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2007年01月05日

2007年 年頭所感 「ファミリーフォトエージェンシー」の実現を

「今はデジタルカメラが広まって、誰でもすぐ必要な写真はパソコンで作れるようになったから、プロの写真家さんも仕事が減って大変でしょう」

世間話のついでにそんな同情ともとれるようなことを、最近はときどきですが、尋ねられるようになりました。同業者の中には、

「これだから一般のお客さんは分かっていない。撮った写真を並べて比べればプロと素人との違いは歴然としているのに」

とこぼす方も、当然ですが少なくはありません。
ですが、プロであればこそ、こうしたお客さんからの指摘には、謙虚に耳を傾け考えてみるべきではないかと思うのです。
なぜ私たちは期待してもらえなくなったのかを。

写真の需要が減ることはありません。デジタル技術の進歩で印刷コストが安くなり、インターネットも普及したことから、写真が活用される機会は今後ますます増えていくでしょう。
飲食店を例にすると、店内メニューや折り込み広告に載せる、自慢の料理や店舗の写真がまず必要でしょう。店主がホームページやブログを運営していれば、更新用にもっとたくさんの写真が欲しくなります。
ところが、かなり多くの店主の方々が、

「プロに頼むと高くつくから、忙しくても自分で撮るよ」

と考えていらっしゃるようです。そのような話を聞くと兎角プロの側は、

「そんなに経営が苦しいのだろうか。お客さんが呼べるのにもったいない」

と考えがちです。しかしそこには、極めて重要な課題が浮彫りにされていることを、もっと強く認識しなければなりません。
「高くつく」と思われてしまうのはなぜでしょう。それは本当に予算が足りないせいなのでしょうか。

違いますよね。誰もが皆同じように思っているはずなんです。
せっかくお金を使うのだから、自分の意思で楽しく使いたい、と。
ならば、プロに大切なお店の撮影を頼むのだから、どんな人に依頼しようか、楽しみながら相手を選び納得してその仕事を任せたいと、店主の方々も本当は思っていらっしゃるはずなのです。

でもなぜ、その手段が無いのでしょう?
そこが最大の課題だと、私はこの頃思うようになりました。

メニューや広告などの制作を請負ってくれる業者はいろいろとあります。特定の業界を得意とする制作会社や広告代理店も少なくありません。ただ店主側にとっては、派遣されるカメラマンが結局は業者側のお仕着せになり、自分の店のイメージづくりに時間を割いて相談に乗ってもらえないのではないかという心配が残ってしまいます。
これは、カメラマンの技量だけで量れる問題ではありません。お店の写真に限らず、どんな用途の撮影でもセンスのことなど難しい相性の問題もありますから。もし近所のカメラ屋さんや印刷屋さんの紹介、個人のつてなどで良いパートナーを見つけることができるなら、それはお互いにとってかなりラッキーな出会いと言えるのかもしれません。

プロカメラマンの世界には昔から、フォトエージェンシーという幅広いサービスを担う業界の窓口があります。ただし、その事業のほとんどはマスメディアを対象としたもので、一般の個人客の私的な利用に適した営業内容ではありません。基本的にプロ同士の仲介業であり、そこで扱われる写真の多くは、主に新聞や雑誌など大量印刷物への掲載を目的としたものなのです。

話は急に変わりますが、スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤピノキオといった子供向けの“ファミリー写真館”と呼ばれるサービスが相変わらず繁盛しているようですね。大企業が全国的にチェーン店を展開しており、進出された地域の個人経営の写真館からは、

「あんなのは写真館じゃない。貸し出しせずに写真を買わせる貸衣装屋だよ」
「たくさん撮ってお客さんに選ばせるなんて、素人カメラマンのすることだね」

などと、手厳しい批判を浴びせられる場面もしばしばです。商売敵ですから。

ここでまた本題にもどります。そんなファミリー写真館ですが、そこではお金を楽しみながらどう使うのか、主導権はあくまでもお客さんの側にありますよね。店主に案内されるままお決まりの記念写真しか撮ってもらえないような写真館では、お金の使い方も公共料金を事務的に払っているような味気ないものになってしまいます。今や生産者側だけでなく消費者側もクリエイターであり、エンターテナーでありたいのです。

近い将来、個人商店や中小企業からの撮影依頼、あるいは一般客の私的な利用をマーケットにしたフォトエージェンシーが実現するなら、私はファミリー写真館などのチェーン店を展開できるようなお客さんのニーズを上手につかめる企業に、その役を買って出て欲しいと思っています。すでに各地に営業網があり、地域にお住まいの方々、とくに若い世帯にブランドイメージが浸透しているというのは、単に子供向けの貸し衣装屋さんでは終わらないビジネスチャンスを開拓しているのも同然なのではないでしょうか。
また個人経営の写真館の中には、お客さんの年令やキャラクターに合わせ、その人たちが楽しめるような変化に富んだ撮影を叶えてくれる素敵なお店もたくさんあって、私もそのような写真館を実際に知っています。よりハイレベルな撮影を希望されるお客さんに、ファミリー写真館でそのような個人経営の写真館も紹介するサービスが始まれば、写真はもっともっと身近で楽しいものになるはずだと、私は思うのです。競うべきは個性や特色であって、無闇なシェア争いはお客さんを振り回し、疲れさせてしまうだけでしょう。誰のためにもならないと思います。

私がこのサイトを完全な商用目的にリニューアルし、写真撮影の仕事をお請けできるようにすることも考えられます。しかしながら、個人でできることには限界があります。
例えば結婚式の披露宴のスナップ撮影をお承りして、万が一直前になってノロウィルスやインフルエンザなどに私が感染してしまったら、大至急代理のカメラマンを手配しなければなりません。ですが、私の人脈だけではそのような急な事態にまで対応し切れない場合も考えられます。これではいけませんね。
だから地域社会に密着した、それでいて幅広い営業網やサービスのノウハウも兼ね備えたフォトエージェンシーの実現を、私は願うのです。
いっそのこと“ファミリーフォトエージェンシー”(仮称)と名付けてみましょうか。

私自身が起業するわけにもいきませんので、2007年はまず、具体的にどのような企業に創業のラブコールを送るか、候補者探しの第一歩を踏み出したいと思っています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

項目: 写真・カメラ , 町づくり・町おこし , 管理人からのお知らせ

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