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2005年07月27日

尼崎JR脱線事故について (その14)

ノーブレーキでカーブへ進入!? 異常な運転状況が判明

 7月27日付「読売新聞」:JR脱線カーブ ブレーキかけず進入

県警など分析 数十メートル走行後、作動

兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、脱線した快速電車(7両編成)の非常ブレーキが作動したのは、現場カーブで片輪走行となり、マンション手前約50メートルにある線路外側の電柱に接触した後だったことが27日、兵庫県警捜査本部(尼崎東署)と国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べでわかった。常用ブレーキがかけられたのが、非常ブレーキ作動の3秒前だったことも判明。県警は、速度超過した快速電車がノーブレーキでカーブに進入した疑いが強いとしている。
〔中略〕一方、カーブ手前1.1キロの塚口駅を通過する直前に、この日の運行で最高速度の「時速125キロ」が記録されていたことが明らかになっているが、快速電車はその後、カーブ内での常用、非常両ブレーキ作動まで、一度もブレーキがかけられていなかったことも、新たにわかった。〔後略〕

 (上記7月27日付「読売新聞」記事より)

〔8月5日追記〕

8月4日、事故調が上記の事項について、これまでの調査内容を明らかにしました。本日、新聞各紙が関連記事をネット上で公開し始めましたのでお知らせします。

 8月5日付「神戸新聞」:制動かけずカーブ進入 尼崎JR脱線事故
 8月5日付「神戸新聞」:異常運行浮き彫り 運転士心理の解明課題
 8月5日付「朝日新聞」:
  非常ブレーキ操作の記録なし JR宝塚線脱線で事故調
 8月5日付「朝日新聞」:
  非常ブレーキなぜ使わず? 首ひねる運転士ら JR脱線

事故調は今月末までに、「JR西脱線事故の中間報告」を公表するようです。
私としては、しばらくコメントを控えたいと思います。

 8月1日付「朝日新聞」:JR西脱線事故の中間報告、今月末に公表 事故調

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「  同  」:JR脱線事故 特集 関西発
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年07月26日

尼崎JR脱線事故について (その13)

やはり余裕のなかったJR宝塚(福知山)線のダイヤ

7月25日で事故から3か月が経ちました。JR西日本では毎月25日を「安全の日」と定めましたが、初回のこの日を控えた22日、国土交通省は同社の一部路線のダイヤに異例とも言えるほど余裕が無かったことを明らかにしました。

 7月23日付「神戸新聞」:速度の上限でダイヤ編成 宝塚線など一部路線

JR西日本が脱線事故のあった宝塚線(福知山線)や神戸、京都線で、制限速度の上限で運行しなければ守れないダイヤを一部編成していたことが22日、国土交通省が指示した緊急点検で確認された。ダイヤは通常、制限速度より時速2~5キロ遅いスピードで編成され、事故後に緊急点検した全国31鉄道事業者で、余裕のないダイヤを編成していたのはJR西だけだった。
〔中略〕国交省によると、制限時速の上限でダイヤが編成されていたのは、宝塚線のほか、京都~大阪、三ノ宮~大阪などの数本。国交省が遅れを取り戻すために速度を上げる「回復運転」をしないよう指示したため、各列車は事故後、ダイヤより2、3分遅れで運行しているケースが多いという。〔後略〕

 (上記7月23日付「神戸新聞」記事より)

 7月23日付「読売新聞」:JR西一部路線「弾力性欠ける」

国交省 ダイヤ再点検

国土交通省は22日、全国の主要鉄道会社31社の運行ダイヤを再点検した結果、JR西日本の一部路線のダイヤで、「ラッシュ時の停車時間に十分な余裕がなく、弾力性に欠けていた」ことを明らかにした。 再点検は、JR福知山線の脱線事故を受け、国交省が今年5月にJR各社と全国の大手私鉄などに指示していたもので、JR西以外は、「適切だった」と結論づけた。

 (上記7月23日付「読売新聞」記事より)

「神戸新聞」の記事によれば、京都線や神戸線(ともに東海道本線の一部)の京都~大阪~三ノ宮間についても「制限時速の上限でダイヤが編成されていた」(国交省)とあります。
当ブログの5月17日付記事でもご紹介したように、伊丹市の村山茂さんも、この区間に乗務する新快速の運転士さんのお話しをメールで寄せてくださいました。
「少し遅れるともう必死です」という現場の実情が、これでようやく公に認められたことになります。

制限時速の上限をキープする運転は、ベテランにとっても難しいものとされています。勾配などの影響で速度超過を起こしやすいこと。さらに、120km/h運転ではほんの1秒間に約33mも進んでしまう上、常用ブレーキも車両の走行性能の限界近くでは特性が変化するので、短い駅間ではオーバーランも起きやすくなるのです。
また、車両や線路などの傷みも早くなり、それらの整備や交換に大きな負担がのしかかる心配もあります。
もちろん、現場職員の心身への影響も否定できません。
余裕のないダイヤ編成が今回の脱線事故を誘発した疑いは、ますます濃厚になってきたと言えるでしょう。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「  同  」:JR脱線事故 特集 関西発
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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尼崎JR脱線事故について (その12)

参考)事故車207系電車の後継車、321系電車を試運転

 7月13日付「神戸新聞」:後継車両を公開 遺族配慮し配色変更 JR脱線事故
 7月19日付「神戸新聞」:「ゆとり仕様」321系車両を試運転
 7月19日付「読売新聞」:新車両を試運転

この新型車321系電車は、老朽化した旧国鉄時代の通勤電車の置き換え用として、すでに事故前から製造が進められていたものです。
そのため、走行性能や車体強度をはじめとする各種安全対策について、今回の事故の反省点をどう設計に反映するかは「今後の課題」(JR西日本)となります。
それでも、207系では7両編成中3両に集中装架していた動力制御装置を前後計6両に分散し、編成全体の重心を下げて脱線しにくくした工夫は評価できると思います。
従来この装置は値段が高く、装架台数を抑えるため、4~8個の主電動機(動力用のモーター)を1台の装置でまとめて制御する方式が一般的でした。
近年は製造コストも下がり、各主電動機ごとに制御装置を割り当てても不経済ではなくなったことから、321系のような試みも可能になったようです。

今回試運転が行われた321系電車は試作車で、量産車の仕様はこれから検討されるようです。
この記事の内容も“参考”程度にとどめ、これ以上のコメントは控えたいと思います。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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