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2005年05月28日

尼崎JR脱線事故について (その7)

5月26日付記事の続きを中断し、27日現在の新しい情報をお知らせします。

速度超過防止用ATS等の整備義務付け
国土交通省がカーブの基準や鉄道各社の対象か所数を公表

 5月27日付「神戸新聞」:ATS必要2400カ所 尼崎JR脱線
 5月27日付「読売新聞」:ATS新設必要 48社2400か所 国交省が通達

国土交通省は尼崎脱線事故の対策として、去る5月9日に速度超過防止用ATS(自動列車停止装置)等の整備を鉄道事業者へ義務付けることで決定。緊急整備の対象となる急カーブについて理論的な調査基準を示し、鉄道各社へ調査を求めていました。
昨日27日、同省は各社提出の調査結果から割出した対象か所数を公表するとともに、ATSの設置基準を通達。この基準に基づき再精査した上で、6月末までに具体的な整備計画を提出するよう各社へ指示しました。
なお、計画作成に際して新型ATSの導入までは義務付けていませんが、旧型ATSの改良は求めています。
また、中小私鉄への財政支援も検討されるとのことです。

 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
 ○5月9日 第5回対策本部を国交省本省で開催
  急曲線に進入する際の速度制限に関する対策等について
   資料)ATSによる曲線速度超過対策の例(PDF)
 ○5月27日 大臣会見
  急曲線に進入する際の速度制限に関する対策について
  ~速度超過防止用ATS等の緊急整備~
   資料)試算された条件をあてはめた場合の曲線の個所数(PDF)

再び求めたい、鉄道界全体での安全への取組み

私は5月16日付記事の中で、「事故の背景が徐々に明かされつつある今、かつて経験し得なかった新たな課題を鉄道界全体に突きつけた事故なのでは、とも思い始めています」と書きました。
その「新たな課題」へ取組む第一歩が、今ここに踏み出されたのだと期待しています。
鉄道は人の生命を預かる産業でありながら、道路交通や航空、船舶などに比べると、安全基準や従事者のための教育指針・資格などの情報が、あまりにも一般に公開されてこなかったように思われます。
確かに、自家用として広く普及している車やヘリコプター、ボートなどと違い、鉄道はまず専属の職員しか運行に従事しませんから、設備も含め事業者に一切の管理を委ねようという考え方もあるかもしれません。
しかしそれでは、事業者の安全に関する質を私たち利用者が見極めることは、なかなかできません。
これまで、鉄道事業者が何らかの経営判断を下そうとしたとき、関与できたのは国、地方自治体、筆頭株主、主要取引銀行くらいだったと思います。
そのうち、もし安全より目先の利益が優先されようとした場合、抑止力になるとしたら法による国の規制以外は無いのではないでしょうか。
けれど、だからといって規制ばかり増やして行くと、鉄道の経営や技術開発が萎縮してしまう心配があります。

では、どうすれば良いのでしょう。
ほかの乗り物や公共交通であれば、事業者側が重大ミスを起こし得るなら、「買わない」、「乗らない」という選択を示すことで、顧客や利用者側からも安全強化を促すことができるでしょう。
それに比べ、鉄道事業者には路線を占有できる強みがあり、利用者は選択の自由を縛られているのが実情です。
今回事故を起こしたJR宝塚線のように他社との競争が激しい線区でさえ、「安全こそ重要なサービス」という競争意識は、少なくともJR西日本側には芽生えなかったようです。

私は、必要なのはやはり、各事業者からの安全管理に関わる積極的な情報公開と、そのための国による何らかの指針の策定だと思います。
そして、管理基準については単に規則で義務付けるだけでなく、さらに何段階かの努力目標とすべき基準を設け、それが満たされた線区については第三者機関からの認定が受けられるような制度も有効なのではないかと思います。
認定を得る過程で目標達成度については逐次情報公開されますから、利用者からの関心や評判は高まるはずです。
同時に、沿線の付加価値や鉄道事業者の評価を高める意味でも、自治体、株主、銀行等の理解や協力も得やすくなるのではないでしょうか。
例えば、危険な踏切への跨線橋(歩道橋)設置などは自治体の協力も必要ですが、沿線利用者にとって身近な地元自治体との共同事業も認定対象になれば、利用者の安全対策への参画も一層しやすくなると思います。
 (共同事業の事例は、次の4月22日付東武鉄道資料をご覧ください。)
   資料)東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近における緊急踏切対策について

