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2007年04月16日

ペンタックスとHOYAとの間で間もなくトップ会談の見通し

ペンタックスはHOYAとの合併に代わる
企業価値の向上策を作成中

「毎日新聞」4月15日付記事によると、いよいよペンタックスとHOYAとの間で、経営統合問題を巡るトップ会談が行われる見通しになったようです。

 「毎日新聞」:2007年4月15日付記事(抜粋)
 →HOYAが再質問状 ペンタックスにTOB賛否問う

〔前略〕HOYAは14日、TOBへの賛否などについて明確な態度を示していないペンタックスに対し、再質問状を出したことを明らかにした。HOYAとしては今週前半までに書面で回答を得た上で週内にトップ会談を行い、取締役会を開く23日を節目に、統合問題に対する態度を決めたい意向だ。
〔中略〕一方、10日に就任したペンタックスの綿貫宜司社長が翌11日、同社の筆頭株主である国内系投資会社スパークス・グループに就任あいさつで訪れた際、「白紙に戻したHOYAとの合併に代わる企業価値の向上策を作成中なので、出来上がり次第、知らせる」と口頭で伝えていたことが14日分かった。〔後略〕

綿貫宜司新社長はHOYAとの経営統合に向けて昨年春から交渉役を務め、HOYAの鈴木洋CEO(最高経営責任者)とも面識があるという報道もあります。綿貫社長は浦野文男前社長の代とは異なる案を準備し自社のペースで統合協議を有利に運ぶ重要な機会を得たことになります。ただ、HOYA首脳陣はペンタックスの一連の動向から10日に臨時取締役会を開いており、先方の社外取締役も含め業務のスケジュールを混乱させてしまったことについて、非難は避けられない苦しい立場にあることも事実です。HOYAの鈴木洋CEOはペンタックスとの合併について株主の理解と協力を得ることに努めてきたことからも、交渉にはHOYAの立場を害さないよう十分な配慮が求められることになるはずです。たいへん難しい仕事になりそうですが、ペンタックス新経営陣はどうこの課題を乗り越えるのでしょうか。その行方を占う上で気になる報道もあります。

 「毎日新聞」:2007年4月15日付記事(抜粋)
 →ペンタックス:経営陣内紛 新経営陣、1日で変節

〔前略〕合併推進派の浦野前社長と森勝雄前専務執行役員の2人は4日、混乱の責任を追及されて辞意を表明した。辞任は10日の臨時取締役会で正式に決める予定だった。
反対派役員5人は9日、浦野前社長ら2人に改めて合併断念を申し入れ、どのような形でもHOYAとの経営統合は断念すべきだとする文書を手渡したという。
翌朝、東京都板橋区の本社で開かれた臨時取締役会では、冒頭に議長役の浦野前社長が「本来の議題に入る前にTOB(HOYAによる株式公開買い付け)を含め今後の話をしよう」と切り出したが、さえぎる形で三浦順夫上級執行役員が浦野前社長の解職動議を提案した。反対は森前専務だけで、前日の申し入れに加わらなかった鶴田昌隆上級執行役員も賛成に回り6対1で可決。森氏も解職された。更に岡本育三常務執行役員(創業家と姻戚関係)が綿貫宜司氏を新社長に選任する動議を出し、浦野、森両氏の反対を退け可決された。
新経営陣は人事議案だけで取締役会を終えようとしたが、浦野、森両氏が「合併を断念するなら、きちんと決めて情報を開示すべきだ」と主張。議長になった綿貫新社長が受け入れ、前日の申し入れとは異なる「合併は断念するが、統合協議は継続する」ことを提案。議論の末「広い意味での統合」を検討することで可決されたという。
〔中略〕ペンタックスは昨年12月にHOYAと合併で基本合意した際、4月上旬の最終契約を目指していた。しかし、交渉が長引いた場合などに備え、有効期限は5月末としていたという。「期限前に一方的に協議を打ち切れば、契約破棄の責任を問われかねないことに気づいた新経営陣が、期限切れまで交渉を引き延ばす方便としたのでは」(関係者)との指摘もある。〔後略〕

これも「毎日新聞」の4月15日付記事ですが、こうした内部事情に係わる情報がどこからどのような意図をもってもたらされたのか、記事中には「関係者の証言で明らかになった」とありましたが実に不思議な気がします。契約破棄の責任逃れというのは単なる憶測だとしても、これから交渉に臨む新経営陣が最初からHOYAに経営統合を断念するよう仕向けているかのような書き方でもあり、HOYA首脳陣に不快感を与えかねない報道とも思えます。ペンタックスの1ユーザーとしては、両社の間で統合協議が建設的に進められることを祈らずにはいられません。

やはり必要と思われるHOYAの協力

ペンタックス綿貫新社長は就任時の会見で、次のように述べたとあります。

 Impress「デジカメWatch」:2007年4月10日付記事(抜粋)
 →ペンタックス綿貫新社長が会見
  ~経営統合の検討を継続、カメラ事業は好調

〔前略〕「IS(イメージングシステム)の収益源はボディより交換レンズなので、デジタル一眼レフへのシフト戦略を立てた。レンズは素材さえあればすべて社内で作れるから、付加価値がすべて社内に落ち、貢献利益率が最も高い。ベトナム工場の生産能力を上げ、増産している」と、現在はカメラ事業が好調であるとした。〔後略〕

「レンズは素材さえあればすべて社内で作れる」とありますが、その素材である光学ガラスの最大手メーカーがHOYAです。ペンタックスは今、デジタル一眼レフ事業がようやく好転したのを機に、交換レンズの新製品開発や工場の増床を急ピッチで進めています。ところが、長年財務状況が良くない状態が続いていたとの報道もあり、これから拡大が期待される市場に対し十分な投資ができるかどうか、不安も無いわけではなさそうです。
素材メーカーとしては、納品先の資金繰りが良好であれば増産にも安心して協力できますが、一般論として一時的な評判や期待感だけで先方の事業に乗ることには、どうしても慎重にならざるを得なくなると考えられます。もちろん、納品先の財務状況が透明であればそれが安心材料になるわけですが、企業秘密に関することでもあり、そこには別企業であることの超えられない壁があると言えそうです。
ペンタックスと資本力のあるHOYAとの合併は、こうした問題をクリアする手段として私は好意的に受け止めていました。ペンタックスの内視鏡事業も将来の成長が期待され、一種の保険としても有望という印象を抱いていました。
また、私の地元にあるペンタックス小川サイト(旧小川事業所)の土壌・地下水汚染恒久対策工事も、来年5月には完了する予定になっています。旧小川事業所は5年前まで、ペンタックス交換レンズの主力工場でした。こうした資産も、両社の間で有効に活かされないかと期待していました。

ペンタックス新経営陣が果たしてどのような新案を準備しているのか、現時点では知る由もありませんが、ペンタックスのカメラ史上最大の転機を上手く乗り切って欲しいと願っています。


【余談】

内視鏡事業ですが、
保険というより、担保に例えて活かすようなことは、できないものでしょうか?
(↑ただの茶飲み話です。どうもたいへん失礼しました<(_ _)>)

項目: 写真・カメラ

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