとのことで、実に頼もしい限りです。

 Impress「デジカメWatch」:2007年3月12日付記事
  1年半のモデルチェンジサイクルは長すぎる
  ~ペンタックス 鳥越興氏と畳家久志氏に聞く

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2007年03月15日

いよいよ春本番! ですね

今日は中学校の卒業式の撮影でした

記録的な暖冬で梅の花は早くも終盤。代わって、花桃のピンクの蕾が今にも咲き出しそうなほど膨らんできています。田園ではヒバリのさえずりも聞かれるようになりました。
今日は近隣の町の公立中学校の卒業式の撮影でした。クライアントの写真館さんでは比企、入間郡市内の何校もの卒業アルバム制作を請け負っていて、常時数名のカメラマンが巡回しています。撮影がデジタルになってからは、前もってフィルムを預かりに店頭へ寄ることがなくなったので、撮影当日は直接自宅から指定の学校へ向かうことが多くなりました。

今日お伺いした中学校は私の家から距離的に近い学校の一つということもあり、クライアントさんから撮影の依頼を受ける機会も多く、それだけに無事生徒さんたちが卒業の日を迎えることができて何ともホッとしました。
式の最後に全生徒で合唱した歌は「旅立ちの日に」。この地に近い秩父市の中学校で生まれた、先生方が生徒さんたちへ贈った手作りの歌です。
2006年3月13日付記事をご参照ください。)

今やテレビCMのテーマソングに採用されるほどポピュラーな曲になりましたが、歌詞の中に詠まれている「山なみ」ともつながっている土地柄ですから、やはり学校をとりまく環境にもイメージがとても良く似合っていて、当事者でもないのに聞くたびリアルな実感がこみ上がってきてしまいます。

今日の写真は目下、整理、調整の真っ最中です。卒業関係の撮影の山場はこれで概ねひと段落つきますが、この後も入学シーズンに向けて進めておかなければならない重要な作業が控えています。
それは、ハードディスクの大掃除。卒業シーズン前にも少しは要らないファイルを削除し空きスペースを作りましたが、それだけでは間に合わず外付けディスクの買い増しで急遽対応しました。
撮影データは万一に備え、システムとは別の複数のディスクに分散して保管しなければなりません。本当はRAIDを導入すべきなのですが、予算の都合でそこまで手が回らないのが実情です。普段使わないデータはDVD-RAMにバックアップを取るなど、乏しいディスク資源を節約しながら何とかやりくりしているところです。

今年の桜の開花予報によれば、埼玉もあと1週間くらいで咲き出しそうだということです。好きな写真を撮りに行きたいところですが、仕事と趣味の両立もパソコン周りの環境が万全に整うまでは、しばらくの間(ってどのくらい…(^_^;)?)おあずけです。

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2007年03月13日

デジタル撮影では初めて迎える卒業シーズン

デジタルカメラの本当の便利さって?

今月に入って卒業式や謝恩会など、中学校から大学まで卒業生を送るさまざまな学校行事の撮影が続いています。去年のこの時期はすべてフィルムによる撮影でしたが、昨年4月以降クライアントさんの方針でスナップ写真はデジタル撮影に移行したため、私にとってはかつて無いほど連日膨大な撮影データの処理に追われる日々が続いています。当然ですが、いずれも卒業アルバムに載せる写真なので、仕上げを急ぐものばかりです。フィルム撮影なら、撮ったフィルムを店頭に出した時点で私の手から仕事は離れます。それがデジタル撮影となると、帰ってから必要なデータのみを選択し、画像修正も加えた上で全ファイルに通しナンバーを打ち、CD-Rに焼いて初めて納品の用意が整うことになります。

デジタル撮影にありがちな誤解ですが、フィルム代や現像代が要らないからといって、好きなだけたくさん撮れることがメリットのように思われることがあります。また、後からパソコンソフトで加工や修正ができることから、少しくらいの撮影ミスなら簡単に救えるように思われることもあります。ところが実際は、撮影後の処理や管理の手間まで考えると、本当に撮るべき大事なシーンを選んで1枚1枚無駄のないよう丁寧に撮影を進めていくことこそ、デジタル撮影では心掛けなければいけないことなのです。それができるようになるにはやはり、ある程度経験を積むことが欠かせないでしょう。
幸い、デジタルカメラは撮ったその場で写真を再生することができます。失敗が許されないシーンだとフィルム撮影ではつい条件を変えて余分に撮りたくなるものですが、デジタル撮影では再生画面で確認できるので、そのような無駄は上手に省きたいところです。シャッターを切るたび確認していては撮影の妨げになりますが、構図や露出、ピント、シャッターチャンスなどチェックポイントを要領良く押さえることで、本当の意味で撮影の労力を軽減できるようになりたいものです。そうしないと、決して安くないデジタル機材をわざわざ買い揃えてまで余計な仕事を増やすことになってしまうのですから。それでは結局、本末転倒ですよね。

無視できないデジタルカメラとパソコンソフトとの連携

卒業式関係の撮影シーズンを前に、心から「助かった~!」と思える出来事がありました。それは、2月19日にアドビのRAW現像プラグイン「Camera RAW 3.6」が「Camera Raw 3.7」へとアップデートしたことです。これにより、私のメインカメラであるペンタックスK10Dの専用RAWファイル形式(PEF)にもようやく対応し、RAWモード撮影が不自由なくできるようになったのです。それ以前は「PENTAX PHOTO Browser」でPEFファイルをアドビ提唱のDNGへ変換するか、最初からDNG形式での撮影を選ぶしか方法がありませんでした。PEFはカメラ内で圧縮保存(劣化なし)されるので、ファイルサイズがDNG撮影の七割程度で済み、とても助かります。よくぞこの時期に間に合ってくれました、と言いたいところです。もし今回のアップデートが間に合わず、ペンタックスもDNGのサポートをK10Dで始めていなかったら、あとは市川ソフトラボラトリーのRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」くらいしか頼れるソフトは無かったところです。新型カメラへの対応は、アドビより市川の方が早いようです。
体育館やホールなどでは色調の違う人工照明が複雑に組み合わさり、カメラのオートホワイトバランス機能も十分働きにくいのが実情です。これにストロボ光も加わるので、RAW現像時に手動できめ細かくホワイトバランスを設定しなければ、すべての写真の色調を違和感なく揃えることは難しいのです。「Camera Raw 3.7」は私のパソコン(Windows XP、CPU=Celeron 2.4GHz、メモリ=1.0GB)でもそれほどストレスなく動作し、何百枚ものRAWファイルを処理するのに役立ってくれています。間もなく発売される予定のアドビ「Photoshop Lightroom 1.0(製品版)」もK10DのPEF形式をサポートする上、「Camera Raw 3.7」以降とは各種現像設定に互換性が保たれるそうなので期待しています。ベータ版と比べ、はたしてどれくらい快適に使えるでしょうか。
またさらに、これも間もなく発売される「Photoshop CS3」では、同時にアップデートされる「Camera Raw 4.0」の現像設定の種類も「Lightroom」並に充実するようなので、ワークフローの選択肢も今後ますます増えることになります。

報道やコマーシャルなど、大量部数の印刷を前提にした現場では撮影後のワークフローも分業体制が整っているところが多いようですが、学校の卒業アルバムのような小部数の用途では、とてもそこまで人件費をかけることはできません。撮影から後処理まで個人レベルで作業をこなすためにも、デジタルカメラとパソコンソフトとの連携は無視できない重要な要素なのです。

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2007年02月22日

ペンタックスが交換レンズ新製品をまとめて発表

「PMA 2007」「フォト イメージング エキスポ 2007」に出品

ペンタックスは今日、開発中及び近日発売予定のデジタル一眼レフ関連製品を発表しました。各製品とも米国最大の写真機材ショー「PMA 2007」(3月8~11日)や東京ビッグサイトで開催されるアジア最大級の写真・映像産業のイベント「フォト イメージング エキスポ 2007」(3月22~25日)で展示される模様。

 ペンタックス(株):2002年2月22日付ニュース
  「PMA 2007」「フォト イメージング エキスポ 2007」参考出品について
  現在開発中のデジタル一眼レフカメラ関連製品を参考出品

  ○smc PENTAX-DA★ 200mmF2.8ED[IF] SDM(仮称)
  ○smc PENTAX-DA★ 300mmF4ED[IF] SDM(仮称)
  ○smc PENTAX-DA★ 60-250mm F4ED[IF] SDM(仮称)
  ○smc PENTAX-DA 35mm F2.8Macro Limited(仮称)
  ほか、小型ストロボ、
  大型イメージセンサー採用デジタル一眼レフシステムなど

 ペンタックス(株):2002年2月22日付ニュース
  デジタル一眼レフカメラ専用設計の高性能レンズ新シリーズ
  「smc PENTAX-DA★」レンズ
  第一弾としてズームレンズ2機種を発売(近日発売予定)

  ↓管理人は2本とも予約しました。
    卒業、入学シーズンにどうか間に合いますように。。。

  ○smc PENTAX-DA★ 16-50mm F2.8ED AL[IF] SDM(オープン価格)
  ○smc PENTAX-DA★ 50-135mmF2.8ED[IF] SDM(オープン価格)

ちょっと残念、だけど楽しみ

ペンタックスユーザーの私には朗報なはずの今日の発表ですが、さて一体何が「ちょっと残念」なのでしょう。1月7日付記事で私は次のように書きました。

(35mm判フィルム)一眼レフにも使えるような交換レンズの発売を今後も予定しているのが、かのペンタックスです。
最新シリーズのひとつ、D FAレンズシリーズはオートフォーカス式のデジタル撮影対応設計ですが、マニュアルフォーカスの操作性も見直され、かつ30年以上前の35mm判フィルム一眼レフにも何ら不自由なく使用できるという優れもの。デザインも「なんとなく、クラシカル」です。今はまだ、2年ほど前に発売されたレンズが2本あるだけですが、メーカーの「レンズ開発ロードマップ」(PDFファイル)によれば、今年は少なくとも望遠レンズ2本が追加される模様です。

実は、今日発表されたデジタル一眼レフ用DAレンズシリーズの200mm及び300mm望遠レンズこそ、昨年秋の時点で35mm判フィルム一眼レフ兼用のD FAレンズシリーズの新製品として、「レンズ開発ロードマップ」に記載されていた交換レンズだったのです。その計画がAPS-Cサイズのイメージセンサーに特化したデジタル一眼レフ専用設計に変更された時点で、ペンタックスの今後の方向性もデジタルカメラに専念していくことがはっきり示されたわけです。
私は、自分がそうだったということもありますが、小中学生の写真入門用のカメラには、安価な35mm判フィルム一眼レフが最適だろうという考えを今も持っています。そのことは1月23日付記事でも書いた通りです。願わくばペンタックスに、そのような製品開発の担い手であり続けて欲しいと思っていたのですが、デジタル一眼レフシステム開発との両立はやはり難しいということなのでしょう。「ちょっと残念」と書いたのはつまり、私の願いが叶えられそうにないことが分かったからなのですが、それでも意欲的な新製品がこうして発表されることは、1ユーザーにとって楽しみなことには違いありません。

ところで、デジタル一眼レフ発売以前から私が所有しているペンタックスの交換レンズ群ですが、軒並み製造終了となり、中古市場でも在庫が枯渇していることから購入時の価格をはるかに上回る高値が付けられているものが何本かあります。それらを私はごく身近な道具として値段も意識せず普段から持ち歩いているのですが、もう代替品の開発はされないとなると何だか使うのが怖くなってきました。もし壊したり無くしたりしたら、買い直すことはもうできないと覚悟するべきなのでしょう。フィルムで撮る仕事はまだまだ無くなったわけではないので、この緊張はかなりのストレスになりそうです。

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2007年02月04日

柳沢厚労相と御手洗経団連会長(キヤノン会長)の発言に失望

2月6日付記事もあわせてご覧ください。

柳沢厚労相の発言、「女性は子どもを産む機械」!?

先日、所要で都内へ出るため最寄の東武東上線小川町駅へ向かいました。駅に着くと、ちょうど町議員の本多さんと柳田さんが駅頭宣伝の準備をされているところでした。私の暮らす八和田地区の本多さんや千野さん、柳田さんも含め町議員の皆さまには、昨年秋に実現した八和田学童保育クラブ開設の際にはたいへんお世話になりました。八和田小学校には私の妹夫婦の子供、姪のNaoちゃんとその弟のToshi君が通っていて、妹も学童開設のためアンケート調査や署名運動に携わっていました。
久しぶりにお会いしてあいさつを交わしているとき、「今日最初の受取人です」と1枚のチラシをいただきました。そこには次のようなタイトルが大きく書かれていました。

    柳沢発言「女性は子どもを産む機械」
    予算審議前に大臣罷免を

問題になったのは1月27日、松江市で開かれた自民党県議の後援会の集会で柳沢厚生労働相が発言した内容です。「朝日新聞」では次のように報じています(抜粋)。

 「朝日新聞」:2007年1月28日付記事(抜粋)
 →「女性は子ども産む機械」柳沢厚労相、少子化巡り発言

柳沢厚労相は年金や福祉、医療の展望について約30分間講演。その中で少子化問題についてふれた際、「機械と言って申し訳ないけど」「機械と言ってごめんなさいね」などの言葉を入れながら、「15~50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと述べたという。

このような発言に対し安倍総理は厳重注意に止めましたが、それだけでは済まされないと、与野党双方から非難の声が上がっています。
私もこのような例え方には強い不快感を禁じ得ません。「年金や福祉、医療の展望について」の講演に相応しくないばかりか、厚労相としての自覚に全く欠ける言動です。「一人頭で頑張ってもらうしかない」のは、子育て世代なら男女とも重々承知です。この世代には出産や子育ての不安、両親の、そして自分たちの老後の不安が重くのしかかっています。お勤めの方はもちろん、自営業者の家庭でも深刻な悩みをかかえている場合は少なくないのです。声だけの励ましなら、私にはただのお節介にしか感じられません。

 「おげんきですか 柳田たえこです」:2007年2月3日付記事
 →やはり、おやめになる方が・・

 「毎日新聞」:2007年2月5日付記事(抜粋)〔2月5日追記〕
 →政府・与党:厚労相続投で野党押し切る構え 選挙結果受け

4日投開票の愛知県知事選、北九州市長選で与党推薦候補が1勝1敗となった選挙結果を受け、政府・与党は「クビはつながった」(自民党幹部)として柳沢伯夫厚生労働相を続投させ、野党を押し切る構えだ。ただ、圧勝を期した愛知で与党推薦候補が接戦に持ちこまれるなど「女性は産む機械」との発言が投票結果に影響したとみられるだけに、野党側は対決姿勢を崩していない。
〔中略〕厚労相発言への世論の反発や閣僚の事務所費など「政治とカネ」をめぐる問題で与党が引き続き厳しい国会運営を迫られることは確実で、自民党内には、春ごろと見込む予算案成立後の内閣改造を求める声もある。

御手洗経団連会長が柳沢厚労相を擁護

柳沢厚労相の発言に関して御手洗経団連会長(キヤノン会長)は、「謝罪で十分」との認識を記者会見で述べています。

 時事通信「時事ドットコム」:2007年1月31日付記事(抜粋)
 →柳沢厚労相、進退に及ばず=謝罪で十分-御手洗経団連会長

日本経団連の御手洗冨士夫会長は31日、大阪市で記者会見し、「女性は子供を産む機械」と発言した柳沢伯夫厚生労働相の辞任を求める声が与党内からも出ていることについて、「すぐに謝罪、訂正しているので、それでいいのではないか。進退をどうのこうのということにはならないと私は思っている」と述べ、辞任する必要はないとの認識を示した。
御手洗会長は同相の発言の真意に関し、「多分、分かりやすく説明しようとして不用意な言葉が出たのではないか」と擁護した。

こうした擁護の背景には昨年12月、御手洗会長が柳沢厚労相へ「朝日新聞」の次の記事(抜粋)で報じられているような要請をしたこととも関連がありそうです。

 「朝日新聞」:2006年12月11日付記事(抜粋)
 →「残業代ゼロ労働」導入を要請 経団連会長、厚労相に

日本経団連の御手洗冨士夫会長と柳沢厚生労働相らが11日、東京都内のホテルで懇談し、労働法制見直しなどについて意見交換した。経団連側は、一定条件の会社員を労働時間規制から外し残業代を払う必要がなくなる「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入のほか、派遣労働者の期間制限や雇用申し込み義務の廃止などを要請した。

御手洗会長の叔父は
キヤノンカメラ初代社長にして元産婦人科医

御手洗冨士夫会長の叔父にあたる人に、キヤノンの創業者の一人、御手洗毅キヤノンカメラ(現キヤノン)初代社長がいます。御手洗毅さんは小さな町工場から出発したキヤノンの前身、精機光学研究所を資金面でも経営面でも強力に支え、1945年に敗戦の影響で一時解散に陥った会社を再び大企業へと押し上げた功労者です。その前職が産婦人科医だったこともあり、社員へ家族の健康の大切さを説いて「G・H・Q(Go Home Quickly~早く家へ帰れ!)」などの標語を掲げられたことでも有名です。そのような方が今もご健在なら、女性を「産む機械、装置」に例えた先の発言をどう思われたでしょう。

 キヤノン(株)キヤノンカメラミュージアム|歴史館(長編物語)
 →キヤノンカメラ史1937-1945 御手洗毅 代表取締役に就任

御手洗冨士夫会長の柳沢厚労相を擁護する発言を聞くと、叔父さんから一体何を学んできたのか疑問に思えてなりません。一連の労働法制見直しなど、初代が掲げた「Go Home Quickly」の標語に反する行いではないでしょうか。
私はキヤノンの撮影機材や周辺機器をあまり使ったことはないのですが、魅力的な優れた製品が多いだけになおさら、現キヤノン会長の言動にはつくづく失望してしまいました。

*ご参考(通称「御手洗ビジョン」の全文)

 (社)日本経済団体連合会:2007年1月1日付政策提言/調査報告
 →経団連ビジョン「希望の国、日本」
 →「希望の国、日本」全文(通称「御手洗ビジョン」、PDFファイル)

2月6日付記事もあわせてご覧ください。

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2007年01月31日

ペンタックスに期待したい「Photoshop Lightroom」モジュール開発

サードパーティーが新たなモジュールを開発できるキットも用意

「デジカメWatch」が報じる発表会の模様と、関係者へのインタビューです。

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  アドビ、「Photoshop Lightroom」の説明会でデモを実施
  ~スポット修正機能など製品版の新機能を説明

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  【インタビュー】いよいよ本領を発揮しはじめた「Lightroom」
  ~スタック、ゴミ除去、複数画像の同時拡大が可能に

「デジカメWatch」の紹介記事。こちらの方が簡潔にまとめられています。

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  アドビ、写真家向けソフト「Photoshop Lightroom」を3月下旬発売
  ~7月5日まではキャンペーン価格の23,100円で販売

上記の記事によると「Photoshop Lightroom」は、

新たなモジュールを追加して機能を拡張することができ、サードパーティーが新たなモジュールを開発することも可能。このためのLightroomソフトウェア開発キットの開発が行なわれている。

とのことです。

ペンタックスに期待したい、機能拡張モジュール開発

このようなサードパーティー向けの開発キットにより、RAW調整や画像修正、WEB編集、フォトスタジオの顧客管理など、用途に応じた様々な機能の追加が期待できそうです。
RAWモード撮影時にカメラ側で設定した各種調整パラメーターを「Photoshop Lightroom」のパラメーターへ擬似的に反映させるプラグインモジュールのようなものは、開発できないものでしょうか。特に、K10DでDNG形式の撮影に対応しているペンタックスには、ぜひ期待したいと思います。
「Photoshop Lightroom」は、プロ用ソフトとしては安価で使いやすいソフトなので、写真関係の学校やカルチャースクールなどでも普及しそうです。K10Dが今述べたようなプラグインモジュールとセットになれば、これらの学校の推薦教材にもなり得るのではないでしょうか。

ペンタックスでは、ネット上で交わされるユーザーの意見も積極的に(かつ素早く)開発現場へ反映させているそうです。次の記事から一部を抜粋します。

 日経BP「Tech-On!」:2007年1月29日付記事
  技術者はネットに溺れたほうが良い?

ペンタックスのデジタル1眼レフ・カメラの製品企画担当者を訪ねたときの話です。
〔中略〕業務の一環とはいえ,全部見るのは大変です。「さすがに全部は見られませんよ」と担当者氏も笑っていましたが。
それだけの手間をかけるのはそこが宝の山だからです。「生に近いユーザーの声が聞ける。お客様相談センターから来る情報とは質も量もスピードも違う」のだそうです。その利点を生かし,ネットで拾った自社製品に関する細かい不満や要望に,ファームウエアのアップデートで素早く対応したり,次の製品の企画や改良につなげたりする。「渋る技術者に投稿のURLをメールで送りつける」ことで,改良作業が以前よりずっとスムーズに進むようになったと言います。「最近は技術者も自分でチェックするようになった。こちらより情報が早いことも多い」。
業務中にネットの掲示板を見ている暇があるのかな,と心配になりますが,開発者のモチベーション向上にもつながっているようです。

実に頼もしいですね。この秋予定されているHOYAとの経営統合後も、こうした方針はさらに発展させてほしいものだと思います(早速投稿いたしました!)。
余談ですが、1月22日に行われたHOYAの決算説明会の資料です。

 HOYA:2007年1月22日付IRニュース/HOYAクオータリー
  平成19年3月期 第3四半期連結決算のお知らせ
  (↑「同意する」をクリックし、HOYAクオータリーの「詳しい情報」へ。)

上記ページからダウンロードできる次の資料によると、出席者との間でペンタックスとの合併に関する質疑応答がいくつか交わされたようです。

 HOYA:2007年1月22日付IRニュース/HOYAクオータリー
  平成19年3月期 第3四半期 決算説明会の概要 (PDFファイル)

(ペンタックスさんは)メディカルも光学も真面目に広範囲にやっている会社というイメージで、そこに入っているものは面白いなと思うのが正直なところです。

との、鈴木洋HOYA代表執行役CEOのコメントに、期待感も高まります。
ペンタックスの真面目過ぎるほどの真面目さと他社には見られない面白さは、同業者だからこそより深く共感できることなのでしょう。

「レンズ沼」から「レンズ湾」へ、いざ~(あ、海鞘・・・笑)。

〔2月4日追記〕

2月2日にはペンタックスの決算説明会も開かれました。デジタル一眼レフ関連事業が好調とのことで、ユーザーとしても嬉しい限りです。

 ペンタックス(株):2007年2月2日付決算短信
  決算情報[平成19年(2007年)3月期]
  第3四半期財務・業績の概況(連結)(PDFファイル)

 日経BP「Tech-On!」:2007年2月2日付記事
  【決算】ペンタックス,医用機器や光部品の不振を一眼レフでカバー

 Impress「デジカメWatch」:2007年2月2日付記事
  ペンタックス、2006年度第3四半期はデジタル一眼好調で増収増益

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2007年01月30日

アドビ「Photoshop Lightroom」日本語版は3月下旬発売予定

期待通りの手頃な値段に感激!!

2007年7月5日までは発売記念キャンペーン価格で販売。
アドビストア(オンライン)価格32,000円(本体価格、税込み33,600円)のところを、アドビストア価格22,000円(本体価格、税込み23,100円)で。

どうもありがとうございます! アドビさん <(_ _)>

 アドビ システムズ:製品/「Adobe Photoshop Lightroom」

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2007年01月29日

写真館チェーン店がもったいない!

1月5日付記事でも触れたファミリー写真館について考えてみました。

ファミリー写真館チェーン店の可能性と限界

スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤスタジオパレットピノキオ(首都圏中心)といった子供向けの“ファミリー写真館チェーン店”が相変わらずの人気です。子供だけでなく、最近は成人式の記念写真キャンペーンを展開する店舗も増え、そのサービス内容は単なる「子供写真館」というジャンルには納まらなくなってきたようです。

こうなると、既存の一般的な写真館にはある意味脅威ともなりうるのですが、出店は今のところ都市部やその近郊など、ある程度集客力のある地域に限られているようです。残念なことですが、既存店も近年は後継者不足から廃業する店が目立ち、卒業・入学シーズンや七五三、成人式など混み合うシーズンには近隣の写真館の負担が大きくなる傾向にあります。利用者の視点で見ると、地域によってはチェーン店の出店が混雑緩和の新しい受け皿になり、うまくバランスが取れている例もあります。お客さんにとって選択肢が増えるということは、本来歓迎されるべきだと思います。
問題はオフシーズンです。混雑時は結果的に協力し合えるチェーン店と既存店との関係ですが、それ以外の時期にはどう共存していけば良いのでしょう? この課題については、チェーン店の方が先に手を打ち始めています。例えば、子供に喜ばれるアニメキャラクターやおもちゃなどを用いた演出写真の企画です。例えば、次のようなものがあります。

 こども写真城スタジオアリスディズニーの世界
 こども写真館スタジオマリオワンワン&うーたんと写真をとろう!
 こども写真館トム★ソーヤースヌーピーフォト
 ファミリー写真館ピノキオレゴといっしょ(ブロック玩具)

キャラクターなどの商用利用は映画会社など著作権者との契約が必要になり、小規模経営の既存店では採算上メニューに取り入れにくいサービスだと考えられます。チェーン店が既存店との無用なシェア競争を避け、差別化を図るうえでも、このような新企画をさらに推し進めることが得策だと思われます。

ところが、そこには大きな壁も存在します。1つは施設、1つは人材です。

お客さんは一度サービスに満足すると、さらにその上のサービスを求めるのが常です。眼が肥える、と言えばよいのでしょうか。要望はどんどんエスカレートしていくものです。
キャラクターの衣装を着て撮ってもらう楽しさを覚えた子供さんは、成長するにつれさらに上の楽しさを求めるようになると思います。いつまでも子供向けのメニューでは飽きてしまい、お店から離れていってしまうでしょう。せっかくつかんだ顧客なのに、とてももったいないことだと思います。

コスプレ写真館はいかが?

例えば今、10代や20代の若者たちの間で、アニメや映画のキャラクターに扮するコスチュームプレイが人気です。衣装の多くは自慢の手作りですが、レンタル衣装があれば着てみたいと思っている潜在的な層はもっとたくさんいるはずです。実際、マニア向けのレンタル店も少なからずあるようですが、残念ながら写真撮影はお客さん個人で、という店がほとんどのようです。やはりお店にとって、著作権契約の条件がネックになるからでしょう。
憶測ですが、このような需要を想定した企画は、すでに写真館チェーン店の運営会社内でも再三検討されているのではないかと思われます。しかし人気キャラクターにも流行があり、短期間で多くのお客さんを呼んでペイしようにも、肝心のスタジオ床面積や撮影スタッフの数が逆に不足する心配があるのです。また、照明やカメラアングルなど、設備や撮影技術にもマニアを満足させる高いレベルが求められます。それらを流行が去る前に、キャンペーン期間中にだけ賄うことは、チェーン店一社だけで解決するにも限界があるように思います。大企業とはいえ、リターンが確実でない投資はできないでしょう。

そこで私は、近隣の既存の写真館へのアウトソーシングを提案します。物理的な問題を解決できるだけではありません。照明設備が移動調節式で凝ったライティングのできるスタジオが多く、映画のスチル写真のようなきめ細かい演出や屋外の出張撮影にも応じられるメリットもあります。著作権の問題をクリアする必要がありますが、そこはチェーン店の運営会社が映画会社や放送局などと交渉し、映画や番組の宣伝も兼ねたタイアップ企画として実現させれば良いのです。そうすれば、チェーン店がまだ出店していないような田舎町の中高生もターゲットに、全国的なキャンペーンを展開することだってできるはずだと思います。
 
すべてはお客さんのために

先に挙げたような新サービス創出へ写真館業界全体で取り組むようになれば、誰よりも喜ばれるのはお客さんです。そして次に期待したいのは、お客さんとの地域的な(プライベートな)つながりのより深い既存店が、顧客の反応に基づくさらに新しいサービスを企画し、チェーン店の運営会社へ持ち込めるようになることです。営業暦の長い写真館なら、そこから独立したカメラマンや、店舗へ機材の注文に来たり写真の現像を出しに通うフリーカメラマンとのネットワークも豊富です。そうした人材面での資産も全国ネットのチェーン店とうまくリンクできれば、お客さんの業界全体への期待感が大きくアップし、プロに写真を撮ってもらうことがもっともっと楽しくなるのではないでしょうか。

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2007年01月27日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? -子供のデジカメに反対-

1月23日付記事1月24日付記事に関連する“重要な補足”です。

デジタルカメラで撮るものすべては“秘密の写真”が大前提
-お子さんが写した撮影済フィルムの現像は信頼できるお店へ-

大変な事を書き漏らしてしまいました。

私は1月23日付記事「現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その1)」でこう述べました。

これは私見ですが、大人の指導のもとであれば、写真は小学校の高学年になればもう始めても良いのではないでしょうか。機材もフィルムカメラであれば、パソコンやインターネットは必ずしも学習しなくて済みます。

しかし、それでは説明が不十分でした。
私はあえてこう補足したいのです。

 ≪お子さんにデジタルカメラやカメラ付き携帯は買い与えないでください≫

と。

小学校低学年以下のお子さんなら、玩具的なデジカメを保護者の目の届く範囲内でなら、持たせてあげても良いかもしれません。いわゆる「ごっこ遊び」の範疇として。
けれどもそれを、自分で撮った写真をパソコンへ転送し、そこからメール送信やネット公開もできる年令になるまで使わせ続けることには、私ははっきりと「反対」の意思表明をしたいと思います。
それはすでに単なるカメラではなく、全世界的な通信網の個人情報端末なのだといいう認識を、保護者もお子さんも持たなければいけません。カメラ付き携帯なら、なおのことです。
自分の成長に応じてより本格的なカメラを欲しがるお子さんには、およそ中学を卒業するまでの間は、私は迷わずフィルムカメラをお勧めします。なぜなら撮影済のフィルムは、必然的に現像に出したお店で第三者の(それも地域の大人の)目を通すことになるからです。そこには見出しに掲げたような“秘密の写真”はありえません。もしパソコンでの処理やメール送信、ネット公開などの必要があるなら、現像後にプリントをスキャナーで取り込めば良いのです。費用や手間が余計にかかることは、ひとまず忘れてください。
子供は、自分が撮った写真を目上の人に見てもらい、様々なアドバイスを受けることで成長できるのです。写真の技術だけでなく、カメラを通じて社会や自分自身との向き合い方、つまり家族間や友人間、地域社会の中でのコミュニケーション能力もそこから養えます。写真が見られることを意識するというのは、同時に見られたくない、見せたくないという感情も抱くことになります。それも一つの成長だし、プライバシー権など人権の大切さについて考えるきっかけにもなると思うのです。
だからこそ、撮影済フィルムの現像をどのお店に出すかはとても重要です。値段の安さや仕上がり時間の短さだけで決めることはできません。保護者の方にはできれば、お子さんの撮った写真を自分の子が撮った写真と同じように親身になって見てくれる店員さんのいるお店を、探してあげてほしいと思います。お子さんが自宅の暗室で現像、プリントする場合も、できるだけ作業に立ち会ってあげてください。そして仕上がった写真にはちゃんと目を通してあげてください。

★ご注意★

写真の現像、プリントを受注するお店及び現像所にとっては、お客さんに依頼されたサービスを忠実に行うことが仕事であり、写真の内容までチェックするのは本来の役割ではありません。写真の著作権(版権)やそこに写された肖像権などのプライバシー権、表現の自由などは当然お客さんの側にあり、お店や現像所がそれを侵すことは法に則ってありえません。仕上がった写真の利用や管理についても、責任を負うのはお客さんです。

お子さんが児童ポルノ収集の被害に自ら巻き込まれないためにも

収集した児童ポルノをネット上で交換し合うグループの摘発が、県内でも進められています。新聞などの報道によると収集はいずれも極めて悪質な手口で、被害に遭うお子さんの中には、カメラ付き携帯で撮った自分の姿をネット送信させられるような例もあるそうです。例えば、女児に成りすました犯人が匿名で子供用の出会い系サイトへ侵入し、言葉巧みに相手を誘い、あるいは脅して被害者から自写像をだまし取るというのです。
こうした犯罪は密室犯罪と同じで、被害に遭ったお子さんも保護者へは相談しにくく犯人の手がかりもつかみにくいため、これまで摘発されているのは氷山の一角に過ぎないと思われます。あまりにショッキングな事件ですが、デジタル機器で撮られた“秘密の写真”がもたらす弊害の、ほんの一例として取り上げました。くり返しますが、それは単なるカメラではなく、個人情報端末なのです。

それでは、どうしてもお子さんにデジタルカメラやカメラ付き携帯を持たせなければならない事情がある場合は、どうすれば良いのでしょうか?
この問題については、世の中でも様々な意見が交わされているようです。お子さんの成長の仕方にも一人ひとり違いはありますから、一概に解決策を見出すのは難しいでしょう。
私はまず、使用目的や条件などをはっきり決めて、買い与えるのではなく保護者の持ち物を貸し与えるという形をとることが妥当だろうと思います。もちろん、ずっと持たせたままにするのではなく、機器や保存されたデータは保護者が責任を持って管理することが前提です。その後、本人の成長を見極めたうえで譲り渡せば良いと思うのですが、いかがでしょう。

ある写真屋さんでの思い出(中学校時代)

話の内容が重くなってしまったので、少し気分転換したいと思います。たびたびで恐縮ですが、私の思い出話です。
中学校時代、当時の住まいの最寄り駅だった東武東上線成増駅は急行も止まる駅で、駅周辺の商店街も活気があり、写真屋さんも何軒か集まっていました。その中の行きつけの一軒に、現像の仕上がった写真を取りに行ったときのこと。プリントの入った袋を差し出す店員のお兄さんから尋ねられたのです。

「きみ上手いね。写真好きなの?」

それは週末に家族で日帰り旅行をしたときの、埼玉県の長瀞と秩父の三峰山で撮ったスナップや風景写真でした。
お兄さんは私の撮った写真を1枚1枚ていねいに、構図やカメラアングル、光線やシャッターチャンスのとらえ方について褒めてくれたのです。それまで私は家族の誰からもほとんど自分の写真を褒められたことはなく、本当のところ果たして素質があるのかどうか自信を無くしかけていたのです。だから、思いがけず嬉しかったですね。
お兄さんは気さくに、私の撮り方について的確なアドバイスもしてくれました。上達のための手がかりをどこへ求めて良いか図りかねていたところへ、助け舟を出してもらえたような安堵感に、これからの希望がふくらんだものです。

しかしどうしたことか、その店でお兄さんに会えたのは一度限りでした。思うに、普段は出張撮影などで不在のときが多かったのかもしれません。きっと今の私と同じような仕事をされていたのでしょう。お店は大きなスーパーのテナントで入っていたのですが、残念なことに間もなく閉店でビルごと取り壊されることになり、通うこともできなくなってしまいました。

写真のことでいろいろ悩みがあったとき、特に年少者にとっては身近に相談相手がいるというのは心強いし、励みになるものです。そうした相談窓口もカメラのデジタル化で、近頃は小さな写真屋さんから大きな家電屋さんへとすっかり様変わりしつつあるようです。そこには商品知識だけは豊富な店員さんはいるのですが、実践的な撮影のアドバイスとなるとどうなのでしょう。目の前のお客さんが普段撮る写真を見ることなしに、理屈だけでどこまで適切な対応ができるのか、私には疑問に思えるのです。

カメラメーカーさんへのお願い(独り言)

完全な機会制御式の手動カメラというのは、良くできたものはメンテナンスしながら大切に扱えば、50年以上使うことだってできます。一眼レフとなると構造が複雑で磨耗しやすい部分も多いため、長持ちさせるのはやや大変ですが、それでも30年以上使おうと思えば何とかできるものです。
メンテナンス代を考えれば、買い換えた方がかえって安いという説も確かにあります。ですが、思い出を残すために撮る写真は、時としてそれを写したとめたカメラにも思い出を宿すことがあるのです。その写真とカメラの持ち主にとっては。

画材や筆記具、楽器、スポーツ用品などは学校の授業でも使われるため、技術・家庭科で使う道具類も含めそれらをつくる各メーカーでは教材として買ってもらう場合、どのような道具に仕立てたら良いかということは常に各部署で考えていることと思います。しかしカメラの場合、少なくとも高等教育までは、生徒が授業で使う機会はほとんどありません。クラブ活動でも、残念ながら近年写真部は減少傾向にあります。
保護者の方がお子さんへそれらの教材を初めて贈るときは、子供の成長を願い、決して贅沢はさせないもののできるだけ長持ちする使いやすい道具を選んであげたいと思うのが、親心だろうと思います。

これは私のお願い、といっても独り言に過ぎないのですが、仮にもしも、もしも小・中学校に写真の授業があるとしたら、カメラメーカーさんにもどのようなカメラが教材として贈り物に喜ばれるか、一度じっくり考えてみていただけたらと思うのです。商品企画や開発、設計に携わる方々にはそれこそ我が子に、おられない方なら親戚や友人、知人のお子さんに贈るつもりで、ぜひこんなカメラを持たせてあげたいと思うようなカメラを、つくり上げてもらえたらと願うのです。
お子さんがそんなカメラと青春をともにし、いつか大人になりもう一度使ってみたとき、ああ、あのとき両親は本当に良い物を選んでくれたんだなぁと感じてもらえれば、それもまた一つの幸せなのではないかと思えるからです。

これがベスト、と言えるスタイルのカメラはなかなかできないとは思いますが、今述べたような姿勢でカメラづくりに取り組んでくれるカメラメーカーさんがどこかにあるなら、とても嬉しいことですね。

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2007年01月24日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その2)

1月27日付記事も、あわせてご覧ください。

〔(その1)へもどる〕

レンタル暗室付き写真教室の事例

幸い、前回私が述べたようなものに近い暗室付きの民間の写真教室は、少しずつですが各地に開設され始めているようです。今後そうした動きがさらに広がるかどうかは、やはり関連機材や用品を提供するメーカー、販売会社などの積極的な協力が欠かせないでしょう。年少者が安心して利用できるよう、地元の写真クラブなどの経験者が保護者に代わって協力し合い、各教室の講師やインストラクターをサポートしていくことも大切だと思います。

カメラメーカーなどが主催する写真クラブはすでにありますが、会員の対象が原則的にそのメーカーの製品のユーザーに限られる場合が、残念ながらほとんどのようです。活動内容も撮影会やコンテストなど、イベント的なものが中心です。しかし、フィルムカメラや関連用品のメーカーの数が限られてきた今こそ、それらのユーザーのために各社が協業で支援する体制を整える良い機会なのではないでしょうか。

先進的な写真教室の経営が総じてどような状況にあるかは、情報がないため把握することはできません。ただ、各教室のサイトにある会費や暗室使用料などの料金表を見る限り、小・中学生や高校生向けの割引料金を設けている所はなかなか見つけることはできず、ある程度お金に余裕のある客層がつかめないと利益を得ることは難しいようです。そうした問題を根本から解決するため、各メーカーや販売会社などがスポンサーになり、年少者の教室利用を促すための助成活動はできないかと、私は漠然とですが考えるのです。こうしたことは、デジタルカメラしか販売しない家電系のメーカーや販売会社には、なかなかできない営業活動と言えるのではないでしょうか。

白黒写真のプリントが体験できるワークショップの事例

常設の写真教室となると経営面で様々な課題があることからすぐには広がりにくいと思われますが、ワークショップは前回も述べたように各地で開催されるようになってきました。多くは民間の主催によるもののようですが、中には公的機関が取り組んでいるものもあります。その中で年少者を対象にした、白黒写真のプリントが体験できるワークショップなどの事例をご紹介します。

 1.公営施設主催の事例

東京都写真美術館でのワークショップの事例です。小・中学校や高校の授業の一環として利用できるプログラムも用意されています。

 東京都写真美術館ホームページ「写美」
  ○ワークショップ・カフェトーク
  ○スクールプログラム

 2.公益法人主催の事例

(社)日本写真協会は「写真を通じて国際親善の推進と、文化の発展に寄与することを目的とし」、外務省の認可を得て設立された団体です。私も日ごろからご指導いただいている先輩フォトグラファー、大野広幸さんが、昨年開催された「ワクワク!子供の写真教室」体験学習の様子をご自身のブログでレポートされていますので、ご紹介します。開催場所は、大野さんのご出身地に近い飯能市(旧名栗村)の山林。参加しているのは何と幼稚園の生徒さんで、撮影からプリントまでのフルコースです!
(私が幼稚園生のとき体験したかった。子供たちがうらやましいです…。)

 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)写真日記」
  2006年9月10日付記事 マイナスイオン
  (社)日本写真協会の「ワクワク!子供の写真教室」体験学習

 大野広幸さんの紹介については、
 ブログ「比企の里から '04-'06」の2005年12月29日付記事もご覧ください。
 大野さんのホームページです。 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)」

「フィルム文化を存続させる会」の活動と、
それに応えた富士フイルムの“8mm映画フィルム事業”継続発表

さて、ここで少し話題を変えてみましょう。次の各リンクをご覧ください。

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年7月14日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」発足にあたって

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年9月2日付記事
  富士写真フイルム株式会社からの回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年11月29日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」覚書
   フィルム文化を存続・発展させるために

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年12月7日付記事
  富士フイルムへの再要望書

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  富士フイルムからの再要望書に対する回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  シングル8の継続を発表!