もっともそれ以前の問題として、JR西日本に限って見れば、社内での情報共有の仕方についても見直す必要があるように感じました。
事故後のJR西日本側の記者会見をニュースで見ていたときも、カーブの危険性やATSシステムなどについて、会社幹部らは報道陣の質問に対し、正確に答えられていたとは思えませんでした。
特にATSについてですが、旧型(ATS-S)でも応用次第で、カーブやポイントなど、速度制限か所の手前での速度超過に対する自動停止は可能です。
一方新型(ATS-P、大手私鉄でも同様のタイプを広く採用)は、主に運転士が黄色信号を見落としたときの自動減速のために開発されたもので、これも意図的に応用しなければ制限か所手前の速度超過防止には役立たないのです。実際、新型ATSを急カーブなどでも役立てている路線は、全国的にまだ限られているようです。
 (新、旧別の対策方法は次の5月9日付国土交通省資料をご覧ください。)
   資料)ATSによる曲線速度超過対策の例

また運転技術の研鑽についても、乗務員同士の意見交換が円滑に行えるような職場環境を整えるなどし、かつ現場からの提言を会社経営に反映できるような企業改革も必要だと思います。
新人運転士が、ベテランでさえかつて経験したことのないような短い駅間での高速運転に対し、もう孤独な運転席での試行錯誤に悩まされることがないようにして欲しいものです。

1960年代の高度経済成長期には、急速に増え続ける輸送需要への対応に追われ、古い車両や設備の交換が追い着かず、三河島や鶴見の脱線衝突事故のように重大な鉄道事故が相次ぎました。
しかし当時は、安全対策を人員の配備で強化できる時代でもあり、その貴重な経験は鉄道界全体の財産として、人から人へと受け継がれて行きました。
今は、鉄道技術も随所で各社独自のノウハウによる自動化、ハイテク化が進み、並行して経営合理化のための人員削減も行われる時代になりました。
車両も設備も、見かけは確かにどの路線も立派になってきましたが、それらを使いこなすのは結局人です。にもかかわらず、頼りとなるはずの装置の品質など、どうも人の目に見えない部分で各社間に差が生まれつつあるようです。
鉄道の「安全神話」を受け継ぐには、現場にも、事業者にも、行政にも、そして私たち利用者にも、暖かい人間の眼差しが必要なのだと感じています。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月26日

尼崎JR脱線事故について (その6)

事故車、JR西日本207系電車の走行性能を検証

今回脱線事故を起こした電車は、207系と呼ばれる比較的新しい電車です。
グループ各社に先駆けJR西日本が独自開発した新性能通勤電車で、1990年代初めに近畿圏へ続々投入された後、宝塚線(福知山線)・東西線・学研都市線(片町線)直通の快速運用を中心に使用されています。
1960年代以来あまり改良のなかった国鉄時代の電車に比べ、走行性能や節電効果を高めるための新機軸が積極的に盛り込まれており、デビュー当時は「ハイテク電車」として注目を集めたようです。
その性能を改めて検証するため、次表に一連の記事中で取り上げた他の電車との比較をまとめてみました。


(↑画像をクリックすると大きなサイズでご覧になれます。)

比較対照としたのは、同じJR西日本の東海道・山陽本線新快速用223系、私の地元で東武鉄道東上線の地下鉄直通用9000系、そして京浜急行の京急本線快速特急用2100形(がた)の3車種です。
車種ごとの諸元は次の各社の公式サイトを参照しました。東武、京急が詳しく情報公開しているのに対し、JR西日本は製造初年と最高速度だけでしたので、仕方なくネット検索で複数のアマチュア鉄道研究家の方々のサイトを参照させていただきました。

 *各鉄道会社公式サイトと車両紹介のリンク集*
 JR西日本鉄道ギャラリー 車両図鑑 207系
 JR西日本鉄道ギャラリー 車両図鑑 223系
 (↑上記各車両の詳しい諸元は公式サイトに記載されていません。)
 東武鉄道電車の設備概要
 京浜急行京浜急行車輌図鑑 2100形

なお余談ですが、東武鉄道は1897(明治30)年創立、京浜急行電鉄の前身は1898(明治31)年創立で、現存する日本の鉄道会社としては特別に長い歴史を持っています。

最高速度だけが走行性能の評価を決めるのか?

