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2006年08月10日
ニコンもペンタックスもRAW対応ソフトは発育盛り
今日は朝から台風一過の青空が広がり、焼け付くような暑~い一日になりました。最早クーラー無しにパソコンの前には座れません。大容量UPS(無停電電源装置)が新入り早々、いい仕事、しています。
大めし喰らいのニコン純正「Capture NX (Ver.1.0)」
ニコンD1XやD1Hを使っていた頃は「Nikon Capture Editor (Ver.2~3.5.3)」でRAWファイルの調整や現像(画像出力)をしていましたが、新型のD200はサポートされていないため、代わりに「Adobe Photoshop CS2(Camera Raw 3.3)」を使ってきました。「Camera Raw 3.3」は「Photoshop CS2」上で各社製品のRAWファイルをまとめて手早く画像処理したいとき実に有用で、時短による労働環境改善と人件費削減に(多分)大きく貢献してくれます(道理で10万円はするわけです)。しかし新機種RAWファイルへの対応は年に4回程度なので、そのタイミングがD80の発売に間に合うかどうかは分かりません。調整機能や出力画像のクオリティも「必要にして十分」という程度のレベルなので、そうなるとつまり、何か物足りなくなるようなこともこの先あるかもしれません。
そこで、準備も兼ねて7月28日に発売されたばかりのニコン純正RAW対応ソフト、「Capture NX (Ver.1.0)」を購入し、早速機能や動作を確かめてみました。
ところが、私の受けた第一印象はまず、「ちょっと重いな」ということです。評判どおり行かないのもそのはず。私のメインパソコン(Windows XP)のマシンスペックはCPUがCeleron 2.4GHz、メモリが1.0GBなのに、「Capture NX」の推奨環境はCPUがPentium4 2.0GHz相当以上、メモリが1.0GB以上なのですから。キャッシュファイルも数10MBと大きなものがいくつも生成されるので、できればキャッシュフォルダ用に別ドライブを増設し、環境設定の変更で移動させたいところです。なかなかの大めし喰らいですね。D80のユーザー層がファミリーや一般アマチュアと想定するなら、もう少し低いマシンスペックでも使えるソフトを、ニコンにはサポートしてもらえたらと思います。同梱の「PictureProject」には今のところRAW調整機能がなく、JPEGやTIFF等への単純な変換しかできませんので。なお、旧バージョンの「Nikon Capture Editor (Ver.3.5.3)」の推奨環境は、CPUがPentium 300MHz 以上、メモリが256MB以上でした。
しかし機能は充実しています。RAW調整に限らずスキャナで取り込んだ画像の調整も色々とできるので、カメラユーザー以外の方にもお薦めです。RAW調整以外ならパソコンにもそれほど負担はかかりません。13,320 円(税込)という ダウンロード販売価格は「Photoshop CS2」よりはるかに安く、私は魅力を感じました。ただ、あえて難を言うなら、これもD200のメニュー画面操作に似て、重要な機能を仕舞い込み過ぎといった感じがします。もっとも、そのおかげで画面は広く使えますから、時間を惜しまず納得の行くまで作業をしたいというときには最適なソフトになりそうです。撮影情報の表示パネルからも彩度、コントラスト、シャープネスなどが調整できるようになったのは大きな進歩で、これは傑作と言えそうです。今後のバージョンアップに期待したいところです。
高機能でも重くないペンタックス純正「PHOTO Laboratory 3」
実はペンタックス「PHOTO Laboratory 3」の推奨環境も、ニコン「Capture NX (Ver.1.0)」とほとんど変わりありません。なのに、少なくとも私の環境ではあまり待たされることなく動いてくれます。それは、RAW調整の確認に縮小プレビュー画像を用い、実画像は部分拡大のときしか表示しないからです。さらに複数ファイルをまとめて一括調整することもできますし、各種調整結果をまとめてプレビューに更新することもできます。各機能の操作パネルも常時見やすく表示でき、自分のパソコン環境に合わせて実に要領よく作業を進めることができるわけです。難点は調整値の保存や呼び出しが手動操作に限られることでしょうか。これが「Camera Raw 3.3」のように自動化されたり「Capture NX」のように元のRAWファイルへ添付できるようになれば、大量作業も怖いものなしなのですが。無償ソフトにはわがままな要望でしょうか。
「PHOTO Laboratory 3」はK100Dの同梱ソフトですが、従来製品のユーザーへも無償でアップデータが公開され、多くのペンタックスファンから歓迎されました。なぜなら今回、(株)市川ソフトラボラトリー開発の比類ない調整能力を持つRAW対応ソフト、「Developer Studio 2.0」と共通のRAW現像エンジン、「SILKYPIX RAW SDK」が採用され、画質や機能が大幅アップしたからです。
これは助かる、と私が特に感じたのが「ハイライト調整」。これまでのRAW調整では、ファイルに記録されているシャドウからハイライトまでの広い諧調をできる限り再現しようとすると全体の明るさや色調のバランスが崩れてしまい、何らかの後調整や部分合成などが必要でした。「ハイライト調整」を使えば、そのままでは白く飛んでしまう雲や明るい青空などの色調も、シャドウや中間調に影響を与えることなく一層豊かに再現することができるのです。私はそのようなシーンの多くをRAWモード撮影してきましたので、ついに日頃の行いが報われるときが来たと、例えようのない喜びを感じているところです。
さて、朗報はまだまだ続きます。「Developer Studio」は間もなくバージョンアップを迎えるのですが、その「試用版」が公開されているので使ってみました。一番試したかったのは「ハイライト調整」の新メニュー、ダイナミックレンジ拡張機能です。その効果ですが、これはまさに救世主ですね。動作も快調です。近い将来、「PHOTO Laboratory」にも同じ機能が追加されると良いのですが。
「PHOTO Laboratory 3」は現像エンジンこそ市川ソフトラボラトリーの協力を得ていますが、レンズの描写力を最大限に引き出すべく、色再現性の設計にはペンタックス独自の意匠が反映されています。長い間ペンタックスレンズを育んできた工芸の里小川町は、かつて絹織物の名産地でもありました。もう斜陽化してしまいましたが、私の家のすぐ側に、今もわずかながら桑畑を見ることができます。「SILKYPIX」の名前の由来は「絹のような滑らかで自然な映像」(「SILKYPIX」公式サイトより)。今回の両社の協業は、まさに最高の出会いと言えるのではないでしょうか。これからの展開に期待は高まるばかりです。
と、ここまで書き進んでふと、来月にも詳細が発表されそうなペンタックスの1000万画素中堅機を、早く試してみたくなってきました。こうなるとやはりペンタックスをメイン機材にして、D200の出番はいざというとき(どんなとき?)のためにとっておいた方が良いのかな、という思いも浮かんできたりするのでした。
項目: 写真・カメラ
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