 富士フイルム(株):2007年1月10日付お知らせ
  シングル-8用フィルム
  「FUJICHROME R25N」「FUJICHROME RT200N」
  販売および現像サービス終了延期のお知らせ

8mm映画、楽しいですね。
私の家にも以前、父が若い頃愛用していたマミヤの8mmカメラがあって、小学6年生のとき友人たちとの日帰り旅行などで時々貸してもらったことがあります。日本ではダブル8と呼ばれた規格を採用したカメラで、16mm幅のフィルムに左右片側ずつ撮影し、現像後に縦方向に切り離して前後をつなぎ合わせるシステムになっていました。オープンリール式なので途中必要になるリールの反転が子供だった私には難しく、せっかく遠出までして良いシーンをとらえてやろうと思ったのに光線引きで台無しにしてしまったこともありました。
この規格のフィルムは既製品としてはもう製造されていませんが、16mm映画用フィルムをダブル8用のリールに巻いた加工品は海外で流通していて、日本でも通販で買うことができます。

 8ミリ専門店「レトロ通販」8ミリ用生フィルム

富士フイルムが開発したシングル-8による映画制作は、ほんの真似事でしたが、高校生のときに映画研究会の編集機材を借りて体験したことがあります。カメラは写真部(光画部)の先輩のお兄さんから、10倍ズームレンズが装備された当時のフジカシングル-8のハイエンド機を貸していただきました。それらのシステムがダブル8に比べ、素人の私にははるかに扱いやすいことが実感できました。
さらにその後、日大芸術学部に進学した私は、無類の旅好きだったことと同じ写真学科の人が部員に多いこともあり、文化部連盟に属する「旅の会“群”」に入りました。連盟では毎年春になると、新入生を勧誘するため各部が制作した8mmの宣伝映画の上映会が開かれていました。学部にはもちろん映画学科もあり、人材にも機材にも事欠くことはありません。私は撮影や編集には携わりませんでしたが、“群”の宣伝映画に俳優として出演するという、非常に稀な体験もすることができたのです。今ふり返れば新入生より迎える側の方が楽しんだイベントだったような気もして、それはいかに楽屋オチが多かったかということでもありますが、センスの光る秀作もたくさんありました。いろいろな意味で、学生同士がコミュニケーションを図る貴重な機会になっていたと思います。

8mm映画を制作し上映するための各種機材は、残念ながら中古市場を探すしかほとんど手に入れることはできなくなりました。
富士フイルムも、今から22年前の1985年にフジカシングル-8シリーズのカメラの販売を終了し、昨年4月の公式発表で、今年3月にはシングル-8用フィルムの販売を、来年9月にはその現像サービスの終了を予告していたのです。
それが今月10日、フィルム文化を存続させる会の方々の熱心な働きかけにより、期限付きでも富士フイルムが8mm映画フィルム事業の継続を表明したことで、私はフィルム写真撮影の未来にも明るい希望を持つことができました。

フィルム文化を存続させる会では、8mmフィルムを存続さなければならない理由のひとつに、それが「映像教育の教材に適している」(同会覚書より)ことを挙げています。私もこれまで述べてきたように、フィルムの教材としての利点には特に注目しており、同会の考えには大いに共感を覚えます。動画か静止画かを問わず、映像表現の学習にはフィルムで撮影する手法の方が、デジタル撮影よりも制作そのものに集中できると考えるからです。
小・中学校や高校では今、WEBサイトの制作を学習する機会も増えています。それらのコンテンツとして動画や静止画を用いる際はデジタル撮影の方が合理的には違いないのですが、本来そうしたパソコンによる情報処理や通信の学習と映画や写真による表現の学習とは、別々にバランス良く並行して実践すべきものなのです。学習目的を明確にし、生徒が興味をもって作品の制作に夢中になれる環境を整えるためにも、フィルムシステムをどう存続させるべきかは、これからも十分吟味していく必要があると思います。

富士フイルムによる女性のための
「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」

富士フイルムは今日、グループ内で写真用のカメラやレンズ、暗室用品も製造販売する大手フィルムメーカーとして世界唯一の存在になりました。
(注:同社は現在、35mm判フィルム一眼レフカメラを販売していません。)
その富士フイルムが「Photodays」という、女性対象の「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」を2日間のスケジュールで開催しています。国内の主要都市を巡回する企画で、すでに福岡と仙台以外の会場は定員(30名前後)に達する盛況ぶりです。世代別では、20~30代くらいの人たちに人気があるようです。
今のところカラーリバーサルフィルム(スライド映写用フィルム。プリントもできます。)での撮影のみですが、将来はさらにこうした企画を、白黒写真のフィルム現像からプリントまで親子で(母子で?)体験できるよう発展させられたら、楽しいだろうと思います。既存のレンタル暗室を備えた写真教室とタイアップできれば、全国一斉のキャンペーンとして大々的に開催でき、知識や技術の普及効果も高まるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
富士フイルムの事例に限らず、フィルムカメラや関連用品のメーカー、販売会社の今後の取り組みに期待することとし、今回のまとめにしたいと思います。

なお私はこうしたテーマを、1月5日付記事の年頭所感で述べた「ファミリーフォトエージェンシー」の実現に向けた働きかけともセットで、自分のライフワークにしていけたら良いなと考えています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

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2007年01月23日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その1)

1月27日付記事も、あわせてご覧ください。

パソコンVSソロバン&和文タイプライター

もう20年近く前の話になりますが、私が初めて就職した出版社では、書類の作成に和文タイプライターが大活躍していました。ワープロも当時1台だけ導入されていたのですが、印刷も含め全体の動作は遅く、手書き原稿を清書するだけなら熟練社員による和文タイプの方が早いし、仕上がりも美しかったのです(私は打てませんでしたが)。
その後数年を経て、和文タイプもワープロもその役割はパソコンに取って代わりましたが、総務部や社長室のソロバンはずっと健在でした。

今日、和文タイプライターを勉強できる機会というのは、世の中からほとんど失われてしまったようです。まず、中古品の入手からして困難で、かつメーカーのアフターサービスも近年ほぼ終了してしまいました。
対して、パソコンが普及するまで和文タイプと同様にオフィスの必需品だったソロバンですが、今も全国各地にソロバン教室や珠算塾などがあって、子供の習い事としても根強い人気があるようです。和文タイプに比べれば習得しやすく、お金もかからないという面もありますが、パソコンが普及してもなお一定の需要を保ち続けているのには、ほかにも様々な理由があるからでしょう。ソロバンの使い方をアニメーションで説明するパソコン用ソフトが登場するなど、逆転現象(?)さえ見受けられます。
私が小学生だったときソロバンの授業があり、私は大の苦手だったのですが、得意な子の暗算の素早さは正直、とてもうらやましく思えました。珠算を習得し、さらにイメージトレーニングを重ねることで、ソロバンは使わなくても素早く計算できるようになる、ということです。

暗室のある写真教室を

前置きが長くなりましたが、私は前々から、白黒写真の現像用の暗室も備えた写真教室が各地にできれば良いのに、と思うときがありました。近年は中学や高校でも少子化のせいか、いえ、それ以前に先生方が本当にお忙しいこともあって写真部は減少傾向にありますが、その代りを民間の教室として実現できれば、小学生や年配の方も一緒に参加でき楽しいだろうと考えたのです。

このごろは、大人も子供も交えた地域社会のつながりが希薄になってきていると言われ、子供をとりまく様々な社会問題や事件が目立つようになったのもそのためだと指摘されることがあります。写真というメディアにはこれまで、事物を記録し伝えると同時に、社会や人の意識を映し出す鏡として、つまり表現や相互コミュニケーションの手段として広く用いられてきたという実績があります。そのような写真を大人も子供も一緒になり、撮影から現像、プリント、展示発表に至るまで体験することによって、希薄になったと言われる地域社会の役割を見つめ直すきっかけが作れるのではないかと、期待したいのです。

今から3年ほど前は、レンズ付のデジタル一眼レフも安くて20万円前後はする高価な機材でした。そのため、初心者が本格的に写真の勉強を始めようと考えたとき、ズームレンズとのセットで数万円でも買えるようになったフィルム一眼レフを選ぶのは、至極当然でした。白黒フィルムに白黒印画紙、現像用薬品や暗室用品も、関連メーカーの努力によってここ数年の間にかつてないほどの改良が加えられ、私が考えるような写真教室の実現にはこの上なく良い環境が整ったように思えたものです。事実その頃、初心者を対象にした白黒写真のワークショップが各地で開催されるようにもなっていたのです。

ところが、ここわずか1、2年の間に、環境は激変しました。ズームレンズとのセットでも10万円以下で買えるデジタル一眼レフが各社から続々発売され、フィルム一眼レフは初心者用はもちろん、プロやハイアマチュア用の製品も含め、数えるほども生産されなくなってしまったのです。フィルム関連製品もすっかり減ってしまいました。本当に、あっという間の出来事でした。

ソロバン教室と写真教室

ソロバンは計算を助ける道具として長い歴史を持ち、暗算力が養えるなど実生活で役立つメリットが私たち日本人の間では広く認められています。そのため、電卓やパソコンが普及してもソロバン教室は全国各地で運営され、子供を通わせる保護者が絶えることはありません。
フィルムカメラはどうでしょう。日常生活の中の実用品として、その役割はもうすでにデジタルカメラやカメラ付携帯に取って代わられてしまったようです。写真の専門家の中には、写真表現の基本はフィルム撮影、それも白黒写真にあり、現像やプリントを自ら手がけることでその理解や能力も高まると説く人も少なくありません。しかし、そのような主張が広く一般に認められるまでには、今のところどうも至っていないようです。写真は1839年に画家で興行師のダゲールによる発明が公式発表されてから(フランス科学アカデミーにて)、まだ168年の歴史しか持っていません。さらに日本でカメラが大衆層に広まったのは1960年代以降、ほんの半世紀前のことなのですから、考えてみればそれも無理のないことのように思えます。

ところで、写真を始めるのは果たして何才ぐらいからが良いのでしょう。意見はいろいろあると思います。美術や音楽、文芸、演劇、舞踏などと違い、技術のレッスン以前にまず、人として成長するための社会教育が必要だという考えもあるかもしれません。写真が現場に出て目の前の事物に対しカメラを向けなければ撮れないものである以上、そのことが誰かの権利を侵してしまう場合もありうることまで、予め学んでおく必要はあるかと思います。このことは、パソコンや携帯、インターネットに潜む様々な問題をどう子供たちに理解させるか、という、小中学校の教育現場が今直面している課題にも通じる部分があると言えます。
これまで、デジタルカメラで写真を学ぼうとしてきた人たちのほとんどは独学で、必要な知識の多くはインターネット上で交わされる情報から得てきたのではないかと考えられます。これには、写真を専門に教える学校でさえ、デジタル撮影や撮影後の画像処理の手法を一度に大勢の学生へ教える体制が、まだ十分に整っていないという実情もあります。機材や関連ソフトの操作方法がメーカーはもちろん製品によってもかなり異なり、そのことがテキストやカリキュラムの作成など学習プロセスの構築を一層難しくしているようにも思えます。プロフォトグラファーの現場でも、急激なデジタル化を受け少なからぬ戸惑いや混乱が認められています。
これは私見ですが、大人の指導のもとであれば、写真は小学校の高学年になればもう始めても良いのではないでしょうか。機材もフィルムカメラであれば、パソコンやインターネットは必ずしも学習しなくて済みます。私の場合、初めて父からカメラを借りることが許されたのは、小学5年生になった春のことです。そして、中学1年生のとき先生へ懸命に働きかけ、夏休みの間だけ廃部になっていた写真部を復活させてくれたのは、小学生の頃からお父さんの暗室用品を借りて白黒写真のフィルム現像やプリントを勉強してきた級友たちでした。高校受験が近づくとさすがにお互い写真どころではなくなりましたが、それまでの熱中できた年月は今も、私にとっては貴重な経験として蘇ってきます。
2006年8月23日付記事2006年9月2日付記事も併せてお読みください。)

私が考えるような暗室を備えた写真教室が、子供も大人も含め社会にとってどれほど有益なものになりうるかは、あまり前例の無いことでもあり先に挙げたような漠然とした期待しか述べることができません。願わくば、ソロバン教室と同じくらい広まって欲しいというのが私の心情ですが、その前に必要な製品が今、採算悪化を理由に市場からどんどん消え、風前のともし火となりつつあります。

フィルムカメラはソロバンと同じようにこれからも生き残れるのか? それとも和文タイプライターと似た運命をたどるのか? 写真のデジタル化の流れを遅らせて良い理由は少しもありませんが、せめてあと少し、検証のための機会は残されて欲しいと切に思うのです。

欲しい、子供も大人も満足できるフィルム一眼レフ

一眼レフに限らずフィルムカメラは急速に品数が減り、特殊な用途のものか熱心な写真愛好家向けの高級機種などに製品の種類が絞られてきています。その中で一部の安価なコンパクトカメラ等はなお健在ですが、せっかく限られた時間の中で存分に写真の勉強を楽しもうというのなら、やはり自由にレンズ交換のできる手頃な値段の一眼レフが欲しいところです。

ニコンFM10(税込希望小売価格38,850円、レンズ別売)は唯一、現行製品の中ではその条件を満たすフィルム一眼レフだと思います。極めてオーソドックスなスタイルの完全機械制御式の全手動カメラで、その各操作部の配置や使い方は、例えば私が30年近く前に買ったアサヒペンタックスKMともほとんど共通です。つまり、ある程度写真の経験を積んだ中年以上の世代の人であれば、説明書の注意事項に目を通すだけで、すぐにでもFM10の使い方を初心者へも説明できるというわけです。写真教室の貸し出し用としても管理しやすいのではないでしょうか。その上交換レンズの一部は同社のデジタル一眼レフとも共用できますから、将来デジタル撮影も勉強したいという人にとっても、買い物が無駄にならないように済ませることもできます。
FM10は現在新品で買えるフィルム一眼レフの中では最も安価な製品ですが、コンパクトで子供にも扱いやすく、写真の基本を学ぶには十分過ぎる機能と性能とを持っていて、ベテランをも満足させるカメラです。その「基本を学ぶ」段階で、初心者にとってすぐには理解しにくく、ベテランでも説明に苦労しやすい要素にレンズの“絞り”があります。この点は一眼レフなら一目瞭然で、交換レンズをカメラから外しレンズ側に設けられた絞り調節リングを回して見せれば、それが私たちの眼でいう“瞳”と同じ働きをするものであることが子供でもすぐ理解できるでしょう。さらにFM10ではシャッターを切らなくても、実際にカメラを覗きながら絞りを段々と変え、効果の変化が連続的に確認できるレバーも備えられています。これにより、絞りがレンズを通る光の量だけでなく、ピントの合う範囲やその前後のボケの量まで調節する役割を持っていることも、容易に理解できるはずです。
こうした学びやすさはまさに一眼レフならではの利点ですが、残念ながら今ではFM10以外の国内メーカーの一眼レフはデジタル一眼レフも含め、絞りを原則的にカメラ側の電子ダイヤルなどで調節するものばかりになってしまいました。しかも、その操作方法は同じメーカーの製品でも機種によって異なり、初めて接する機種ではベテランでさえ、説明書を熟読しなければ分かりずらい場合もあるのではないかと心配されます。また、調節は絞りの設定を示す“F値”という数値で合わせなければならないため、初心者はまずその意味を理解しなければ、絞りの効果をスムーズに撮影で活かすことはできません。メーカーにとってはこれでレンズ側に絞り調節リングを設けなくて済むことになり、自由な設計ができるようになる訳ですが、このタイプのシステムでは今のところ、カメラを覗きながら絞りの効果を連続的に変化させ確認することができないのです。これでは写真入門のハードルが、以前より高くなってしまったと言えるのではないでしょうか。
フィルム一眼レフに限ったことではありませんが、昔の手動式カメラでは、試行錯誤をくり返しながらも自然に写真が写る仕組みを学習できたものです。今の自動化や高機能化が進んだカメラ、特にデジタルカメラでは実践より先に理論を学ばなければならないことが多く、それを嫌えばずっと自動任せから抜け出せなくなってしまうおそれがあるように思えるのです。

FM10の発売元はニコンですが、一説によるとその設計は長野県にある光学機器メーカー、コシナによるものだと言われています。コシナにはペンタックスと交換レンズが共用できる一眼レフを生産してきた実績があり、FM10はそのニコン向け仕様だという説です。幸いペンタックスは今も、絞り調節リング付の交換レンズをフィルム一眼レフとデジタル一眼レフの両ユーザー向けに発売しており、新製品も予定されているようです。ほかにも条件の似た一眼レフシステムを発売しているメーカーは国内にあるかというと、残念ながら今では見当たらなくなってしまいました。願わくばペンタックス仕様のFM10のようなカメラも近いうちに登場し、子供も含む初心者の選択肢が少しでも広がってほしいものだと思います。

〔続く〕

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2007年01月07日

ちょっと遅めの初夢 -フィルムカメラ再び-

ペンタックスブランド誕生50周年記念の年明けに

お正月気分がまだ抜けません。
昨年末の記事(12月31付)でも触れた「カメラ年鑑 2007」(日本カメラ社刊)をめくりながら、ふと思い出してしまいました。
今からちょうど50年前の1957年、それは「ペンタックス」の名を初めて冠した35mm判一眼レフカメラ、初代アサヒペンタックスが発売された歴史的な年だったのです。

当時、月刊「アサヒカメラ」誌(朝日新聞社刊)は9月号掲載の「ニューフェース診断室」記事の冒頭で、

国産第2号のペンタプリズムつき一眼レフとして生まれたアサヒペンタックスは一眼レフ専門メーカーである旭光学が、全力をそそいで完成したカメラだけに、発表当初から人気を呼び、売れ行きも好調のようである。このカメラは、初めから本格的な量産型として世に送り出され…〔中略〕…ペンタプリズム式一眼レフというものが、日本で流行するかどうかの試金石になるという、重要な意義も含まれている。…〔中略〕…ペンタックスが、将来よりよいカメラに発展する一助ともなれば、このリポートは意義深いといってよかろう。

と紹介しています。
初代ペンタックスが「試金石」としての大役を見事果たせたことは、翌年発売の2代目アサヒペンタックスKの名が、新発売された話題のデジタル一眼レフK10Dにも受け継がれていることを見ても明らかです。

話の流れが飛びとびになりそうなのでまとめます。
私の心は高校時代にまでさかのぼり、写真の勉強のため初めて買うフィルム一眼レフを探すつもりで「カメラ年鑑 2007」を眺めていたのでした。現像タンクや引伸機などは、写真部(私の母校の場合、正しくは光画部)の暗室に揃っています。
さて、35mm判の選択肢は4社8機種。うち、貧乏学生の懐事情に見合うものは2社3機種。新製品は無し。さあ、決めるのだ!
「やっぱ、ニコンFM10(希望小売価格税込38,850円)かな…」
純然たる機械制御式の全手動カメラで、フィルムを入れさえすれば電池が無くても写真が撮れる頼もしい存在です。小さくて可愛らしいのは女子部員にも喜ばれそうだし、何よりお父さん(お爺ちゃん?)が小さかった自分を写してくれたときのカメラみたい、というところがどこかしら郷愁をそそります。
ところが発売元のニコンはもう、FM10に使える交換レンズを開発する気配がありません。むしろ、徐々に減りつつあるようです。最新シリーズのレンズでは、装着できても絞り機構が連動せず、露出(明るさ)の調整ができないのです。
「…却下」(←独断)
反対に、こうしたクラシカルな一眼レフにも使えるような交換レンズの発売を今後も予定しているのが、かのペンタックスです。
最新シリーズのひとつ、D FAレンズシリーズはオートフォーカス式のデジタル撮影対応設計ですが、マニュアルフォーカスの操作性も見直され、かつ30年以上前の35mm判フィルム一眼レフにも何ら不自由なく使用できるという優れもの。デザインも「なんとなく、クラシカル」です。今はまだ、2年ほど前に発売されたレンズが2本あるだけですが、メーカーの「レンズ開発ロードマップ」(PDFファイル)によれば、今年は少なくとも望遠レンズ2本が追加される模様です。気になるのは肝心のカメラ本体ですが、
*ist(イスト。*は発音しません)。…それだけ?」
希望小売価格税込68,250円也。予算オーバー。
想定の範囲外でした。無念。
(↑強引?)

話がぜんぜんまとまらないので、まとめます。
「中古を探す…」
前に、要はニコンFM10にペンタックスD FAレンズが使えれば良いのではないでしょうか。と言いますか、ペンタックスもFM10のような機種を発売すれば良いのではないでしょうか。
既報の通り今年10月、ペンタックスは光学材料メーカーのHOYAと経営統合し、新会社HOYAペンタックスHDが発足します(2006年12月27日記事参照)。実はそのHOYAの傘下にある写真用品メーカーのケンコーが、ついこの間までベッサフレックスTMという、FM10に“とても”よく似た(それでいてずっと高級感のある)一眼レフを発売していたのです。税込定価も52,500円ですから、まぁ、想定の予算内ということにします。交換レンズも、初代アサヒペンタックスと共通の規格でした。しかし残念なことに、その規格のレンズの開発をペンタックスは1975年以降打ち切ってしまっています。もどかしいですね。

もどかしいのでまとめます。
ベッサフレックスTMはりんごのふる里、長野県にある光学メーカー、コシナが設計、生産を請負ったカメラでした。それは、同社がかつて他のブランドで輸出用、通販用に生産していた(ひょっとしてまだ生産している?)一眼レフをベースにリニューアルしたものです。そのベースとなった一眼レフこそ、何を隠そう、ペンタックス現行のD FAレンズが使用できる規格のカメラだったのです。
そのような一眼レフをペンタックスの商品として、ペンタックスブランド誕生50周年記念事業の一環として、世に出すことはできないものでしょうか。コシナはファンの注文がまとまれば、過去の製品でも再生産してくれる職人気質の良心的なメーカーなのです。いや、やるだけならそう難しくはなさそうだから、あとは商談が成立し得るかどうかの問題でしょう(余談ですが、以前ペンタックスから発売されたFAマクロ100mmF3.5という交換レンズは、コシナの製品とほぼ同じものでした)。ベッサフレックスTMの生産も済んだので、その分工場にも余裕があるのではないかと思われるのですが…。
じゃなくて、ペンタックス50周年記念カメラは出るんです、きっと。ベッサフレックスTMはその試金石で、だからあえて生産は去年中に打ち切られた。発売元のケンコーも、その親会社のHOYAももとより承知の上。2年前に先行発売された2本のD FAレンズも、そのカメラに似合うデザインの検討を兼ねたものに違いありません。加えて国産眼鏡レンズでは知る人ぞ知る老舗中の老舗同士が創設するHOYAペンタックスHDの発足、ペンタックスデジタル一眼レフの決定打と言うべき新生Kシリーズシステムの充実、そしてコマーシャルフォトグラファー等に期待の大型イメージセンサーを採用した645 Digitalの発表、それらすべてのタイミングがピタッと重なったのももはや単なる偶然ではなく、今年のために水面下で着々と準備が進められてきた一連の事業なのではないでしょうか。

際限なく妄想がエスカレートしていきそうなので、このくらいにしておきます。
これはあくまで個人的な心情ですが、ペンタックスには国産初の35mm判一眼レフカメラ、アサヒフレックス1型を生み出しそのオーソドックスなスタイルを確立させたメーカーとして、これからもずっとこうしたジャンルのカメラを、他社がやめても発売し続けていって欲しいと思うのです。私もそうですが、ペンタックスの一眼レフで写真入門を果たした思い出を持つ人は、プロの中にも少なくはありません。また、まだ使った経験のない人でも、いつか余裕のできたとき、興味のあるレンズとの組み合わせを選んで持ち歩いてみたいと思っている人も結構いるようです。フィルムで写真を撮る機会は私もだんだんと少なくなってきていますが、このカメラで写真を撮りたいと思うから昔ながらのフィルムを使う、という発想もあって良いと思います。船員を目指す学生さんは、今も練習帆船で世界の海へ実習航海に出て行くではないですか。船乗りを夢見る若人たちの憧れです。
私見ですが、現像などの後処理も含めフィルム撮影とデジタル撮影とを同時に体験することは、混乱するどころか、どちらか一方に偏るよりもずっと学習効果が高まるように思われます。フィルム撮影や現像処理の経験があるからこそ画像処理ソフトの覚えも早く、逆に画像処理ソフトを使いこなせればこそ撮影や現像のシミュレーションに活用することだってできるはずです。でも、そのためのフィルムカメラが生産されなくなれば、そうした体験も叶わなくなります。
物だけではなく人や文化も創り続ける。それが歴史あるメーカーの責任というものかもしれませんね。ペンタックスは35mm判だけでなく、フィルムサイズのより大きい645判6×7判の一眼レフも生産している世界唯一の奇特な総合一眼レフメーカーでもあるのです。

ところで「カメラ年鑑 2007」によるとコシナは昨年、独逸の名門光学メーカー、カール ツァイスとの共同開発による35mm判一眼レフカメラ用高級交換レンズシリーズの生産をスタートさせています。それらはニコンFM10の規格やベッサフレックスTMの規格にそれぞれ合わせて設計されたものですが、どうして今のペンタックスにも使える規格のものがケンコーから発売されないのでしょう。もしかすると、先述のペンタックス50周年記念カメラ(妄想)の発売にタイミングを合わせ、商品企画として密かに用意されているのでは?
昨年秋のフォトキナでの、ペンタックス幹部の方の自信に満ちたインタビューの真相も気になります(2006年10月5日付記事参照)。

表題に「ちょっと遅めの初夢」と書きましたけど、「初夢」じゃなくて“白昼夢”、でしたね。
長い長い初白昼夢で、たいへん失礼いたしました。

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2007年01月05日

2007年 年頭所感 「ファミリーフォトエージェンシー」の実現を

「今はデジタルカメラが広まって、誰でもすぐ必要な写真はパソコンで作れるようになったから、プロの写真家さんも仕事が減って大変でしょう」

世間話のついでにそんな同情ともとれるようなことを、最近はときどきですが、尋ねられるようになりました。同業者の中には、

「これだから一般のお客さんは分かっていない。撮った写真を並べて比べればプロと素人との違いは歴然としているのに」

とこぼす方も、当然ですが少なくはありません。
ですが、プロであればこそ、こうしたお客さんからの指摘には、謙虚に耳を傾け考えてみるべきではないかと思うのです。
なぜ私たちは期待してもらえなくなったのかを。

写真の需要が減ることはありません。デジタル技術の進歩で印刷コストが安くなり、インターネットも普及したことから、写真が活用される機会は今後ますます増えていくでしょう。
飲食店を例にすると、店内メニューや折り込み広告に載せる、自慢の料理や店舗の写真がまず必要でしょう。店主がホームページやブログを運営していれば、更新用にもっとたくさんの写真が欲しくなります。
ところが、かなり多くの店主の方々が、

「プロに頼むと高くつくから、忙しくても自分で撮るよ」

と考えていらっしゃるようです。そのような話を聞くと兎角プロの側は、

「そんなに経営が苦しいのだろうか。お客さんが呼べるのにもったいない」

と考えがちです。しかしそこには、極めて重要な課題が浮彫りにされていることを、もっと強く認識しなければなりません。
「高くつく」と思われてしまうのはなぜでしょう。それは本当に予算が足りないせいなのでしょうか。

違いますよね。誰もが皆同じように思っているはずなんです。
せっかくお金を使うのだから、自分の意思で楽しく使いたい、と。
ならば、プロに大切なお店の撮影を頼むのだから、どんな人に依頼しようか、楽しみながら相手を選び納得してその仕事を任せたいと、店主の方々も本当は思っていらっしゃるはずなのです。

でもなぜ、その手段が無いのでしょう?
そこが最大の課題だと、私はこの頃思うようになりました。

メニューや広告などの制作を請負ってくれる業者はいろいろとあります。特定の業界を得意とする制作会社や広告代理店も少なくありません。ただ店主側にとっては、派遣されるカメラマンが結局は業者側のお仕着せになり、自分の店のイメージづくりに時間を割いて相談に乗ってもらえないのではないかという心配が残ってしまいます。
これは、カメラマンの技量だけで量れる問題ではありません。お店の写真に限らず、どんな用途の撮影でもセンスのことなど難しい相性の問題もありますから。もし近所のカメラ屋さんや印刷屋さんの紹介、個人のつてなどで良いパートナーを見つけることができるなら、それはお互いにとってかなりラッキーな出会いと言えるのかもしれません。

プロカメラマンの世界には昔から、フォトエージェンシーという幅広いサービスを担う業界の窓口があります。ただし、その事業のほとんどはマスメディアを対象としたもので、一般の個人客の私的な利用に適した営業内容ではありません。基本的にプロ同士の仲介業であり、そこで扱われる写真の多くは、主に新聞や雑誌など大量印刷物への掲載を目的としたものなのです。

話は急に変わりますが、スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤピノキオといった子供向けの“ファミリー写真館”と呼ばれるサービスが相変わらず繁盛しているようですね。大企業が全国的にチェーン店を展開しており、進出された地域の個人経営の写真館からは、

「あんなのは写真館じゃない。貸し出しせずに写真を買わせる貸衣装屋だよ」
「たくさん撮ってお客さんに選ばせるなんて、素人カメラマンのすることだね」

などと、手厳しい批判を浴びせられる場面もしばしばです。商売敵ですから。

ここでまた本題にもどります。そんなファミリー写真館ですが、そこではお金を楽しみながらどう使うのか、主導権はあくまでもお客さんの側にありますよね。店主に案内されるままお決まりの記念写真しか撮ってもらえないような写真館では、お金の使い方も公共料金を事務的に払っているような味気ないものになってしまいます。今や生産者側だけでなく消費者側もクリエイターであり、エンターテナーでありたいのです。

近い将来、個人商店や中小企業からの撮影依頼、あるいは一般客の私的な利用をマーケットにしたフォトエージェンシーが実現するなら、私はファミリー写真館などのチェーン店を展開できるようなお客さんのニーズを上手につかめる企業に、その役を買って出て欲しいと思っています。すでに各地に営業網があり、地域にお住まいの方々、とくに若い世帯にブランドイメージが浸透しているというのは、単に子供向けの貸し衣装屋さんでは終わらないビジネスチャンスを開拓しているのも同然なのではないでしょうか。
また個人経営の写真館の中には、お客さんの年令やキャラクターに合わせ、その人たちが楽しめるような変化に富んだ撮影を叶えてくれる素敵なお店もたくさんあって、私もそのような写真館を実際に知っています。よりハイレベルな撮影を希望されるお客さんに、ファミリー写真館でそのような個人経営の写真館も紹介するサービスが始まれば、写真はもっともっと身近で楽しいものになるはずだと、私は思うのです。競うべきは個性や特色であって、無闇なシェア争いはお客さんを振り回し、疲れさせてしまうだけでしょう。誰のためにもならないと思います。

私がこのサイトを完全な商用目的にリニューアルし、写真撮影の仕事をお請けできるようにすることも考えられます。しかしながら、個人でできることには限界があります。
例えば結婚式の披露宴のスナップ撮影をお承りして、万が一直前になってノロウィルスやインフルエンザなどに私が感染してしまったら、大至急代理のカメラマンを手配しなければなりません。ですが、私の人脈だけではそのような急な事態にまで対応し切れない場合も考えられます。これではいけませんね。
だから地域社会に密着した、それでいて幅広い営業網やサービスのノウハウも兼ね備えたフォトエージェンシーの実現を、私は願うのです。
いっそのこと“ファミリーフォトエージェンシー”(仮称)と名付けてみましょうか。

私自身が起業するわけにもいきませんので、2007年はまず、具体的にどのような企業に創業のラブコールを送るか、候補者探しの第一歩を踏み出したいと思っています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

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2006年12月31日

写真の今日まで(大晦日の夜に思ったこと)

音楽表現に関わっておられる方にお伺いします。
例えばピアノ。歴史のあるポピュラーな楽器ですが、世界中のメーカーが儲からなくなったからといって一斉に生産をやめたり、修理や調律をしてくれる業者がいなくなったりするような事態を、果して想像できるでしょうか? ピアニストにとって、代わりにキーボードか何か、ほかの楽器をこれからはお使いくださいと宣告されるようなものだと思うのですけど、もし本当にそのようなことになったらどうしますか?