走行性能について最高速度しか誇ろうとしないJR西日本のコマーシャル意識には、正直落胆しました。
私が一番知りたかったのは、表の「最高速度」欄の隣に記した「加速度」の方だったのです。
加速度とは、発車してからある程度の速度に達するまでに、毎秒、時速何キロずつ速度が上がって行くのかを示した値です。
間接情報では、207系の加速性能は国鉄時代の水準よりも改良されているようですが、ご覧のように、私鉄にはもっと加速性能の高い電車も在籍しています。
宝塚線の快速は停車駅が多く、最高速度で走れる区間も短いことから、無理に速度を上げてもダイヤが遅れた場合の回復効果は少ないことが、事故調の調査でも確認されています。
加えて、207系電車は開発段階ですでに、地下を走る東西線への乗り入れが予定されていました。
地下区間は公道に沿って建設されるため、急な勾配やカーブが多く、使用される電車には高速性能より加速性能の高さを求められるのが普通です。
私には、設計時点でモーターの減速ギア比をより大きくし、最高速度を若干下げてでも加速性能を高めた方が、始発から終点までトータルでの所要時間を縮められたように思えるのです。

東武東上線の9000系電車は四半世紀も前に基本設計が成されましたが、東京地下鉄有楽町線に乗り入れる関係で、最初から加速性能重視で開発されました。
当時は建造コストのかかる電車で、増備も乗り入れに必要な両数に抑えられましたが、今日ではコストの問題もほぼ解消されています。
その結果東武では1996年秋以降、新造通勤電車は一貫して加速性能が優れた車種を投入し続けています。
なお東武は公式サイト上の電車の諸元欄で、非常ブレーキの性能(減速度)も公開しています。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月25日

尼崎JR脱線事故について (その5)

事故から1か月 事故調が初の公式見解示す

今日で事故から1か月が経ちました。
23日の兵庫県警の発表によれば、19日現在でけがをされた方は549人にのぼり、うち入院中の方は139人とのことです。
気がかりなのは、なお重体の方が6人もおられるということ。あらためて心からお見舞いを申し上げます。

 5月23日付「朝日新聞」:JR脱線事故、25日で1カ月 なお139人が入院
 5月24日付「読売新聞」:尼崎脱線 重体なお6人

さて、新聞報道によると昨日24日、事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)は事故発生の経緯について、遅れの回復を焦った運転士が「カーブぎりぎりまでブレーキ操作を遅らせようとした結果、大幅な速度超過でカーブに進入、脱線を引き起こした」とする初見解を公式の場で示しました。
5月25日付「読売新聞」記事より)

 5月25日付「神戸新聞」:運転士「遅ればん回で焦り」 事故調初見解
 5月25日付「神戸新聞」:「車両に異常なし」事故前乗務の運転士ら証言
 5月25日付「読売新聞」:福知山線 遅れ回復 30秒限界
 5月25日付「毎日新聞」:事故車両、非常ブレーキ4回「運転士、負い目に」

事故調の担当委員はこの日、国交省本省での会見で、事故を起こした運転士の心理状態に関する分析を次のように報告しています。

1.事故直前の心理状態について
「遅れを取り戻そうという一心で、カーブ手前で極力、強いブレーキをかけるつもりだったのだろう」
5月25日付「読売新聞」記事より)
事故を起こした快速電車は遅れを回復する時間が設定されていない「余裕時分」ゼロの厳しいダイヤで、事故調委は心理的な負担がその後の運転に影響したとみて、高見運転士の心理状況なども詳しく調べる。
5月25日付「神戸新聞」記事より *8月20日引用追加)
<参考>
事故を起こした快速電車は、ラッシュ時間帯からデータイムに入った3分後に宝塚駅を発車。しかも、余裕時分ゼロの電車の中でも最短の1本だった。データイムの余裕のなさが運転士に過度の重圧を与えていたとみられる。
5月24日付「神戸新聞」記事より *8月20日引用追加)

