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2005年05月17日

尼崎JR脱線事故について (その2)

参考図書のご紹介

1.『列車ダイヤのひみつ』富井規雄 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/rikukoutu/ressya-himitsu.html
 ○著者紹介(電気通信大学大学院 教員紹介ページより):
    http://www.is.uec.ac.jp/ww/s56.html

本書は、鉄道関係の良書を刊行している出版社として定評のある成山堂書店から、今年2月に発売された新刊です。
著者は、電気通信大学大学院の客員助教授でもある、(財)鉄道総合技術研究所の富井規雄さん。

本書の目次を見ると「3.遅れないダイヤを作る」とあり、「4.遅れないように運転する」の各節には「運転士の訓練」、「乗客が列車を遅らせる」、「事故を未然に防ぐ」とあります。
今回事故を起こした快速は途中駅の乗客の乗降で遅れが生じ、運転士の回復運転への焦りから伊丹駅でのオーバーラン、そして急カーブでの速度超過による転倒脱線に至ったと見られています。
JR西日本宝塚線(福知山線)の各電車とも、ダイヤ上で遅延回復の余裕時分が見込まれているのに対し、この快速に関しては余裕ゼロだったことが、すでに県警の捜査で確認されています。
事故を誘発した要因を探るには、富井さんが説くダイヤの「ひみつ」と、現実の同線ダイヤの「ひみつ」との違いを、じっくり比べてみる必要がありそうです。
乗客の視点にも立って書かれた本書は、沿線利用者が事故防止への取組みに参画するための“貴重な手引き書”とも言えるでしょう。

2.『クイズ鉄道100線の歌』村山茂 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/mokuroku/tetsudo.html
 ○表紙画像(紀伊國屋書店BookWeb 本書紹介ページより):
    http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4425923111.html

前回もお話しした伊丹市の村山茂さんは小学校で先生をしていらっしゃいますが、29才のとき、1985年までは国鉄(現JR西日本)にお勤めでした。
鉄道への深い愛着から子供さんも対象に執筆された『クイズ鉄道100線の歌』という著書も成山堂書店から刊行されていますので、この場をお借りしてご紹介したいと思います。村山さんにとっての記念すべき処女出版です。
(手前味噌で恐縮ですが、私もイラストを少し描かせていただきました(^^;ゞ)
本書は、全国のどのJR線を歌ったものか、歌詞をヒントに当てるという楽譜付のユニークなクイズ集です。
作詞、作曲はもちろん、ピアノがご趣味という村山さんご自身の作!
(奥さまもピアノの先生です。)
実際に各線を訪ねて書かれた写真付の解説も楽しく、国鉄時代に職場で学んだ数々の体験談もコラム「待合室」として挿入されています。

村山さんがメールで伝えるJRスピードアップの現状

村山さんからいただいたメールによると、犠牲者が最も多かった前から2両目は尼崎、大阪を経て地下鉄御堂筋線に乗り換えるのにも便利で、事故の1週間前にも2両目に乗ったばかりとのことでした。そして、

「あのカーブは私もいつも気になっていたとこで、レールのきしむ音がよくきこえます。さらにカーブの東海道線をわたる陸橋も運転士が苦労しているようです」

と、以前から抱いていたスピードアップに伴う不安を話してくださいました。
また、ほかにも次のようなスピードアップの例を挙げてくださいました。

「京都から姫路間の新快速の運転士から聞いた話ですが、停車駅が増えても所要時間がかわらないので、かなり疲れるようです。私が車掌をしていたときでも、京都と大阪(ノンストップ)が29分でかなり速かったです。それが今では新大阪と高槻に停車して27分ですから、それこそびっくりするような速さです」

この新快速は2000年3月11日のダイヤ改正で、全て223系という最新型車両に置換わり、全便とも最高速度130km/hでの運転が開始されました。
村山さんが乗務されていた頃の新快速は、比較的直線部分が多い複々線の内側線(各駅停車用)を走っていたそうです。その後、増発に対応するため運転本数に余裕のある外側線(長距離列車用)に、ルートが変更になりました。
ところが外側線は、通過駅では用地の都合上、ホームの外周をS字カーブ(反向曲線)で迂回する線形が多く、どうしてもスピードダウンになってしまいます。

「ですから少し遅れるともう必死です」

と、最高速度をできるだけキープしながらも頻繁に加減速や途中駅停車を繰り返す運転について、その難しさを説明してくださいました。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年01月07日

1月6日発売の週刊文春「あれから10年 双子のいる風景」 (入間市の大野広幸さん)