美術表現に関わっておられる方にもお伺いします。
日本画や書画に欠かせない和紙。その代表的な原料である楮(こうぞ)の栽培や伐採があるとき突然、何らかの事情により国際条約で禁止されたとしたらどうでしょう?

写真表現に関わっている私たちにとってこの1年間は、決して大げさな話ではなく、そのような事態に等しい現実と向き合わされた1年でした。

「カメラ年鑑 2007」(日本カメラ社刊)が先ごろ出版され、書店で手に取った私は改めて思い知らされました。フィルムで写真を撮ることが当たり前だった時代は、2006年を最後に本当に終わってしまったんだな、と。この本は、日本国内の店頭で買うことのできるあらゆる写真用品を網羅したカタログで、カメラや交換レンズ類についてはほとんどすべての現行製品を知ることができるものです。あれほど身近な存在だった35mm判フィルムを使うカメラが、信じられないくらい激減してしまったことを、誌面は如実に物語っていました。
もちろん、新製品が全く無いわけでもないのですが、ごく安い手軽なものがほんの少しと、あとは趣味性の強い高価なもの、特殊な用途のものなどに種類は絞られてしまっています。

写真を専門に教える学校では、大掛かりな機材は借りられるものの、自前でレンズ交換のできる35mm判一眼レフカメラをそろえることが、半ば入学の際の必須条件になっていました。
私の学生時代は国内外にたくさんのメーカーがあり、誰もがみな思い思いに好きなカメラを選んで、課題作品の制作や実習に臨んだものです。
どのメーカーのどんなカメラを使うか、またどのフィルムをどう現像し、どんな印画紙にプリントするかといったことが、その人の作風や撮影の姿勢に物心両面で強く影響を与えていることが少なくなかったようです。

生産中止から間もないうちなら、まだ店頭に在庫があったり、中古市場に安くて程度の良いものが流通していることもあります。今はまだそうした余韻がいくらかは残っていますが、それも時間の問題。付属品の販売や修理、調整等、メーカーのアフターサービスもいずれは打ち切られてしまいます。
私の母校の今年度のカリキュラムを、公式サイトで調べてみました。デジタル写真に関する教科が以前に比べ目に留まるようになってきましたが、まだカリキュラム全体の体系の中に組み込まれるまでには至っていないようです。来年度もたぶん、大きな変化は見られないでしょう。

来春入学する学生の皆さんは、果たしてどんなカメラを探すのでしょう。また、学校の先生方はガイダンスでどのようなアドバイスをされるのでしょうか。
気がかりなのは機材だけではありません。フィルムや印画紙、現像薬品類も不自由なく調達できるか、そのことも気になります。何しろ私の学生時代でさえ、実習や課題の提出が近づくと、校内の売店はもちろん池袋や新宿の大きな店まで、それらが一時的にですが品切れになることもあったのですから。

誤解を招かないうちにお断りしておきますが、私が比較的早い段階からデジタルカメラでの撮影を始めたのは、決して将来を見越してそれが自分の仕事にプラスになるだろうと考えたからではありません。私が初めてデジタル一眼レフ、ニコンD1Hを購入したのは2001年夏の発売直後ですが、それはあくまで趣味に使うことが目的でした。当時はまだサラリーマンで、会社を辞めることなど夢にも思わず、業務で使う機会の増えたパソコンの勉強にもちょうど良いと考えたからでした。社会人になってからはすっかり写真から遠ざかっていたのですが、パソコンを覚えコンパクトデジカメでフィルム代や現像代を気にせず写真が撮れるようになったことから、忘れかけていた撮影の喜びをもう一度味わってみたくなったのです。

最近は、私がいただく撮影の仕事もデジタルカメラによるものがほとんどになりました。ですが、写真表現の手法としてそれを見た場合、戸惑いがないわけではありません。その発表形態がプリントでもスクリーンやディスプレイ上での再生でも、カメラが捕えることのできる色彩や明暗の諧調を、どの関連機材もまだ十分引き出せるレベルにまで技術的に達していないからです。

どのような分野でもそうですが、学習のプロセスというのは先生から生徒へ、先輩から後輩へと受け継がれながら発達し、伝統ある貴重な共有財産になっていくものだと思います。「伝統は壊されるためにある」という言葉もありますが、それは絶えず創造し続けられるものだという意味の裏返しでもあります。
写真の学習プロセスが今、必ずしも崩壊してしまったとは思いません。しかし2007年からはいよいよ、かつてないような混迷を極める時代に入っていくように、私には思えるのです。

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2006年12月27日

HOYAとペンタックスとの資本規模を越えたギブアンドテイク

HOYAペンタックスHDの狙いとは?

既報の通り、HOYAとペンタックスは2007年10月に経営統合し(12月21日付記事参照)、HOYAペンタックスHDとして新たなスタートを切ります。
合併時の企業規模のあまりの差から、HOYAがペンタックスのカメラ事業を救済するかのように報じる経済記者も少なくないようですが、これはどうも興味本位な見方のような気がします。記者会見でクローズアップされたペンタックスの内視鏡事業の将来性についても根拠は確かなものですが、経営統合の趣旨について投資家の納得と評価を得るための演出の意味も含まれていたのではないかと思われます。

元々一眼レフカメラ用交換レンズメーカーでもあるHOYA

光学材料メーカーであるHOYAの製品として私たちにいちばん馴染み深いのは、やはり眼鏡用レンズやコンタクトレンズでしょう。私の今かけている眼鏡のレンズも、実はHOYAのプラスティックレンズです。
しかしブランドは表に出ないものの、双眼鏡や一眼レフカメラ用交換レンズなどの光学部材の生産でも世界的に大きなシェアを占めてきたメーカーだということは、あまり一般には知られていません。材料としての光学ガラスや樹脂などの生産だけでなく、それらを加工した半製品、さらには受注先の要望次第で完成品にまで仕上げられるだけの工場設備を国内外に保有しているのです。また、主に輸出用ですが、HOYA自身が完成品を自社ブランドで販売してきた実績もあります。
マスコミが報じる会見記事によると、合併後の他のカメラメーカーへのガラス等の供給について質問はあったようですが、すでにHOYAグループが長年にわたり製造販売してきた交換レンズなどのカメラ関連製品の動向については、ほとんど話題に取り上げられませんでした。HOYAの事業内容を良く知らず、カメラメーカーであるペンタックスとの経営統合に違和感を覚える記者の方が多かったのでしょう。

レンズ工場運営のエキスパート

経済記者の記事というのはどうしても投資家向けに、企業の経営規模や事業の収益性、将来性ばかりが興味深く書きたてられるのですが、あらゆる製造業、中でも光学関連メーカーの経営の極意は、工場や倉庫のマネージメントにあると言って良いでしょう。
利益を得るには原材料をできる限り安く仕入れ、高度な技術で加工し、アイディアに富む付加価値の高い製品として流通させる。「錬金術」に例えたがる人もいるかと思いますが、レンズに関しては例えどころかほとんどそのものです。人造宝石より旨味のある商売かもしれません。
一例をご紹介しましょう。ペンタックスファンなら誰もが(私も)無視できない注目の製品。SMC PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited(PDFファイル、ペンタックス公式サイトより)というデジタル一眼レフ用交換レンズです。
「一眼レフ用AFレンズでは世界最薄・最軽量」とメーカーが謳うこのレンズ。使用される光学ガラスの量は小指の先ほどもないのですが、販売価格は量販店でも4万円以上と、なかなか良いお値段が付いています。

光学ガラスや樹脂の原料価格に変動はつきものです。安く仕入れられるときは先を見越し、時には思い切って多く仕入れることも必要でしょう。そして事業を素早く戦略的に展開するためにも、倉庫や工場には常にある程度のゆとりがなくてはなりません。事業展開が本決まりになってから原材料の確保や新工場の土地探しを始めるようでは、せっかくのビジネスチャンスを失うおそれもあるからです。
もうお気付きかと思いますが、前もって原材料を確保したり倉庫や工場にゆとりを設けたりすることは、製造業の経営上は必ずしも好ましいことではありません。家電や自動車など、製造するもののスケールが大きいほど、かつ商品寿命が短いほどリスクも高まり、マネージメントを誤ればメーカーにとってそれこそ命取りになります。
ところが都合の良いことに、カメラ用交換レンズというのはコンパクトでありながら付加価値が極めて高く、しかもカメラ本体に比べ商品寿命は気が遠くなるほど長いのです。そのため生産ノウハウを持つメーカーにとってはリスクの低い副業としてたいへん魅力的で、原材料や工場にゆとりのあるときはしばしば、クラシックカメラファン向けに旧式の交換レンズやカメラを復刻するような例も見られるほどです。HOYAグループにもそうした製品を企画販売する会社が以前からあり、カメラファンの間で好評を博しています。

ペンタックスはカメラメーカーですが、その前身は眼鏡用レンズメーカーでした。今のペンタックスの実質上の創業社長になる故、松本三郎さんも、叔父さんの経営するレンズ工場(ペンタックスの前身)で経営者に必要とされるマネージメント能力を徹底的に教え込まれた技術者でした。そこから育まれた企業風土にはきっと、HOYAとも相通じるものがあるはずです。
今回の報道で私も初めて知ったのですが、最近ペンタックスと交換レンズの開発で協業している光学メーカーのトキナーも、だいぶ前からHOYAグループの一員になっているそうです。HOYAが自社ブランドで輸出してきた交換レンズの多くは、トキナーブランドの交換レンズと光学系を同じくするものだったのです。
近年、一眼レフの多機能化、デジタル化が進むにつれ、カメラ本体と交換レンズとの間で交わされる情報の解読やイメージセンサーとのマッチングにはより高度なノウハウが必要になり、システムの規格を表面的に合わせるだけでは良い製品が開発しにくくなってきました。交換レンズ専業というビジネスが、以前よりリスキーな時代になったのです。そのような中でHOYAがK10Dの成功を収めたペンタックスを迎え入れることは、お互いにとって計り知れないメリットがあると言えるでしょう。

製造業は常に利益を求め、従来からの事業にとらわれ硬直することなく新しい事業にも弾力的に取り組んでいかなければ、いつかは社会から見放されてしまいます。しかしその一方で、ときに運営が不安定になりやすい製造現場を健全に維持していくためにも、長く続けられる副業とも柔軟に組み合わせるテクニックも併せ持っていなければならないのです。それは、投資家からは兎角無駄なことのように見られがちですが、有能な経営者ほどその価値の重さを十分理解しているものです(それより反対に、目先の利益にとらわれ無用な副業に溺れ、会社を潰してしまうような経営者が見抜けない素人投資家の、なんと多いことでしょう)。
HOYAとペンタックスとの経営統合により、両社の開発リソースや生産ラインが融合し、より魅力的で社会に貢献できる様々な製品が生み出されることに私は大きな期待を抱いています。記者会見で語られたことよりも、あるいは企業間で秘められている構想の方がはるかに多いに違いありません。その地道でしたたかな協力関係はある日突然出来上がったものではないし、会社の資本規模を越えてのギブアンドテイクがあって初めて成り立つものなのでしょうね。

*ご参考

HOYA(株) オプティクス事業部:
http://www.hoya-opticalworld.com/
同 沿革:
http://www.hoya-opticalworld.com/japan/company/co2.html
同 生産プロセス:
http://www.hoya-opticalworld.com/japan/PD/pd6_lens.html

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2006年12月21日

HOYAとペンタックス 2007年10月に経営統合し内視鏡等事業を強化

*取り急ぎお知らせいたします(どうしたことか、連日慌ただしいですね)。
 小川町にはペンタックス(株)オプティカル・テクノロジーデパートメント及び
 ペンタックスオプトテック(株)小川があり微細レンズ加工等を担っています。
 合併後はHOYAの主力工場として位置付けられることも考えられそうです。
 ホンダの低燃費エンジン工場進出といい、予想外の展開になってきました。

 ペンタックス(株):2006年12月21日付ニュース
  HOYA とペンタックスの経営統合に向けた基本合意について(PDF)

 「朝日新聞」:2006年12月22日付記事
  HOYAとペンタックス、来秋合併 総合光学メーカーに

 日経BP「Tech-On!」:2006年12月21日付記事
  【速報】HOYAとペンタックスが合併へ

 日経BP「Tech-On!」:2006年12月21日付記事
  【続報】「HOYAペンタックスHD」は医療を狙う、記者会見詳報

 Impress「デジカメWatch」:2006年12月21日付記事
  HOYAとペンタックス、経営統合に向け基本合意
  ~デジタルカメラは、ペンタックスのイメージング事業を維持

 Impress「デジカメWatch」:2006年12月21日付記事
  HOYAとペンタックス、合併に関する記者会見を開催

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2006年12月20日

写真好きに朗報! アスカネットが「みてみてぶろぐ」を本日スタート

無料で安心、違法画像通報機能をポータルサイトに用意
ブログ内にも「利用規約」や「お問い合わせ」へのリンクを明示

(株)アスカネットが写真好きのための新サービス、みてみてぶろぐ(β版)の試験提供を本日スタートしました。同社は8月14日付記事でもご紹介した、1冊から手軽に作れる写真集「マイブック」のネット受注サービスなどを展開している企業です。

 アスカネット:2006年12月20日付ニュース
  魅せるブログ「みてみてぶろぐ(β版)」
  ~大型フォトビューワーなど、写真を見る・魅せるための充実の機能~

 アスカネット:2006年12月20日付ニュース
  写真をメインにした魅せるブログ『みてみてぶろぐ(β版)』を開始
  ~スライドショーやコメント付与機能など、写真閲覧の楽しみを提供~

 「デジカメWatch」:2006年12月20日付記事
  アスカネット、写真閲覧に特化したBlogサービス
  ~スライドショウやSNS機能を搭載

*本日よりアスカネット「みてみてぶろぐ」のテスト運用を始めました。
 タイトルはすべて仮称です(テストなので未発表の画像はありません)。

 「むさしの散歩」:http://www.mitemiteblog.jp/sanpo/
 「むさしの里山人」:http://www.mitemiteblog.jp/satoyamajin/
 「関東甲信越写真の旅」:http://www.mitemiteblog.jp/trip/
 「比企の里だより」:http://www.mitemiteblog.jp/furusato/

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2006年12月18日

ペンタックスK10Dで撮る名残を惜しむ里山の紅葉

暖冬のおかげで遅くまで残っていた紅葉

ペンタックスK10Dが届いた11月30日。どうにか地元の紅葉シーズンに間に合ったかと思いきや、仕事優先で撮影を先延ばししているうち、銀杏も楓も風に吹かれ、みんな散ってしまいました。
品薄で正月明けまでお預けの人からみれば何とも勿体ないバチ当たりな話しだと思い、もう少し南へ行けば少しは残ってるかな? と車を走らせていたら、お隣のときがわ町と、さらにそのお隣の越生町で見つけることができました。
先週末、比企や奥武蔵はお天気にも恵まれ、今年最後の秋の名残を惜しむハイカーで賑わいました。

 ↓クリックで原寸画像が開きます(3872×2592ピクセル、トリミングなし)。
   すべてアドビ「Photoshop Lightroom」ベータ4でRAW現像。

 画題:『弘法山妙見寺の大銀杏 1』
 埼玉県入間郡越生町成瀬にて 2006年12月15日撮影
 Lens:SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO

 画題:『弘法山妙見寺の大銀杏 2』
 埼玉県入間郡越生町成瀬にて 2006年12月15日撮影
 Lens:SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO

 画題:『弘法山妙見寺の大銀杏 3』
 埼玉県入間郡越生町成瀬にて 2006年12月15日撮影
 Lens:SMC PENTAX-DA 16-45mmF4ED AL

 画題:『弘法山妙見寺のもみじ 1』
 埼玉県入間郡越生町成瀬にて 2006年12月15日撮影
 Lens:SMC PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited

 画題:『弘法山妙見寺のもみじ 2、3』
 埼玉県入間郡越生町成瀬にて 2006年12月15日撮影
 Lens:SMC PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited

 画題:『去り行く里の秋 1』
 埼玉県比企郡ときがわ町田黒にて 2006年12月16日撮影
 Lens:SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO

 画題:『去り行く里の秋 2』
 埼玉県比企郡ときがわ町田黒にて 2006年12月16日撮影
 Lens:SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO

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ペンタックスK10Dでスポーツを撮る

サッカー、バスケットボールの撮影に初挑戦!

先週から今週にかけて、卒業アルバム用に2つの高校の校内球技大会を撮影中です。種目はサッカーにバスケットボール。学年ごとの思い出のページに使う分なので枚数はそれほど要らないのですが、ここはぜひ、期末試験の後のリフレッシュした生徒さんたちの表情を、活き活きと撮りたいところです。

早速、中間報告です。K10Dが思いのほかスポーツ撮影にマッチすることが分かり、私はすっかり嬉しくなってしまいました。決め手はペンタックスご自慢の「11点オート」AF。被写体が画面のどこへ動いても11か所に配置した距離センサーで自動判別し、ピントを素早く合わせてくれるのです。
この種の撮影にこれまで用いてきたニコンD200も距離センサーを11か所に配置し、被写体が画面のどこへ動いても自動的に追いかけてくれるのですが、最初に必ず指定したセンサー位置で被写体をマークする必要がありました。そのため、一度ファインダーから被写体を逃すと初めから操作のし直しになり、撮影に集中しにくい場合もあったのです。

このK10Dと同様のオートフォーカスシステムは最近他社製品にも採用されましたが、縦線、横線どちらのパターンでも測距できるクロスセンサーを中央9か所に配置し対応しているのは、今のところペンタックス(及びサムスン)だけのようです。同社のデジタル一眼レフでは3年前の初代*istDから採用され、この夏のK100Dではかなり改良の跡を感じることができましたが、まだ動き回る被写体を的確に追えるレベルではありませんでした。それがK10Dでは見違えるほど完成度が高まっていたので、正直驚いてしまったのです。これには、高い安定性の得られる専用バッテリー化でシステム全体の動作が速くなったことが功を奏しているのでしょう。シャッターレリーズタイムラグの短縮も併せ、相乗効果が得られているようです。

使用レンズはシグマ製の、APO 70-300mm F4-5.6 DG MACROという店頭価格2万円台の望遠ズームがメインです。かなり安価ですが、なかなか良く写ります。フォーカス時はレンズ先端がフードごと回転しながら繰り出されるタイプで高速オートフォーカスには不利なのですが、それでもサッカーやバスケットボールならではのプレイヤーたちの複雑な動きを追えたのですから、K10Dの性能は大したものです。ただ、体育館内ではやや望遠過ぎて使いにくく、公式試合となるとストロボも禁止なので、来春発売予定の明るい高性能中望遠ズーム、SMC PENTAX-DA☆ 50-135mmF2.8ED [IF](仮称)を入手し、K10Dの本領がどこまで発揮できるか試してみたいと思っています。
なおK10Dのオートフォーカスシステムは、コントラストが低くても緻密な凹凸を持つ被写体が得意なようで、薄暗い裸電球の下でも正確にピントを合わせてくれます。カメラ雑誌のテスト記事などでよく用いられるチャートには見られないパターンですが、これは山肌や樹木などの風景、無地に近い動植物の模様や衣類など、実際に対象とされやすい被写体を想定した設計方針なのでしょう。

K10Dは撮影後のデータの内部処理も速く、高速タイプのSDメモリーカードとの組合せでカタログスペック以上の使いやすさが得られます。RAW撮影時の連続撮影コマ数は公称9コマですが、書き込みが速いため実際は12コマ連写でき(非圧縮のDNG形式の場合)、その後も約1秒間隔で撮影を続けられることが分かりました。D200と違って書き込み中の再生はできないものの、待たされても大体10秒以内なので不便を感じません。しかもカメラを構えたまま片手操作で拡大、スクロールもでき、素早く画面の細部をチェックできます。スポーツシーンだけでなく、広告撮影でクライアントさんやデザイナーさんと確認し合う際も相手をお待たせすることがありません。K100D以前のペンタックスデジタル一眼レフはこの点が不十分で仕事に使いずらかったのですが、K10Dなら十分現場に対応できると感じました。

K10Dでのスポーツ撮影は新鮮そのものでしたが、私の場合たまらない懐かしさも覚えました。高校時代、写真部(正しくは「光画部」といいました。言うまでもなく、某人気コメディ漫画のモデルです)に属していた私はアルバム委員も兼ね、当時愛用していたKMやMEsuperで体育祭や運動部の練習風景などをスナップしていたのです。
お世話になったフォトスタジオの社員さんからは「おかげで例年になく良いアルバムになりました」と褒めていただき(当時はまだ印刷費が高く、校内行事の撮影の多くは生徒のボランティアでした)、また母校へ遊びに来た部の先輩からも「俺らの代のとは出来が違う」と感心されました。さらに加えると、遠足のページ用に電車内で撮った担任の先生や級友たちのスナップが某鉄道趣味誌のフォトコンテストで特別賞を受賞し、憧れの有名カメラマンのHさんから組み写真の構成力を評価していただくという貴重な体験も得られました。進路指導で担任の先生から「吉川はこういう方面に進んだ方がいいよ」と助言を授かり、それがきっかけで志望校を決めたわけでもないのですが、紆余曲折を経た末そのままその通りになろうとは夢にも思っていませんでした。

あれから四半世紀、ペンタックスはますます進歩を遂げています。
誤解の無いようあえて書き添えますが、K10Dは決してノスタルジックなカメラではありません。
私もまた、一層精進するのみです。

「K10D体感&トークライブ」のレポートが、講師で写真家の谷口泉さんが主宰される「美写華写ブログ」(ペンタックス提供)にて連載中です。12月25日付記事によると、K10Dのレスポンスの速さの鍵はやはり、電源にあるようです。ご一読をおすすめします。

*お断わり

たいへん残念ですが、今回のスポーツシーンの作例は肖像権、著作権、ほか諸般の事情によりお見せすることができません。何とぞご了承ください。

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2006年12月11日

ペンタックスK10Dを手にして思ったこと

撮影会や講習会、フォトコンテストなどのイベントを通じ、日本のカメラメーカーは皆、長年にわたりアマチュアカメラマンの育成に力を注いできました。これは世界に誇って良い、立派な文化だと思います。
中でもペンタックスは、一眼レフカメラを大衆に普及させ、イベントに参加する受講者とプロの講師との間でカメラの上下差を無くし、同じ条件で写真の勉強に臨める環境を整えたという輝かしい功績を持っています。
1964年発売のSPは正にそのことを象徴するカメラで、その後もモデルチェンジを重ねつつ、ペンタックスを代表するロングセラー機になりました。

今日、一眼レフと言えばデジタル一眼レフが当たり前の時代になりましたが、先行メーカー各社が推し進めてきた営業戦略は、次の2点に集約されます。

 1.コンパクトデジカメユーザーに対する買換えの促進。
 2.フィルム一眼レフユーザーに対する買換えの促進。
   (この記事の本題になります。)

コンパクトデジカメで写真を撮り始めたユーザーは、フィルムの選び方もカメラへの出し入れの仕方も知りません。だからレンズ交換のできる一眼レフを使いたいと思ったとき、当然コンパクトデジカメと同じように操作できるデジタル一眼レフを望みます。つまりスナップ、ポートレート、風景、複写など、撮りたいシーンに応じたモードを選べば、あとは全部自動設定してくれるようなカメラです。
一方フィルムを選んで使い分けてきた一眼レフユーザーなら、デジタル一眼レフにも似たような選択機能を望みます。やはりそれも、スナップ、ポートレート、風景、複写など、撮りたいシーンに応じたモードを選べば、あとは全部自動設定してくれるようなカメラということになります。
露出も色調もピントも何でも自動設定でカメラ任せ。もちろん、ユーザーの思い通りに使えるよう手動設定もできるカメラが大半ですが、誤操作防止の意味もあるのか、その多くは撮影中に設定を切り替えにくい構造になっているようです。こうした傾向はプロ向けのデジタル一眼レフでも同じで、プロの間でも自分の専門分野に直接関係ないモードや手動設定機能には触れたがらず、ロックがかけられればそれで封印してしまう人も最近は少なくないようです。モードや設定を一度決めたら、あとはひたすら撮ることに専念する。ある意味それも、プロならではの合理的精神の現れではあるのですが。

これまでフィルム一眼レフ市場を開拓してきたメーカーとしては、デジタル一眼レフの事業展開でもその市場を失うわけにはいきません。プロにもアマチュアにも馴染みの無かったデジタル一眼レフをいかに買換えやすい商品に仕立てるか。それを考えることは、ビジネスとしてはセオリー通りかもしれません。
しかしここで、率直に問いたいことがあります。デジタル一眼レフのセールスポイントとは、そもそもどのようなものだったのでしょう?

フィルムカメラにはフィルムカメラの、デジタルカメラにはデジタルカメラのメリットがそれぞれあり、両者は本来どちらか一方に置き換えられるものではないと私は考えます。フィルムは古くからありますが、決して古い、時代遅れのメディアではありません。ただ、パソコンやインターネットが普及したことで新たにそれらと親和性の高いデジタルカメラのメリットが評価されるようになり、その需要の占める割合が圧倒的に増えただけのことです。
パソコンやインターネットが使えない、またその必要にさえ迫られていないカメラユーザーにもデジタル一眼レフへの買換えを促せば、メーカーはさぞ儲かるでしょう。でも、それがお互いにとって幸せな関係かというと疑問が残ります。
何でも自動化され、これなら安心と思い無理して買換えた人たちは今、自分がフィルム撮影で培ってきたノウハウを手放したことについて悔やみ、機械に使われる寂しさに悩まされているではないでしょうか。それがプロ社会の出来事なら、さらにお金に使われ働かされる寂しさまで味わうことになるのです。

今、私の手元には2台のペンタックスK10Dがあります。このデジタル一眼レフにはコンパクトデジカメのような露出に関するシーン別の自動モードも、フィルムを使い分けるような色調に関するシーン別の自動モードも備わっていません。コンパクトデジカメからの買換えにも、フィルム一眼レフからの買換えにも、およそ向きません。
その代わり、「ホワイトバランスって何ですか?」「RAW撮影の柔軟性とはどういうことでしょう?」という問いに、カメラで撮影して見せながら「例えばこんなことですよ」と、再生モニター上で説明することができます。デジタル一眼レフのセールスポイントとは何か、K10Dほど原点に返って真摯に追及されたカメラを、私はこれまで見たことがありません。

デジタル撮影による写真の文化はまだ歴史が浅く、その流通コストの削減手段として有望なブロードバンドのインターネット通信やオンデマンド印刷なども、技術的にはまだまだ黎明期にあります。
K10Dの前ではプロもアマチュアも、またベテランも初心者もありません。徒弟制度や労使間にあるような上下関係も、また川上や川下といった仕事を請け負う上での力関係のようなものもありません。
デジタル化されたデータを末永く社会に役立てるには、コンテンツの制作から活用に至るまで、実に多くの分野に携わる人たちの相互協力が必要になります。だから皆、お互いに先生であり生徒です。求められるのはそうした関係を育むための知識や情報、経験を蓄積し交換し合うコミュニティの形成です。

関連製品を提供するメーカーにも、そのサポートが期待されています。

 私たちも幸せものです。

拝啓 ペンタックスさま。
増産に次ぐ増産、誠にご苦労さまです<(_ _)>
このようなカメラを世に送り出していただき、
私たちペンタックスユーザーもたいへん幸せものです。
この度迎えられたペンタックスの転換期、さらには
来年度迎えられるペンタックスブランド誕生50周年記念を
心よりお祝い申し上げます。
これからもご一緒に、写真文化を育んで参りましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。

敬具 ペンタックスユーザー ヒロキ

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2006年12月10日

ペンタックスK10Dをアドビ「Photoshop Lightroom」デモ会場で展示

 画題:『初冬の日光男体山』
 埼玉県比企郡小川町東小川 自宅の窓から
 2006年12月10日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:SMC PENTAX-FA☆ 400mmF5.6ED[IF]
 アドビ「Photoshop Lightroom」ベータ4でRAW現像
 クリックで原寸画像が開きます(3558×2382ピクセル、トリミングあり)。

今日の関東平野は朝から冬型特有の高気圧に覆われ、昨日降った雪を残した日光男体山が、自宅の窓からくっきりと望めました。写真はお昼頃、K10Dに400mmの超望遠レンズを着け手持ち撮影したものです。このレンズは極めてコンパクトでホールディングバランスが良く、被写体へ2メートルまで寄ることもでき、希少植物を保護柵越しにアップで撮りたいときなどとても便利です。今はもう生産されていませんが、ぜひ復活してほしいレンズのひとつです。
さて撮影条件ですが、ピントはAFで中央の山肌に合焦。絞りはF8なので、手前の丘陵の雑木林まで被写界深度内に入っています。感度はISO100、シャッター速度は1/640秒を選び、ややアンダー気味の露出で雲や雪の陰影を強調してみました。またRAW現像にはアドビ「Photoshop Lightroom」ベータ4を用い、遠景を鮮明に見せるため、コントラストや彩度、シャープネスは少し高めに調整。前景の日陰部分はシルエットにしました。ノイズ処理は特にせず、ホワイトバランスはカメラの自動調整をそのまま反映させています。
油断すると微細なぶれが生じやすい条件ですが、手ぶれ補正機構と解像感重視のローパスフィルター、高性能レンズとの相乗効果で素晴らしく鮮鋭な描写が得られました。同時に、K10Dの画像処理系と「Photoshop Lightroom」の現像エンジンとの相性の良さも確認できました。

ペンタックスがPhotoshopユーザーのイベントに出展

 「デジカメWatch」:2006年11月28日付記事
  Photoshopユーザーの祭典「Photoshop world “BIG DEBAT"」が開幕
  ~Lightroomの新機能やPhotoshop CS3をデモ、K10Dなどの展示も

 「デジカメWatch」:2006年12月4日付記事
  Photoshopの伝道師「ドクター」ラッセル・ブラウンにインタビュー
  ~Lightroom 1.0は来年早々に

 アドビ システムズ:製品/「Photoshop CS2」
  「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」
  同、ダウンロードページ同、要望/不具合報告コメントフォーム

11月28、29の両日、東京都内でアドビの定番レタッチソフト「Photoshop」ユーザー対象のイベント、「Photoshop world conference & expo 2006 “BIG DEBAT”」(PWE2006)が開催されました。私は残念ながら行けませんでしたが、製品版にほぼ近付いた「Photoshop Lightroom」のデモンストレーションがプログラムの目玉だったので、ぜひ行きたかった催しでした。
上記「デジカメWatch」で報じられている当日のレポートによると、協賛企業としてカメラメーカーからはマミヤ・デジタルイメージング、そしてペンタックスがブースを出展したそうです。両社とも大型イメージセンサー搭載の本格的スタジオ向けデジタル一眼レフを開発している数少ないメーカーで、マミヤからは発売中のZDが、ペンタックスからは645 Digitalの試作機とともにK10Dも出品されました。K10Dは既報のとおり、国内メーカーのデジタル一眼レフでは始めてアドビ提唱のRAWファイルフォーマット「DNG(デジタルネガティブ)」をサポートするカメラです。この点について、今回の展示で来場者からどのような評価や期待が寄せられたのか、私も1ユーザーとして非常に気になっているところです。

「Photoshop Lightroom」バリエーションへの期待と
ペンタックスへの期待

「Photoshop」シリーズの中で「Lightroom」はプロユースまでカバーする「CS」の補完役という位置付けですが、一般のカメラユーザーにとってもRAW現像だけでなくあらゆる画像ファイルの管理、検索、閲覧に役立ち、たいへん魅力的なソフトになりそうです。これまもで「Photoshop」の廉価版が、バンドルソフトとして様々なタイプのデジタルカメラやスキャナーなどに同梱されてきたように、「Lightroom」にもいつかそのような同梱用のバリエーションが登場することを、私は願わずにはいられません。
現像ソフトは長い間、RAWファイル形式が機種固有のものに限られてきたことから、どうしてもカメラメーカー自身が純正ソフトを半ばアフターサービスとして提供するしかありませんでした。ですが「Lightroom」と比べての正直な感想を言うと、カメラメーカーが自社製品に限られたユーザー対象の画像処理系ソフトを独自開発していくことは、技術的にもコスト的にもそろそろ限界に来ているような気がするのです。
PWE2006へのDNGをサポートするK10Dの出品は、ペンタックスにとって大きな意味があるように思えます。K10Dの同梱ソフト「PENTAX PHOTO Browser 3」でペンタックス独自RAW形式のPEFをDNGに変換することはできますが、圧縮RAW保存を選べないのでファイルサイズがより大きくなり、不便に感じるときがあります。撮影時にPEFでもDNGでも圧縮RAW保存されるK10Dは、その点でも頼れる存在です(シーンにより、圧縮率はPEFの方が高くなります)。DNGでの撮影時よりファイルサイズがより大きくなり、不便に感じるときがあります。なお、PEF撮影では圧縮保存されるため、ファイルサイズはシーンにもよりますが、DNG撮影より小さくなります(最初の記述に誤りがありました。お詫びして訂正します)。
近い将来「Lightroom」を同梱することこそ、デジタルカメラ製品へのユーザーの信頼を高める重要な条件になるかもしれません。また、そのカメラメーカーが「Photoshop」シリーズのデモやセミナーなどでも紹介され、ユーザーから直接製品への要望を聞くことのできる絶好の機会にもなるでしょう。同時に、そのような会場へ足を運ぶこと自体がユーザーにとって一種のステイタスシンボルになり、製品の付加価値を一層高めることにもつながるはずです。
ペンタックスはK10Dの発売を機に、今回のようなイベントへ積極的に出展したり各地でトークライブを開催したりするようになりました。将来の展開が、ますます楽しみになってきました。

「K10D体感&トークライブ」のレポートが、講師で写真家の谷口泉さんが主宰される「美写華写ブログ」11月22日付記事(ペンタックス提供)に掲載されています。ご一読をおすすめします。

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2006年12月09日

ペンタックスK10Dの新聞広告

「朝日新聞」、「読売新聞」の全国版朝刊に掲載された全面広告

「ペンタックスK10Dの全面広告(左側)」
(2006年11月28日付「朝日新聞」朝刊掲載)
*クリックで大きな画像が開きます(手持ち複写で失礼します)。
(同じ面付にある右側の広告も、なかなか見応えありますね。)

K10Dが届いて1週間が過ぎましたが、ぜひおニューのうちに撮りたいと思っていたものがありました。それがこの、11月28日付「朝日新聞」朝刊に掲載された「ペンタックスK10Dの全面広告」です。
この広告は、ペンタックスの公式サイトで前もって予告されていたものでした。