2.始発駅への回送中に赤信号を見落としたことについて
「宝塚を定時で出発しているが、ATSの非常ブレーキで止まるのは運転士にとって不名誉なことで、運転指令所にも連絡していなかった。それが負い目になり、通常の運転ではなかった可能性がある」
5月25日付「毎日新聞」記事より)

なお、ブレーキなど車両の異常についても調査が進められていましたが、現時点ではトラブルの形跡はなく、前日に事故車へ乗務した複数の運転士からも「異常はなかった」との証言が得られています。
5月25日付「神戸新聞」記事より)

また、通常の運転ではカーブ手前の塚口駅付近から減速を始めますが、その後の直線部分で電車の性能いっぱいまで高速運転を続けたとしても、最大30秒しか所要時間を短縮できないことも確認されました。
5月25日付「読売新聞」記事より)

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月24日

尼崎JR脱線事故について (その4)

時速120km運転は速過ぎか?

JR西日本宝塚線(福知山線)の直線区間の最高制限速度は、2003年12月のダイヤ改正で100km/hから120km/hへ引上げられました。
一気に20km/hのアップですが、在来線でのこの速度は特に目新しいものではありません。
旧国鉄(現JR)が1968(昭和43)年10月1日に実施した「ヨン・サン・トオ」と呼ばれるダイヤ改正で、電車特急「とき」(上野~新潟間)が高崎線内で120km/h運転を開始した経緯があります。
もっとも、その後長い間、この水準での高速運転は途中停車駅の少ない長距離特急などに限って行われてきました。

ところが、今回120km/hで高速運転した後事故を起こしたのは、通勤区間を走る停車駅間隔の短い快速電車です。
宝塚を出ると、尼崎までの7駅のうち、通過するのはたった3駅のみ。
この間をノンストップで走る特急などと違い、途中の伊丹駅を出てから現場の急カーブまで、わずか4kmちょっとの距離しかありません。
参考までに私の地元を走る東武東上線で例えると、この距離は小川町から次の武蔵嵐山までの途中、嵐山町志賀の信号所付近までの間に相当します。
線形が違うので比較はできませんが、120km/hに達した後、速度を50km/hも落とすまでどれほど短い距離しかないか、運転の煩雑さが窺えます。

数年前に私が宝塚線の快速に乗車したとき、最高制限速度は東上線と同じで、まだ100km/hでした。
それが先のダイヤ改正で120km/hまで引上げられていたことを、事故のニュースで初めて知ったとき、内心かなり驚かされてしまいました。
そこで、ほかにもこのような運転が行われている路線はないか、時刻表やネットなどで調べてみましたが、今のところまだ見当たりません。
伊丹市の村山さんがメールで教えてくださった、同じJR西日本の新快速にしても、最高の130km/hまで出す区間の駅間距離は10km以上離れています。
首都圏の私鉄でも、京浜急行の品川~横浜間で快速特急(JR西日本の新快速に相当)が最高120km/h運転をしていますが、やはり駅間距離には余裕があります。

最高速度いっぱいで走り続けることができる最も距離の長い区間が、わずか4kmちょっと。その一寸先は制限速度70km/hの、半径300mの急カーブ。
宝塚線の快速は、ダイヤ改正から脱線事故までの約1年半、前代未聞の過酷な運転を強いられてきたのだと言えそうです。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
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 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月23日

尼崎JR脱線事故について (その3)

事故調の最新情報 運転士の心理状態と脱線事故との関連について

 5月23日付「神戸新聞」:始発駅でATS作動し非常制動 尼崎JR脱線

 *その後の追加情報リンク*
 5月24日付「神戸新聞」:非常ブレーキ30分に3回 死亡の運転士
 5月24日付「神戸新聞」:非常ブレーキ4回作動 始発から脱線事故まで
 5月24日付「読売新聞」:始発前 降格級のミス 高見運転士、報告もせず
 5月24日付「朝日新聞」:非常ブレーキ計4回 「異常な状況」JR脱線事故調
 5月25日付「毎日新聞」:事故車両、非常ブレーキ4回-事故調解析