一昨年の5月、小川町立図書館で埼玉の分校の写真展を開かれたフリーフォトジャーナリストの大野広幸さんの作品が、1月6日(木)発売の「週刊文春」(1月13日号)に掲載されました。
今回は、「あれから10年 双子のいる風景」と題して、10組の双子さんが登場します。
10年前の2人と今の2人と、一見良く似たきょうだいは、それぞれどんなふうに歳を重ねたのでしょう?
ぜひご覧ください。

 ○大野広幸写真の世界 夢・希望・明日(大野さんのフォトギャラリーサイトです)
   トップページ:http://www1.odn.ne.jp/~cbs95850/

 ※『比企の里だより ~今日この頃~』2004年10月9日付関連記事:
   「大野ひろゆき写真展 『埼玉の分校』(10月5~31日、東京四ツ谷)」
   http://sato.hiki-life.net/archives/2004/10/_10531.html

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2004年12月31日

季節感豊かな地元の風景写真カレンダーを制作 (寄居町の岩田省三さん)

私がいつもお世話になっている、荒川を撮る会代表の岩田省三さんが制作されたオリジナルカレンダーが、大晦日の今日、「埼玉新聞」で紹介されました。
季節感豊かな地元寄居町の風景写真を収録したこのカレンダーは、町の商工・観光PRに役立ててもらおうと、毎年制作していらっしゃるそうです。
作品は岩田さんが無償提供。
町内の企業や商店が印刷代実費のみの負担で活用し、今年で何と20年になるとのこと。まさに「継続は力なり」ですね。

 ○埼玉新聞社 公式サイト
  トップページ:http://www.saitama-np.co.jp/
  12月31日(木)付紹介記事掲載ページ:
   「寄居の鮮やかな風景撮影 写真家の岩田さん カレンダー作り20年」
   http://www.saitama-np.co.jp/news12/31/11l.htm

≪詳細≫

 2005年カレンダー:テーマ「よりい季(とき)のいろ」
  雪の玉淀河原、金尾のつつじ山、晩秋の風布谷など7点収録
  A3判・一般販売価格1,000円
 【問合せ】寄居町観光協会
  〒369-1205 埼玉県大里郡寄居町末野1491
   (秩父鉄道・東武東上線・JR八高線 寄居駅南口前)
  電話048-581-3012

 ○寄居町観光協会 公式サイト
  トップページ:http://www.yorii.or.jp/~kanko/

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2004年12月22日

『写真集・里山に育む -和紙の町・分校の日々-』出版 (小川町の大木春雄さん)

『写真集・里山に育む』
-和紙の町・分校の日々-

大木 春雄(おおぎ はるお) 著
B5判変形・101頁
定価(本体3,800円+税)
ISBN4-8188-1744-9
2004年12月中旬発行
(株)日本経済評論社 刊
(表紙写真転載 版元了解済)

去年の春に休校となる前の、小川町の下里分校(町立小川小学校下里分校)に学ぶ子どもたちの姿をとらえた写真集が出版されました。

また、本書の出版にあわせて、同タイトルの写真展も小川町立図書館で開催されます。

 ※『比企の里だより』2004年12月28日付関連記事:
   大木春雄写真展『里山に育む』(1月18~30日、小川町立図書館)
   http://sato.hiki-life.net/archives/2004/12/11830.html

【著者のことば】(「埼玉新聞」12月22日付記事より)
(撮影を通して)先生や地域の人たちの子どもたちに対する思い、ほかでは見ることの
できないものを垣間見ることができ、子どもたちの伸び伸びした明るさを納得した。
写真集を刊行できたのも南良和先生、学校や地域の人たちのご指導、ご支援のお陰です。
(管理人注:南 良和先生は、長瀞町にお住まいの写真家です。)

 ○埼玉新聞社 公式サイト
  トップページ:http://www.saitama-np.co.jp/
  紹介記事掲載ページ:
   12月22日(水)付「03年休校の小川町・下里分校を撮影 大木さんが写真集出版」
   http://www.saitama-np.co.jp/news12/22/09l.htm

 ○日本経済評論社 公式サイト(←本書の版元です)
  トップページ:http://www.nikkeihyo.co.jp/
  本書紹介ページ:http://www.nikkeihyo.co.jp/01.html

 ○版元ドットコム 公式サイト(←書籍検索サイトです)
  トップページ:http://www.hanmoto.com/
  本書紹介ページ:http://www.hanmoto.com/bd/ISBN4-8188-1744-9.html

管理人コメント:

今日、埼玉新聞のサイトで写真集出版の記事を見つけたとき、思わず心の中で
「やったー!」と叫んでしまいました。
この写真集の完成を、私もずっと心待ちにしていたからです。
私が大木さんと初めて出会ったのは、おととしの春。
満開の桜を求め、小川町腰越の、槻川に掛かる矢岸橋の辺りを彷徨っていたときのこと。
3月とは思えない暖かな日で、水遊びに夢中の子供たちを写す大木さんの姿がありました。
以来、撮影中の大木さんには町のあらゆる場所で偶然お会いし、折に触れ今回の写真集
の構想についてお話しを聞かせていただいてきたのです。

