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2007年03月13日

デジタル撮影では初めて迎える卒業シーズン

デジタルカメラの本当の便利さって?

今月に入って卒業式や謝恩会など、中学校から大学まで卒業生を送るさまざまな学校行事の撮影が続いています。去年のこの時期はすべてフィルムによる撮影でしたが、昨年4月以降クライアントさんの方針でスナップ写真はデジタル撮影に移行したため、私にとってはかつて無いほど連日膨大な撮影データの処理に追われる日々が続いています。当然ですが、いずれも卒業アルバムに載せる写真なので、仕上げを急ぐものばかりです。フィルム撮影なら、撮ったフィルムを店頭に出した時点で私の手から仕事は離れます。それがデジタル撮影となると、帰ってから必要なデータのみを選択し、画像修正も加えた上で全ファイルに通しナンバーを打ち、CD-Rに焼いて初めて納品の用意が整うことになります。

デジタル撮影にありがちな誤解ですが、フィルム代や現像代が要らないからといって、好きなだけたくさん撮れることがメリットのように思われることがあります。また、後からパソコンソフトで加工や修正ができることから、少しくらいの撮影ミスなら簡単に救えるように思われることもあります。ところが実際は、撮影後の処理や管理の手間まで考えると、本当に撮るべき大事なシーンを選んで1枚1枚無駄のないよう丁寧に撮影を進めていくことこそ、デジタル撮影では心掛けなければいけないことなのです。それができるようになるにはやはり、ある程度経験を積むことが欠かせないでしょう。
幸い、デジタルカメラは撮ったその場で写真を再生することができます。失敗が許されないシーンだとフィルム撮影ではつい条件を変えて余分に撮りたくなるものですが、デジタル撮影では再生画面で確認できるので、そのような無駄は上手に省きたいところです。シャッターを切るたび確認していては撮影の妨げになりますが、構図や露出、ピント、シャッターチャンスなどチェックポイントを要領良く押さえることで、本当の意味で撮影の労力を軽減できるようになりたいものです。そうしないと、決して安くないデジタル機材をわざわざ買い揃えてまで余計な仕事を増やすことになってしまうのですから。それでは結局、本末転倒ですよね。

無視できないデジタルカメラとパソコンソフトとの連携

卒業式関係の撮影シーズンを前に、心から「助かった~!」と思える出来事がありました。それは、2月19日にアドビのRAW現像プラグイン「Camera RAW 3.6」が「Camera Raw 3.7」へとアップデートしたことです。これにより、私のメインカメラであるペンタックスK10Dの専用RAWファイル形式(PEF)にもようやく対応し、RAWモード撮影が不自由なくできるようになったのです。それ以前は「PENTAX PHOTO Browser」でPEFファイルをアドビ提唱のDNGへ変換するか、最初からDNG形式での撮影を選ぶしか方法がありませんでした。PEFはカメラ内で圧縮保存(劣化なし)されるので、ファイルサイズがDNG撮影の七割程度で済み、とても助かります。よくぞこの時期に間に合ってくれました、と言いたいところです。もし今回のアップデートが間に合わず、ペンタックスもDNGのサポートをK10Dで始めていなかったら、あとは市川ソフトラボラトリーのRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」くらいしか頼れるソフトは無かったところです。新型カメラへの対応は、アドビより市川の方が早いようです。
体育館やホールなどでは色調の違う人工照明が複雑に組み合わさり、カメラのオートホワイトバランス機能も十分働きにくいのが実情です。これにストロボ光も加わるので、RAW現像時に手動できめ細かくホワイトバランスを設定しなければ、すべての写真の色調を違和感なく揃えることは難しいのです。「Camera Raw 3.7」は私のパソコン(Windows XP、CPU=Celeron 2.4GHz、メモリ=1.0GB)でもそれほどストレスなく動作し、何百枚ものRAWファイルを処理するのに役立ってくれています。間もなく発売される予定のアドビ「Photoshop Lightroom 1.0(製品版)」もK10DのPEF形式をサポートする上、「Camera Raw 3.7」以降とは各種現像設定に互換性が保たれるそうなので期待しています。ベータ版と比べ、はたしてどれくらい快適に使えるでしょうか。
またさらに、これも間もなく発売される「Photoshop CS3」では、同時にアップデートされる「Camera Raw 4.0」の現像設定の種類も「Lightroom」並に充実するようなので、ワークフローの選択肢も今後ますます増えることになります。

報道やコマーシャルなど、大量部数の印刷を前提にした現場では撮影後のワークフローも分業体制が整っているところが多いようですが、学校の卒業アルバムのような小部数の用途では、とてもそこまで人件費をかけることはできません。撮影から後処理まで個人レベルで作業をこなすためにも、デジタルカメラとパソコンソフトとの連携は無視できない重要な要素なのです。

項目: 写真・カメラ , 日常・雑感

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