 ペンタックス(株):2006年11月21日付お知らせ
  新聞全面広告の掲載について

私は最初、このような広告計画のお知らせは、主に販売店や株主に向けて、メーカーとしての販促活動を周知するためのものだろうと思っていました。ところが、写真家の谷口泉さんも「美写華写ブログ」11月22日付記事(ペンタックス提供)で話題に取り上げられたことから、どうもそれだけではなさそうだ、という気配が察せられたのです。果たして当日の広告の趣旨は、ペンタックスの公式サイトへ発売前から熱心にK10Dのページを見にきていた、そしてときには「美写華写ブログ」へのコメントやトラックバックで、あるいはメールで様々な意見を伝えてきた私たちペンタックスユーザーへの、お礼の手紙だったのです。

ペンタックスは幸せものです。

「拝啓 ペンタックスユーザーのみなさん」で始まるこの手紙は、あいさつの中で「プログをはじめネット上で数え切れないくらいの意見が交わされ、我々も一喜一憂しながら、たくさんの気づきをいただきました」と綴られ、最後に「これからもみなさんに喜んで使ってもらえるカメラを生み出すために製品づくりに反映させますので、ドンドン声をいただけたらと思います。 敬具 ペンタックス」と結ばれています。
中学進学を控えた春、「アサヒペンタックスKM」を初めての一眼レフとして手にして以来、もう30年近くなります。その間、ペンタックスからは様々なアフターサービスの手紙をいただきましたが、受け取ったとき今回ほど感激した手紙はありませんでした。
ネット上で済ませるのではなく、あえて全国紙の全面を使い切り堂々と公開されたメッセージ。「K10D」は紛れもなく、私たちのカメラです。この手紙を私は、生涯の記念として大切にとっておくことにしました。

手紙の全文を、ここにご紹介いたします。

 ペンタックスは幸せものです。

拝啓 ペンタックスユーザーのみなさん。
今回はちょっと趣向を変えて、
お手紙でお伝えさせていただきます。

では、まずはじめに、お礼を。
7月発売のスタンダード機「K100D」は
おかげさまで販売好調です。
プログをはじめネット上で
数え切れないくらいの意見が交わされ、
我々も一喜一憂しながら、たくさんの気づきをいただきました。
これも愛用してくれたみなさんがいたからに他なりません。
本当にありがとうございました。
そして11月30日。
みなさんの声を反映させた「K10D」を発売します。
中級機として充分な機能を追求し、
最高のコストパフォーマンスを目指しました。
発売を延期してご迷惑をおかけしましたが、
必ずや満足していただける仕上がりだと自負しています。
いつの時代も新しい「K」が出る時は、
ペンタックスの転換期であったように、
今回の「K10D」もそうなるのではと、内心ワクワクしています。

カメラにとっての幸せとは、みなさんに使ってもらうこと。
だからこそペンタックスは幸せものです。
これからもみなさんに
喜んで使ってもらえるカメラを生み出すために
製品づくりに反映させますので、
ドンドン声をいただけたらと思います。

敬具 ペンタックス

「ペンタックスK10Dの全面広告」より
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2006年11月11日

アドビ「Photoshop Lightroom」でJPEGをDNGへ変換

「Photoshop Lightroom」でもJPEGやTIFFをRAWとして処理

アドビが公開中の「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」で、JPEGやTIFF(8bit、16bit)などの画像ファイルを同社が提唱するDNG(Digital Negative)形式のRAWフォーマットへ変換できることに気付きました。

10月23日記事で私は本ソフトの特長に触れ、「JPEGモードで撮影した写真の色調補正にも有効」との見出しを付け、

興味深いのは、RAW現像のための基本補正に含まれる各種調整機能を操作しても、JPEG形式やTIFF形式などの画像の色調補正ができるということです。
JPEGやTIFFなどの画像をRAWデータとして処理する技術は先述の市川ソフトラボラトリーが「SILKYPIX RAW Bridge(シルキーピックス ロウ ブリッジ)」の名称で開発し、同社の「SILKYPIX Developer Studio 3.0」で実用化しました。「Photoshop Lightroom」にもこれと同様の技術が採用されているのかどうかは、アドビのコメントがまったく無いので分かりません。

と書きましたが、これで「Photoshop Lightroom」も「SILKYPIX Developer Studio 3.0」と同様に、JPEGやTIFFなどの画像をRAWデータとして処理できることが判明したことになります。

「Camera Raw」でもJPEGやTIFFの調整ができる

JPEGやTIFFから「Photoshop Lightroom」でDNGへ変換したファイルを、試しに「Photoshop CS2」で開いてみました。すると付属のRAW現像機能「Camera Raw」プラグインが起動し、各種調整機能を適用することができました。旧バージョンの「Camera Raw」でも、たぶん調整できるのではないかと思われます。他のソフトについては機会がなく試していませんが、このようなフォーマット変換機能により、DNGをサポートするあらゆるRAW現像ソフトの調整機能が適用できるようになるかもしれません。また、DNG変換後のファイルサイズがJPEGの場合は大きくなってしまいますが、TIFFは元のサイズより小さくなることから、そのアーカーブ用としても期待ができそうです。
なお、「SILKYPIX Developer Studio 3.0」には今のところ、このようなDNGへの変換機能はありません。DNGファイルの読み込みにも制限があり、JPEGやTIFFから変換したDNGファイルを開くことはできませんでした。

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2006年11月07日

ペンタックスK10D&アドビ「Photoshop Lightroom」への期待 (2)

K10Dと「Photoshop Lightroom」との
橋渡しになりそうなDNGとXMP

ペンタックス純正画像管理ソフト「PENTAX PHOTO Browser 3(Ver.3.00)」には、「ペンタックスRAWファイル(PEF)をAdobe Systems社提唱のDNG(Digital Negative)形式のRAWフォーマットへ変換」(ペンタックス公式サイト関連ページより)する機能があります。今のところ変換後のDNGファイルを同ソフトで閲覧、印刷などすることはできませんが、K10DのDNG形式でのRAWモード撮影対応に合わせ、Ver.3.10からはいよいよ可能になるようです。

同時にペンタックス純正RAW現像ソフト「PENTAX PHOTO Laboratory 3」も、Ver.3.00から3.10へアップデートし、K10Dで撮影したDNGファイルと「PENTAX Photo Browser 3」で変換したDNGファイルであればJPEGやTIFF(8bit、16bit)などの画像ファイルへ変換できるようになります。これは、DNGがExif Print(イグジフプリント、規格名称Exif 2.2)準拠の撮影情報に加え、カメラメーカー独自の撮影情報(各種撮影モードや画像仕上のパラメーターなど)も仕様の範囲内で埋め込めるようになっていることから、実現できたものです。
なお誤用防止のためか、他社のソフトで変換したり埋め込み情報を編集し再保存するなどしたDNGファイル、他社のデジタルカメラで撮影されたDNGファイルに関しては、ペンタックスのソフトでは予め開けないようになっています。

さて、ペンタックスがDNGのサポートを本格的に始めることで、新たな期待が沸いてきました。それは、撮影時にカメラで設定した彩度やコントラストなど画像仕上のパラメーターを、アドビ「Photoshop Lightroom」での閲覧や印刷、RAW現像時の色調補正へもある程度正確に反映できるようになるのではないか、ということです。そのための情報も、DNGファイルには「XMP(Extensible Metadata Platform)」という仕様に基づき、埋め込むことができるからです。
XMPは様々なファイルに対し、パソコン内やネット上での検索、利用、整理などに役立つ情報をそれらとリンクするサイドカーファイルとして書き出すかメタデータとして埋め込む際の仕様で、アドビがオープンソース・ライセンスで提供しているものです。そのため、他社も製品に応用することができます。ペンタックスがデジタルカメラやソフトウェアに採用すれば、同様にXMPを採用したあゆるソフトで、撮影意図を損ねることなくRAWファイルが扱えるようになるはずです。

 アドビ システムズ:製品
  デジタルカメラRAWファイルのアーカイブ形式、DNG(Digital Negative)

 アドビ システムズ:ソリューション
  アドビの法人向けソリューション:XMP

 「PC Watch」:山田祥平のReconfig.sys 2004年7月16日付記事
  メタデータとAdobeの思惑

「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」は、同ソフトで開いたファイルの画像仕上や色調補正に関するパラメーターをXMPサイドカーファイルとして書き出し利用することはできますが、それ以外のXMP仕様に基づくサイドカーファイルや埋め込み情報には、まだ完全に対応していません。今後製品化に向けて、自社製品を含め他のソフトとの互換性も高められることが期待されます。

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2006年11月02日

ペンタックスK10D&アドビ「Photoshop Lightroom」への期待 (1)

「Photoshop Lightroom」の楽しさ

アドビが10月19日に公開した総合画像管理ソフト、「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」(10月23日付記事参照)を試用中です。いや、素晴らしいです。本当に。
RAWモード撮影は複雑な光線下の撮影でこそ威力を発揮するもの、それだけに現像ソフトの調整も複雑で時間を要するもの、といった従来のイメージがどこかへ吹き飛んでしまうほどです。

これから試用してみようという方にはぜひ、「クイック現像」の自動調整機能「設定:AUTO」を試されることをお勧めします。パソコンのマシンパワーにもよりますが、複数のカットもまとめて処理することができます。
私のパソコン(Windows XP)のスペックはCPUがCeleron 2.4GHz、メモリが1.0GBですが、ニコンD200のRAW圧縮ファイル(1000万画素)でも、20~30カット程度なら一度に難なく処理できます。
もし処理途中で動作不安定になりパソコンを再起動させなければならない事態が生じても、そこまでの作業内容はソフトが一時ファイルに記録してくれるので、すぐに続きを再開できます。
他社のソフトや「Photoshop」付属のRAW現像機能「Camera Raw」にも、似たような自動調整機能はあります。しかし、実用性は今一歩というのが正直な感想でした。その点、ハイライトやシャドウの現像も別々に操れる「Photoshop Lightroom」なら、精度の高さはまったく別次元です。自動といっても、各機能の調整量はスライドバーに反映されるので、結果を元に手動で表現意図に沿った再調整を加えることもできます。つまり、ソフトが示してくれる模範解答を出発点に、要領よく調整が進められるというわけです。
レタッチソフトによくある自動調整はブラックボックス的なものがほとんどで、最初からそれに頼ると、どんなときどこをどう調整すればよいかノウハウがなかなか身に付かなくなる心配があります。それに比べ「Photoshop Lightroom」の自動調整は、むしろ楽しい先生になってくれる手放しがたい存在だと思います。今後もさらに精度向上が期待できそうで、実に楽しみです。

ところで、この「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」の「ヘルプ」を参照すると、「Lightroom〝5つのルール」を読むことができます。その最後の5つめが、とても気が利いていて説得力があるのです。まだの方はちょっと覗いてみて下さい。

K10DもDNGで「Photoshop Lightroom」に対応
-「画質革命」とRAW現像革命(?)との出会いはもうすぐ-

あとおよそひと月で、待ちに待った発売日を迎えるペンタックスK10D。ところが「Photoshop Lightroom」(2007年前半に英語版から発売予定)は、まだ発売されていないカメラのRAWファイル形式には対応していません。
でも安心。ペンタックスの方が「Photoshop Lightroom」でのRAW現像に対応してくれたからです。それは、アドビが2004年に提唱し始めた汎用RAWファイル形式、DNG(Digital Negative=デジタルネガティブ)を採用することで実現しました。DNGは、「デジタルカメラで撮影されたRAWファイル用に新たに開発された、一般に公開された標準アーカイブ形式」(アドビ公式サイト関連ページより)です。

 アドビ システムズ:製品
  デジタルカメラRAWファイルのアーカイブ形式、DNG(Digital Negative)

ペンタックスはカメラ同梱の画像管理ソフト「PENTAX PHOTO Browser」をこの夏、Ver.3.00へアップデートし、「ペンタックスRAWファイル(PEF)をAdobe Systems社提唱のDNG(Digital Negative)形式のRAWフォーマットへ変換」(ペンタックス公式サイト関連ページより)する機能を追加しました。この変換はたいへんスピーディです。さらにそれだけではなく、K10Dは「PENTAX PHOTO Browser」が利用できない環境でも困らないよう、カメラ専用RAWファイル形式であるPEFのほか、DNG形式でのRAWモード撮影も選べるよう設計されているのです。これは、日本のメーカーのデジタル一眼レフとしては初の試みです。
DNGの採用で、今後のペンタックスの新機種は発売時から、「Photoshop Lightroom」をはじめDNGに対応するあらゆるソフトで、RAWファイルの閲覧、現像、印刷ができるようになりました。また将来、使用中のソフトが旧バージョンとなり新機種の専用RAWファイル形式への対応サポートが終了した場合でも、ただちに新バージョンへのアップデートに追われなくて済むようになりました。

*ご参考

アドビは無償で、各社デジタルカメラの専用RAWファイルをDNGに変換するソフト「Adobe DNG Converter」を提供しています。新機種にも順次アップデートで対応するほか、販売が終了した機種も広くサポートしています。現在はすでにデジタルカメラ事業から撤退したメーカーの製品にも対応しているので、現時点でDNGに変換しておけば、将来そのカメラのメーカーが純正RAW現像ソフトのサポートを打ち切るようなことがあった場合でも、アドビをはじめ他社のDNG対応ソフトでRAW現像することができます。

「Photoshop Lightroom」は写真関係の学校に浸透するか?

10月16日付記事で「写真入門の教材としてのデジタルカメラシステム」と題して書いたことですが、私は写真関係の学校での実習に関して「撮影をサポートするソフトはカメラメーカー純正が前提」との考えから、次のように意見をまとめました。

RAW現像ソフトのパラメータがカメラ側と連動していれば、カメラで設定した彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどが正確に反映された画像をパソコンディスプレイで再生でき、かつそれらを再調整することでそれぞれの効果もシミュレーションできます(彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどのカメラ側での設定については、8月8日付記事もあわせてご覧ください)。パラメータはファイル化して保存、再利用でき、実習経験の蓄積や分析にもたいへん役立ちます。カメラメーカー純正ソフトなら撮影時の各種情報も最大限に参照できるので、撮影をサポートするためのソフトとして、レタッチソフトより先に使い方を習得すべきだろうと思います。

しかし「Photoshop Lightroom」を試用し、このソフトが写真関連業界の標準ソフトとして予想以上に有望なことが分かってきたことから、私の考えも少しずつ変わり始めています。冒頭でも「楽しい先生になってくれる手放しがたい存在」と書いたように、「Photoshop Lightroom」はデジタル写真撮影の学習にもたいへん役立つソフトです。もともとフォトグラファーが撮影依頼者との間でプレゼンテーションやディスカッションに利用しやすいよう開発されたソフトですから、学校での講義や実習にも当然利用しやすいはずです。何より、世界中から厚い信頼を寄せられているメーカーのソフトですから、職業訓練の意味でも、学術研究の意味でも、また各社の同種のソフトを比較評価する力を養う意味でも、「Photoshop Lightroom」の習得を重視する学校は今後増えていくのではないかと思われます。特定カメラメーカーの指定撮影機材やその純正ソフトの貸し出しを受けての実習は、行うにしても入学当初の基礎段階に止まることになるかもしれません。

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2006年10月23日

アドビが「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」を公開

2007年4月30日まで無償で試せる

10月19日、アドビは「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」を公開しました。
本ソフトは各社デジタルカメラのRAW現像やRAW印刷、閲覧にも対応した総合画像管理ソフトで、定番のレタッチソフト「Photoshop」シリーズを補完するものです。日本語版パブリックベータはこのバージョンで初めて公開され、Windows版、Macintosh版とも2007年4月30日まで無償で試すことができます。試用時は他のソフトを閉じ、読み込むファイルは用心のため事前にバックアップを取っておいた方が良いでしょう。要望や不具合は、次のアドビ公式サイトのコメントフォームから報告できます。
なお、英語版の発売は2007年前半ですが、日本語版については未定。価格は「Photoshop Elements」(5.0の通常パッケージ版は税込14,490円)より少し高くなる見込みとのこと。

 アドビ システムズ:製品/「Photoshop CS2」
  「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」
  同、ダウンロードページ同、要望/不具合報告コメントフォーム

 「デジカメWatch」:2006年10月19日付記事
  アドビ、「Lightroom日本語版β4」を公開

 「デジカメWatch」:2006年10月19日付記事
  アドビ、Lightroom β4 日本語版の説明会を開催

まるでショーを演じるように

写真館対象のセミナーなどでよく、講師の方に「Photoshop」による色調補正の手順を見せていただく機会があるのですが、その鮮やかな捌きには思わず見とれてしまいます。しかし、もともと合成などのデザインツールとして開発された「Photoshop」では、フォトグラファーによく使われる色調補正関連の各機能が普段は収納された状態で、それも1つずつしか使うことができません。そのため、素早く大量の画像を処理するには相当の熟練が必要になります。「Photoshop Lightroom」はこの難題を解決してくれる、現れるべくして現れた待望のソフトなのです。

例えば、写真館で撮ったばかりの姿をお客さまに選んでいただくとき、また広告の撮影現場で写真を見ながらクライアントさんやデザイナーさんと打合せをするとき、「Photoshop Lightroom」があれば相手をお待たせしなくて済みそうです。従来のソフトで色調補正に手間取っていたら相手の方はとても付き合いきれなくなってしまいます。ましてや撮影がRAWモードなら、その調整や現像にも時間を取られてしまうでしょう。
「Photoshop Lightroom」の魅力は、色調補正に必要なあらゆる機能がすべて、画面右側にすぐ使える状態でコンパクトに並んでいるところにあります。そればかりか、ハイライトから中間調を経てシャドウに至るまで、わずかなマウスの移動だけで自在に画像の調子をコントロールすることもできるのです。私のパソコン(Windows XP)のスペックはCPUがCeleron 2.4GHz、メモリが1.0GBですが、その程度でも動作は結構快適です。英語版の「パブリックベータ 3」はやや重く少ししか試せませんでしたが、この分なら製品版はより快適になってくれそうで、発売がとても楽しみになってきました。開発者の方々も、この点は特に配慮されたようです。デザインも操作性も洗練されているので、撮影依頼者がディスプレイの前で色調補正に立ち会っても、決して退屈はしないでしょう。

まるで舞台の上でショーを演じるように画像が操れるソフト。アドビの開発陣がイメージした「Photoshop Lightroom」は、きっとそんなソフトなのでしょう。実際、スライドショーを閲覧しながら大量のRAW現像調整や画像の色調補正を次々に進めていくことができるのです。調整内容は自動的に、「XMPサイドカー」と呼ばれるファイルに保存、読み込みできます。色調補正が済んだ画像はすぐ、印刷したりWEBコンテンツとして閲覧したり、さらに「Photoshop」で開いてデザイン素材に用いることもできます。世界的トップメーカーが時間をかけて開発しただけのことはあります。

ハイライトからシャドウまで広い諧調を再現

RAWファイルはイメージセンサーがとらえる広い範囲の諧調を記録しますが、標準の明るさでRAW現像すると、ハイライトかシャドウのどちらか、場合によっては両方の諧調再現が損なわれてしまうことがしばしばあります。これは、JPEGモード撮影の場合も同様です。
「Photoshop Lightroom」での露光量調整(明るさの調整。他のソフトでは露出補正や増減感など)は、画像全体のほか、ハイライト部とシャドウ部とを分けて行うこともできます。つまり、露光量(言い替えると現像量)を明る過ぎる部分は控えめに、暗すぎる部分は多めに調整できるのです。ハイライト部の調整機能だけなら市川ソフトラボラトリーが先月発売した「SILKYPIX Developer Studio 3.0」にも採用されていますが、シャドウ部まで同じ操作画面上で別々に調整できるのはたいへん便利です。これは、アドビが今年6月に買収したPixmantec発売のRaw現像ソフト「RawShooter」の機能を継承したものだと思われます。快適な動作や洗練されたデザイン、操作性も、アドビ開発陣と旧Pixmantec開発陣との協業の成せる業でしょう。このようなソフトがあってこそ、RAWモードで撮る意味も高まるというものです。

 「デジカメWatch」:2006年6月27日付記事
  Adobe、RAW現像ソフトのPixmantecを買収

なお、レタッチとしてハイライトやシャドウの明るさを調整する機能は、すでに「Photoshop」の現行シリーズやニコン発売の「Nikon Capture4」、「CaptureNX」などにも採用されています。しかし、それらの機能で再現できる諧調の範囲には限界があります。

JPEGモードで撮影した写真の色調補正にも有効

「Photoshop Lightroom」のセールスポイントについて、アドビはRAW現像機能の使いやすさを強調していますが、JPEGモードで撮影した写真の色調補正にも有効です。興味深いのは、RAW現像のための基本補正に含まれる各種調整機能を操作しても、JPEG形式やTIFF形式などの画像の色調補正ができるということです。
JPEGやTIFFなどの画像をRAWデータとして処理する技術は先述の市川ソフトラボラトリーが「SILKYPIX RAW Bridge(シルキーピックス ロウ ブリッジ)」の名称で開発し、同社の「SILKYPIX Developer Studio 3.0」で実用化しました。「Photoshop Lightroom」にもこれと同様の技術が採用されているのかどうかは、アドビのコメントがまったく無いので分かりません。あるいは、類似の効果が得られるレタッチ調整機能に切り替わるだけかもしれませんが、いずれにせよ詳細は製品版の正式発表待ちということになりそうです。

「Exif Print」もサポート!?
注)残念ですが、現時点ではサポートされていないようです(下欄参照)。

現在発売中のデジタルカメラの多くは「Exif Print(イグジフプリント、規格名称Exif 2.2)」に対応しています。これは、撮影時のカメラのあらゆる設定情報をプリントの自動色調補正に利用するため、2002年2月に(社)電子情報技術産業協会(JEITA)で制定された世界標準規格です。カメラメーカー純正のRAW現像ソフトも、「Exif Print」をサポートしているのが普通です。

 社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)公式サイト
 有限責任中間法人 カメラ映像機器工業会(CIPA)公式サイト「Exif Print」

しかし、RAW現像ソフトで任意に補正された色調が自動プリントで再補正されては、撮影者が意図しない仕上がりになる場合もありえます。ニコンはそのためか「Nikon Capture4」以降、別売RAW現像ソフトでの「Exif Print」サポートをやめています。また、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX Developer Studio」では「Exif Print」の規格に準じた現像はできるものの、自動補正をするかどうかはプリンターのドライバーソフトなどで決めるよう設計されています。このことについてメーカーへ問い合わせたところ、やはり「SILKYPIXで調整された映像は、基本的にはプリント時にさらに補正されるべきではない」という趣旨の回答をいただきました。

「Photoshop Lightroom」は、確定ではないかもしれませんが、どうやら「Exif Print」をサポートすることになりそうです。撮影後にすぐ写真を選んでプリントしたいときなど、たいへん役立つはずです。
なお、現行の「Photoshop」シリーズに付属のRAW現像機能、「Camera Raw」は、「Exif Print」には対応していません。レタッチを前提に、「Photoshop」で手早くRAWファイルを開くための機能として位置付けられているからでしょう。

*ご参考

「Photoshop Lightroom」でRAW現像すると、JPEG形式、TIFF(8bit/16bit)形式とも画像ファイルに「CR(Custom Rendered)タグ」がOFFの設定で付いてきます。「CRタグ」とは「Exif Print」に基づく情報タグで、これをONに設定すればプリンターの自動色調補正は解除されます。

「Photoshop Lightroom」に「CRタグ」のON、OFFを切り替える機能は備わっていませんが、それができるソフトもあります。フジフイルムのデジタルカメラ同梱の画像管理ソフト「FinePixViewer(Ver.3.2以上)」には専用の追加機能として「プリント自動補正解除指示(CR)ON/OFF切替ツール」が用意され、私も利用しています。また「FinePixViewer(Ver.4.0以上)」では、「Exif Print」に基づく各種情報と合わせて「CRタグ」の設定を参照することができます。

なお、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX Developer Studio」では「CRタグ」が常時ONの設定で現像され、ユーザーがOFF設定を選ぶことはできません。

業界標準のソフトとして

「Photoshop」シリーズはすでにデザイン、印刷業界だけでなく写真関連業界でも標準ソフトとして定着しており、「Photoshop Lightroom」はその完成度を高めるためにも無くてはならないソフトになるでしょう。
個人が作品制作用として、あるいは写真の勉強用として使うには、もっと安くて多機能なソフトがほかにあります。しかし、公の場で十分商用に耐えるソフトとなると、残念ながら今までは無かったように思えます。
RAW現像や画像ファイルの管理、利用に便利なソフトも、選択の幅がだんだんと広がってきましたね。


注)「Exif Print」もサポート!? (2006年11月21日追記)

残念ですが、現時点ではサポートされていないようです。
「Photoshop Lightroom」で出力されたJPEGなどの画像ファイルの添付情報を富士フイルムの「FinePixViewer(Ver.4.0以上)」で確認すると、「CRタグ」がOFFの設定で付けられています。このことから「Exif Print(Exif 2.2)」準拠のExif-JPEGなどのファイル形式で出力されているものと思われたのですが、実際はそうではなく、単にCRタグが付くだけだったようです。
なお、「FinePixViewer」の保存形式変更機能で、「Exif Print(Exif 2.2)」準拠のファイル形式に一括変更することができます。

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2006年10月16日

写真入門の教材としてのデジタルカメラシステム

*お願い はじめに11月2日付記事からお読みください。

写真関係の学校の実習ではフィルムカメラが主流

写真を学ぶ大学、短大、専門学校などで実習に使うカメラは、依然どこもフィルムカメラが主流のようです。同時に、暗室でのフイルム現像、ネガから印画紙へのプリントも実習で学びます。
銀塩写真と呼ばれるこの一連のプロセスでは、撮影もプリントも、光のエネルギーが感光材料に働く量を操るという点で原理は同じです。だからこの基本さえマスターすればすぐ、学生は自由に作品制作を試みることができるようになります。

ところが、デジタルカメラで写真を学ぼうとすると、同じように実習を進めるわけにはいきません。撮影の原理についてはフィルムがイメージセンサーに置き換わるだけですが、そのあと画像として処理する際はデジタル化された色情報を数値でコントロールし、さらにプリントが印刷なら色情報の数値をインクの量に換算しなければならないからです。入力から処理を経て出力に至るまで、すべて光量のコントロールを基本原理とする銀塩写真とは、根本的に世界が違うと考えて良いでしょう。両者の違いは単に、アナログとデジタルとの違いだけで説明することはできないのです。

幸い、デジタルカメラも画像を扱うパソコンソフトもプリンターも、今は自動調整機能が発達し、入門のハードルはたいへん低くなったようです。作品制作に取り組みたい人のために、画像調整の手順をガイドしてくれるソフトも増えてきました。しかし本当の意味で自由にデジタルカメラによる作品制作を試みるには、銀塩写真の世界より越えるべきハードルの数はずっと多くなるように思えます。

フィルムカメラで写真を始めることはどうか

写真を教える側にとって、基本をすぐマスターできるフィルムカメラが教材として活用しやすいことは確かでしょう。限られた時間で大勢の学生を指導するには、ルールをできるだけ一本化した方が学習効果は上がるのです。
では、これから写真を始めようとする人に最適なフィルムカメラは、どのようなものがあるでしょう。値段が手頃で自動調整機能も必要に応じて解除でき、交換レンズや付属品も揃っていることが理想です。加えて、メーカーのサポートやアフターサービスが充実していることも欠かせない条件になります。具体的にはやはり、一流メーカーの35mm判一眼レフカメラということになるでしょうか。

そこで、上の各条件に当てはまる一眼レフカメラをネットで探してみたのですが、現時点で生産しているメーカーはキヤノン、ニコン、ペンタックスの3社しか見つかりませんでした。ほかに写真愛好家の間では良く知られているコシナ、シグマなどのメーカーも調べてみたのですが、残念ながらつい最近生産を終えてしまったようです。中古市場やドイツのライカのような高級品、輸入規模の小さいロシア製カメラなどにも目を向ければ様々な一眼レフが見つかりますが、趣味としての面白さはあっても、写真入門の教材として適切かどうかは疑問が残ります。
既報の通り、キヤノンやニコンは今年に入ってフィルムカメラの新規開発中止や商品構成の大幅整理を表明しました。ペンタックスはそのようなアナウンスをしていませんが、フィルムカメラの商品構成はやはり縮小傾向にあるようです。こうなるともう、フィルムカメラで写真を始めることは、事実上一般には勧めにくい時代になったと認識するしかなさそうです。

機材を統一したい写真入門の教材としてのデジタルカメラシステム

原理の習得は後にまわす。現実問題としてまずこの発想を受け入れなければ、デジタルカメラで表現手段としての写真を学ぶ、あるいは教えることは、時間がいくらあっても足りなくなるかもしれません。作品制作のためコントロールすべき要素が複雑多岐にわたるなら、初歩段階ではそれらを無理にでも単純化し、学習しやすいルールや環境を意図的に定めてしまうほかないでしょう。
それには、デジタルカメラやパソコンソフト、プリンターなどを製造販売する各企業にも、協力を求める必要があります。つまり、入力から画像処理、出力まですべて一貫した、写真入門の教材としてのデジタルカメラシステムを構築してもらうのです。システム構築は何らかの代理業者が複数のメーカーとの協業で行う方法がまず考えられますが、必要なセットを一括生産しているメーカーがあれば、より早くこの分野のビジネススタイルを確立することができそうです。

私の学生時代、写真関係の学校の新入生は入学前から35mm判一眼レフカメラを揃えている場合がほとんどで、私の母校でも特殊な機材以外、カメラはすべて自前で用意しました。機材は各自の自由で、学校側もまた特定のメーカーや機材を斡旋するようなことはしないスタンスでした(むしろメーカー側には、製品の評価の厳しさで良く知られていました。学部は文系ですけど…(^_^;))。
しかしこの先、デジタルカメラでの実習が主流になると、機材を統一しないと混乱は避けられそうにありません。新入生全員に対しカメラの、場合によってはパソコンの貸与も検討しなければいけない時期が来たのではないでしょうか。

撮影をサポートするソフトはカメラメーカー純正が前提

一頃のデジタル写真の実習は、まずAdobe社のフォトショップに代表されるレタッチソフトの習得から入るのが普通でした。デジタルカメラが一般に普及する前で、写真のデジタル化の目的が当面、スキャナで取り込んだ画像の後加工にあったからです。
撮影のデジタル化はスキャニングの手間を省き、レタッチソフトを一層活用しやすくします。しかしここで良く確認しておくべきことは、レタッチソフトの本来の役割は画像の切り抜きや合成、加筆などのためのデザインツールで、画像調整はその付帯機能として追加されているに過ぎないということです。プログラムの基本設計も、デザインワークの能率向上を最優先しているようです。したがって、撮影をサポートするためのソフトとして活用するには、自ずと限界があることになります。

日常的にデジタルカメラで撮った写真をネットで送受信したり、ポスターやポストカード作りに利用するには、JPEG形式の圧縮ファイルが扱いやすく定着しています。カメラの初期設定も、撮影モードはJPEGです。そのことから、実習もJPEG撮影から入るのが自然な気もしますが、あえてRAW撮影から始めることも一考の余地はあると私は考えています。これには、カメラの画像調整パラメータ(設定値)とRAW現像ソフトのパラメータとが完全に連動していることが前提になります。具体的にはカメラメーカー純正のRAW現像ソフトで実習を行うということですが、この辺りが機材を統一しないと混乱が生じるという所以です。RAW現像ソフトがプリンタドライバーだけでなく、印刷サポートソフトとも連動していればなお理想的です。
RAW現像ソフトのパラメータがカメラ側と連動していれば、カメラで設定した彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどが正確に反映された画像をパソコンディスプレイで再生でき、かつそれらを再調整することでそれぞれの効果もシミュレーションできます(彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどのカメラ側での設定については、8月8日付記事もあわせてご覧ください)。パラメータはファイル化して保存、再利用でき、実習経験の蓄積や分析にもたいへん役立ちます。カメラメーカー純正ソフトなら撮影時の各種情報も最大限に参照できるので、撮影をサポートするためのソフトとして、レタッチソフトより先に使い方を習得すべきだろうと思います。

問われるメーカー各社の意識

これまでデジタル一眼レフの普及を目指すカメラメーカー各社は、初心者層もマーケットにするため操作の自動化やブラックボックス化を意欲的に進めてきました。絵文字で撮影シーンを選べば後はカメラが適切に自動調整してくれるようになるなど確かに便利になり、一応の成果は上げられたようです。今後はハイエンドクラスの機種もコストダウンが進み、売上高を増やすには数を売らなければならない時期が来るでしょう。それには、そのようなカメラも使いこなせるユーザーを、もっと育てなければならないという事情も生じてくるはずです。
パソコンやインターネットの普及で、デジタル化された写真が利用される場面は飛躍的に増えました。それに伴い写真関係の学校の卒業生がその特性を活かして就く職業も分野が広がり、ひと口にフォトグラファーと言ってもそれは専業カメラマンのみ意味するものではなくなりつつあります。そうした中で教材としてのデジタルカメラシステムの必要性もますます高まってくると思われますが、はたして今どれほどのメーカーがそのことを強く意識しているのでしょう。
ここ1年の間に発表されてきた各社のシステム構成を見渡してみると、そろそろメーカーごとの取り組み方の違いがはっきり現れてきているように感じるのですが、いかがでしょう。

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2006年10月13日

ペンタックスK10Dの発売日が11月30日に決定

発売予定の10月下旬からひと月後に

ペンタックス株式会社(社長:浦野 文男)は、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの新製品 「 PENTAX K10D 」 の発売日を 11月30日 に決定いたしましたのでお知らせいたします。
本製品は、9月14日の発表において10月下旬発売とお知らせしておりましたが、発表以来、全世界から予想を大幅に上回る注文があり、十分な出荷数量を確保するために上記の通り変更することにいたしました。

 ペンタックス(株):2006年10月13日付プレスリリースより抜粋
  「PENTAX K10D」 発売日についてのお知らせ

初めて手にするK10D(の試作機)

先日所要で都内に出た際、新宿のペンタックスフォーラムにも立ち寄りました。
初めて手にするK10D(の試作機)。想像以上にしっかりとしたつくりで、製品版への期待がますます高まってきます。

バッテリーグリップ付のボディも手に取ることができました。重いレンズを装着するときは、グリップ付きの方がバランスは良さそうです。カメラ本体との結合部の強度はどうか、少し気になっていたのですが、3年前の*istD用より建付けが良くなっていて安心して使えそうです。
ディスプレイの側で若い営業マンの方が、ノートをとりながらお客さんの質問や相談に応じていました。私も手短に、思っていたことをお訪ねしてみました。

カメラ内RAW現像へ「シフト」機能の追加も要望

カメラ内RAW現像は、K10Dで私が特に注目しているの新機能の一つです。営業の方のお話しによると、これもユーザーからの要望が多かった機能で、以前から各地の展示会などのブースで意見が寄せられていたそうです。そのような他社でも前例のないリクエストでも柔軟に取り入れてしまうペンタックスの包容力に、私もあらためて感心させられてしまいました。
そこで私も、その包容力に甘え1点リクエストさせてもらいました。それは、RAW現像の調整機能の中に「シフト」も追加してほしいというものです。
「シフト」は同梱予定のRAW現像ソフト「PENTAX PHOTO Laboratory 3」に備わっている機能で、あたかもレンズを水平に保ったまま上下左右にシフト(移動)させるような構図の調整ができます。例えば建物などを下から見上げた構図でも、柱や壁が垂直に、上すぼまりにならないよう整えることも可能です。コマーシャル分野では建築のほか、室内インテリアや商品等の撮影にも多用されます(RAW現像ソフトでシフトを効かせた作例2点を10月16日付記事に掲載中です)。
カメラ内でこうした調整ができればその場でより正確な構図を確認でき、撮影もはかどりそうです。画像データを急ぐときは、特に助けられるでしょう。
ただ、実際に「シフト」機能を追加できるかどうかはカメラ側の処理能力にもよるのですが、この点について詳細はまだ不明とのこと。1枚あたりの現像時間や消費電力なども、製品版ができるまでは分からないというお話しでした。
なお、カメラ内RAW現像機能の追加や改良などはファームウェアの更新で対応できるということで、最新ファームはこれまでの機種と同様にメーカーのサイトからダウンロードできるようなるそうです。決して私が余計なリクエストをしたため、当初の予定から発売が遅れたわけではありません(^_^;ゞ。

「光学プレビュー」と「デジタルプレビュー」との切り替えをしやすく

今日からなのか、メーカーサイトのK10D紹介コーナーがより詳しくなりました。
このブログのでも触れてきたように、「撮影機能&操作」や「インターフェース」など、各欄を読めば読むほどK10Dの随所にペンタックス独自の理想が込められていることを感じます。特に「撮影機能&操作」のハイパー操作系、「インターフェース」の各種表示やメニュー設定などの説明からは、デジタル一眼レフ開発への確かな自信が伝わってくるようです。

 ペンタックス(株):製品紹介
  デジタル一眼レフカメラ/K10D

ところで私には、先に挙げたカメラ内RAW現像への「シフト」機能追加のほかにも、K10Dに盛り込んでほしいことがあります。上記コーナーの「インターフェース」の説明欄に「被写界深度(※)や各種設定が確認できる2種のプレビュー表示」という項目がありますが、その「2種」をより簡単に切り替えられる方法も選べるようにしてほしいのです。「光学プレビュー」は*istD以来全機種に、「デジタルプレビュー」は今年2月発売の*istDL2以降に採用された一種の試し撮り機能ですが、両プレビュー表示の切り替えはK10Dも含めカスタムメニュー設定で行う必要があり、撮影中使い分けるには操作がやや煩わしいからです。
この点が改良されればK10Dはますますペンタックスらしいカメラになるはずなので、近々機会を見てリクエストしたいと考えているところです。これもファームウェアの更新で対応できるでしょうから、発売日に影響するようなことはないだろう、と思います。多分…(^_^;)?