新聞報道によると22日、事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)はATS(自動列車停止装置)記録装置の分析から、亡くなった運転士が事故車を始発駅へ回送する際、赤信号で停止しなかったためATSによる非常ブレーキが作動していたことを確認しました。
後部に乗務していた車掌の証言では、運転士が自ら非常ブレーキをかけたものと思いホームで理由を問いただしたものの、無視して運転席に向かったそうです。
この不自然な対応から、運転士が自分のミスあるいは車両の異常等を故意に隠そうとしていたか、平常とは違う心理状態にあった疑いが強まってきました。
事故調では、運転士の心理状態と脱線事故との関連についても解明するとのことです(上記の追加情報リンクもご覧ください)。

当ブログでは、事故の真相については専門機関の正式な報告を待つこととし、以前ご紹介した伊丹市の村山さんの近況をお伝えするとともに、これからの鉄道の安全対策について沿線利用者がどう参画できるか考えたいと思います。

在来線の最高制限速度の基準について

田中邦裕さんのブログ、『たなか@さくらインターネット』の5月11日付記事に、在来線の最高制限速度の基準についてこんな説明があります。

法令での基準があるとすれば、「踏み切りのある路線においては、非常ブレーキ後600m以内で停止しなければならない」と言う、国土交通省から出された技術基準だけです。 〔中略〕(その基準も今は)規制緩和の流れの中で「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」に変更され、600mルールは無くなりました。

「非常ブレーキ後600m以内で停止」という以前の基準は、鉄道趣味誌等では新型車両の特集記事などでしばしば話題に取り上げられていました。
このことは、いかに最高制限速度を上げるかは、パワーアップよりブレーキの改良にかかっていたことを裏付けていると言えるでしょう。
しかし、当局や鉄道会社が利用者に向けて、広く基準を公開したことはなかったように思います。

さて、「スピードアップ」は昔から、鉄道会社の宣伝文句としてたいへん注目されてきました。
今もダイヤ改正の前に、「最高時速○○○キロ運転開始!」などのキャッチコピーが入ったポスターを、駅や車内で見かけることがあります。
かつてはこうした謳い文句も、利用者からはあくまで“公称値”という印象を持たれてきたと思います。
実際問題として、制限いっぱいの高速運転には、相当高度な運転技術が要求されます。
例えば下り坂を走る場合、最高速度に達したら直ちに加速をやめ、ブレーキ操作(車両の機能によっては定速運転操作)に移らなければ簡単に速度超過してしまうでしょう。
上り坂から徐々に平坦コースへ変わる部分も速度超過しやすく、高速運転の難しいところです。自動車の運転と同じですね。
このためダイヤ上では、あえて最高速度を出さなくても定時運転が保てるよう、運行計画に余裕を持たせるケースがほとんどだったようです。
制限速度のアップ分は、ダイヤの遅れを取り戻す分というより、運転操作をしやすくするための速度超過までの余裕分、と考えることもできたのです。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月17日

尼崎JR脱線事故について (その2)

参考図書のご紹介

1.『列車ダイヤのひみつ』富井規雄 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/rikukoutu/ressya-himitsu.html
 ○著者紹介(電気通信大学大学院 教員紹介ページより):
    http://www.is.uec.ac.jp/ww/s56.html

本書は、鉄道関係の良書を刊行している出版社として定評のある成山堂書店から、今年2月に発売された新刊です。
著者は、電気通信大学大学院の客員助教授でもある、(財)鉄道総合技術研究所の富井規雄さん。

本書の目次を見ると「3.遅れないダイヤを作る」とあり、「4.遅れないように運転する」の各節には「運転士の訓練」、「乗客が列車を遅らせる」、「事故を未然に防ぐ」とあります。
今回事故を起こした快速は途中駅の乗客の乗降で遅れが生じ、運転士の回復運転への焦りから伊丹駅でのオーバーラン、そして急カーブでの速度超過による転倒脱線に至ったと見られています。
JR西日本宝塚線(福知山線)の各電車とも、ダイヤ上で遅延回復の余裕時分が見込まれているのに対し、この快速に関しては余裕ゼロだったことが、すでに県警の捜査で確認されています。
事故を誘発した要因を探るには、富井さんが説くダイヤの「ひみつ」と、現実の同線ダイヤの「ひみつ」との違いを、じっくり比べてみる必要がありそうです。
乗客の視点にも立って書かれた本書は、沿線利用者が事故防止への取組みに参画するための“貴重な手引き書”とも言えるでしょう。

