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2006年08月20日

能ある鷹? ペンタックスK100Dに隠された爪

15年前に見せた「Kマウント」の進化。しかし…。

ペンタックスは1991年に、当時としては画期的な交換レンズシステムを発表し、対応する新型一眼レフ、Z-1、Z-10とともに発売しました。
KAF2マウントと命名されたそのシステムは、カメラとレンズとをつなぎ合わせるマウント内部に、新たに電気接点を設けたところに特徴がありました。
これにより、新開発のパワーズーム(電動ズーム)レンズ内の駆動用モーターへ、カメラ側の電池から電源供給できるようになったのです。
しかし、メーカーが力を入れた割にユーザーからは評価されず、いつの間にか新製品には従来通りの手動ズームレンズしか登場しなくなってしまいました。そして2003年に発売された待望のデジタル一眼レフ、*istD以降は、とうとう旧システムのKAFマウントへ先祖がえりし、パワーズーム用の電源供給接点は廃止されてしまったのです。

実は私もZ-1を発売と同時に購入し、その後中古で買い増しした僚機とともに、ほとんど故障知らずで今も仕事に使っています。もちろん、試験的に購入したパワーズームレンズも現役ですが、結局手動ズームに切り替えた方が構図の微調整もしやすく、ついぞ電動は使わずじまいのままです。
今、ペンタックスの公式サイトで調べると、往時のパワーズームレンズはすべて販売終了とされています。不評に終わった製品が消えて行くのは仕方ないことですが、電源供給接点はパワーズーム以外にも応用できる可能性があったため、その廃止を惜しむ長年のユーザーが少なくなかったことも事実です。私も、その一人でした。

今再び宣言された「Kマウント」の進化。それは…?

ペンタックス上級執行役員の鳥越興さんが、この春米国で開催された「PMA」ショーでImpress Watchのインタビューに応じ、今後の新製品の展望について回答されています。その内容は、長らく変化の見られなかった同社の交換レンズシステムに新たな夜明けが近いことを、突如宣言するものでした。

「現在、開発陣に指示しているのはKマウントの進化です。〔中略〕上位互換の形で、より高機能なマウントシステムへと進化させることに、現在は取り組んでいます」

 「デジカメWatch」:2006年2月27日付記事より抜粋
  【インタビュー】デジタル一眼に必要な要素のすべてに取り組む
  ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長 鳥越興氏

先月発売のK100Dでは見送られましたが、上の記事中にモックアップの写真が掲載されている1000万画素機には採用されるのでしょうか。ペンタックスの3月22日付ニュースリリースでは「2006年秋頃に発売予定 」とされています。9月下旬にはドイツで写真関連の国際見本市「フォトキナ」が開かれますから、その頃までには詳細が発表されるのかもしれません。

見逃せないK100Dに隠された爪

ところが、その発表を待つまでもありませんでした。伏線はすでに、K100Dの中に敷かれていたのです。
“電源供給接点”復活の礎(いしずえ)。
ダミーのパーツで塞がれてこそいますが、良く確かめるとマウントの内側、ミラーボックス下部のZ-1と同じ位置に、接点取り付け用の孔が予め用意されているではないですか。
ひと月近くも気付かずにいた自分が情けないです。このことは、ペンタックスのファン同士が情報交換に利用している某サイトの掲示板を見て、初めて知ったのでした。
K100Dのミラーボックスは、手ぶれ補正機構搭載に合わせて新規設計されたものです。今後の新製品では同じミラーボックスが、ダミーパーツではなく本物の電源供給接点を装着した状態で実装されるのでしょう。おそらく。
こちらの外観写真では試作機のためか判別できません。店頭デモ機などでお確かめください。ただし、勝手にレンズを外すと店員さんに叱られるお店もあるのでご注意ください。できれば、ご自身でお買い求めください。)

パワーズーム復活なるか? それとも…。

かつてユーザーに認められなかったパワーズームがなぜ、今になって復活の兆しを見せているのでしょうか。
当時はデジタルカメラはもちろん、パソコンさえ一般消費者の間には普及していない時代でした。ペンタックスの試みは、時代を先取りし過ぎていたのかもしれません。
ペンタックス最初のデジタル一眼レフ、*istDには、パソコンからリモートコントロール撮影するためのソフト、「PENTAX REMOTE Assistant Ver. 1.01」が無償で用意されていました。その後このソフトの開発は止まったままですが、私は今、あるいは次期バージョンでズーミングのリモートコントロールもできるようになるのではないかと、密かな期待を抱いています。K100Dにはペンタックス独自の「デジタルプレビュー」というテスト撮影機能が備わっていますが、これからはその結果をパソコンへ転送し、モニターを見ながら構図が調節できるようになるというわけです。三脚撮影なら手ぶれの心配はないので、その補正のためのイメージセンサーのシフト機構を構図の微調整に応用できるかもしれませんね。
ここで、さらに期待したいことがあります。それは、他社では最早主流となりつつある、レンズ内モーター駆動方式のオートフォーカス機構の採用です。
ペンタックスはこれまで一貫してカメラ側モーター駆動方式を用いてきました。この方式はレンズの小型化やコストダウンには有利なのですが、合焦速度を上げるには限界がある、と言われています。一概に比較はできませんが、望遠系のレンズでは確かに差が開くようです。

今、ペンタックスの交換レンズ群はモデルチェンジの過渡期を迎え、往年の人気レンズが次々と市場から姿を消しています。果してそれがどのような形で復活してくるのか、KAF2を発展させたKAF3マウントは現れるのか、早く真相が知りたくてワクワクしているところです。

項目: 写真・カメラ

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