※「被写界深度」については、次のページに分かりやすい説明があります。

 ペンタックス(株):digiich
  撮影テクニック通信「谷口泉のデジイチセミナー」(vol.6)

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2006年10月06日

ペンタックスK10Dの画質革命

待望のサンプル画像が公開されました

ペンタックスの公式サイトで、待望のK10Dのサンプル画像ファイルが公開されました。次のページからダウンロードできます。

 ペンタックス(株):製品紹介
  デジタル一眼レフカメラ/K10D 作例

ペンタックスの英国法人、PENTAX U.K. Ltd.の公式サイトでは、さらに多くのサンプル画像ファイルをダウンロードできます(英文)。

 PENTAX U.K. Limited:Digital SLR
  K10D - Images - Sample pictures
  (ぶどう園の遠景のダウンロードはこちら。)
  注:上から3番目の門の風景は、廉価版ズームレンズによる撮影です。
     カメラの解像力の評価用としては、あまりお薦めできません。

22bitA/Dコンバーターと新画像処理エンジン「PRIME」の威力

国内公式サイトからダウンロードした各画像ファイルのEXIF情報を、ペンタックスの純正ブラウザソフト「PENTAX PHOTO Browser 3」で参照してみました。撮影日はいずれも9月の2~3日ですが、上記作例ページの現像ソフトウエア欄に「PENTAX K10D Ver.1.00(カメラ内RAW現像)」とあるので、これらの画像出力に用いたカメラは製品版に限りなく近いものではないかと思われます。カメラ内にRAW現像機能を内蔵したデジタルカメラは例がなく、様々な応用が考えられそうです。

それにしても、「画質革命」は本当だった、というのが率直な感想です。
私が特に惹かれたのは、作例3のかぼちゃの写真です。赤系統の鮮やかな色彩が豊かなグラデーションで再現されており、まったく色飽和が見られません。これには思わず息を呑みました。ヒストグラムの表示できるソフトでも、はっきりとそのことが確認できます。シャープネスも見事ですね。これまでの一般的なデジタル一眼レフでは、RAWモードで露出アンダー気味に撮影し現像ソフトで慎重に調整しても、このような描写を得ることは困難でした。個人的には、植物の色彩や質感がリアルに再現できるデジタル一眼レフというのは、この上なくありがたい存在です。
作例4のおじいさんの写真もコントラストが強く、撮る側としてはできれば避けたい光線状態ですが、ハイライトからシャドウまですべての諧調がバランス良く再現されています。シャツの生地の描写も本当に繊細です。
作例1、2の女性のバストショットもすばらしいですね。2枚目の方はあえてレフ板を使用していないようですが、それでもシャドウ部の肌の色が濁ることなく自然に再現されています。カメラ同梱の純正RAW現像ソフト「PENTAX PHOTO Laboratory3」を使えば、衣類に生じた色モアレや髪の毛にわずかに生じた段々模様(ジャギー)、逆光線のハイライトの白飛びも、もっと軽減できると思います。

以上、公開されたサンプル画像に簡単にコメントしましたが、いずれも試作機による撮影なので、製品版ではさらに良い結果が得られる可能性があります。また、カメラ内RAW現像機能についても、ファームウェアの今後のバージョンアップにより、機能や性能の一層の向上が期待できるかもしれません。

大いに活用したいカメラ内RAW現像

せっかくカメラに多機能RAW現像ソフトが同梱されていても、パソコン環境の事情ですぐには使えず、カメラとパソコンとどちらを先に買うべきか今まで悩んでいた人も少なくないかもしれません。その点、K10Dならカメラ内RAW現像ができ、RAWならではの柔軟性や高画質をパソコンレスで発揮させることができます。これも多分、22bitA/Dコンバーターで得られる質の高いRAWデータと、画像処理能力に優れた新エンジン「PRIME」の成せる業でしょう。

去年の秋でしたが、私もこんな機能があればもっと仕事がスムーズに進んだに違いない、と思える場面を体験しました。
某大手商社の水産部門で新しい家庭向け冷凍食材を扱うことになり、都内にある本社のテストキッチンに出向いて調理例のサンプル撮影をすることになりました。調理法は和、洋、中の3種類で、広告制作会社のデザイナーさん自らが腕を振るいました。カメラは*istD。撮影はRAWモードです。
しかし、ここで問題が。食材の開発元である加工会社さんが岩手県にあるので、その社員さんが撮影に立ち会うことができません。そこでやむを得ず、同じカットをJPEGで撮り直してメールに添付し、商社の営業担当者さんの机のパソコンから送信して撮影結果を確認していただいたのです。
この方法では、RAWモードならではの結果を相手の方に見ていただけないというジレンマが残ります。かといって、私が今持っているノートパソコンではRAW現像ソフトを快適に使うことはできません。カメラ内RAW現像ができればこうした悩みも万事解決、というわけです。

ほかにもまだ例はあります。
今年の春、横浜市内にオープンするお寿司屋さんの広告撮影の依頼を受けました。店頭ディスプレイ用のメニュー撮影を先に済ませ、後日店舗内のイメージカットの撮影で訪問したときのことです。照明がタングステン光でしたので、クライアントのデザイナーさんから赤味を残した色調で仕上げてくださいというリクエストをいただきました。制作進行がタイトなので、すぐ印刷所へ入稿できるよう撮影現場でデータをCD-Rに落とす必要があり、後からRAW現像やレタッチなどをしている余裕はなかったのです。
通常、このような場合はホワイトバランスを完璧に取り、リクエストに応じた赤味が演出できる色フィルターを選んでレンズの前に装着し撮影します。また、レンズの前ではなくストロボの発光部に同じフィルターを貼っても良く、私はライティングの自由度も考慮し主に後者の方法を用いました。ホワイトバランスをストロボ光に固定すれば、どのカットもほぼ同じ色調に仕上がるのも利点です。室内照明との違和感もごくわずかです。
ここでさらに、カメラ内RAW現像という手法も使えるなら、デザイナーさんと再生モニターで確認をとりながら、より制作意図に沿った色調を選ぶことができるでしょう。幸い、少し青味がかっていた*istDに比べ、この夏発売のK100Dのモニターは色の偏りも少なく、さほど厳密さを求めなければ色調補正にも十分利用することができるレベルです。K10Dも同等か、それ以上のレベルが期待できそうです。

K10Dは、ただ単に画素数を従来より増やすだけでなく、自分にとってデジタルならではの撮影の可能性を一層広げてくれるカメラになるだろうと、到着を心待ちにしています。JPEGモード撮影での画質も早く知りたいところですが、カメラ内RAW現像の結果からも、その水準の高さが想像できます。
先月は「PENTAX PHOTO Laboratory3」に現像エンジンを提供している市川ソフトラボラトリーから、汎用RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」が発売されました。今バージョンの目玉は新技術SILKYPIX RAW Bridgeにより、JPEGやTIFF形式のファイルでもRAWと同様の調整ができるようになったことです。特にホワイトバランスの調整には有効で、私もたいへん助かっています。(8月22日付記事参照)
ファイルサイズが大きなRAWモード撮影に頼る頻度も、このようなソフトと諧調再現性に優れたK10Dとの組み合せで、大幅に減らせるかもしれないですね。楽しみです。

*ご参考

「SILKYPIX Developer Studio 3.0」試用版がこちらからダウンロードできます。
(14日間無料)

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2006年10月05日

ペンタックスK10Dの青春

〔9月28日付記事へもどる〕

デジタル一眼レフのアルカディア(理想郷)

ペンタックスは「フォトキナ 2006」への参加を機に、今後のデジタル一眼レフシステムの展開について、かなり具体的な開発内容を公にしました。
同社のイメージングシステム事業部長の鳥越興さんはImpress Watchのインタビューに応じ、ペンタックスの近況について次のようにコメントされています。

「K100D、K10Dの2製品は、まさに一眼レフカメラにこだわり続けてきたペンタックスのビジョンを具現化した製品です」
〔中略〕
「良い製品が投入でき、それが市場で受け入れられたことで、社員のモチベーションが上がってきました。PMAからたった7カ月ですが、しかし社内の士気は全く違います。若い開発者たちは、次はどんなものを作ろうかと、活き活きと目を輝かせている」
〔中略〕
「社内的にも開発者が、新しい製品へとチャレンジできる環境ができてきました。Kシリーズのコンセプト、目指すところといった軸をぶらさず、みんなが同じ価値観を共有しながら、非常にエネルギッシュに製品開発に取り組んでいます。近年ではもっとも充実した時期だと思います」
〔中略〕
「これは我々経営側が喜んでいるだけではありません。トップダウンで開発の加速を押し付けているわけでもない。社員自らが盛り上がっているんです」

 「デジカメWatch」:2006年2月28日付記事より抜粋
  【インタビュー@Photokina 2006】
  夢を語れる会社に生き返ったペンタックス
  ~ペンタックス イメージングシステム事業部長 鳥越興氏に聞く

私はこのインタビュー記事を読みながら、まるで、目の前にデジタル一眼レフのアルカディア(理想郷、牧歌的な楽園)が開けてゆくような深い感動を覚えました。しかし、「後世牧人の楽園」の伝承が生まれた実際のギリシャのアルカディアの地が険しい山岳地帯であるように、K10D開発までの道のりも決して平坦なものではなかったようです。

報道用から始まったオートフォーカス一眼レフのデジタルカメラ化

交換レンズが豊富に揃ったオートフォーカス一眼レフのデジタルカメラ化は、何よりもまず速報性が求められる報道用から始まりました。
今から14年前、1992年10月に米国のコダックが発売したDCS200シリーズが、実用的な最初の市販品です。デジタル撮影部はコダック自らが開発しましたが、カメラ本体の部品や交換レンズ類は、ニコンの既製品が流用されました。画素数はまだ150万画素。その割には値段も150万円前後と高価で、大きく重く使いにくいものでしたが、世界中の報道機関で受け入れられたようです。
その後コダックはキヤノンとも協業し、ニコン、キヤノン両ユーザーへデジタル一眼レフの供給を始めましたが、ペンタックスはその対象にはなりませんでした。果して両社の間に商談があったかは私の知る由もないのですが、報道分野への市場展開が、ペンタックスの場合あまり進んでいなかったことも背景にあったのでしょう。
当時すでにペンタックスもオートフォーカス一眼レフの製品化を進めていましたが、残念なことにシステムの充実は他社よりやや遅れていました。けれどもそれは、決して開発を怠っていたからではありません。実は、業界内で起こったある訴訟事件が影響していたのです。

ペンタックスこそオートフォーカス一眼レフのパイオニア

あまり一般には知られていないことですが、一眼レフのオートフォーカス化に関して、ペンタックスは早くから実用化に向け研究を進めてきたメーカーです。これには、パートナーとなる企業がありました。様々な自動制御システムの開発で知られる、米国のハネウェルです。
ハネウェルは1950年代から70年代半ばにかけて、米国におけるペンタックス一眼レフの輸入元でもありました。その間、露出やストロボシステムなどの自動化で両社は協業関係にあり、オートフォーカス技術の共同研究もその一環として行われていたようです。ちょうど今の、ペンタックスと韓国のサムスンテックウィンとの協業関係に似ているかもしれません。
ペンタックスは1981年に、試験的な意味も含まれていたかと思われますが、研究の成果としてカメラの発展史上に残るME-Fという機種を発売しました。実際に撮影レンズが結ぶ像を利用しピントを検出するオートフォーカス一眼レフとして、世界初の快挙でした。ピント検出の原理は現在一眼レフで主流となっている方式とは異なりますが、コンパクトデジカメではほぼ同じ原理が応用されていますし、測距センサーの搭載方式自体はその後の各社の定石となるものでした。カメラメーカーとしてのペンタックスの先見性の高さを物語る好例と言えるでしょう。一方ハネウェルは、一眼レフ用として主流となる方式を確立すべく、測距センサーの更なる改良を進めていきました。

オートフォーカス測距センサーの特許問題が残した禍根

ところがここで、重大な事態が起こりました。1985年、旧ミノルタが日本国内の電子部品メーカーと組み、ハネウェルが開発していたものに極めて近い測距センサーを完成させ、それが搭載されたオートフォーカス一眼レフα7000を発売したのです。ニコン、京セラ、オリンパス、キヤノンなどの各社も競うように国産測距センサーを採用し、オートフォーカス一眼レフ市場に参入し出しました。ハネウェルが特許侵害として旧ミノルタを筆頭に、電子部品メーカーも含むこれら日本の各メーカーを訴えたのは言うまでもありません。1987年のことです。
当時ペンタックスは、極めて難しい立場にあったと思われます。国産測距センサーの採用に際してハネウェルに特許料を支払えば、国内各社の特許侵害をペンタックスが証言するかのような結果を導くからです。米国で始まった裁判を見守りながらも、結局ペンタックスは1987年、SFXという機種で他社より遅れて市場参入を果たしました。かつてのパートナーに対する配慮と国内同業者に対する配慮との間で慎重にならざるを得なかったのかもしれませんが、このときの出遅れが後のペンタックスの市場展開に少なからぬ影響を及ぼしたことは、残念ながら否めないように思えます。
旧ミノルタがなぜ危険なリスクを犯したかについては、当時の同社の経営不振に対する焦りが根底にあったからだと言われています。α7000の大ヒットは一時的にも経営危機を救いましたが、代償として同社は100億円を越えるロイヤリティをハネウェルに支払わなければならなくなりました。1992年、旧ミノルタほか各社に有罪判決が下ったからです。その後も同社の業績は回復せず、旧コニカと合併してコニカミノルタホールディングスとなりましたが、一眼レフ事業についてはこの夏、ソニーに引継がれたことは既報の通りです。

意外にも早かったフィルムカメラ技術の新規開発終了

先の特許問題ではペンタックス自らも当事者となる道を選ばざるを得ませんでしたが、その和解成立が見えてきた1991年12月、市場展開の遅れを挽回すべく発売されたのが同社初の本格的ハイアマチュア向けオートフォーカス一眼レフ、Z-1です。当然、私も発売されると同時に購入しました。私にとっては初めてのオートフォーカス一眼レフでしたが、使いやすく初期不良や自然故障などもなく、その安心感から今も2台のZ-1を仕事でも愛用しています。
Z-1は自動化を積極的に進めながらも、半自動、あるいは手動調整への切り替えが素早くできる独自の操作系を採用したところに新しさがありました。その良さは実際に使い込んだ人でないとなかなか分からない面もあって、アマチュアや大衆層よりはむしろ、プロカメラマンからプライベート用として評価を集めたようです。
その後高性能の交換レンズも続々登場し、1994年には細部を改良してよりユーザーの意図に応じた設定のできるZ-1P(Pはパーソナルの意味)も発売されました。しかし、出遅れの挽回は思うようには進まなかったようです。Z-1Pは結局、ペンタックスの35mmフィルムカメラとしては最後のハイスペックモデルになりました。
この頃になるともう、コダックからはニコンやキヤノンのオートフォーカス一眼レフをベースにした報道用デジタルカメラが発売されていたわけですが、あるいはその時点でペンタックスはすでに、フィルムカメラの将来性に見切りをつけていたのかもしれません。当時の業界の動向も知らずに私は、Z-1Pをさらに発展させた上位機種の登場を今か今かと信じて待ち続けたのですが、今思えば多分はじめから、Zを越えるものは用意されていなかったのでしょう。その後もペンタックスからは買い替えや新規ユーザーの獲得を促すほどの新製品は発売されないまま、静かに年月は過ぎていったのです。

ペンタックスK10Dの青春

間もなく発売されるK10Dは鳥越さんのインタビュー記事にもあるように、まさしく「ペンタックスのビジョンを具現化した製品」に違いありません。それは、3年前の同社初のデジタル一眼レフ*istDの発展型というだけでなく、15年前のZ-1のコンセプトを受け継ぐ正当な後継機とも思えるからです。
私がまだ中学2年生だった1979年、ペンタックスからコンパクトな廉価版一眼レフ、MV1が発売されました。そのテレビコマーシャルのBGMに流れていたのが、ユーミンこと荒井由実(現、松任谷由実)さんのヒット曲『あの日にかえりたい』でした。好きだった人の写真を泣きながらちぎり、でも捨てきれずもう一度会いたいと願う、そんな青春の切ない気持ちをふり返る歌です。給食の時間になると放送委員さんもよく流していました。ユーミンの曲にはほかにも『卒業写真』など、写真の中に込められた青春を大切に描いた歌がたくさんあります。
ペンタックスは1952年に日本で初めて35mm判一眼レフを発売したメーカーとして有名ですが、それは今の同社の実質的な創業者だった故松本三郎社長(当時)の強い意志によるものでした。あらためてメーカーサイトのK10Dのページや新しい交換レンズ群の開発ロードマップ(PDFファイル)を眺めていると、鳥越さんのお話しの中の「若い開発者たち」は今、それこそ青春の真っ只中にいるんだな、ということが伝わってきて嬉しくなります。前身となる旭光学工業合資会社は1919年の創業ですから、光学機器メーカーとしてのペンタックスは老舗中の老舗になるのですが、その開発に取り組む若々しさはまるでベンチャー企業そのものではないでしょうか。

 年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときはじめて老いる。
  (サムエル・ウルマンの詞『青春』の一部より 宇野収、作山宗久訳)

私がこの詞を知ることができたのは、同じ小川町にお住まいの木工芸作家で以前は高校の世界史の先生をされていたsoroさんが、何度かご自身のブログ「No Blog,No Life!」で紹介してくださったからでした。soroさんもまた*istD以来のペンタックスのデジタル一眼レフの愛用者で、K10Dの発売を心待ちにされている近況を10月5日付のエントリーでも綴られています。

青春を撮るためにカメラがあって、だからこそそれを作る者はいつだって青春を忘れない。言葉だけでなく行いでも示してきたペンタックスは、その生い立ちからして青春の良く似合うカメラメーカーなのだと、私には思えるのです。

*ご参考

arinkoさんのサイト「P-P-Hyalala」で、荒井由実(現、松任谷由実)さんのヒットソングのメロディをいっぱい聴くことができます。
『あの日にかえりたい』 →8番をクリックするとリストが出ます。
『卒業写真』 →10番をクリックするとリストが出ます。
いずれも歌詞付です(JASRAC許諾第J020104784号)。

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2006年09月28日

ハイエンドデジタル一眼レフにも取り組むペンタックスのモチベーション

「フォトキナ 2006」でのインタビュー

ペンタックスイメージングシステム事業部長の鳥越興さんがこの春の米国での「PMA」ショーに続き、ドイツで開催中の写真・映像関連の見本市「フォトキナ 2006」でもImpress Watchのインタビューに応じ、ペンタックスの今とこれからの展望についてコメントされました。

「~Kマウントを採用するカメラとして、ハイエンド製品を投入します。先に申し上げておきますが、ハイエンドだからフルサイズということではありませんよ。名実ともにフラッグシップと言える機能と性能を有するカメラを投入するという意味です」
〔中略〕
「2月の時点では、質問されるまでもなくペンタックスの事業全体に不安感がありました。それは外部だけでなく、内部的にも不安感があったのです。しかし良い製品が投入でき、それが市場で受け入れられたことで、社員のモチベーションが上がってきました。PMAからたった7カ月ですが、しかし社内の士気は全く違います。若い開発者たちは、次はどんなものを作ろうかと、活き活きと目を輝かせている」

 「デジカメWatch」:2006年2月28日付記事より抜粋
  【インタビュー@Photokina 2006】
  夢を語れる会社に生き返ったペンタックス
  ~ペンタックス イメージングシステム事業部長 鳥越興氏に聞く

7か月前のPMAでの鳥越さんのインタビュー記事は、次のページです。

 「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事
  【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

〔10月5日付記事へ続く〕

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2006年09月25日

オリンパスが木製デジカメの試作品を「フォトキナ2006」へ参考出展

ヒノキの美しさを生かした外装
強度はエンジニアプラスチック以上

 「BCNランキング」:2006年9月26日付記事
  オリンパス、木材の三次元圧縮成形加工技術を開発、
  天然の木目を外装に

オリンパスは9月25日、面精度の高い金型加工技術による木材の三次元圧縮成形加工技術を開発発表しました。
同社はこの新技術で、ヒノキ外装のデジタルカメラを試作。9月26日(現地時間)からドイツで開催される写真・映像関連の見本市「フォトキナ 2006」へ参考出展するそうです。

オリンパスは、人がモノに対して情緒的価値を持てるモノづくりとは何かを考えてきました。
その一つの回答が、今回開発した自然素材である「木」を使った三次元圧縮成形加工技術であり、この技術により本来「木」が持っている天然の色・つや・木目の美しさの表現、電子機器の外装・筐体に使うことができる薄さと硬さを両立しました。

 オリンパス(株):2006年9月25日付ニュースより抜粋
  オリンパス、木材の三次元圧縮成形加工技術を開発

↓木製デジカメ試作品の画像は、次のページが豊富です。

 「デジカメWatch」:2006年9月25日付記事
  オリンパス、木材をカメラなどの筐体に用いる技術を開発
  ~木製筐体のデジカメをPhotokinaに参考出品

 「ITmedia +D」:2006年9月27日付記事
  プラスチックより堅い木製デジカメ

日本は木製カメラの主要生産国

カメラはもともと、木で作られるのが普通でした。
世界で初めて市販された写真機「ダゲレオタイプカメラ」(技術は1839年のフランス学士院科学アカデミーで発表)も木製でしたし、今日の4×5インチ判(通称シノゴ)以上の大きなシートフィルムで撮影するカメラも、携帯向きのものではまだまだ木製品を見ることができます。
そのような携帯向きの折りたたみ式木製大型カメラはフィールドカメラや組立暗箱と呼ばれ、イギリスで発展した後世界中で生産されました。今はもう、実用品として常時生産しているメーカーは極めて少なくなりましたが、日本は古くから指物の技術が培われてきたこともあり、東京都内を中心に数軒のメーカーや販売会社が残っていて、世界有数の木製カメラ生産国として業界では知られています。
これも不思議な縁ですが、世界的に人気のあるメーカーは、ウィスタ(板橋区常盤台)、エボニー(板橋区大山)、タチハラ写真機製作所(北区豊島)など、なぜか東武東上線の沿線周辺に集まっています。
私もエボニーやタチハラの木製カメラを愛用していますが、タチハラの4×5判には大学の卒業制作でもお世話になりました。標準レンズ1本と数枚のフィルムホルダーだけを持ち、新雪の武蔵嵐山渓谷や早春の越生梅林、彼岸花咲き乱れる東松山の都幾川堤を撮り歩いたのも、今は懐かしい思い出です。

限られていたカメラ向きの木材

タチハラでは国産素材にこだわり、北海道の日高山脈で育った樹齢300年以上の朱利桜(ヤマザクラの一種)を十分枯らして加工していますが、近年は資源が枯渇してきこともあり、他社では輸入木材の方が主流になりつつあります。ウィスタでは奈良県吉野産の桜材や輸入の紫壇、黒檀材の中から素材を選べますが、エボニーでは強度の利点からも輸入の黒檀、マホガニー材の使用に徹しています。
工芸品としての趣きも魅力ですが、カメラが精度と耐久性とを求める精密光学機器である以上、使用できる木材も自ずと限られてしまうのは止むを得ません。趣味でカメラを手作りするなら自由に素材選びを楽しむこともできますが、商品として買ってもらおうとなると話しは別です。

地場産業との結び付きに期待

お隣のときがわ町は「木のむら」を宣言するスギやヒノキの名産地で、私の住む小川町とともに、昔も今も日本有数の建材や建具、家具の産地です。ところが地元ブランドで流通する機会が乏しく、近年は安い輸入木材におされてしまい、関東でさえ知名度はそう高くありません。需要低迷から林業も斜陽化傾向で、手入れの行き届かなくなった森林の荒廃も心配されています。新しい木材の需要開拓は、これまでにも度々町おこし、村おこしの一環として検討されてきたようですが、まだ大きな成果は得られていないのが実状です。

今回オリンパスが発表した成形加工技術は、これまでカメラにはほとんど不向きだったヒノキ材も、装飾性を兼ね備えた適材に変えられるところが快挙だと思いました。デジタルカメラのような製品なら部材はそれほど大きくなくて済むので、例えば間伐材の新しい需要の掘り起こしに結び付くかもしれません。また、かつては薪や炭などの燃料や堆肥材料を得るため利用されていた雑木林も、豊かな植生を回復させ様々な装飾用木材の生産林として活用できれば、放置による荒廃も防止でき素晴らしいと思います。併せて、プラスチック使用と比べ環境への負荷がどう変わるかも、注目したいところです。

私は表現のための道具として、楽器や画材、筆記具、舞踏などの小道具には今も伝統的に木材が豊富に活かされているのに、なぜかカメラは急速にプラスチック化されてゆくことに寂しさを感じていました。だから、ヒノキのように私たち日本人に愛されてきた身近な木材がカメラにも利用できる時代が来たことに、新鮮な感動を覚えました。
願わくばそう遠くない将来、地域の学校アルバム撮影の仕事でも、子供たちのために地元産の木材が使われたカメラを持って訪問できるようになれば良いな、と思っています。

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2006年09月21日

ペンタックスのソリューションが見えてきた

「フォトキナ 2006」参考出品内容を公表

ペンタックスは、9月26日(現地時間)からドイツで開催される写真・映像関連の見本市「フォトキナ 2006」へ、デジタル一眼レフ専用交換レンズ3本とスタジオ向けデジタル一眼レフカメラ1台を参考出品するそうです。

 ペンタックス(株):2006年9月21日付ニュース
  「フォトキナ 2006」参考出品について

 「デジカメWatch」:2006年9月14日付記事
  ペンタックス、Photokina 2006に
  中判デジカメとデジタル専用レンズを参考出品

また、これに合わせて公開中の「レンズ開発ロードマップ」も、新企画の交換レンズが多数追加されるなど大幅更新されました。次の公式サイトのページからダウンロードできます(PDFファイル)。

 ペンタックス(株)製品紹介/デジタルカメラ/交換レンズ

写真館にピッタリのソリューション

9月1日付記事で私は、「願わくば早期に写真館向けのソリューションを」という見出しで、スタジオでの記念撮影から学校行事などの出張撮影まで幅広くカバーする新システムの構築が望めそうだと、これからのペンタックスへの期待を込めて述べました。それが今回のフォトキナへの出品内容を見る限り、思いのほか早く実現する気配が感じられて、とても嬉しくなってしまいました。

注目は何と言ってもスタジオ向けデジタル一眼レフ、645 Digital(仮称)です。出品予定の試作機のイメージセンサーは1800万画素で、これだけでも相当ハイスペックなのですが、発売時には何と3000万画素までアップされることが正式にアナウンスされました。
これだけ画素数が高まれば、七五三などの記念撮影だけでなく、学校の校庭に描かれた人文字の航空撮影にも余裕で対応できそうです。
今私がお世話になっている写真館の学校アルバム撮影の仕事では、校庭に並んだ卒業生全員の集合写真を校舎の上階から撮るのに4×5インチ判の大型カメラを使っているのですが、これが大変。カメラの設営だけでも2人がかりで時間もかかる上、1枚撮る度にフィルムホルダーを入替えピントズレもチェックしなければならないので、その牧歌的な作業ペースは生徒さんにはもちろん、先生方からの評判も決して良くはないのです。昔気質の写真館の、あくまでも良心に基づいた行いではあるのですけど。
それで、社用機にペンタックス67が一式あるので来年はそれで妥協してはどうかと先輩カメラマン氏もこぼすものですから、私はその交換レンズが共用できる645 Digitalが早く登場すれば良いのに、と思っていたのです。
試作機の1800万画素でもアルバム見開き掲載に十分満足できると思いますが、3000万画素ならなお好都合です。入学案内のポスター撮りまで、この1台でバッチリ対応できるでしょう。

「画質革命」を謳うK10D採用の22bitA/Dコンバーターは、今月発売の各カメラ雑誌のレポート記事によると、もともと645 Digitalへの採用を見越して検討されてきたもののようですね。おそらく値段は10倍くらい差が開くと予想しますが、次元の違う両デジタル一眼レフを併用してもまったく同水準の高諧調が得られるよう、ペンタックスは思い切って高い目標を掲げたのでしょう。そこには、写真撮影のデジタル化が進む中でどのようなシステムが必要とされてくるか、十分に先を見据えた深い読みを感じ取ることができるのです。

K10Dで心配されたシャッターレリーズタイムラグですが、スポーツ競技の撮影にも実用上問題ない程度にまで短縮されることが分かりました。報道や公式記録用途ではありませんから、連写も秒間3コマで十分です。参考出品の3本のズームレンズ(うち2本はトキナーとの共同開発)も、学校アルバム用にはまさにおあつらえ向きのセットですね。
先述の写真館の社用35mm一眼レフは昔からニコンだったので、デジタル一眼レフもD200です。私が去年D200の購入を決断したのも、実はニコン用機材をお借りしたり撮影テクニックの情報交換をしたりできるという事情もありました。
(宣伝に釣られたということは…、まぁ、否定はいたしません(^_^;)ゞ)
近くトキナーから先行発売されるペンタックスと共同開発のズームレンズを先輩カメラマン氏も欲しがっているのですが、私が超音波モーター内蔵のペンタックス版を購入したら、多分ものすごく羨ましがられてしまいそうです。
発売予定が当初の12月頃から来年の3月頃まで延びてしまいましたが、どうかどうか卒業・入学式シーズンまで手に入りますよう、お祈りせずにはいられない今日この頃です(笑)。

【追記】

645 Digitalですが、あらためて見ると、試作機は春に公開されたモックアップより「PENTAX」のロゴが大きく目立つようになりました。
9月1日付記事で触れましたが、やはり宣伝にもなりますから大事ですよね。
前から見たデザインも一層柔らか味を帯びて、どことなく愛嬌ある表情になっています。これならきっと小さなお子さんからもこわがられずに、楽しくスタジオで記念写真を撮ることができるのではないでしょうか。
さすが良くお見通しです、我らがペンタックス。参りました。

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2006年09月20日

ペンタックスK10Dの「RAW+ボタン」は小さな大革命

RAWモード撮影はハイリスク

デジタルカメラのフォーマットはJPEGが標準的ですが、デジタル一眼レフや一部のコンパクトデジカメでは、イメージセンサーが捉えたRAWデータを専用フォーマットで保存し、対応ソフトで画像生成する方法も選べます。
ソフトの機能にもよりますが、この方法はイメージセンサーの性能を大きく引き出すことができるので、複雑な光線状態の下での撮影にはたいへん有利です。しかしその反面、ファイルサイズはJPEGより大きくなるので、RAWモード撮影時は一般的にカメラのレスポンスが低下する傾向が見られます。主な弊害として、メモリカードへの書込みに時間がかかり、連続撮影が中断されてしまうことなどが挙げられます。

昨年12月に登場したニコンD200は、1000万画素というハイスペックを持ちながらも、この問題を20万円未満の販売価格に抑えつつ大幅に解消した革命的なデジタル一眼レフでした。
大容量バッファメモリを搭載することにより、RAWモードで約22~23枚、RAW+JPEG同時保存モードでも約19~20枚まで、書込み待ちを心配せずに連続撮影できるのです(JPEGモードでは画像サイズ等により約37~76枚)。

では、同じ1000万画素デジタル一眼レフのペンタックスK10Dはどうでしょう。

実は、公表された予定のスペックによると、RAWモードで9枚、RAW+JPEG同時保存モードでは僅か6枚までしか連続撮影ができません。
私の経験では、白鳥の編隊飛行や離着水、サッカーやバスケットボールなどのようにシャッターチャンスが連続しやすい撮影シーンだと、バッファ容量20枚分でも不足するケースがしばしばあるのです(正直、焦ります…(^_^;))。
するとそのような撮影に、K10Dでは力不足? いいえ、そうではないのです。

JPEGモードとRAW+JPEG同時保存モードとを自在に切替え

RAWモード撮影が有利なシーンでも、連続撮影中のすべてのカットにその必要のあるケースは実際そう多くありません。しかし途中でJPEGモードに切替えようにも、カメラを覗きながら手探りで素早く操作するなど、これまでのどのカメラでもほとんど不可能でした。
ところがペンタックスは、K10Dでそれを可能にしてしまったのです。その新機能は、カメラを覗いた状態で内蔵ストロボの左下にある「RAW+ボタン」を押せば、JPEGモード(またはRAWモード)とRAW+JPEG同時保存モードとを自在に切替えできるというものです。なかなか思いつかない「コロンブスの卵」的発想と言えるのではないでしょうか。
メーカー推奨の利用法として、「JPEGで撮影中に、ここぞというシーンをRAWでも記録」する例が挙げられていますが、逆にRAW+JPEG撮影中にバッファフルで書込み待ちになった場合、「RAW+ボタン」機能を緊急解除しJPEGで撮り続けるという応用も考えられます。何しろK10Dは書込み速度が速く、JPEGなら待たずにメモリカードいっぱいまで連続撮影することができるのですから。
一般に、バッファメモリは結構コストのかかる部品だと言われています。また、バッファに余裕があるからといたずらにRAWで撮り続るなら、最近安くなったとは言え、予備のメモリカード代も無視できない金額になるでしょう。
何でもお金で解決するのではなく、問題の根本にあるものを見極め本当に役立つモノづくりに取り組むペンタックスの姿勢に、改めて感心させられました。加えて「画質革命」を謳う22bitA/Dコンバーターと新画像エンジン「PRIME」とが功を奏し、ハイライトからシャドウまで、複雑な光線状態でもより高い諧調再現が得られることにも、大いに期待したいと思います。

ところで9月14日付記事に私は、「同じように革命と言っても、ニコンがたいてい素人にも分かりやすいコンセプトのプロ用機や中堅機を出してくるのに比べ、ペンタックスには玄人でもすぐにはその価値が理解しにくいコンセプトの商品を、アマチュア機として出してくるようなところがしばしばあります」と書きました。この「RAW+ボタン」などはまさにその典型なのですが、恥ずかしながら私も、最初は開発陣の意図がすぐには飲み込めませんでした。海外サイトから漏れてくる噂でその機能の採用を知ったときも、いわゆるガセネタではないかと疑ってしまったほどです。
そのような認識を改めた今は、この小さなボタンが実現した大きな革命に感謝し、K10Dならではの撮影スタイルをしっかりマスターしなくてはと考えを巡らせているところです。

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2006年09月19日

ペンタックスK10Dと新交換レンズシリーズへの期待

「Kマウント」進化の証…?