2.『クイズ鉄道100線の歌』村山茂 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/mokuroku/tetsudo.html
 ○表紙画像(紀伊國屋書店BookWeb 本書紹介ページより):
    http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4425923111.html

前回もお話しした伊丹市の村山茂さんは小学校で先生をしていらっしゃいますが、29才のとき、1985年までは国鉄(現JR西日本)にお勤めでした。
鉄道への深い愛着から子供さんも対象に執筆された『クイズ鉄道100線の歌』という著書も成山堂書店から刊行されていますので、この場をお借りしてご紹介したいと思います。村山さんにとっての記念すべき処女出版です。
(手前味噌で恐縮ですが、私もイラストを少し描かせていただきました(^^;ゞ)
本書は、全国のどのJR線を歌ったものか、歌詞をヒントに当てるという楽譜付のユニークなクイズ集です。
作詞、作曲はもちろん、ピアノがご趣味という村山さんご自身の作!
(奥さまもピアノの先生です。)
実際に各線を訪ねて書かれた写真付の解説も楽しく、国鉄時代に職場で学んだ数々の体験談もコラム「待合室」として挿入されています。

村山さんがメールで伝えるJRスピードアップの現状

村山さんからいただいたメールによると、犠牲者が最も多かった前から2両目は尼崎、大阪を経て地下鉄御堂筋線に乗り換えるのにも便利で、事故の1週間前にも2両目に乗ったばかりとのことでした。そして、

「あのカーブは私もいつも気になっていたとこで、レールのきしむ音がよくきこえます。さらにカーブの東海道線をわたる陸橋も運転士が苦労しているようです」

と、以前から抱いていたスピードアップに伴う不安を話してくださいました。
また、ほかにも次のようなスピードアップの例を挙げてくださいました。

「京都から姫路間の新快速の運転士から聞いた話ですが、停車駅が増えても所要時間がかわらないので、かなり疲れるようです。私が車掌をしていたときでも、京都と大阪(ノンストップ)が29分でかなり速かったです。それが今では新大阪と高槻に停車して27分ですから、それこそびっくりするような速さです」

この新快速は2000年3月11日のダイヤ改正で、全て223系という最新型車両に置換わり、全便とも最高速度130km/hでの運転が開始されました。
村山さんが乗務されていた頃の新快速は、比較的直線部分が多い複々線の内側線(各駅停車用)を走っていたそうです。その後、増発に対応するため運転本数に余裕のある外側線(長距離列車用)に、ルートが変更になりました。
ところが外側線は、通過駅では用地の都合上、ホームの外周をS字カーブ(反向曲線)で迂回する線形が多く、どうしてもスピードダウンになってしまいます。

「ですから少し遅れるともう必死です」

と、最高速度をできるだけキープしながらも頻繁に加減速や途中駅停車を繰り返す運転について、その難しさを説明してくださいました。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月16日

尼崎JR脱線事故について (その1)

4月25日午前9時18分頃、兵庫県尼崎市で発生したJR西日本宝塚線(福知山線)脱線事故から、今日で3週間が経ちました。
この日、伊丹駅を1分半遅れて発車した上り快速電車は、遅れの回復運転で速度を上げたまま現場の急カーブに進入し、転倒脱線を起こしたようです。
死者107人、負傷者461人(5月1日現在)という大惨事に、私も胸が重苦しくなるような思いで毎日を過ごしています。
今はただ、お亡くなりになられた方々のご冥福と、怪我をされた方々の1日も早い回復をお祈りするばかりです。

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

ご無事だった伊丹市の村山茂さん

覚えておられる読者もいらっしゃると思いますが、昨年このブログに12月4日付で、「『阪神・淡路大震災から100学んだ』出版 (伊丹市の村山茂さん)」という記事をご紹介しました。
村山さんも伊丹駅は日常的によくご利用になるので、私も事故直後から安否がたいへん気がかりでした。
その後、メールでご家族の皆さまとも事故には遭われなかったことがわかり、本当にほっとしました。

現場となった尼崎~塚口間の急カーブは、私も村山さんのお宅を訪問する際、何度か通ったことがあります。
数年前なのでまだ快速のスピードアップはされていませんでしたが、自分が乗ったことのある区間で、乗ったことのある207系電車が、まさかあのような大惨事を起こすなんて。
直後のテレビ中継を目にしたとき、私は愕然として何も言えませんでした。
事故の真相は、警察や事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)の報告を待つよりほかにありませんが、当事者のJR西日本も調査に協力すべく、情報開示を積極的に進めて欲しいと思います。

どのような性格の事故だったのか!? 今後の対策は!?