大木さんは、生まれも育ちも地元小川町です。
アマチュア写真家で、生まれ故郷をこれほど丹念に、長い年月をかけて撮り続けるていらっ
しゃる方は、実は意外と少ないのです。大抵の人は、コンテスト入賞を狙い、話題性に富む
被写体を次々と探すうち、どうしても遠出しがちになってしまうのでしょう。
ですが、大木さんは違っていました。「作品として本にまとめられるような撮り方をしたい」
と常々おっしゃられていて、身近なテーマに取り組む熱意に私も頭が下がる思いがしました。

本書に収録された97枚の作品は、すべてモノクロ写真。
フィルム現像から紙焼き(プリント)まで、全部ご自宅の暗室で丹念に仕上げられたものです。
私も経験がありますが、その労力は並大抵のものではありません。
自家暗室でのモノクロ写真の表現の魅力は、私にとっては、写すべき光との対話にあるように
思えます。季節や天候、時間、また自然光か人工光かで、現像やプリントを調整しないと思い
通りの結果は得られません。生命にとっても、物にとっても、光は重要な意味を持ちますから、
自分でそれを印画紙の上に定着させる行為には、写真表現の上で決して人任せにはできない
要素が含まれているはずだと思えるのです。
以前大木さんにお会いしたとき見せていただいたプリントは、長らく暗室から遠ざかっていた
私に、そんなことを思い出させてくれました。

もうひとつ、少し前になりますが、下里分校を題材にしたモノクロ写真の作品展がありました
ので、あらためてご紹介します。

 ※『比企の里だより』2004年10月9日付関連記事:
   「大野ひろゆき写真展 『埼玉の分校』(10月5~31日、東京四ツ谷)」
   http://sato.hiki-life.net/archives/2004/10/_10531.html

モノクロ写真というと、とかく「カラー写真ができる前の昔の写真=懐かしさの演出」と見られが
ちに思えるのですが、写真表現を取得する上で基本となる表現方法です。写真関係のクラブ
や学校に学ぶ多くの若い写真家たちが、今日も新鮮な視点でモノクロ作品を生み続けている
のです。
写真家の大野さんの作品展も、そうした学生時代からのモノクロ写真を集大成したものです。
出展作品を中心とした写真集も出版されていますので、大木さんの写真集とあわせて、ぜひ
一度ご覧いただければと思います。

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2004年12月04日

『阪神・淡路大震災から100学んだ』出版 (伊丹市の村山茂さん)

『阪神・淡路大震災から100学んだ』
-防災・復興に活かす知恵と心がまえ-

村山 茂 著
四六判・240頁
定価(本体1,500円+税)
ISBN4-303-63480-8
2004年12月中旬 発行
2004年12月下旬 重版出来
海文堂出版(株) 刊
(表紙写真転載 版元了解済)

【著者のことば】
阪神・淡路大震災は未曾有の大災害だった。
「どんな地震だったのですか」と聞かれても、一口で言い表すことはできない。
壊れた家や家具、避難所生活を余儀なくされ、知り合いに亡くなった人もいた。しかし、悲しみや苦労と同じ数だけ学んだことがあった。
(「はじめに」より)

管理人コメント:
著者の村山茂さんは、兵庫県伊丹市にお住まいのとても優しい小学校の先生です。私は以前、仕事でたいへんお世話になり、まだ震災の爪跡の残るお住まいをお訪ねしたことがあります。
1995(平成7年)年1月17日午前5時46分。
夜も明けないうちに突然襲った大地震。
部屋の窓が鍵を引き裂いて開いてしまうほどの揺れの激しさ。
知人のお宅では、重たいピアノも宙を舞ったといいます。
「無重力に近い状態だったと思います」
という村山さんの証言に、想像を絶する恐怖を覚えました。
それから10年と経たずに今度は新潟中越地震です。
今年の10月23日午後5時56分、近県の新潟が大地震に襲われ、私の友人家族も被災して自動車内に避難し、余震の恐怖で眠れぬ夜を過ごしたそうです。
本書のご執筆には何年もの時間と、調査の苦労が費やされました。
勤務先の小学校も避難所になり、子供たちの立場を案じながら救援活動を続けられた村山さんの著書には、『防災マニュアル』の類とは違い、体験者の貴重な経験が直に記されています。
いつ遭遇しても不思議ではない災害の備えとして、ぜひご一読をお薦めします。震災を経験された方々にとっても、きっと多くの共感を得られる本だと思います。

 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.kaibundo.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.kaibundo.jp/syousai/ISBN4-303-63480-8.htm

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