ペンタックスの新しい1000万画素デジタル一眼レフK10Dでは、同時開発の交換レンズ郡にも新しい試みが盛り込まれているようです。8月20日付記事でもご紹介しましたが、ペンタックス上級執行役員の鳥越興さんのインタビュー記事の中にも、カメラとレンズとをつなぎ合わせるマウント部の改良について次のような発言が見られます。

「現在、開発陣に指示しているのはKマウントの進化です。〔中略〕上位互換の形で、より高機能なマウントシステムへと進化させることに、現在は取り組んでいます」

 「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事より抜粋
  【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

次の各ページの掲載写真から、K10Dと発売中のK100Dとのマウント部の違いを比較できます。

 「ASCII24」:2006年9月14日付記事
  ペンタックス、1000万画素CCDを搭載した久々の中級機
  『PENTAX K10D』を発表

 ペンタックス(株):製品紹介
  デジタル一眼レフカメラ/K100D 外観

鳥越さんが述べられていた「進化」が、お分かりになりますでしょうか? 
そうです。マウントの外寸が、僅かにですが大きくなっているのです。

新交換レンズシリーズは超音波モーター搭載の防塵防滴構造?

単に「大きくなったから進化だ」というわけではありません(笑)。
メリットとして、カメラ本体とレンズとの接する面積が大きくなることで、塵や水滴などが内部へ入りにくくなる効果が期待できます。もちろん、これに応じてレンズ側のマウント外寸も大きくし、かつ密封性を高めた構造にする必要はありますが。
ここで、次のペンタックス公式サイトのページからダウンロードできる「レンズ開発ロードマップ」をご覧ください(PDFファイル)。

 ペンタックス(株)製品紹介/デジタルカメラ/交換レンズ

私は今、今年12月頃発売予定という2本の明るいズームレンズに注目しています。

・SMC ペンタックス DA 16-50mmF2.8(仮称)
・SMC ペンタックス DA 50-135mmF2.8(仮称)

ペンタックス公式サイトのK10D紹介ページ下欄にも「超音波モーター搭載レンズ(開発中)に対応」とあるように、K10Dのマウント内部には電源供給接点が復活しました。

 ペンタックス(株)製品紹介/デジタル一眼レフカメラ/K10D 特長

他社ではすでに普及している方式ですが、超音波モーターをレンズへ搭載することにより、より静かで速く正確なオートフォーカスが実現できます。
状況から、先に挙げた2本のレンズに搭載される可能性は高く、かつK10Dに合わせて防塵防滴構造が採用されていれば、ますます利用価値は高まるでしょう。
本格的な広角から望遠までをこの2本でカバーできるうえ、K10Dを2台用意すればレンズ交換の煩わしさからほぼ完全に開放されます。
これで、デリケートなデジタル一眼レフをかばうばかりに悪天候の下だと積極的に撮影できなくなる、という悩みも解消できるのではないでしょうか。

ユニークなペンタックスとトキナーとの共同レンズ開発

気になるお値段ですが、予測はできます。
光学機器メーカーのトキナーからも、近く同仕様の交換レンズがニコン用、キヤノン用として発売される予定です。
トキナー公式サイトに価格が掲載されていますので、ご覧ください。

・トキナー AT-X 165 PRO DX 16-50mmF2.8
 2006年11月下旬発売予定 希望小売価格 113,000円(税別)
・トキナー AT-X 535 PRO DX 50-135mmF2.8
 2006年10月中旬発売予定 希望小売価格 138,000円(税別)

実はこれらのレンズ、両社の共同開発によるもので、光学系はまったく同一です。商品企画から設計まで双方の開発陣が同じテーブルで協議を重ね、アイディアやノウハウを持ち寄り完成させた意欲作とのこと。
光学ガラスなどの部材は共同購入。レンズの研磨加工から乱反射防止被膜のコーティング処理、鏡筒中枠への組込までをペンタックスの関連工場で行い、その後の外装への組込などはそれぞれの指定工場で進めるようです。
OEMとは性格の異なるユニークな開発方式ですが、小回りの利きやすい規模のメーカー同士だからこそ、こうしたパートナーシップが実現できたのでしょう。同じ方式で開発された、これもユニークな魚眼ズームレンズ10-17mmF3.5-4.5も、すでに発売中です。ほかに、開発は別々でも同じ光学系を採用し、両社で部材の共同購入を行っている商品もあります。
ペンタックスの本社は東京都板橋区に、トキナーの光機事業部は埼玉県入間郡三芳町にあり、ともに東武東上線の沿線です。そしてご当地、ペンタックスオプトテック小川も東上線沿線なら、トキナーの協力工場もやはり同じ沿線に散在しているそうです。トキナーは企画開発が中心で自社工場は持たない経営方針のようですが、それに代わる技術者を中心とした地域的なネットワークが形成されているのかもしれないですね。

しかしそれにしても、両レンズともなかなか高価ですね。ペンタックス版が超音波モーター搭載になるなら、さらに高くなりそうです。カメラ本体以上に?
でも欲しい。学芸会や式典など、学校のステージイベントの撮影には、かつてない最高のシステムではないですか。

K10Dファーストインプレッション!!

ステージイベントのほかに、卓球やバスケ、バレーボール、剣道や柔道など、室内競技の撮影にも試してみたいと思うのですが、問題はK10DのシャッターレリーズタイムラグがK100Dに比べどの程度短縮されるかです。このことに関しては不安も大きかったのですが、今日突然朗報が入りました。プロ写真家の谷口泉さんの「美写華写ブログ」(ペンタックス提供)に、待望のK10Dのファーストインプレッションがアップされたのです。そこには次のようなコメントが。

かつて 150msクラスといわれたレリーズタイムラグも、だいぶレスポンスがよくなった感じがします。おそらく80msクラスといえるのではないでしょうか。

 PENTAX「美写華写ブログ」:2006年9月19日付記事より抜粋
  速報!! K10Dファーストインプレッション

谷口さんのブログの(c)はPENTAXですから、このコメントは事実上ペンタックスの折紙付きと考えてまず間違いないでしょう。値段が違うだけにニコンD200の約50msには及びませんが、同価格帯にあるD80の約80msとほぼ互角です。スポーツ写真、十分いけます。

D200一式、買い揃えて1年も経ちませんが、どうしましょう(笑)。
長い目で先々のことを考えると、決断は早い方が良いかもしれません。。。

【9月20日補足】
上記「美写華写ブログ」の記事に、谷口さんからコメントの追加がありました。

レリーズタイムラグについては、書いたようにどんどん改善されつつある部分です。メーカーも認識してますし、期待しましょう。

これは嬉しい情報です。製品版の登場がほんとうに楽しみです。

【9月19日追記】
K10Dの英文パンフレットがダウンロードできます(PDFファイル 1.65MB)。
格好良いですね!

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2006年09月14日

本日公式発表! ペンタックスK10D

手ぶれはもちろん、雨や埃の悩みを軽減

ペンタックスの新型1000万画素デジタル一眼レフK10Dの詳細が本日、国内で報じられました。発売予定は10月下旬、店頭予想価格は税込み12万円前後(レンズ別)になるようです。

 ペンタックス(株):2006年9月14日付ニュース
  有効1020万画素のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ
   「PENTAX K10D」

 「デジカメWatch」:2006年9月14日付記事
  ペンタックス、ゴミ除去機能搭載の有効1,020万画素デジタル一眼レフ
  「K10D」

 「BCNランキング」:2006年9月15日付記事
  ペンタックス、手ブレやゴミを防ぐ1020万画素デジタル一眼、
  12万円前後で

海外のデジタルカメラの著名なニュースサイト「dpreview」に、たいへん詳しいレビューが掲載されているのでご紹介します(英文)。

 「dpreview」:2006年9月13日付記事(日付は現地)
  Pentax K10D Hands-on Preview (→Yahoo!翻訳

K10Dは、K100Dに次いで手ぶれ補正を内蔵しただけでなく、その機構の応用でイメージセンサーを振動させ表面に埃が付きにくくし、画像への写り込みを軽減する対策も施されています。同時に、12万円前後のデジタル一眼レフとしては初めて防塵防滴構造を採用し、悪天候でも安心して使えるカメラに仕上がっています。
まさに気を遣わずに済む高性能デジタル一眼レフということになりますが、一番気を遣わなくて助かるのはお値段でしょうか。店により実質10万円を割るのも、もはや時間の問題かもしれません。
9万~12万円台の1000万画素デジタル一眼レフは、すでにソニー、ニコン、キヤノンから相次いで発売されていますが、K10Dの営業戦略上の大きな特徴は、初心者向けの自動調節モードをバッサリ省略してしまったところにあると言えるでしょう。例えば、人物、風景、接写、動体、夜景などの絵文字マークを選ぶとカメラが撮影シーンに合わせ自動調節してくれるモード等がそうです。
デジタル一眼レフとしては求めやすい価格とはいえ、一般家庭にとっては決して安くはない買い物です。各社とも家族全員で使えるファミリーユースのカメラを目指そうとした中で、ペンタックスだけは玄人好みのプロユースを目指したところが実に興味深く思えました。見方によっては、K10Dを選ぶお客さんは、かなり我が儘なカメラユーザーとも言えそうですね。
ただ、プロユースとは言っても、シャッターレリーズタイムラグやオートフォーカスの合焦時間の短縮についてはメーカーから改良のアナウンスがありません。動きの激しいスポーツなどの撮影だと、ニコン、キヤノンの上位機種にまだまだ及ばないのでしょうか。
なお、K10Dでいよいよ復活した気になるレンズマウント部の電源供給接点についてですが、これは開発中のオートフォーカス用超音波モーター内臓交換レンズに対応するためのものだということが公表されました。このような新開発のレンズとの組合せでは、あるいはオートフォーカスのスピードアップが図られるのかもしれません。さらなる上位機種の開発への意欲もうかがえ、これからのペンタックスへの期待は高まるばかりです。

画質革命

「画質革命」。K10Dの国内でのキャッチフレーズだそうです。
新開発の画像エンジン「PRIME(PENTAX Real Image Engine)」が搭載され、イメージセンサーで捉えたアナログ信号をデジタル信号へ変換するA/Dコンバーターにも新たに22bit(420万階調)タイプが採用されているのが主な理由とのことです。
9月13日付記事のコメントで、私はニコンの社風についてイメージは地味でも相当の革命家だと書きましたが、ペンタックスも負けず劣らずの革命家です。かつ、イメージは輪をかけて地味であるうえ、行いもまた生真面目そのものです。
同じように革命と言っても、ニコンがたいてい素人にも分かりやすいコンセプトのプロ用機や中堅機を出してくるのに比べ、ペンタックスには玄人でもすぐにはその価値が理解しにくいコンセプトの商品を、アマチュア機として出してくるようなところがしばしばあります。
説明は避けますが、K10Dに盛り込まれた数々の新機軸にも、ともすると経験豊富なプロからでさえ、
「これが何の役に立つの?」
「今までとどこが違うの?」
「ほかにもっとやるべきことがあるのでは?」
と思われかねないところが結構あるのです。
いずれもペンタックスとしてはひたすら真面目に、考えに考え抜いて採用した新機軸だと思うのですが、正直表面からは目立たない地味な改良の積み重ねではあります。それでいて使い始めてみると不思議と違和感が無く、時が経つにつれその良さがじんわりと心身に馴染んできて手放せなくなることが多いのです。
私は嬉しいですね。ペンタックスのユーザーで良かったと、心の底から思えるのです。

予約しました

というわけで本日早速、某オンラインショップへK10Dの予約を済ませました。
ニコンD80とどちらを買うかは直前まで悩みましたが、値段がほぼ同じということで、予想以上に割安感の高いK10Dに決まりです。これにより私の1000万画素デジタル一眼レフはニコンD200とペンタックスK100Dとの2機体制になりますが、両者の交換レンズシステムの重複を避けるため使用頻度の少ないレンズは売却処分することにしたので、K10D購入の元手はほとんどかかりません。
どちらかと言うと出番が多いのはK10D。単三電池が使えるK100Dがそのバックアップ。D200は激しいスポーツなどの特殊用途ということになるでしょうか。D200のバックアップには、やはり単三電池が使えてメディアもCFカードやマイクロドライブが共用できる*istDという選択肢もあります。
ニコンとペンタックスとでは、他社のデジタル一眼レフに比べれば使い勝手に共通点が多いので併用しやすく、実に助かっています。

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2006年09月13日

判明は明日早朝? ペンタックス1000万画素デジタル一眼レフ

K10D!?

ペンタックスの新しい1000万画素デジタル一眼レフの詳細が日本時間の14日早朝、欧米のマスコミを対象に公表されるようです。楽しみですね!
と言いつつ実はもう、海外の私設ニュースサイトで、誤って(わざと?)一時的にですが公開してしまったところがあったという噂も。。。

まぁ、見なかったということにしておきましょう。私は(笑)。

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2006年09月10日

ついに学園祭デビュー! 手ぶれ補正が付いたペンタックスK100D

そのカメラかわいい~!

9月早々学園祭シーズンの到来です。ついにK100Dの出番が来ました。
8月23日付記事でもご紹介したように、ペンタックス商品企画担当の畳家久志さんはアスキーのインタビューに応え、その用途を「子供を撮ること」、それも「学校などでのステージ上のイベント」に絞り込んだとお話しされています。

 「ASCII24」:2006年8月21日付ニュース
  【INTERVIEW】ペンタックス『K100D』開発陣に聞く(後編)

果たしてK100Dは、見事その本領を学校アルバム撮影の現場で発揮してくれたのでした!

肖像権や著作権等の関係で作例をお見せできないのが残念ですが、最高です、このカメラ。ペンタックス関係者の皆さま、本当にありがとうございました。これからも益々お世話になります。

私がステージ演奏の撮影で重宝したレンズは、出演者のクローズアップに適した中望遠のSMC PENTAX-FA☆ 85mmF1.4[IF]。
デジタル一眼レフで交換レンズ側に手ぶれ補正機構を内蔵したものでは、レンズの口径は今のところF2~2.8が限界です。
その点、カメラ本体に機構を内蔵したK100Dなら、倍以上明るいF1.4の大口径レンズでも手ぶれ補正が効き、照明の暗いバンド演奏の撮影にも三脚無しで安心して望めます。
大口径望遠レンズを開放絞りで使うとピントの合う範囲が極端に狭くなるのですが、K100Dのオートフォーカスは暗いステージでも若者たちの動きをしっかりとらえることができました。ファミリーユーザー向けの普及機ながら、フォーカスセンサーは11点測距と贅沢な仕様。かつその精度は3年前の*istDより驚くほど高められているようです。
ただひとつ残念なのは、せっかくお似合いの85mmF1.4が今は品切れ中ということ。私は13年前の発売当時に購入したのですが、最近は中古市場でも品薄で相場は上がっているようです。再生産あるいはモデルチェンジを期待したいところです。

さて、某県立高校の学園祭でのこと。
ステージへ向かう浴衣姿のボーカルユニットに声をかけられ早速スナップ。
K100Dを向けると
「そのカメラかわいい~!」
だって。大成功みたいですね、ペンタックスさん。

【追記】

これもまた某県立高校の学園祭でのこと。生徒さんたちの前を通ったら、
「カメラマンのお・じ・サン、カッコイ~! カッコイ~!」
「カッコイ~ョ、そのカメラ…」
笑うところでしょうね、↑ここは。。。

ところで、ニコンD200のように少々肩肘張ったデザインのカメラも、K100Dと交互に使えば生徒さんたちへの威圧感も和らぐようです。でも、受けはカメラ好きの先生からの方が良いようですね、やっぱり(^_^;)。

*お知らせ

『PENTAX K100Dスタートガイド』が日本写真企画から出版されるそうです。
発売予定は9月22日とのこと。

 PENTAX「美写華写ブログ」:2006年9月5日付記事参照
  K100Dムックのロケにいってきました

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2006年09月02日

中1の夏、写真部復活の思い出

9月に入ってから、何だか急に秋らしくなってしまいました。
先日までのあの蒸し蒸しした残暑はどこへ行ってしまったのでしょう?

新学期ですね。学生の皆さんは、どんな夏休みを過ごされたでしょうか。
夏休みというと私はよく、中学校最初の夏休みの出来事を思い出します。
学校の暗室で友人たちと体験した、初めての白黒写真現像のことです。

話は小学校時代にさかのぼりますが、入学して間もない頃、4年生から始まるクラブ活動を見学する機会がありました。
私が一番興味をもったのは、もちろん写真クラブ。しかも顧問の先生が私の担任の大好きな優しいT先生で、ちょうど黒板に大きくカメラの断面図を描き、その仕組みを説明されているところでした。それが、私が4年生に上がる前にT先生は転勤され、絶対入ろうと決めていた写真クラブも廃部になってしまったのです。

失望は中学に進学してからも続きました。ここにも写真部は無かったのです。
しかし幸いなことに、私のクラスにはたまたま写真好きの男の子が集まり、中には自宅に押入れを改造したお座敷暗室を持っている子もいて、結構楽しくカメラの話題など交わし合うことができたのです。
私たちの普段共通の関心事は、もっぱら玄関に近い踊り場の階段下にあった、謎の小さな開かずの間に向けられていました。そこには確かに「暗室」という札がかけられていたのです。
「あれって、現像用の暗室じゃないの?」
悶々とした思いは募る一方でした。

状況はある日急転しました。仲間の誰かが以前は写真部もあったことをつきとめ、元顧問だった先生に相談したところ、夏休みの間だけ暗室を使わせて欲しいという願いに快く応じてもらうことができたのです。早速希望者を募り始めたので、私も一も二もなく誘いに乗りました。
そして待ちに待った夏休み。課外の運動部の生徒くらいしかいない閑散とした校舎に、私たちは集合しました。嬉しいことに、元顧問の先生が写真部OBのプロカメラマンだという講師のお兄さんも招いてくださり、安心して作業に取り掛かることができたのです。
暗室の中はさすがに蒸し風呂状態。狭苦しいところへ男子が何人も詰め寄り、カビと埃と薬品と汗の臭いが充満してそれは劣悪な環境でしたが、楽しかったですね。持ち込んだネガを自分で大きく引き伸ばす達成感。お兄さんに手ほどきを受けながらも、なかなか思い通りの濃さにプリントできずヤキモキしましたが、貴重な体験でした。初めてフィルム現像に挑戦した友人が、仕上がったネガを両手で広げながら「写ってる! 写ってる!」と叫んで暗室から飛び跳ねるように出てきた姿が、今も忘れられません。

束の間の写真部復活。このまま正式に復活したらいいのにと、そのとき仲間の誰もが思っていたのですが、果たせませんでした。その願いを叶える以前に、私たちの気持ちがバラバラになってしまったからです。
その頃、なぜか全国的に中学校の風紀が荒れだし、非行や校内暴力の記事が新聞を賑わせ始めていました。当時カメラに興味を持つ男の子というのは、概して大人びた、多感で批判精神の強い、少し背伸びしたがるような子が多かったのでしょう。次第に校則を厳しくする学校側に反発し、写真仲間だった友人たちは一人、また一人と、不良の真似事みたいにツッパリのグループへ加わっていったのです。勉強ができないわけでもないのに授業態度も悪くなり、彼らの成績はどんどん落ちていって、先生たちから差別的な目で見られるようになっていきました。クラスの友人関係もギクシャクしたものになって、真面目だった私はあれほど親しく言葉を交わした仲間からも、「お前なんか俺たちに関係ないだろ」といった態度をとられるようになってしまったのです。

仕方なく、仲間の解散後は写真部復活を諦め、私はお座敷暗室の持ち主である唯一冷静だった友人の部屋で、プリントワークを学ばせてもらったのでした。
その後2年生の冬休みを迎え、ついに私も念願の暗室を持つことができました。私が当初試したのは、風呂場を使った仮設式です。また同じ頃、クラスは違うので写真部復活には加わらなかったのですが、小学校を卒業した春、一緒に小川町を撮影旅行した長年の親友も自分の暗室を持ちました。
3年間を通じて、非行に走ることなく愚直なまでに写真を撮り続けていたのは、この3人くらいだったでしょうか。お互い、鉄道やユースホステルを使って撮影旅行に出かけるのが好きで、しばしば誘い合っては思いっきり遠出をしたものでした(札幌辺りまで)。表向きは従順でしたが、実行力があるという点では、今思うと私たち3人の方がよっぽど不良だったのかもしれませんね。行く先々でよく補導されなかったものだと、つくづく思います。
3人は、卒業してからも揃って日帰り旅行へ出かけたりもしました。

本来なら、こんな仲間がもっとたくさん作れたはずの、中学校生活でした。
実は、一人ツッパリグループと付き合いながらもガリ勉を続け、一流の進学校に見事合格した子がいました。その子が卒業式の後、元グループの中心人物から裏切り者として狙われ、一時先生にかくまわれるという騒ぎも起こりました。陰の努力家だったその彼も、本当はカメラや写真が好きな子だったのですが、私とはお互いに意識しながらも、とうとう友だち同士親しく付き合うきっかけを逃してしまいました。

校則の趣旨を生徒たちに理解させることは大切なことだし、大変なことに違いありません。ただ、それを形式的に大人の力で押し付けられたことで、当時思春期に差しかかっていた私たちの失ったものは、あまりにも大きかったように思います。いつも同じクラスメイトが顔をあわせる教室の中で、従順な子とそうでない子とが何人もの先生から知らず知らず差別を受けるのも、お互いの寄るべき場所が奪われる結果を招いてしまいました。今考えても大きな代償だったと思います。それぞれ立場は違っても、みんな自分の居場所を探して人知れず悩んでいただろうと思います。
この時期の子たちは、まだまだ大人にかまってもらいたい年頃なのです。むしろ小学生のときより、自分の意思で指導者となる大人に接することを求めようとしています。それを、どんな理由があろうといきなり突き放したり自立を焦らせたりすることは、その後の進路にも禍根を残すことになると思います。

かつて写真用暗室を備えた小中学校は数多くあったようですが、まだ写真の豊富に掲載された出版物も少なく、教材作成用としても先生方が資料写真を引き伸ばすのに必要としていた時代の名残りでしょうか。やがて写真印刷物があふれ便利な複写機も普及するにつれ、次第に暗室も使われなくなり、同時に写真部のある小中学校も減っていったようです。
私がようやく写真部に所属し、放課後存分に活動できるようになったのは、高校生になってからでした。都立高校でしたが、中学時代と違いまるで自由きままな校風で、あまりの放任主義にちょっと拍子抜けするほどでした。
その写真部の名は「光画部」といって、あるアンドロイドが主人公の人気学園コメディ漫画のモデルにもされたことのある、かなりユニークなクラブでした。母校や光画部について書き始めるときりが無いのでこれくらいにしておこうと思いますが、今も同好会に格下げされたものの、細々と続いているみたいです。
(冥王星みたいだ。)

最近は高校でも暗室や写真部のある学校は少なくなり、なんだか寂しい気がしますが、本来一人でやるようなものじゃないと思うんです、写真というのは。大人になってからだと、写真クラブのような団体にはどうしてもお稽古事みたいなスタイルで入門することになりがちですが、学生の皆さんには、もっと自由に好きな写真に打ち込めて、お互いに楽しみながら撮った写真を見せ合える場所を見つけて欲しいと思います。

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2006年09月01日

開発は順調! 期待のペンタックス1000万画素デジタル一眼レフ

やはりこの秋デビュー!? 楽しみな「フォトキナ」

プロ写真家の谷口泉さんの「美写華写ブログ」(ペンタックス提供)で、ついにペンタックス商品企画担当の畳家久志さんから、開発中の1000万画素デジタル一眼レフに関するコメントが公表されました。

もっと写真を楽しみたいという目的で1000万画素の機種を待っている方の期待に応えていきたい。それだけでなく、カメラとしても質を高めて、画がきれいに出るよう努力しています。開発は順調ということで、ぜひ秋を期待していてください。

 PENTAX「美写華写ブログ」:2006年9月1日付記事より抜粋
  圧倒的な売れ行きのK100D、どこが評価されたのか?(3)

モックアップを見ると、操作部のレイアウトは私が慣れ親しんだ*istDに準じていて、とても使いやすそうです。サイズは少し大きくなるようですが、その分中身も大化けしていそうで期待はますます膨らみます。すでにK100Dからして、手ぶれ補正の効果やオートフォーカス、自動露出、オートホワイトバランスの精度など十分信頼できるレベルなので、ついそれ以上の質を求めたくなってしまうのです。
モックアップ(評価用の模型)の画像は、次の各ページに掲載されています。

 ペンタックス(株):2006年2月24日付ニュース
  「PMA 2006」デジタル一眼レフカメラ関連製品の参考出品につい

 「デジカメWatch」:2006年3月24日付記事
  【PIE2006】ペンタックス参考出品フォトレポート

当ブログ8月23日付記事の続きになりますが、この1000万画素機、K100D同様に学校アルバム関係の仕事でどこまで活躍できるか、私は非常に注目しています。
学園祭などのステージ発表や式典などの撮影用に手ぶれ補正があるだけでも資格十分ですが、問題なのは体育祭や運動部の公式試合などのケースです。ワールドカップの報道陣並みの重装備とはいかないまでも、シャッターレリーズタイムラグが短いなど、ある程度チャンスに強いメカが要求されることは言うまでもありません。高校野球など、県選抜までは地元写真館が学校アルバムや広報掲載用の依頼で出張撮影に行くこともあるのです。
この夏、入間や比企地域の中学校運動部の地区大会会場を回っていて同業者の方とよくお会いしましたが、皆さん、まるで申し合わせたかのようにニコンD200をお使いになっていたのが印象的でした。スポーツにも集合写真にもこれ1台で対応できるので、そのコストパフォーマンスの高さがどこの写真館でも重宝されているようです。私もクライアントの写真館からの貸し出し機材と自前機材とを組み合わせ、撮影に対応しました。
ただ、ニコンの手ぶれ補正はレンズ内蔵式で、ステージ向きの手ぶれ補正付大口径レンズは甚だ高価なうえ大柄なものしか今のところありません。もしペンタックスの1000万画素機がスポーツ撮影にも十分対応できる性能を備えていれば、きっと全国(いえ、世界中)の写真館から注目されることでしょう。
詳細は今月下旬にドイツで開催される映像機器展示会「フォトキナ」までには公表されるはずなので、とても楽しみです。
(海外のネット上ではもう、“噂”レベルとはいえかなり詳細がリークされ始めているようですが。興味のある方はその筋の掲示板などを探してみてください。)

願わくば早期に写真館向けのソリューションを

8月31日付記事で、ペンタックスが開発中のフォトスタジオ向けデジタル一眼レフを軸としたソリューションの展望について触れましたが、上記の1000万画素機とも組み合わせ、写真館向けのソリューションが構築できればかなり便利なものになりそうです。
このスタジオ向けデジタル一眼レフ、645 Digital(仮称)のモックアップ画像は、上に挙げた各ページに1000万画素機のそれとともに掲載されています。
ペンタックスでは67判645判といった、35mm判より大きなサイズのフィルムを使う各種スタジオ、ポスター撮影向けの一眼レフシステムも長年造り続けていますが、645 Digitalはそれらの交換レンズシステムを継承するデジタル一眼レフです(67判用レンズはアダプター使用)。特に、同社の67判システムは大人数の集合写真の出張撮影用に常備している写真館はたいへん多く、そのレンズを流用できて幾分コンパクトな645 Digitalは、より広い用途で活躍できる期待の新製品というわけなのです。
実は私も67判システムの愛用者なので、当分の間は高嶺の花かもしれませんが、いつかは手に入れてみたいと今から憧れているところなのです(ああ、鬼が笑いすぎて苦しそう。気の毒)。

フィルムカメラ時代から、35mm判一眼レフシステムと、それより大きなサイズのフィルムを使う一眼レフシステムとの両立を果たしてきたメーカーは、今やもうペンタックスくらいしかありません。根強い固定ユーザーに支えられた既存の豊富なシステムや小型軽量デジタル一眼レフの開発で得た技術の蓄積は、他社がそう簡単に追随できるものではないでしょう。
ペンタックスが写真館向けのソリューションを構築するうえで有利なのは、両フィルム一眼レフシステムをそれぞれ引き継ぐデジタル一眼レフで、撮影後の画像ファイルの管理や出力などを同じ純正ソフトで行えるということです。幅広いジャンルの撮影依頼に応じなければならないものの、その経営規模からできるだけシステムを整理したい写真館にとって、これからのペンタックスの商品アイテムはかなり有望なものになりそうです。

思えば、小さなお子さんが初めて目にするプロカメラマンといえば、多分それは七五三の記念撮影などでお世話になる町の写真館のカメラマンでしょう。そして、学校に上がってからも遠足のスナップ写真や各種行事の記念撮影などで、同じように写真館からの出張カメラマンをたびたび目にするようになるでしょう。そのときカメラマンが構えているカメラがペンタックスなら、そのお子さんはもちろん、保護者や先生方にとっても印象に残り、自然とメーカーの宣伝になるのではないでしょうか。
こうした効果を狙っているのか、キヤノンもすでに専門の商社や写真館団体などを通じ、田舎町の写真館にもあの手この手で宣伝を仕掛け始めています。同時に、製品発表会を兼ねたデジタルフォトセミナーへのお誘いも年がら年中です。これまで写真館に強い営業力を持っていたフジフイルムやコニカミノルタの事業を引継いだソニー、ペンタックス同様スタジオ向け一眼レフのデジタル化を進めている事業再建中のマミヤ、キヤノンと競合するニコンなどは、それほどお誘いが活発ではありません。キヤノンとはインクジェットプリンタで宿命(?)のライバル関係にあるエプソンの方が、むしろ働きかけは熱心です。
(ちなみに私は、プリンタもスキャナもエプソン製を愛用しています。)
そのエプソンが主催するセミナーでも私は以前、招かれた講師が実演で使っていたカメラが宿敵キヤノンのデジタル一眼レフという笑えない場面にも遭遇しましたので、こうした隙にペンタックスが入り込めれば新しいソリューションの認識を高めてもらう良い機会になるかもしれません。
(そう言えば、ペンタックス、エプソン、キヤノンとも、新宿のショールームは同じビルの同じフロアでしたね。)

映像技術のデジタル化やIT産業の進展で、カメラメーカーとユーザーとの距離は以前より一層近いものになってきたように感じています。近い将来どこかのセミナーなどの会場で、ペンタックスの関係者の皆さまにお会いし、お話を伺える日を楽しみにしています。

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2006年08月31日

一眼レフカメラという商売 (その2 ペンタックスのソリューション)

〔一眼レフカメラという商売 (その1 家電メーカーの挑戦)へもどる〕

期待したい、ペンタックスがこれから展開するソリューション

ペンタックス上級執行役員の鳥越興さんが、この春米国で開催された「PMA」ショーでImpress Watchのインタビューに応じ、開発中の新製品を軸としたビジネスソリューションの展望について回答されています。その内容は、キヤノンのコマーシャルフォトスタジオ向けデジタル一眼レフであり、最上位機種に位置するEOS-1Ds Mark IIに対して、真っ向からライバル宣言するものでした。

「この世界はトータルソリューションとしてビジネスモデル、市場環境を整えていかなければうまくいきません。スタジオやコマーシャルフォト、印刷関係といった現場に対して、入力の道具としてカメラを提供するだけでなく、加工、保存、出力といったトータルのソリューションを提供していかなければなりません〔中略〕まずはしっかりとカメラを作り、それをもっていろいろな意味で、いろいろなところと提携、協業を進めていきます。デジタル技術を用いた新しい道具として、ユニークな環境を作れると確信しています」

 「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事より抜粋
  【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

まだ構想段階であるため、具体的な内容についてまで触れることはできませんが、私は非常に楽しみにしています。キヤノンは多彩な機能を盛り込んだ商品をユーザー層別に造り分けることが得意なメーカーですが、ペンタックスは機能をシンプルに整理し、比較的少ない商品構成で幅広くユーザーの要求を充たしてきた伝統のあるメーカーです。そこにはメーカーとユーザーとの間で、プロ、アマに関係なく、カメラを道具として使いこなすため創意工夫し合ってきた喜びが受け継がれているように思えます。

歴史をさかのぼればキヤノンの前身となる精機光学研究所は、創業準備段階ではカメラの試作に当たった技術者が経営に深く関与していたものの、1933年の発足後は資本家やビジネス経験者が先頭に立って技術者を組織し、小さな町工場から言わば正攻法で成長を遂げたメーカーです。
ペンタックス(2002年以前は旭光学工業株式会社)は1952年に日本で初めて35mm判一眼レフカメラの商品化に成功し、独自に改良を重ねた末、その実用性の高さを世界中に実証して見せたメーカーとして知られています。その指揮を執ったのが、当時の社長だった故松本三郎さんでした。
松本さんは夜学へ通いながら、叔父が1919年に創業した旭光学工業合資会社(ペンタックスの前身)のレンズ研磨の現場で働き、様々な技術を身に付けました。やがて若くして会社経営を任され、1938年に旭光学工業株式会社を起こしましたが、敗戦の煽りで一時解散。会社復興の意欲を支えたのが、趣味だった写真を撮るためのカメラを自ら開発したいという、強い職人意識だったと伝えられています。かつて愛用したドイツ製のカメラを参考にしながらも、新たに招いた技術者の協力を得て完成させたのが、まったく独創的な一眼レフ、アサヒフレックスI型だったのです。
ペンタックス現社長の浦野文男さんも、私が大学1年の頃から愛用してきたLXの開発リーダーを務められてきた方です。社員の方にお尋ねするとよく、このカメラはベテランの職人が手間隙かけて手作業で組み立てなければならず、造れば造るほど赤字ですよという答えが返ってきたものですが、それでも1980年から21年間にわたって驚異的なロングセラーを記録しました。電池が切れても手動操作で撮影が続けられる、故障知らずのタフなカメラです。

独創的な職人集団と評されてきたペンタックスの企業風土は、オーダーメイドやカスタムメイドのノウハウが求められるビジネスソリューションの構築には元々高い適性を備えていると言えるでしょう。ともすると、自社製品を売らんがためのセット販売に終始するおそれもあるサービス形態ですが、使い手の身になって無駄を省き機能性を高めてこそのソリューションです。本格的なデジタル時代を迎え、ソフトウェアの開発やカスタマイズなども合わせてどのような展開を見せてくれるか、期待したいと思います。

一眼レフメーカーの本分

最後に、家電メーカーがデジタル一眼レフ市場へ参入したがる最近の傾向について、気になる点を一言。
価格低迷によるコンパクトデジタルカメラの不調を、より付加価値の高いデジタル一眼レフや交換レンズの収益で挽回したいという考えは、分からないでもありません。しかし本来、コンパクトデジカメ事業の営業上の問題は、より機能や使用目的が明確な魅力のある商品を考案するなどして、その中で解決を図っていくべきではないでしょうか。
デジタル一眼レフ事業による収益は、その関連システムをより社会に役立てるための技術開発や営業活動に投資していくのが、一眼レフメーカーの本分だと私は思います。

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2006年08月30日

一眼レフカメラという商売 (その1 家電メーカーの挑戦)

大手家電系メーカーが競い合うデジタル一眼レフ

2年に一度ドイツで開催される伝統の大イベント、映像機器展示会「フォトキナ」がひと月後に迫りました。今回最も動向が注目されているのは、やはりデジタル一眼レフでしょう。
今年は初めて世界的大手家電系メーカーが相次いでデジタル一眼レフ市場へ参入し、既存メーカーも巻き込んで競うように新製品の出品を予告しています。
各社とも、交換レンズの規格も含め開発には先発カメラメーカーの協力を得ていますが、いかにユーザーを開拓するかはそれぞれ独自の努力が必要とされるところです。
実はこれがなかなか難しい。かつて一眼レフカメラという商売に手を染め、優秀な人材、設備、技術の蓄積を持ちながら結局は失敗に終わったメーカーなど、世界中にいくらでもあるのです。