 ・1962(昭和37)年5月3日、国鉄(現JR東日本)常磐線三河島事故
   …死者160人、負傷者296人
 ・1963(昭和38)年11月9日、国鉄(現JR東日本)横須賀線鶴見事故
   …死者161人、負傷者79人

「三河島」、「鶴見」とも、日本の鉄道史上で重大事故の象徴のように語り継がれてきた事故です。
いずれも、貨物列車の脱線現場に2本の電車が相次いで巻き込まれるという、悲惨な多重衝突事故でした。
その後、事故の教訓からATS(自動列車停止装置)が全国に普及し、また脱線原因についても実験線で実物車両を用いた詳細な研究が進められました。
死者50人を越す大事故は今回の脱線事故まで42年間皆無で、それだけに日本の鉄道界が誇ってきた「安全神話」の崩壊は世界中に衝撃を与えたと報じられています。
現場へは反対方向からも特急が接近中でしたが、その運転士が前方の異常に気付き緊急停止するとともに、防護無線で付近の列車を一斉停止させたとのことです。
危うく二重三重の事故になるのを回避できたのは、正に不幸中の幸いでした。
かつての大事故を知る人なら、誰もが今回の事故から当時のことを思い出したことでしょう。

スピードを出し過ぎ、急カーブで脱線。
私ははじめ、これは極めて初歩的な事故なのでは、という印象を抱きました。
と同時に、JR西日本の経営や労使関係などに、何か固有の問題が潜んでいるのでは、とも疑いました。
しかし事故の背景が徐々に明かされつつある今、かつて経験し得なかった新たな課題を鉄道界全体に突きつけた事故なのでは、とも思い始めています。

高度経済成長最中の首都圏で起きた60年代の大事故は、急激な運転本数増に現場の設備や技術が追い着かなかったという社会的背景がありました。
それゆえ、事故後の様々な対策は国家プロジェクトとして、国の予算を用いて進められてきたわけです。
一方今回の事故の背景としては、現場付近を並走している阪急宝塚線に対する、過度なスピード競争の存在が指摘されています。
そのことから、マスコミの報道はJR西日本の経営のあり方に対し、関心が集中してしまっているようです。

後で述べますが、私はいろいろと調べてみた結果、鉄道技術はハード、ソフトとも、まだまだ発展途上中にあるのだと、認識を新たにしました。
その可能性が活かされるかどうかを考えたとき、当事者となる特定の鉄道会社に経営責任を負わせるだけでは、鉄道の将来に水を差すだけで何の展望も開けないのではないかと心配しています。
この事故を契機に、整備新幹線やリニアモーターカーなどと同じくらい、在来線の安全対策や可能性についても、社会全体の関心や期待が注がれることを望んでやみません。

長くなりますので、尼崎JR脱線事故について思うことは、今後数回に分けて述べたいと思います。
また、比企地域と都心とを結ぶ主要鉄道網のひとつである東武東上線についても、後ほど検証してみたいと思っています。

参考ブログのご紹介

田中邦裕さんのブログ、『たなか@さくらインターネット』の5月11日付記事、
「実は裏付けの無い最高速度」にトラックバックします。

尼崎JR脱線事故についてネット検索していたら、偶然にも、さくらインターネット(株)取締役最高執行責任者という方の個人ブログを発見しました。
管理人の田中邦裕さんは、私も昨年秋からブログCGI「Movable Type」設置を機に利用させていただいている同社レンタルサーバサービスの創業者です。
もちろん、田中さんご自身も「Movable Type」の愛用者(そうでなくっちゃ!)。
自己紹介を読ませていただいたら、何とお生まれは1978年! 27才という若さではないですか(羨ましい)。
創業はまさに、日本のインターネット黎明期にあたる1996年。舞鶴工業高専在学中だった18才のときから、この事業を始められたんですね。
同社の料金設定は極めてリーズナブル。サービスメニューも無駄なく充実。サイトデザインも私好みです(公式サイトはこちら)。
田中さんがいなかったら、今の私のサイト運営もあり得なかったんだろうな~と感じています。とっても頼もしい限り(^^)
(そう言えば、さくらインターネットとの出会いも、偶然アフィリエイト広告を目にしてでした。)

