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2006年09月20日

ペンタックスK10Dの「RAW+ボタン」は小さな大革命

RAWモード撮影はハイリスク

デジタルカメラのフォーマットはJPEGが標準的ですが、デジタル一眼レフや一部のコンパクトデジカメでは、イメージセンサーが捉えたRAWデータを専用フォーマットで保存し、対応ソフトで画像生成する方法も選べます。
ソフトの機能にもよりますが、この方法はイメージセンサーの性能を大きく引き出すことができるので、複雑な光線状態の下での撮影にはたいへん有利です。しかしその反面、ファイルサイズはJPEGより大きくなるので、RAWモード撮影時は一般的にカメラのレスポンスが低下する傾向が見られます。主な弊害として、メモリカードへの書込みに時間がかかり、連続撮影が中断されてしまうことなどが挙げられます。

昨年12月に登場したニコンD200は、1000万画素というハイスペックを持ちながらも、この問題を20万円未満の販売価格に抑えつつ大幅に解消した革命的なデジタル一眼レフでした。
大容量バッファメモリを搭載することにより、RAWモードで約22~23枚、RAW+JPEG同時保存モードでも約19~20枚まで、書込み待ちを心配せずに連続撮影できるのです(JPEGモードでは画像サイズ等により約37~76枚)。

では、同じ1000万画素デジタル一眼レフのペンタックスK10Dはどうでしょう。

実は、公表された予定のスペックによると、RAWモードで9枚、RAW+JPEG同時保存モードでは僅か6枚までしか連続撮影ができません。
私の経験では、白鳥の編隊飛行や離着水、サッカーやバスケットボールなどのようにシャッターチャンスが連続しやすい撮影シーンだと、バッファ容量20枚分でも不足するケースがしばしばあるのです(正直、焦ります…(^_^;))。
するとそのような撮影に、K10Dでは力不足? いいえ、そうではないのです。

JPEGモードとRAW+JPEG同時保存モードとを自在に切替え

RAWモード撮影が有利なシーンでも、連続撮影中のすべてのカットにその必要のあるケースは実際そう多くありません。しかし途中でJPEGモードに切替えようにも、カメラを覗きながら手探りで素早く操作するなど、これまでのどのカメラでもほとんど不可能でした。
ところがペンタックスは、K10Dでそれを可能にしてしまったのです。その新機能は、カメラを覗いた状態で内蔵ストロボの左下にある「RAW+ボタン」を押せば、JPEGモード(またはRAWモード)とRAW+JPEG同時保存モードとを自在に切替えできるというものです。なかなか思いつかない「コロンブスの卵」的発想と言えるのではないでしょうか。
メーカー推奨の利用法として、「JPEGで撮影中に、ここぞというシーンをRAWでも記録」する例が挙げられていますが、逆にRAW+JPEG撮影中にバッファフルで書込み待ちになった場合、「RAW+ボタン」機能を緊急解除しJPEGで撮り続けるという応用も考えられます。何しろK10Dは書込み速度が速く、JPEGなら待たずにメモリカードいっぱいまで連続撮影することができるのですから。
一般に、バッファメモリは結構コストのかかる部品だと言われています。また、バッファに余裕があるからといたずらにRAWで撮り続るなら、最近安くなったとは言え、予備のメモリカード代も無視できない金額になるでしょう。
何でもお金で解決するのではなく、問題の根本にあるものを見極め本当に役立つモノづくりに取り組むペンタックスの姿勢に、改めて感心させられました。加えて「画質革命」を謳う22bitA/Dコンバーターと新画像エンジン「PRIME」とが功を奏し、ハイライトからシャドウまで、複雑な光線状態でもより高い諧調再現が得られることにも、大いに期待したいと思います。

ところで9月14日付記事に私は、「同じように革命と言っても、ニコンがたいてい素人にも分かりやすいコンセプトのプロ用機や中堅機を出してくるのに比べ、ペンタックスには玄人でもすぐにはその価値が理解しにくいコンセプトの商品を、アマチュア機として出してくるようなところがしばしばあります」と書きました。この「RAW+ボタン」などはまさにその典型なのですが、恥ずかしながら私も、最初は開発陣の意図がすぐには飲み込めませんでした。海外サイトから漏れてくる噂でその機能の採用を知ったときも、いわゆるガセネタではないかと疑ってしまったほどです。
そのような認識を改めた今は、この小さなボタンが実現した大きな革命に感謝し、K10Dならではの撮影スタイルをしっかりマスターしなくてはと考えを巡らせているところです。

項目: 写真・カメラ

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