家電メーカーの多くは、これまでにもビデオカメラなどの製造、販売では十分な経験を積んでいます。しかし、一眼レフ市場にはその経験を活かしにくい特殊な事情が潜んでいることを、はたしてどれほどのメーカーが認識しているのでしょうか。どちらの市場も製品が業務用と民生用とに大きく分けられる点は同じですが、ビデオカメラでのセオリーは、一眼レフにはそう簡単には通用しないところがあるのです。
ビデオカメラの場合、テレビ放送などの業務用と一般アマチュア向けの民生用とでは、その価格、性能、操作方法には相当大きな隔たりがあります。一方、デジタル一眼レフの場合は7、8年前こそ300万円前後はするような報道、広告制作向けの業務用しかなかったのですが、コストダウンや使い勝手の向上から、今はプロ用機のユーザーもハイアマチュアが多くを占めるようになりました。逆に、飛躍的に性能の良くなった中級機がプロの間でも認められ、仕事に使われる機会も増えています。業務用か民生用かは、ビデオカメラ市場では実情に即したものですが、デジタル一眼レフ市場ではもはや抽象的な概念、もしくは便宜上の分類でしかなくなってきているのです。
プロ向けの製品でアマチュアに精一杯ファンサービスし、アマチュア向け製品でプロのさまざまな要求にまで応えなければならないという矛盾。自社の顧客を需要の多い一般アマチュアのみと割り切り、一眼レフをホームビデオカメラと同じような娯楽商品だと錯覚すると、とんだ見当違いの事業展開をしてしまう恐れがあるのです。常識的な経営者や技術者、営業マンなら頭がおかしくなってしまいそうな世界ですが、かつてのフィルムカメラ時代の一眼レフ市場では、こうした傾向はもっと極端なものでした。
これまで一眼レフで成功できなかったメーカーの多くは、それを余力でこなせそうな手堅い副業(語弊のある言い方ですが、閑散期の道楽仕事)として位置付けてしまったところに、考えの甘さがあったのではないでしょうか。

キヤノンが示すデジタル一眼レフのビジネスモデル

IT関連の営業マンからよく、「ビジネスソリューション」という言葉を聞くようになりました。単に注文された製品を売るだけでなく、顧客が抱える業務上の問題点を解決し生産性が高められるよう、必要なものがすべて揃った最適なシステムを構築し、納品後も継続的にサポートするサービス形態を指すようです。「ソリューション」には「解明」とか「解決法」といった意味があります。

映像技術のデジタル化と各種産業のIT化とが相乗効果になり、不況が長引いたにもかかわらず、カメラ市場は年々拡大してきました。カメラメーカーとしてテレビカメラやOA機器の製造販売で家電メーカーに引けをとらないキヤノンは、早くからビジネスソリューションの考え方を営業戦略に取り入れ、売上げを伸ばしてきました。

 キヤノン(株):ソリューション
  加工型製造業向け IPモニタリングシステム

その経験から、プリンターやソフトウェアの分野でも高い開発力を持つキヤノンは、デジタル一眼レフにこれらを組み合わせ、他社に先駆けてフォトビジネス界へのソリューション提供を始めています。

 キヤノン(株):フォトスタジオ向けソリューション
  新しいデジタルフォトスタジオのソリューション

フォトスタジオ向けソリューションの例では、照明機材を扱う商社など異業種との協業も積極的に進め、これまで顧客の側では雑然として利用しにくかったアフターサービス窓口の一本化まで目指しています。
スタジオ関係者対象のデジタルフォトセミナーの開催も積極的で、このブログの8月14日付記事で紹介したオンデマンド印刷会社(株)アスカネット主催のデジタルフォトセミナーにも、キヤノンは全面的に協力しています。
こうした営業戦略を展開するため、キヤノンでは数年前からデジタル化時代のフォトビジネスの体系的な分類に取り組み、デジタル一眼レフの商品構成をそれぞれの用途に特化したものに再編成してきました。同時に、それらの開発速度を上げるために実践した主要部品の純正化、純国産化の徹底ぶりにも、目を見張るものがあります。
現行製品は5機種ありますが、ファミリー向けは1機種に絞り、実に上位4機種までが広告制作、報道、写真館、雑誌出版など各分野のプロカメラマンの要求に十分応じられる性能を充たし、妥当な価格設定で供給されているのです。
今人気の子ども写真館でキヤノンのデジタル一眼レフが使われれば、一般家庭への高い宣伝効果が期待できるでしょう。また、ワールドカップやオリンピックなどのテレビ中継で映される報道陣が揃ってキヤノンのデジタル一眼レフを構えていれば、ハイアマチュアの購買意欲を掻き立てるに違いありません。

家電メーカーにとってはぜひお手本にしたいビジネスモデルですが、決して陥ってはいけない落とし穴に気をつける必要があります。それは、売り上げという表面的な数字に囚われてはならないということです。
一眼レフ関連商品のうち、ビジネス用途での購入は全売上げの何パーセントか? また、そのような購入層への商品開発や営業活動にどの程度コストがかかり、どの程度全体の利益向上に貢献できたのか?
仮にその成績が思わしくなかった場合、株主、経営陣、技術や営業の担当部署、労組を中心とする従業員などとの間でお互いに批判や不満が噴出するようであっては、とても事業は長続きしません。一眼レフという商売は、ときに社内事情をこじらせやすい要素を孕むこともあるのです。

社会に対し、一眼レフシステムを提供することでどのような貢献がしたいのか、そのデジタル化でどのようなサービスを実現したいのか。よほど明確なビジョンや強い使命感を示せる企業風土が作れない限り、メーカーが一眼レフ事業に対するモチベーション(自発的な動機付け)を維持していくことは、決して容易ではないのです。

〔続く〕

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2006年08月23日

ペンタックス「K」シリーズとの出逢い (その2)

〔(その1)へもどる〕

一眼レフカメラのデザイン考 -プロ用として、あるいは商品として-

ニコンとキヤノン。
数々のプロ用一眼レフカメラを世に送り出し、宿命のライバル同士と評されてきた2大メーカーです。
両者には共通点があります。それは一眼レフのカメラデザインにおいて、車のデザインでも世界的に評価の高い一流デザイナーの指導を、長年にわたって受けてきたということです。

ジュージアーロのモチーフを取り入れたニコン製品は、曲面を複雑に組み合わせた中にも随所に鋭角的なエッジを配し、悪路に強い機動力のあるレーシングマシンのような印象を感じさせます。
一方、ルイジコラーニのコンセプトを取り入れたキヤノン製品は、優美な流線型のフォルムで全体を大きくゆったりと包み、都会的で洗練されたスポーツカーのような印象を感じさせます。
どちらも男性的なスピード感溢れる車を連想させる、という点では同じで、ゴールを目指しアクセルを噴かすドライバーの姿が、貪欲に被写体を追い続けるプロカメラマンのイメージとも重なるようです。
さらに操作部のレイアウトについても人間工学に基づいた配慮が成され、それが功を奏して、外観から受けるスピード感を一層リアルなものにすることに成功しているのかもしれません(実際はどうあれ)。
そのようなデザインをプロ用機から下位機種まで一貫して採用することで、一般消費者の購買意欲を煽ろうという営業戦略上の演出なのでしょう。

さて、ペンタックスです。
学校アルバム関係の撮影では、この春にデジタルへ移行して以来ニコンD200をメインに使っていますが、それ以前はペンタックスLXを中心に、同社のZ-1やMZ-5を目的に応じ組み合わせて使っていました。
LXは私にとって大学入学当初から20年以上使い込んできた馴染み深いカメラです。そして、35ミリ判一眼レフカメラではペンタックスが唯一、プロ用として特別に高い品質基準で設計、製造したカメラです。
その操作部はロングセラー機であるSPやKMのレイアウトを踏襲していますが、デザイン上の工夫は各部の形状や寸法、操作感などを徹底的に見直し使いやすく改良するという、極普通で当たり前のものでした。外観は決して安っぽさを感じさせませんが、かといって実際の値段ほど高そうに見えるものでもありません。
Z-1はオートフォーカスの中堅一眼レフですが、LXとは少し趣が違い、ニコンやキヤノンが作り出すデザインの流行をやや意識したような印象を感じさせます。それが、後のMZ-5では再びLXに準じたデザインにもどり、かつ一層のコンパクト化が図られました。
ペンタックス最初のデジタル一眼レフ、*istDのデザインは、MZ-5のフォルムをベースにZ-1の操作系をラップさせた折衷案で、その意匠は先月発売されたK100Dにも踏襲されています。

一眼レフカメラのデザイン考 -子供を撮るために-

K100Dについて、ペンタックスの商品企画担当の畳家久志さんはアスキーのインタビューに応え、その用途を「子供を撮ること」、それも「学校などでのステージ上のイベント」に絞り込んだとお話しされています。

 「ASCII24」:2006年8月21日付ニュース
  【INTERVIEW】ペンタックス『K100D』開発陣に聞く(後編)

私はK100Dの発表を受け、このブログの5月30日付記事でも、「手ぶれ補正というと初心者向けの機能のような印象もありますが、ストロボ(フラッシュ)や三脚を使いにくい状況での撮影では、プロも助けられる機能です。私の場合、学校アルバム用の撮影依頼を受ける機会が多いのですが、学園祭などのステージ発表や式典の撮影など、大口径レンズと組合せてその威力が試せる場面はいろいろ考えられそうです」とコメントしたのですが、まさにそれは畳家さんたちが意図した通りの使い道だったのです。

K100Dは、その機能とコンパクトさ、手頃な価格から、ファミリー層もユーザーターゲットに含まれることは容易に想像できました。
しかしそのデザインは、これまでの同社や他社から発売されてきたファミリー向け一眼レフとは、少し雰囲気が違います。
ニコンやキヤノンの製品でさえ、このジャンルのいわゆる“パパママカメラ”は、もっとフレンドリーで愛らしい雰囲気の漂うデザインが多く見られました。
シリーズのネーミングも「Kiss」(キヤノン)、「Sweet」(旧コニカミノルタ)など母性的でアットホームなイメージにした方が消費者の覚えも良かったようです。
ところが、このK100Dのすべてに通じる中性的な生真面目さはどうでしょう。
「子供を撮ること」、それも「学校などでのステージ上のイベント」、すなわち家庭や旅行先などプライベートな場ではなく、学校という公の場で我が子を撮るということ。
子供にとっては、地域社会の一員として記念写真の中に自分の姿が納まることを、否応なく意識させられる場面です。ある子は誇らしげに、またある子は少しはにかみながら。
そして、親としては冷たく澄んだレンズを通して、ストイックな大人の視線で、我が子の成長を見つめなければいけない瞬間でもあります。
“オフィシャルなファミリーカメラ”。そのコンセプトが見えてきたとき、K100Dのデザインも自然と今のかたちに決まっていったのかもしれませんね。

畳家さんやK100Dの開発に携わった方々のお話しが、プロ写真家の谷口泉さんのブログにも紹介されています。ぜひご覧になってください。

 PENTAX「美写華写ブログ」:2006年8月22日付記事
  圧倒的な売れ行きのK100D、どこが評価されたのか?(2)

カメラのデザインが決める子供との距離

学校アルバム関係の撮影の仕事というのは、生徒さんたちとのコミュニケーション、言い換えれば距離のとり方がなかなか難しいところがあります。
例えば校外活動のスナップでも公式の記録に残す写真ですから、いくらその場が楽しいからといって馴れ合いは禁物です。とはいえ、生徒さんから見れば引率の先生方も添乗のカメラマンも同じ大人の保護者ですから(ときどき私まで「せんせー(笑)」と呼ばれてしまうことがあります)、他人行儀では思い出に残るような心の通った写真は撮れません。
ここで私は、最近はっきりと気が付いたことを打ち明けなければなりません。それは、ニコンD200のようなヘビーユースを意識したデザインのカメラは、生徒さんたちとの距離をどうも遠ざけてしまうようだ、ということです。そして改めて思い出されるのが、LXをメインに使っていたときいつも見せてくれた彼らの真顔、それと自然な笑顔です。
悲惨な事件を報じる際のマスコミの無遠慮な取材姿勢が問われて久しいのですが、テレビニュースに映る殺気立った報道陣のカメラの列が、同じデザインの流れを汲むカメラにも生徒さんたちの目にはだぶって見えてしまうのかもしれません。私は今、自分の使用するカメラが相手に何か威圧感のようなものを与えてはいないか、精神衛生上十分に配慮する必要があると感じているところです。

私は生徒さんたちの前で、「貪欲に被写体を追い続けるプロカメラマン」になるより、ひとりの「ストイックな大人」でありたいと思っています。そもそも、いくらカメラを振り回しガツガツ被写体を追いかけたところで、写真というのはシャッターを切った瞬間しか、後世に残すことはできないのですから。

 「for your precious moments =あなたの大切で貴重な瞬間のために」
 by PENTAX

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ペンタックス「K」シリーズとの出逢い (その1)

30年前に「欲しい」と思った一眼レフ

小さい子供のときからカメラを持たせて欲しくてたまらなかった私が、ようやく父から拝借を許されたのは、小学5年生になった年。今はもう無くなったメーカーですが、Y社が発売したコンパクト機でした。今から30年前のことです。
嬉しかったですね。嬉しかったのですけど、レンズ交換ができない。なぜ? 子供心にもどうしてか納得できずにいました。

その疑問が解けたのは、その年の初夏の移動教室で、群馬県の榛名山を訪れていたときのこと。ハイキングの休憩中に、他のクラスの担任だった若い男の先生が、群がった男の子たちの前で最近買ったばかりらしいカメラから自慢げにレンズを外して見せていたのです。
「ほら、ここにミラーがあって、スクリーンに構図が映るようになっているだろ。それを、この中のプリズムで正確に見ることができるんだ」
たまらずに私も見入りました。
「だから、レンズを換えても実際に写る写真と同じ構図が見られるというわけ。ま、君たちが持つにはまだ早過ぎるけどね」
感心して見とれる生徒たちの目も、いつしかその先生への尊敬の眼差しに。
渋く銀色に輝くパーツに、いかにも精巧そうな造り。冷たく澄んだレンズと、どこかストイックで大人っぽい理知的な雰囲気。男の子なら誰もが一度は憧れる、精密光学機器の極致がそこにはあったのです。
(これだ! 絶対に欲しい…。)
私が一眼レフカメラの存在を初めて意識した瞬間でした。
あとで知ったことですが、その先生のカメラは当時発売されて間もない高級一眼レフでした。O社が開発したその製品は今見ても際立ったコンパクト設計で、豊富なアクセサリー群とともに発表されるや一躍脚光を浴びていたのです。

後日、その高級一眼レフで撮られたたくさんのスナップが廊下に貼り出されました。いつの間に撮られたのか、生徒たちの無防備な寝相のスクープ写真!
ところが、秋には教え子たちからその撮影シーンを学芸会で暴露され? 保護者の皆さんはクスクス笑っていたみたいですが。

ペンタックスにしなさい

それから約1年。中学校進学を控えていた私は、各社のカメラカタログの比較に余念がありませんでした。父も援助してくれるというので、貯金を卸していよいよ自分の一眼レフを買うことにしたのです。
O社の一眼レフはやはり魅力的でしたが、ほかにペンタックスからも後を追うようにコンパクト設計の一眼レフが発売されていることを知り、その技術力に惹かれ始めていました。
「そんなに毎日毎日眺めて、そのうち穴があいちゃうよ」
呆れた父が決めかねている私に言ったアドバイスは、
「ペンタックスにしなさい」
「どうして?」
「O社は頻繁に目新しい製品を出すけど、移り気で大抵は長く続かないから。ペンタックスの方が伝統を大切にしていると思うよ」
そして私は、学生服の注文に行った帰り、両親と共に立ち寄ったカメラ屋で、アサヒペンタックスKMという生涯最初の一眼レフカメラを手に入れたのでした。
お目当ての最新型の方は、結局予算オーバー。それに比べるとちょっと大柄でしたが、KMは1960年代にロングセラーを誇った銘機SPのメカニズムを継承する、プレーンで使いやすい入門機でした。デジタル一眼レフ時代を迎えた今、なお開発が続けられているKマウントシステムを採用した最初の製品です。1975年の発売後、翌年には機能の一部が省略され一層プレーンさを増した輸出向けのK1000も登場し、それはSPを凌ぐロングセラーになりました。

卒業式が済み、春休みを迎え、初めてKMを携え親友(今もネット仲間です)と2人で遠出したのが、奇しくも今住んでいる小川町でした。そのときの写真はもう、引越しのときにどこかへ仕舞い込んで行方不明になったままですが、カメラの方は故障らしい故障もせず、今も思い出の品として私の手元で動態保存してあります(外観は相当くたびれていますけど)。

〔続く〕

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2006年08月22日

究極の画像調整ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta」公開

救世主降臨! JPEG画像がRAWファイルのように調整できる

「デジカメで撮ったらどうも色がおかしい」
「いくらレタッチしても直らない」

同じシーンを撮った写真なのに、カットによって赤味や青味が強かったりと、色調がバラバラになってしまうことがデジタル撮影ではよくありますよね。
その多くは、オートホワイトバランス機構の調整誤差が原因だと思われます。
これを後から修復するのに、プリンタドライバでの調整、「Adobe Photoshop」等のレタッチソフトでの調整、などといった手段があります。
ところが、画面の明るいところから暗いところまで全体をバランス良く修復するのは難しく、これには専門家でも相当の苦労を強いられているようです。
まして一般ユーザーには、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、マゼンタ、シアンの各色を、何でどう調性すれば修復したい色調に近付けられるのか、その方向を見つけることさえ困難です。

昨日、救世主とも呼べる画期的な画像調整ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta」が(株)市川ソフトラボラトリーから公開されました。30日間、誰でも無料で全機能を試用できます(9月30日までの期間制限あり)。

 「デジカメWatch」:2006年8月22日付記事
  市川ソフト、SILKYPIX 3.0 β版を公開

ホワイトバランスを、青から赤(アンバー)へのスライダー移動だけで手早く広範囲に調整できるほか、グリーンやマゼンタの色被りも同様の操作で簡単に取り除けるのが特徴です。しかも、自動調整を試みた後に手動で何度でもその調整量を変更することが可能。いずれも「Adobe Photoshop」ではできない芸当です。もちろん、スキャナーで読み込んだ画像も美しく自然に調整できます。

 SILKYPIX Developer Studio 3.0 Betaの公開について

本ソフトは、上記の公式サイトからダウンロードできます。
ただし、まだ製品になる前のBeta版なので動作の正確さは保証されていません。必ず調整するファイルのバックアップを取ってから、モニターとして試用してください。疑問点や意見などはモニター専用掲示板で受け付けています。
製品版の発売は9月下旬予定とのこと。

掲示板を覗いてみると、早速全国のモニターから続々と不具合報告が。
でも、本当に夢のような良いソフトができました。元々は、主に高機能デジタルカメラに装備されているRAWモードで撮影したファイルを管理、調整、現像(画像ファイルへの変換)するためのソフトだったのですが、今回のバージョンアップでJPEGやTIFFなどの画像ファイルも調整できるようになったのです。
種を明かせば、これは「JPEGやTIFFのイメージ画像をRAWデータとして処理することが可能な「SILKYPIX RAW Bridge(シルキーピックス ロウ ブリッジ)」を開発」した市川ソフトラボラトリーだからこそ成せる業。おそらく、一般的な市販ソフトとしては世界初の快挙でしょう。こんなことが、できたんですね。日本人に生まれて良かった!(英語版も製品化されると思いますが。)

もう使い分けの必要はなくなる? 限りなく万能に近い画像調整ソフト

当然のことながらJPEGのような画像ファイルの調整は、豊富な情報を含んだRAWファイルの調整に比べれば自由度の高さでは及びません。しかし、両者が同じソフトの同じ機能(一部RAW専用)で同じ操作により調整できることなど、これまでとても考えられないことでした。しかも、レタッチソフトと違い、大幅な調整を加えても画像劣化が極めて少なく済むのも嬉しい話です。陰を明るく調整してハイライトが白く飛んでしまうような場合でも、ハイライトコントロール機能の各種調整で復元することもできます。
さらにこのソフトは、ファイルブラウザとしての管理機能やビュアーとしての閲覧機能、印刷機能をも兼ね備えています。フォルダ内のファイル一覧を表示した状態で選択ファイルに調整を加えていくこともできるので、作業がとてもはかどります。特に便利なのが、作業を中断してもパラメータ(調整値)を自動的にファイル化して、同じフォルダ内に保存してくれる点です。再びソフトを立ち上げ調整途中のファイルを開くと、そのパラメータも自動的に読み込まれ、直ちに作業を再開することができるのです。つまり、元のファイルに何ら手を加えることなく、何度でも試行錯誤ができるというわけです。業務用としては、クライアントさんとのディスカッションなどにも最適なソフトだと言えるでしょう。
なお、各種調整や画像ファイル出力の際、選択した複数ファイルを一括処理する機能も備わっています。

専用掲示板での担当者コメントによると、画面上の小さな不要物を取り除く機能も、目下開発中とのことです。合成やフィルターワーク、ブラシツールによるレタッチなどの機能は「Adobe Photoshop」等に譲りますが、ほとんどの作業は、この「SILKYPIX Developer Studio 3.0」があれば済んでしまいそうですね。現行バージョンの新型カメラのRAWファイル対応は極めて早く、その点では新バージョンも期待を裏切らないことでしょう。製品版の登場が楽しみです。

いや、しかし、それにしても、凄いなぁ。。。

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2006年08月20日

能ある鷹? ペンタックスK100Dに隠された爪

15年前に見せた「Kマウント」の進化。しかし…。

ペンタックスは1991年に、当時としては画期的な交換レンズシステムを発表し、対応する新型一眼レフ、Z-1、Z-10とともに発売しました。
KAF2マウントと命名されたそのシステムは、カメラとレンズとをつなぎ合わせるマウント内部に、新たに電気接点を設けたところに特徴がありました。
これにより、新開発のパワーズーム(電動ズーム)レンズ内の駆動用モーターへ、カメラ側の電池から電源供給できるようになったのです。
しかし、メーカーが力を入れた割にユーザーからは評価されず、いつの間にか新製品には従来通りの手動ズームレンズしか登場しなくなってしまいました。そして2003年に発売された待望のデジタル一眼レフ、*istD以降は、とうとう旧システムのKAFマウントへ先祖がえりし、パワーズーム用の電源供給接点は廃止されてしまったのです。

実は私もZ-1を発売と同時に購入し、その後中古で買い増しした僚機とともに、ほとんど故障知らずで今も仕事に使っています。もちろん、試験的に購入したパワーズームレンズも現役ですが、結局手動ズームに切り替えた方が構図の微調整もしやすく、ついぞ電動は使わずじまいのままです。
今、ペンタックスの公式サイトで調べると、往時のパワーズームレンズはすべて販売終了とされています。不評に終わった製品が消えて行くのは仕方ないことですが、電源供給接点はパワーズーム以外にも応用できる可能性があったため、その廃止を惜しむ長年のユーザーが少なくなかったことも事実です。私も、その一人でした。

今再び宣言された「Kマウント」の進化。それは…?

ペンタックス上級執行役員の鳥越興さんが、この春米国で開催された「PMA」ショーでImpress Watchのインタビューに応じ、今後の新製品の展望について回答されています。その内容は、長らく変化の見られなかった同社の交換レンズシステムに新たな夜明けが近いことを、突如宣言するものでした。

「現在、開発陣に指示しているのはKマウントの進化です。〔中略〕上位互換の形で、より高機能なマウントシステムへと進化させることに、現在は取り組んでいます」

 「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事より抜粋
  【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

先月発売のK100Dでは見送られましたが、上の記事中にモックアップの写真が掲載されている1000万画素機には採用されるのでしょうか。ペンタックスの3月22日付ニュースリリースでは「2006年秋頃に発売予定 」とされています。9月下旬にはドイツで写真関連の国際見本市「フォトキナ」が開かれますから、その頃までには詳細が発表されるのかもしれません。

見逃せないK100Dに隠された爪

ところが、その発表を待つまでもありませんでした。伏線はすでに、K100Dの中に敷かれていたのです。
“電源供給接点”復活の礎(いしずえ)。
ダミーのパーツで塞がれてこそいますが、良く確かめるとマウントの内側、ミラーボックス下部のZ-1と同じ位置に、接点取り付け用の孔が予め用意されているではないですか。
ひと月近くも気付かずにいた自分が情けないです。このことは、ペンタックスのファン同士が情報交換に利用している某サイトの掲示板を見て、初めて知ったのでした。
K100Dのミラーボックスは、手ぶれ補正機構搭載に合わせて新規設計されたものです。今後の新製品では同じミラーボックスが、ダミーパーツではなく本物の電源供給接点を装着した状態で実装されるのでしょう。おそらく。
こちらの外観写真では試作機のためか判別できません。店頭デモ機などでお確かめください。ただし、勝手にレンズを外すと店員さんに叱られるお店もあるのでご注意ください。できれば、ご自身でお買い求めください。)

パワーズーム復活なるか? それとも…。

かつてユーザーに認められなかったパワーズームがなぜ、今になって復活の兆しを見せているのでしょうか。
当時はデジタルカメラはもちろん、パソコンさえ一般消費者の間には普及していない時代でした。ペンタックスの試みは、時代を先取りし過ぎていたのかもしれません。
ペンタックス最初のデジタル一眼レフ、*istDには、パソコンからリモートコントロール撮影するためのソフト、「PENTAX REMOTE Assistant Ver. 1.01」が無償で用意されていました。その後このソフトの開発は止まったままですが、私は今、あるいは次期バージョンでズーミングのリモートコントロールもできるようになるのではないかと、密かな期待を抱いています。K100Dにはペンタックス独自の「デジタルプレビュー」というテスト撮影機能が備わっていますが、これからはその結果をパソコンへ転送し、モニターを見ながら構図が調節できるようになるというわけです。三脚撮影なら手ぶれの心配はないので、その補正のためのイメージセンサーのシフト機構を構図の微調整に応用できるかもしれませんね。
ここで、さらに期待したいことがあります。それは、他社では最早主流となりつつある、レンズ内モーター駆動方式のオートフォーカス機構の採用です。
ペンタックスはこれまで一貫してカメラ側モーター駆動方式を用いてきました。この方式はレンズの小型化やコストダウンには有利なのですが、合焦速度を上げるには限界がある、と言われています。一概に比較はできませんが、望遠系のレンズでは確かに差が開くようです。

今、ペンタックスの交換レンズ群はモデルチェンジの過渡期を迎え、往年の人気レンズが次々と市場から姿を消しています。果してそれがどのような形で復活してくるのか、KAF2を発展させたKAF3マウントは現れるのか、早く真相が知りたくてワクワクしているところです。

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2006年08月14日

オンデマンド印刷でリーズナブルな写真集を作りましょう

デジタルフォトセミナーを受講しました

先週末、東京の大手町で(株)アスカネット主催のデジタルフォトセミナーが、営業写真館関係者向けに開催されました。私も日頃お世話になっている越生町の(有)山口写真の紹介で、フォトグラファーとして受講させていただきました。
同社は1冊から作れる写真集「マイブック」「プロフォトブック」などのネット受注サービスを次々展開し、注目を集めています。会場にも展示コーナーが設けられ、「プロフォトブック」の様々な作例を手に取って確かめることができました。

目覚ましいオンデマンド印刷の進歩

これら写真集は高性能オンデマンド印刷機で網点印刷され、丈夫なハードカバーを付けて丁寧に製本されます。その品質は書店で売られている写真集と比べても、何ら遜色はありません。しかも、1ページ当たりの単価はインクジェットプリント並みに安く抑えられているのです(「マイブック」の場合)。光ブロードバンド環境があれば自宅でデータを編集し、スピーディにネットで発注することができます。

私が都内の出版社に勤務していた5年ほど前、編集部内のオンデマンド印刷機への認識はまだ、オフセット印刷機の代用品という程度のものでした。社内に数台しかないパソコンは主に事務処理用で、ネット環境はナローバンド。私は自主的に自分のノートパソコンとようやくポータブル化されたMOドライブを持ち込み、ワープロソフトによる図表や表紙等の版下制作を自己流で始めたところでした。プロ用デジタル一眼レフもニコンD1Xが実勢価格50万円を切り、自分にも何とか購入できたのもこの頃です。
それにしても、たった5年です。世の中こうも状況が変わってしまうものかと、本当に驚かされました。出版も、写真産業も、ビジネススタイルが大きく変わりつつあることを強く実感させられました。

いよいよ存続が危ぶまれる銀塩写真

展示コーナーで、アスカネットの営業の方に質問してみました。
「このような写真集を銀塩印画紙で作るサービスも見ますが、これからはオンデマンド印刷とどちらが主流になるのでしょう」
「銀塩は今、現像液の廃液処理が大変なんです。需要が減って、回収業者が次々に事業を縮小しています。もう印刷にしか頼れません」
また、セミナーの講師として招かれたSkip Cohen氏によると、アメリカ国内のプロのデジタルカメラの使用率は約75%に達しているそうです。そして、
「アメリカではすでにフィルムは死んだ」
とコメントしました。
私はそのときまで、フィルムも銀塩印画紙も、需要があれば細々とでも生産は続けられるだろうと楽観視していました。しかし、肝心の現像サービスの方が、先に事業として成り立たなくなりつつあるというのです。今や世界中に普及した店頭プリント用のミニラボマシーンも、いつまで薬品関係のメンテナンスが受けられるか店主にとっても不安は尽きない、という話も後日耳にしました。写真プリントの主流は、確実に銀塩からインク方式へ変わろうとしているようです。

写真館のデジタル化とその新しい役割り

プロのフォトグラファーの間では、撮影のデジタル化はまず速報性が求められる報道分野から始まり、次いでCGデザイナーとの協業が多いコマーシャル分野、両者の性格を含む雑誌などの出版分野へと広がっていきました。その中にあって営業写真館は、最もデジタル化が進んでいない分野かもしれません。その必要に迫られることが少ないうえ、逆にフィルムで撮ることをセールスポイントにしている経営者が少なくないことも背景にあるでしょう。
しかし埼玉県内の写真館では、デジタルフォトの勉強熱は年々高まってきています。ソフトが進歩し、多様な画像修正が可能になってきたからです。最初の頃はフィルムで撮影し業者へ頼んでデジタルデータ化してもらっていたところも、時間と費用がかかるため、次第に安くなったデジタルカメラを使い始めています。そして、それを当然と思うお客さんも増えてきました。
写真館経営者の新しい悩みは、撮った写真のデータの保管をどうするか、ということです。そのために必要な設備が思いのほか高いのに、これまで再プリントの注文に来るお客さんはほとんどいなかったという前例が、更なる投資を思いとどまらせているのです。せっかく著作権は写真館に帰属するのですから、その豊富な資産を再利用できる良いアイディアが望まれているのです。
そこで期待されるのが、先に紹介したようなオンデマンド印刷による写真集制作サービスです。シンプルなものは家庭からも注文できますが、人生の記念になるようなフォーマルなものは制作工程が複雑で、業者と契約のあるプロ専用のサービスになります。お客さんにとっては出産、誕生日、七五三、入園・入学式、卒業式、成人式、結婚式と、たくさんのイベントを写真館で撮って本にしてもらい、預けたデータを再編集して1冊の名場面集に作り直してもらう、といったこともできます。写真館にとってもリピーターの獲得につながり、設備投資に前向きになれます。ほかにも文集や画集、陶芸や手芸、木工などの作品集作りなど様々な営業品目の広がりが考えられますから、デジタルフォトの勉強にも益々意欲が沸いてくる、というわけです。

子ども写真館のようなチェーン店はどうか

子ども写真館のような全国規模のチェーン店では、店舗にもよりますが比較的早く撮影のデジタル化が進みました。撮ってすぐモニターで見られるサービスが、お客さんに喜ばれるからです。ただ、各店のWEBサイトを見ても、撮影後のネガやデータの保管方針についてはほとんど触れられていません。また、基本的に子ども専用なので、人生の記録は成人式が上限。以降の撮影は、保護者になられてからお子さまやお孫さんの同伴でお近くのチェーン店をご利用ください、といったスタンスです。ビジネスとしては、これで成功なのかもしれません。
ローカル規模のチェーン店なら、もっと良心的です。私が生まれ育った東京都板橋区赤塚新町に本社を構える(株)写真館ピノキオは都内中心のチェーン店ですが、ネガの保管体制や考え方をはっきりとWEBサイト上に明記しています。また、生涯を通じて利用されることも歓迎しています。そのため、店舗名は子ども向きでもキャッチコピーは「ファミリー写真館」です。第1号店の光が丘店開店は私が小川町へ越してきた後なので、お世話になる機会がなかったのは残念です。

大切にしたい、地域の写真館との絆

転勤などで引越しの多い家庭には、全国規模の写真館チェーン店も頼れる存在になり得るでしょう。そのためにも、撮影後の写真や顧客情報のデータ管理体制を万全に整え、全国ネットで大切な思い出づくりをサポートして欲しいものだと思います。ただしそのようなサービス維持にはコストがかかりますから、妥当な料金内で撮影のクオリティにも高い水準を求めるには、ある程度限界があっても仕方ないのかもしれません。
ここで改めて見直したいのが、個人経営の写真館です。地域密着型ですから店主はお得意さんの生い立ちはきちんと覚えてくれていますし、出張撮影にも応じる店が多いので好みの場所で撮ってもらうこともできます。写真集作りが前提なら、こうしたフィールド撮影のノウハウもチェックポイントですね。大概はお薦めのロケ地も熟知してることでしょう。

いつからでしょうか。児童虐待事件や年少者が引き起こす深刻な事件…。一見平穏な日常社会の中で、そういった悲惨なニュースが報じられない日はもう、ほとんどなくなりました。
かつてどの家庭でも写真は「御写真」と丁寧に呼ばれ、家族一人ひとりや友人、知人、親戚との絆を結ぶ共有財産として、今より大切に扱われていたように思います。だからカメラもその家の精神的な財産で、躾として子どもは成長するまでみだりに触れてよいものではありませんでした。そして写真館で記念写真を撮ってもらうというのも、そのこと自体が家族にとって神聖な儀式を意味しているかのようでした。篠田正浩監督の映画『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』(阿久悠 原作)の冒頭で、主人公の少年の一家が土地の写真師(写真館のフォトグラファーの古い呼び方)の大きな木製写真機の前に立ち、戦死した兄の遺骨(本当は…?)と一緒に記念写真を撮ってもらうシーンは、そんな昔の家族像を象徴しているようで深く印象に残っています。
自分の撮った誰かの晴れ姿が、事件の被害者や加害者としてニュースで流れたとき、報道の役に立てたと思う写真館のフォトグラファーはいないはずです。ただただ、自分の無力さを感じるだけでしょう。
ネガも写真のデータファイルも、そこに写されたお客さんとの再会が祝福される日を待っているのです。そのための機会を創造して行くことが写真館のこれからの大切な使命になるなら、その関係の仕事を依頼される身としても、幸せに生きていけるのではないかと思っています。

 画題:『祇園祭の裏通り』
 埼玉県比企郡小川町小川にて
 2006年7月30日撮影
 Camera:PENTAX K100D
 Lens:SMC PENTAX-FA☆ 85mmF1.4[IF]

夕暮れ時の南裏通りで、ふる里の山、笠山を背景に。
八和田小学校に通う姪のNAOちゃんです。
叔父馬鹿写真でゴメンナサイ。。。

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2006年08月10日

ニコンもペンタックスもRAW対応ソフトは発育盛り

今日は朝から台風一過の青空が広がり、焼け付くような暑~い一日になりました。最早クーラー無しにパソコンの前には座れません。大容量UPS(無停電電源装置)が新入り早々、いい仕事、しています。