さて、もう一度田中さんの自己紹介にお話しをもどしますと、ご趣味は「旅行」とあります。具体的にはやはり、「鉄道旅行」(嗚呼、懐かしい響き…)なのでしょうか?
脱線事故に関する一連のブログ記事を拝読しますと、鉄道について非常に造詣が深いので驚きました。

新幹線の実験中に車輪の蛇行動で脱線しかけたと言う話がありました。しかし、これは乗客を乗せる前の実験段階であり、その後も繰り返し実験行い、ある程度の確証を得た上で制限速度を設定しました。〔中略〕今後、シミュレーションや実験などの客観的な裏付けを行い、根拠のある速度制限の方針を明確に打ち出し、安全が担保できる最高速度を設定していくことが、国に突きつけられた大きな課題ではないでしょうか?

とのご意見には、大いに共感を覚えます。皆さまにもご一読をお勧めします。

〔続く〕

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2005年05月15日

5月16日~6月20日、写人の会『第4回 越生展』開催 (越生町)

P.V.C 写人の会 2005.巡回写真展『第4回 越生展』


(↑画像をクリックすると大きなサイズでご覧になれます。)

昨年4月発足した写真クラブ「写人の会」の2005年巡回写真展が始まります。
通算4回目となる会場は、越生(おごせ)町にある山口写真さんのギャラリー「L'ESPACE YAMAGUCHI(レスパス・ヤマグチ)」。
私も会員として出展します。皆さまのお越しを心よりお待ちいたしております。

≪詳細≫

 【期 間】2005年5月16日(月)~6月20日(月) (火曜日定休)
 【時 間】9:30~17:00(営業時間9:00~18:30)
 【会 場】ギャラリー L'E SPACE YAMAGUCHI(レスパス・ヤマグチ)
       山口写真POP店併設(入場無料) 地図はこちら
  〒350-0416 埼玉県入間郡越生町越生東2-7-18 電話:049-292-7911
  JR八高線・東武越生線 越生駅西口より徒歩約3分(ヤオコー前)
 【主 催】P.V.C 写人の会 事務局(會田)
  〒355-0813 埼玉県比企郡滑川町月輪1253-1-302
  電話:0493-62-6885
 【賛助会員】(有)山口写真(越生町)
        カメラのキタムラ鶴ヶ島店(鶴ヶ島市)
        ムサシ通商(株)(嵐山町)
        古久屋(群馬県伊香保温泉)

≪展示場募集のお知らせ≫

写人の会では、写真を通じたボランティア活動として作品を常設展示いただける施設、病院、学校などを募集しております。
詳しくは、事務局へお問合せください。 (主催者より)

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2005年05月14日

丸葉空木の花

 画題:『丸葉空木の花』-マルバウツギ、ユキノシタ科-

 埼玉県比企郡小川町中爪鷺巣にて
 2005年5月下旬撮影
 Camera:PENTAX *istD
 Lens:SMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACRO

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谷津田の初夏

 画題:『谷津田の初夏』

 埼玉県比企郡嵐山町志賀にて
 2005年5月中旬撮影
 Camera:PENTAX *istD
 Lens:SMC PENTAX-FA☆ 24㎜F2 AL[IF]

項目: 農場・牧場 | トラックバック (0)

2005年05月07日

何の実?

何の実? 林の奥へと続く小道で、ふと足元を見るとこんなものが。
芽を出したばかりの幼木なのに?
よく見ると、どうやら虫こぶ(虫えい)のようです。直系およそ3cm。

横から見てみました。枝がハの字にへし折られています。
虫こぶは、主にハエやハチ、ダニ等に卵を産み付けられた葉、茎などの組織が異常発達するなどしてできます。

 画題:『何の実?』-虫こぶのようです-(2枚とも)

 埼玉県比企郡小川町角山 滝ノ沢町有林にて
 2005年5月5日撮影
 Camera:PENTAX *istD
 Lens:SMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACRO

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