大めし喰らいのニコン純正「Capture NX (Ver.1.0)」

ニコンD1XやD1Hを使っていた頃は「Nikon Capture Editor (Ver.2~3.5.3)」でRAWファイルの調整や現像(画像出力)をしていましたが、新型のD200はサポートされていないため、代わりに「Adobe Photoshop CS2(Camera Raw 3.3)」を使ってきました。「Camera Raw 3.3」は「Photoshop CS2」上で各社製品のRAWファイルをまとめて手早く画像処理したいとき実に有用で、時短による労働環境改善と人件費削減に(多分)大きく貢献してくれます(道理で10万円はするわけです)。しかし新機種RAWファイルへの対応は年に4回程度なので、そのタイミングがD80の発売に間に合うかどうかは分かりません。調整機能や出力画像のクオリティも「必要にして十分」という程度のレベルなので、そうなるとつまり、何か物足りなくなるようなこともこの先あるかもしれません。
そこで、準備も兼ねて7月28日に発売されたばかりのニコン純正RAW対応ソフト、「Capture NX (Ver.1.0)」を購入し、早速機能や動作を確かめてみました。

ところが、私の受けた第一印象はまず、「ちょっと重いな」ということです。評判どおり行かないのもそのはず。私のメインパソコン(Windows XP)のマシンスペックはCPUがCeleron 2.4GHz、メモリが1.0GBなのに、「Capture NX」の推奨環境はCPUがPentium4 2.0GHz相当以上、メモリが1.0GB以上なのですから。キャッシュファイルも数10MBと大きなものがいくつも生成されるので、できればキャッシュフォルダ用に別ドライブを増設し、環境設定の変更で移動させたいところです。なかなかの大めし喰らいですね。D80のユーザー層がファミリーや一般アマチュアと想定するなら、もう少し低いマシンスペックでも使えるソフトを、ニコンにはサポートしてもらえたらと思います。同梱の「PictureProject」には今のところRAW調整機能がなく、JPEGやTIFF等への単純な変換しかできませんので。なお、旧バージョンの「Nikon Capture Editor (Ver.3.5.3)」の推奨環境は、CPUがPentium 300MHz 以上、メモリが256MB以上でした。
しかし機能は充実しています。RAW調整に限らずスキャナで取り込んだ画像の調整も色々とできるので、カメラユーザー以外の方にもお薦めです。RAW調整以外ならパソコンにもそれほど負担はかかりません。13,320 円(税込)という ダウンロード販売価格は「Photoshop CS2」よりはるかに安く、私は魅力を感じました。ただ、あえて難を言うなら、これもD200のメニュー画面操作に似て、重要な機能を仕舞い込み過ぎといった感じがします。もっとも、そのおかげで画面は広く使えますから、時間を惜しまず納得の行くまで作業をしたいというときには最適なソフトになりそうです。撮影情報の表示パネルからも彩度、コントラスト、シャープネスなどが調整できるようになったのは大きな進歩で、これは傑作と言えそうです。今後のバージョンアップに期待したいところです。

高機能でも重くないペンタックス純正「PHOTO Laboratory 3」

実はペンタックス「PHOTO Laboratory 3」の推奨環境も、ニコン「Capture NX (Ver.1.0)」とほとんど変わりありません。なのに、少なくとも私の環境ではあまり待たされることなく動いてくれます。それは、RAW調整の確認に縮小プレビュー画像を用い、実画像は部分拡大のときしか表示しないからです。さらに複数ファイルをまとめて一括調整することもできますし、各種調整結果をまとめてプレビューに更新することもできます。各機能の操作パネルも常時見やすく表示でき、自分のパソコン環境に合わせて実に要領よく作業を進めることができるわけです。難点は調整値の保存や呼び出しが手動操作に限られることでしょうか。これが「Camera Raw 3.3」のように自動化されたり「Capture NX」のように元のRAWファイルへ添付できるようになれば、大量作業も怖いものなしなのですが。無償ソフトにはわがままな要望でしょうか。

「PHOTO Laboratory 3」はK100Dの同梱ソフトですが、従来製品のユーザーへも無償でアップデータが公開され、多くのペンタックスファンから歓迎されました。なぜなら今回、(株)市川ソフトラボラトリー開発の比類ない調整能力を持つRAW対応ソフト、「Developer Studio 2.0」と共通のRAW現像エンジン、「SILKYPIX RAW SDK」が採用され、画質や機能が大幅アップしたからです。
これは助かる、と私が特に感じたのが「ハイライト調整」。これまでのRAW調整では、ファイルに記録されているシャドウからハイライトまでの広い諧調をできる限り再現しようとすると全体の明るさや色調のバランスが崩れてしまい、何らかの後調整や部分合成などが必要でした。「ハイライト調整」を使えば、そのままでは白く飛んでしまう雲や明るい青空などの色調も、シャドウや中間調に影響を与えることなく一層豊かに再現することができるのです。私はそのようなシーンの多くをRAWモード撮影してきましたので、ついに日頃の行いが報われるときが来たと、例えようのない喜びを感じているところです。
さて、朗報はまだまだ続きます。「Developer Studio」は間もなくバージョンアップを迎えるのですが、その「試用版」が公開されているので使ってみました。一番試したかったのは「ハイライト調整」の新メニュー、ダイナミックレンジ拡張機能です。その効果ですが、これはまさに救世主ですね。動作も快調です。近い将来、「PHOTO Laboratory」にも同じ機能が追加されると良いのですが。

「PHOTO Laboratory 3」は現像エンジンこそ市川ソフトラボラトリーの協力を得ていますが、レンズの描写力を最大限に引き出すべく、色再現性の設計にはペンタックス独自の意匠が反映されています。長い間ペンタックスレンズを育んできた工芸の里小川町は、かつて絹織物の名産地でもありました。もう斜陽化してしまいましたが、私の家のすぐ側に、今もわずかながら桑畑を見ることができます。「SILKYPIX」の名前の由来は「絹のような滑らかで自然な映像」(「SILKYPIX」公式サイトより)。今回の両社の協業は、まさに最高の出会いと言えるのではないでしょうか。これからの展開に期待は高まるばかりです。

と、ここまで書き進んでふと、来月にも詳細が発表されそうなペンタックスの1000万画素中堅機を、早く試してみたくなってきました。こうなるとやはりペンタックスをメイン機材にして、D200の出番はいざというとき(どんなとき?)のためにとっておいた方が良いのかな、という思いも浮かんできたりするのでした。

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2006年08月09日

ニコンD200の疑問と新製品D80に見る挽回策

心配していた台風7号の影響ですが、私の地元ではそれほど風雨も強くならず、昼過ぎには天候も回復に向かいました。

さて、本日(株)ニコンは9月1日発売予定の新製品、D80の詳細スペックを公表しました。以前からニコン公式サイトで予告されていたので大体の機能は想像できていたのですが、一番気がかりだったのは言うまでもなく、昨日の記事で私が指摘したメニュー画面の使いにくさが改善されたかどうかです。ニコン自身もこの問題は認識していたのでしょう。次の方法で解決を試みたようです(ニコン公式サイト内、D80 機能と特長2より抜粋)。

あらかじめ登録したメニュー項目だけを表示する「マイメニュー設定」を新たに採用し、必要なカメラ設定メニューをすぐに呼び出すことができます。

この挽回策が具体的にどのようなものなのか、説明を読んだだけでは分からない部分が多いのでまだコメントできる段階ではありません。要はユーザーがどう使いこなすかにかかってくると思います。

ニコンD80は中級機D70sの後継機とみなせますが、中堅機D200から機能の多くを継承しつつ贅肉を削り、そつなくまとめ上げたという印象を受けます。何より魅力なのは、レンズ別の実勢価格が10万円ちょっとという手頃な値段でしょう。イメージセンサーのスペックはD200と同じ1020万画素ですが、アナログ信号段階での処理系統も含め新設計ということです。後から開発された製品がそれ以前の上位機種の品質を上回ることはよくあることなので、D80にもD200以上の高画質が期待できそうに思われます。
それより私が期待しているのは、自動露出やオートホワイトバランスの精度の向上です。D200もかつてのD1Xやペンタックス*istDに比べれば幾分向上しているのですが、先に購入したペンタックスK100Dの方が、同時に使い比べてみて明らかに優っていました。D200はときどき赤味や青味が強まったり極端な露出アンダーになったりする傾向があるのに比べ、K100Dはほとんどのシーンで及第点が取れたのです。測光センサーはD200の方が比較にならないほど贅沢な構造なのですが。
オートフォーカスの精度については、驚いたことにK100DはD200と十分互角という印象を受けました。まだ十分な比較はしていませんが、苦手なシーンはK100Dの方が少ないかもしれません。ただ、そのスピードやシャッターレリーズタイムラグの短さとなると、どうしても重装備のD200に太刀打ちできないのは否めません。この点ではD80にも1、2歩譲ることになりそうです。
なお余談ですが、K100Dのレンズ別の実勢価格は、610万画素機ということもあり僅か6~7万円台。さらに2006年10月15日までメーカーキャンペーンの1万円キャッシュバックがあること、RAW対応ソフトが同梱で別に購入しなくて済むこと、予備のバッテリーが汎用品の単三型で安上がりなこと、ほぼ全交換レンズで手ぶれ補正が機能することなどを考えると、信じられないくらいお買い得なデジタル一眼レフと言えそうです。

秋にはいよいよ、ペンタックスからも1000万画素級の新製品の詳細スペックが発表される見通しですが、D80とどちらの購入を優先すべきか正直悩むところです。私のメインカメラがすでにD200という実情もあり、より高画質が望めるうえ操作性も改善され、値段も手頃なD80を追加購入するのが経済的に見ても最善の策になるのでしょう。今までニコンとペンタックスとシステムの異なるカメラを同時に出動させていたため、交換レンズやアクセサリー類の重複が多く、撮影現場で混乱の原因にもなっていました。K100Dや*istDは小型軽量かつ乾電池でも機能する利点を活かし、当面補佐役に添えるのが妥当かもしれないですね。

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2006年08月08日

ニコンD200の疑問とペンタックスの思想

ニコンD200を使い始めてから半年が経ちました。たった半年ですが、この時期このカメラとの出会いがなければこうも仕事は進まなかったな、と思える場面を幾度となく経験しました。
お寿司屋さんの店頭メニューディスプレイ、中学校の移動教室の集合写真、ありとあらゆる運動部の公式試合、看護専門学校の戴帽式。守備範囲の広い、文字通りの中堅機だと実感しています。
激しく動き回る被写体にも素早くピントが合い、シャッターボタンを一押しすればすべての動作がテンポ良く進んでいく。スポーツ撮影に強いのはもちろん、撮影後の再生や拡大表示が早いので、メニュー写真のように撮り直しの難しい撮影でも料理人さんやデザイナーさんとの確認がスムーズにでき、忙しいスケジュールに対処して行くことができました。写り具合は「さすが1000万画素」の一言に尽きます。
プロ用一眼レフカメラの製造では特別長い歴史を誇るニコンですが、中堅機にさえその底力を見せ付けられる思いでした。

デジタル撮影ならではの写真表現の原点はどこに?

しかし、当初は衝撃をもって迎えたものの、いくらも使わないうちに私は、D200に強い違和感を覚えるようにもなっていきました。

彩度(色の鮮やかさの度合い)、コントラスト(明暗の諧調再現)、そしてシャープネス(輪郭強調)。写真表現の重要要素であるピントや露出(明るさの調整)、ホワイトバランス(照明光別の色補正)に加え、デジタル撮影では画像の仕上がりに関する先の3つの要素が調整項目として欠かせないものになりました。撮影者はシーンに応じてこれら項目を巧みにコントロールし、自分の表現意図をより明確に写真の中へ反映することができるようになったのです。
ところがD200では、ピントや露出、ホワイトバランスは素早く手動調整へ切り替えできるのに、彩度やコントラスト、シャープネスに関しては極めて手動調整しにくい設計になっているのです。調整時は背面のメニューボタンを押し、モニターの画面表示をキー操作で切替えながら、何度も行ったり来たりしなければなりません。代わりに半自動と言えば良いのでしょうか、「仕上がり設定」という、「標準」、「ソフトに」、「鮮やかに」、「より鮮やかに」、「ポートレート」など表現意図に応じたメニューを選べば、あとはカメラが適宜自動調整してくれるニコン独自の新機能が備わっています。ですがそれも、撮影中積極的に設定変更しやすいようにはできていません。まるで“隠し機能”のようなこうした扱いは、いったいどういうことなのでしょうか。使用頻度に関わらず、こうした重要な調整機能は奥へ仕舞い込むべきではないと、私は考えます。
RAWモードで撮影すれば、後から対応ソフトで画像仕上がりの各要素を再調整することもできます。ニコン純正RAW対応ソフト「Capture NX (Ver.1.0)」はダウンロード販売価格が13,320 円(税込) ということですが、機能の差こそあれ今や同種のソフトを無償でカメラに同梱しているメーカーが多い中、この値段が安いか高いかは評価の分かれるところです。

ペンタックスに貫かれた写真表現の思想

もう一台、私が3年近く愛用してきたペンタックス*istDではどうでしょう。*istDにもD200とほぼ同じ位置にメニューボタンがありますが、押して最初にモニターへ表示されるのが彩度、コントラスト、シャープネスをそれぞれ一緒に調整できる画面です。この設計思想は7月14日に発売された最新のファミリー層向けエントリー機、ペンタックスK100Dにも貫かれています。同機にはニコンの仕上がり設定に似た「画像仕上」という設定機能もあるのですが、「鮮やか」と「ナチュラル」の2種だけに絞り、初心者向け撮影モード以外では彩度、コントラスト、シャープネスも同じ画面上で手動調整できるようになっています。私は、これこそがカメラ本来のあるべき姿だと思っています。もちろん、純正RAW対応ソフト「PHOTO Browser 3」、「PHOTO Laboratory 3」は無償でカメラに同梱されています(そうです。7月20日、レンズの分解清掃をペンタックスのサービスセンターへ依頼した帰り、私はK100Dを購入したのです)。

 PENTAX「美写華写ブログ」:2006年8月8日付記事
  圧倒的な売れ行きのK100D、どこが評価されたのか?

8月8日、ペンタックス純正RAW対応ソフト最新版アップデータ公開

ご参考としてお知らせいたします。

 「デジカメWatch」:2006年8月8日付記事
  ペンタックス、*ist DシリーズのソフトをK100D相当にするアップデータ公開

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愛用のペンタックス交換レンズが里帰り!?

暑い毎日が続いたかと思えば、今度は台風7号がこちらへ接近中。風水害が心配です。今年は梅雨明けも遅く、各地で水の被害が続いたのでもううんざりなのですが。
幸い、私の住む町では今のところ大きな水害もなく過ごせていますが、日常生活面ではカビが生えやすくなるなど、いろいろ困ったことがありました。

やっちゃいましたよ、私

精密光学機器に湿気は大敵! 故に保管も油断大敵!
にもかかわらず、大事な大事な、超お気に入りのペンタックス謹製望遠マクロレンズ、SMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACROの内側のレンズ表面を、湿気で曇らせてしまったのです。
外側なら自分で拭けば済むことですが、内側なのでどうにも手に負えません。
このところニコンD200の出番の方が多くて、ついついペンタックスのレンズ群をバッグ内に仕舞いっぱなしにしていたのがいけなかったのでした。
ほかのレンズは無事でしたが、この望遠マクロだけは内部に特別湿気がこもりやすい構造だったようです。やっちゃいましたよ、私。

工芸の里小川町で培われたレンズ造りの匠の技は、今…

このまま放置すればたちまちカビだらけに(ガラスにもカビは生えるんです)!
慌てて新宿のペンタックスフォーラムにあるサービスセンターへ持ち込んだのが、7月20日のことでした。点検していただいたところ、結局工場へ送って分解清掃してもらうことに。。

早速手続のため修理票に自宅の住所を書いたのですが、そのとき私は意外な事実を、担当窓口の方から教えていただいたのです。
「お客さま、お住まいは私どもの小川の工場の近くなんですね」
「はい」
「実は、交換レンズに関しては、修理は小川でやってるんですよ」
「え? 益子事業所へ移ったんじゃなかったんですか!?」
確か2002年春以降、ペンタックスの小川工場は事業所としての役目を終え、交換レンズ生産の拠点は益子事業所(益子焼のふる里、栃木県芳賀郡益子町)などへ統合されると報じられていました。

 ペンタックス(株):2001年5月21日付プレスリリース
  中期経営革新計画の策定についてのお知らせ

私は不思議に思いそのことをお尋ねしました。すると、
「いえ、まだ完全に引っ越したわけじゃないんです」
お話しによると、交換レンズの組立ての拠点は目下拡張工事中のベトナム工場へ移行しつつあるとのことですが(ブログ「比企の里から '04-'06」の2月3日付記事をご覧ください)、部材の加工は益子事業所のほか、一部はまだ設備の都合で小川工場でも担っているということでした。私はてっきり、地元はもう写真用レンズとの縁はすっかり絶えてしまったのではないかと寂しい思いをしていたので、この予想外の情報に何だか嬉しくなってしまいました。規模こそ縮小されてしまいましたが、何と工芸の里小川町には、写真用レンズ造りの匠の技が今なお息づいていたのです。

ペンタックスオプトテック小川

旧小川事業所は2002年春の閉鎖後しばらくの間、東京都板橋区にある本社開発技術センターの施設の一部、オプティカルテクノロジーデパートメントとして位置付けられていました。その正門に去年半ば頃から、「ペンタックスオプトテック株式会社」と書かれた看板が新たに加わり、その変化を私は興味深く見守っていたのです。
ペンタックスの「環境・社会報告書 2006」記事中の「各社の活動状況」を見たところ、ペンタックスオプトテックは次のように紹介されていました。

(益子サイトは)ペンタックス(株)益子事業所及び2005年7月の分社化に伴い新たに設立されたペンタックスオプトテック(株)の二社が共存し、同一サイトとして一緒に環境活動を 推進しています。
ペンタックスオプトテック(株)は、元々益子事業所の一部であった精密加工部門が分社化されたものであり、ペンタックス製品の基幹部品である光学部品・精密部品の加工を主 体に業務を行っていますが、最近ではグループ以外の外販にも注力しているところです。

また、同報告書巻末掲載の「沿革(主に環境関連)」の中には「小川事業所(現ペンタックスオプトテック(株)小川)」や「オプティカルテクノロジーデパートメント(現ペンタックスオプトテック(株)小川)」などの表記が見え、旧小川事業所はペンタックスオプトテックとして分社化された精密加工部門の一員として、新たな事業の担い手になったことが分かります。
同社は2005年7月1日に設立され、親会社とは独立した営業部門も新設されました。グループ外部との協業も進めるため、公式サイトを通じて宣伝活動を開始しています。
なお、ペンタックスVN(ベトナム工場)も同社の関連会社となるようです。

1週間早い納品

7月29日(小川七夕まつりの初日)、待ち焦がれていたSMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACROが私の家へ宅配便で到着しました。見積り票より、ざっと1週間早い納品です。外観はちょっとくたびれているものの、レンズはすっかり新品同様に蘇りました。これからはもっと管理に気をつけ、大切に使っていこうと思いを新たにした私です。

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2006年06月04日

読者の皆さまへ 「webアルバム(pipipiga)」試験導入のお知らせ

リニューアルの試みの一環として

本日より、PHPスクリプト「webアルバム(pipipiga)」による新しい写真ライブラリの公開動作試験を開始しました。現在着手中のリニューアルに活用できるか、参考にしたいと思います。
「pipipiga」は「NiconicoPHP」にて配布中です。

やっと出会った期待の写真公開用WEBツール

5月28日付記事で「2年ほど前からブログツールをネット上での写真公開に応用していますが、願わくば写真専用としてより進化したWEBツールの登場に期待したいというのが本当の気持ちです」と書いた私ですが、その後根気強くあらゆる検索サイトを探したところ、やっと期待のツールに出会うことができました。サーバーインストール型のPHPスクリプトで、「webアルバム(pipipiga)」といいます。

PHPver.4.1.0以上が利用可能なサーバーに設置でき、デザイン(スキン)も様々なバリエーションが選べるにもかかわらず構成は至ってシンプルです。掲示板より設置は簡単かもしれません。
画像ファイルのアップロードやキャプションログのバックアップにはFTPソフトを使うことが前提ですが、そのための機能を備えたサーバーなら、外出先でブラウザ上から更新することもできます。
試しにさくらのレンタルサーバ(PHPはスタンダードプラン以上で利用可)へ設置してみたところ、動作はなかなか快適です。

▽「pipipiga」の管理編集画面(上段:表紙用、下段:各ページ用 )
  画像が各ページごとにサムネイル表示され、使いやすくまとまっています。
  *クリックで100%大の画像が開きます。

2005年12月22日に配布開始
商用利用もできる最新鋭の無料スクリプト

「webアルバム(pipipiga)」は一見して完成度が高く、企業がユーザーからの要望を取り入れながら開発したものだという印象も受けますが、配布開始は2005年12月22日とごく最近です。
しかも料金は無料。商用利用ができるなど利用に関しても制限はほとんどありません(ただし無保証)。
スクリプトの著作者や配布元である「NiconicoPHP」の管理運営者については表記がなく、匿名の有志が半ばボランティアで開発しているようです。

私がフォトハイウェイジャパンのオンラインアルバムで初めて写真の公開を始めてから、この6月でちょうど5年になります。その頃からずっと、同じようなシステムのアルバムを自分で管理運営できたら良いのに、と思い続けてきました。「pipipiga」は正にそのような願望を叶えてくれるツールなのではないかと感じています。

WEBサイト運営に限らず、何ごとにも困難はつきものですが、いくら創意工夫を凝らしても「これがないと始まらない」、と言えるものはあると思います。努力を徒労に終わらせないために、従来の手段の可能性と限界とを見極め、新しい手段の登場を信じて待つことも、ときには必要かもしれません。
作者不詳の「pipipiga」が将来にわたり信頼できるツールであり続けるかどうかは未知数ですが、この種のスクリプトの普及が写真のWEB公開の手段に1つの転機をもたらすことは確かでしょう。
今後の発展に期待したいと思います。

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2006年05月30日

新画像フォーマットWMP(Windows Media Photo)とデジカメ新製品への期待

デジタル写真の画質をリアルに

5月24日、米Microsoftはデジタル写真の新フォーマット「Windows Media Photo(WMP)」を発表しました。
現在、デジタルカメラのフォーマットはJPEGが標準的ですが、WMPはその欠点を解消するものとして注目されています。
WMPは来年登場のOS「Windows Vista」が標準仕様としてサポートするほか、「Windows XP」でも扱えるようになるとのことです。

プロ、アマを問わず、フィルム撮影にこだわる写真家の多くは、デジタルカメラでは思うように色調やグラデーションが再現できないことを指摘しています。
これは、JPEGがサポートできる色や諧調の再現範囲に規格上の制約があるためで、必ずしもデジカメ自体の性能不足ではないのです。
解決策として、デジカメのイメージセンサーが捉えたデジタルRAWデータを専用フォーマットで保存し、対応ソフトで画像生成する方法があります(私もよく用います)。
しかし、現状ではRAWモード撮影ができるデジカメは主として上級機に限られ、対応ソフトも開発途上中のものしかなくパソコンに負担もかかることなどから、用途によっては実用性を疑問視する声があるのも事実です。

WMPは、デジカメで捉えたRAWデータに含まれる色や諧調の情報を、極めて高品質な画像として保存することができるとされています。
各社デジカメへの採用予定はまだ公表されていませんが、WMPの開発には日本のカメラメーカーも意見を出しているというニュースもあります。
近年のプリンターの進歩と相まって、近い将来デジカメで撮る写真のリアルさが大きく向上することになるかもしれないですね。

ここではWMPの画質面についてのみ簡単に特長を説明しましたが、期待されるメリットはほかにもあります。詳細は、次の関連サイトをご参照ください。

 マイクロソフト:2006年5月25日付開発者向け情報
  Windows Media Photo Specification

 「デジカメWatch」:2006年5月26日付記事
  米Microsoft、新画像フォーマット「Windows Media Photo」発表

 「デジカメWatch」:2006年5月29日付記事
  米Microsoftの新画像フォーマット「Windows Media Photo」とは

デジカメ新製品への期待とペンタックスK100D

さて、私の元には今2台のデジタル一眼レフ、ニコンD200とペンタックス*istDとがあり、最近は仕事の撮影でもコンビで出動する機会が多くなりました。
以前、D200が気に入ったので早く2台目が欲しいというようなことをブログ「比企の里から」に書いたのですが、先のニュースを知り、WMPを採用した新製品が出るまで高いカメラを買うのは控えた方が得策かな、と思い始めています。
実はD200やニコン用交換レンズなどを買い揃えるのに、もう使う見込みのないフィルムカメラやその交換レンズ類を売却し予算を捻出しようと企てていたのですが、結局それは止めました。
最近の動向からもう新しいフィルムカメラの発売に期待できないとなると、今ある慣れ親しんだ機材を手放すのが何だか惜しくなってきたからです。

代わって、今私の関心を惹きつけているのが、ペンタックスが先ごろ突然発表した意外な新製品、K100Dです。
7月下旬発売予定の廉価版デジタル一眼レフですが、店頭予想価格7万円台(レンズ別)と求めやすく小型軽量なうえ、これまで発売されたほぼすべての交換レンズで手ぶれ補正機構が働くのが、最大のセールスポイントです。

 ペンタックス(株):2006年5月23日付プレスリリース
  独自の手ぶれ補正機構を搭載した
  レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ PENTAX K100D

 「デジカメWatch」:2006年5月23日付記事
  ペンタックス、ボディ内手ブレ補正搭載一眼レフ「K100D」

 「デジカメWatch」:2006年5月25日付記事
  写真で見るペンタックス「K100D」

デジタル一眼レフの手ぶれ補正機構は、キヤノンやニコンなどではレンズの一部を動かしてぶれを打ち消す方式を用いていますが、K100Dではカメラ本体のイメージセンサーを動かす方式を用いています。
効果は今のところ前者の方式が優るようですが、対する後者はほぼ全レンズ対応という大きな魅力を備えています。
魚眼レンズや超薄型レンズ、大口径の明るいレンズなどは物理的に手ぶれ補正機構を内蔵しにくいとされていますが、K100Dはそのような問題を根本から解消したことになります。
なお、コニカミノルタも良く似た手ぶれ補正機構をデジタル一眼レフ本体に採用し、その技術はソニーに引継がれるようですが、ペンタックスは原理も構造も全く独自で開発したとのことです。

手ぶれ補正というと初心者向けの機能のような印象もありますが、ストロボ(フラッシュ)や三脚を使いにくい状況での撮影では、プロも助けられる機能です。
私の場合、学校アルバム用の撮影依頼を受ける機会が多いのですが、学園祭などのステージ発表や式典の撮影など、大口径レンズと組合せてその威力が試せる場面はいろいろ考えられそうです。
この秋ペンタックスが発表を予定している1000万画素の上位機種(「比企の里から」2月26日付記事参照)にも、やはりこの機構は採用されるのでしょう。そちらの方も気になりますが、値段はきっと倍以上?
WMPが採用されるなら考えてしまいますが、さすがにそこまで期待するのは、まだ時期的に無理があるでしょうね。

*トラックバック先へのリンク

 No Blog,No Life!:2006年5月30日付記事
  ちょっと気になるカメラとレンズ
 小川町の木工芸家にして生粋のブロガー、soroさんのブログです。
 *istDシリーズファンなら、気になることはやっぱり同じ、ですよね!

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2006年05月28日

あらためて問われる、写真を撮るならフィルム? デジタル?

キヤノンもフィルムカメラの新機種開発を見直し

フィルムとデジタルと、写真を撮るときどちらの方法を選ぶか。
「それぞれに長所があるから、適材適所で使い分ければ良い」
それが多分、正解なのでしょう。私はそう思い続けていました。

しかし今日、私たちの日常生活はそのような選択肢を失いつつあり、否応なくデジタル撮影しか選べない時代が来ようとしています。昨年から今年にかけて、何社かのフィルム写真関連事業の縮小、撤退のニュースが相次いで報じられました。
大手カメラメーカのキヤノン(株)でも、「05年のカメラ事業の売上高約8800億円のうちフィルムカメラと専用レンズは17%にとどまる」(5月25日付「朝日新聞」記事より)とのことで、今月23日に就任した内田恒二社長も同紙取材に対し「新機種を作ることは難しい状態」と述べたそうです。

 「朝日新聞」 :2006年5月25日付記事
  「フィルムカメラ、新規開発難しい」 キヤノン社長

大手メーカーがフィルムやフィルムカメラの生産を止めても、中小メーカーが事業を引継ぐことは技術上そう難しくありません。歴史をたどれば写真撮影に必要な技術や用品は、19世紀半ばに西欧の個人の小さな研究室で発明され、製品化されたのです。
とは言え、そのような手工業的な生産方法では、私たちの需要を日常的に賄うには限界があるでしょう。コストも当然かかります。

デジタルカメラが国内で本格的に普及し始めてから、まだ10年と経っていません。その短い歴史の中でフィルムカメラを追いやるほど主流になったのは、フィルムや現像を必要としない経済性や簡便さが、長所として多くのユーザーに受け入れられたからでしょう。
もちろんここで言うユーザーとは、カメラユーザーである以前にパソコンユーザーである、ということになります。同時に、その多くはインターネットユーザーでもあります。

何のためのデジタル化か

さて、ここからが本題です。

「カメラ雑誌」と呼ばれる、アマチュア写真家やカメラ愛好家などを対象にした雑誌が、ムックも含め何誌も出版されています。このところ、フィルムとデジタルとを比較するような企画や特集が目立つのですが、その内容はほとんど、撮影やプリントに関するテクニックの違い、あるいはカメラそのものの魅力の違いになどに終始しているようです。

趣味誌ですから、「好きなカメラを買って好きな写真を撮ろう」だけでも読者は満足するでしょう。ですが、デジタル化した写真データをパソコンやネット上で扱うことが普通になった今、日常生活の中で最もクローズアップされるべきテーマは、写真をデジタル撮影してどうしたいか、それによって何ができるか、ということになるはずだと私は考えます。

私はライフワークとして、県内の里山周辺の自然環境や生活環境、伝統行事などの記録写真を撮っています。記録が目的ですから、それらを長く保存し資料として利用しやすくするにはどうすれば良いか、という問題と、常に向き合うことになります。
フィルムで撮れば、経済的にも物理的にも原版やインデックスプリントの保管と整理に後々悩まされることになり、ネット上で扱うにはスキャナニングの手間もかかってしまいます。

そこで4、5年前からデジタル撮影を試み、個人サイトも開設してみたのですが、問題は解決したのかというと依然、暗中模索の状態が続いています。
写真産業界はもとより家電やパソコンソフトの業界でも、写真データの長期保存や整理、利用をサポートするための製品開発は、残念ながら後まわしになっているのが実情のようです。
けれども、今となってはもう、フィルムとデジタルとを併用できた時代に後もどりすることはできないでしょう。

私はこのブログも含め、2年ほど前からブログツールをネット上での写真公開に応用していますが、願わくば写真専用としてより進化したWEBツールの登場に期待したいというのが本当の気持ちです。
それも、WEBサーバー上だけでなくパソコンのローカルディスク上でも快適に作動し、あらゆるパソコン環境で支障なく閲覧できれば言うことはありません。
今はこのサイトもリニューアル中で更新も控えていますが、できれば私の期待に応えられるWEBツールが近い将来登場することも前提に、サイト構成や編集方針を慎重に決めたいと思っています。

どのような産業にもリーディングカンパニーと呼ばれる企業がありますが、デジタル写真産業の分野で本当の意味でのリーディングカンパニーが育つのは、まだまだこれからのようです。

各社の今後に期待します。

*関連ブログへのリンク

パソコン原始人村
  2006年1月5日付記事 デジタル化
  2006年1月10日付記事 【どういう結果が欲しいのか】

 hiro先生の初心者向けPCブログです。
 「デジタル化」では、
 「デジタル化したデータを何に使うのかとうところが大切です。
 アルバムにあるたくさんの写真をスキャナでパソコンに取り込む
 ことはできますが、デジタル化の目的がはっきりしていないと、
 保存先が押入れからパソコンにかわっただけということになって
 しまいます」
 と述べられています、また「【どういう結果が欲しいのか】」では、
 「データベースを作るにあたって、〔中略〕欲しいときに欲しい
 データを活用できる状態になっていて、はじめて役に立つものに
 なります。〔中略〕パソコンは「入力」と「処理」と「出力」だと
 言われます。「パソコンで何が出来るの?」という問いに対する
 答えは、最終的にはこの3つの言葉に集約されてきます」
 とも。勉強になります。
 有料メルマガ「パソコン原始人+」もためになりそうです。
 管理人はPCパーソナル代表にして(株)健康之友社代表取締役の
 碓井弘明さんです。

*ブログ「比企の里から」2006年1月10日付記事もご参考にどうぞ。

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2006年03月13日

祝 卒業ソング「旅立ちの日に」へ寄せて

今年の春の訪れは例年になく遅れ気味でしたが、堅く閉じていた梅のつぼみもようやくほころび始めました。
卒業シーズンですね。このところ仕事で近隣市町の何校かの行事撮影が続き、請負業者として居合わせただけなのですが、若い人たちの門出を幾度か見送ってきました。

景気も回復してきたとは言われていますが、最早そのこととは関係無く、時代の激しい変化に翻弄され、淘汰されていく職場や職業がまだまだ後を絶たないようです。希望する進路への道が絶たれたとき、あるいは、せっかく手に入れた職を失ったとき、それはその人にとって重大な人生の挫折であるに違いありません。
卒業式典で多くの方々の祝辞を拝聴させていただいたのですが、その中で特に心に深く残ったことばがありました。

・SD市の某県立高校にて I市長さんのことば
 (紹介の際、「ハイッ!」と生徒に負けない位元気な返事が印象的でした。)

 (困難なときでも)
 できない理由を探さないでください…奇跡は必ず起こります。

・MY町のS医科大短大にて 理事長M先生のことば

 (愛読書の著者、池波正太郎さんのことばを借りて)
 生き甲斐を見出さず、ただ義務感や経済的理由だけで仕事をしてきた人
 が深刻な挫折に遭った場合、立ち直ることは難しいように思われます。

ところで、『旅立ちの日に』という歌、何かとてもいいですね。
全国の小中学校の卒業式などで歌われている有名な歌だそうですが、実は今から15年前、秩父市立影森中学校の「三年生を送る会」で先生方が生徒さんたちへ贈った手作りの歌なのだと、最近初めて知りました。
この歌には、人が生きていく上で忘れてはならない、とても大切なメッセージが込められているように思えます。
「遥かな空の果てまで」「自由を駆ける鳥」のように飛び立っていく卒業生たちを見送る歌。でも、当時校長先生だった作詞者の小嶋登先生も、音楽教諭だった作曲者の高橋(旧姓坂本)浩美先生も、いちばん心を込めてイメージに描こうとされたのは、いつか帰ってくる彼らを暖かく迎えてくれるに違いない、ふるさとの原風景だったのではないでしょうか。
15年前、私はすでに社会人になっていましたが、よく晴れた日に都内の校舎の屋上からも望めた外秩父の美しい山並が、この歌の冒頭から懐かしく思い出されるのです。

さて、「卒業アルバム」に収録される写真のほとんどは、学校生活のスナップや記念の集合写真、顔写真、キャンパス風景くらいです。自分の生活のため、職業として私が撮るのはそのほんの一部分に過ぎません。
けれどもフォトグラファーとして手がけた仕事を完結させようとするなら、私はその学校から旅立っていった卒業生たちのふるさとを撮り続けなければならないでしょう。
遠く離れて暮らしている人も時折訪れてくれるような、そんなサイトが作れたらいいな、と思っています。


 *参考サイト*
 momo-mid.com『旅立ちの日に』歌詞と曲(MIDI)
 ぴかのがっこうせいかつ『旅立ちの日に』歌詞と曲(MIDI)
 「朝日新聞」:2006年3月13日付記事
  秩父で生まれた「旅立ちの日に」披露式
 「埼玉新聞」:2006年3月13日付記事
  秩父にモニュメント完成 卒業ソング「旅立ちの日に」誕生の地
 (△公開期間は7日間です。)

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