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2006年10月06日

ペンタックスK10Dの画質革命

待望のサンプル画像が公開されました

ペンタックスの公式サイトで、待望のK10Dのサンプル画像ファイルが公開されました。次のページからダウンロードできます。

 ペンタックス(株):製品紹介
  デジタル一眼レフカメラ/K10D 作例

ペンタックスの英国法人、PENTAX U.K. Ltd.の公式サイトでは、さらに多くのサンプル画像ファイルをダウンロードできます(英文)。

 PENTAX U.K. Limited:Digital SLR
  K10D - Images - Sample pictures
  (ぶどう園の遠景のダウンロードはこちら。)
  注:上から3番目の門の風景は、廉価版ズームレンズによる撮影です。
     カメラの解像力の評価用としては、あまりお薦めできません。

22bitA/Dコンバーターと新画像処理エンジン「PRIME」の威力

国内公式サイトからダウンロードした各画像ファイルのEXIF情報を、ペンタックスの純正ブラウザソフト「PENTAX PHOTO Browser 3」で参照してみました。撮影日はいずれも9月の2~3日ですが、上記作例ページの現像ソフトウエア欄に「PENTAX K10D Ver.1.00(カメラ内RAW現像)」とあるので、これらの画像出力に用いたカメラは製品版に限りなく近いものではないかと思われます。カメラ内にRAW現像機能を内蔵したデジタルカメラは例がなく、様々な応用が考えられそうです。

それにしても、「画質革命」は本当だった、というのが率直な感想です。
私が特に惹かれたのは、作例3のかぼちゃの写真です。赤系統の鮮やかな色彩が豊かなグラデーションで再現されており、まったく色飽和が見られません。これには思わず息を呑みました。ヒストグラムの表示できるソフトでも、はっきりとそのことが確認できます。シャープネスも見事ですね。これまでの一般的なデジタル一眼レフでは、RAWモードで露出アンダー気味に撮影し現像ソフトで慎重に調整しても、このような描写を得ることは困難でした。個人的には、植物の色彩や質感がリアルに再現できるデジタル一眼レフというのは、この上なくありがたい存在です。
作例4のおじいさんの写真もコントラストが強く、撮る側としてはできれば避けたい光線状態ですが、ハイライトからシャドウまですべての諧調がバランス良く再現されています。シャツの生地の描写も本当に繊細です。
作例1、2の女性のバストショットもすばらしいですね。2枚目の方はあえてレフ板を使用していないようですが、それでもシャドウ部の肌の色が濁ることなく自然に再現されています。カメラ同梱の純正RAW現像ソフト「PENTAX PHOTO Laboratory3」を使えば、衣類に生じた色モアレや髪の毛にわずかに生じた段々模様(ジャギー)、逆光線のハイライトの白飛びも、もっと軽減できると思います。

以上、公開されたサンプル画像に簡単にコメントしましたが、いずれも試作機による撮影なので、製品版ではさらに良い結果が得られる可能性があります。また、カメラ内RAW現像機能についても、ファームウェアの今後のバージョンアップにより、機能や性能の一層の向上が期待できるかもしれません。

大いに活用したいカメラ内RAW現像

せっかくカメラに多機能RAW現像ソフトが同梱されていても、パソコン環境の事情ですぐには使えず、カメラとパソコンとどちらを先に買うべきか今まで悩んでいた人も少なくないかもしれません。その点、K10Dならカメラ内RAW現像ができ、RAWならではの柔軟性や高画質をパソコンレスで発揮させることができます。これも多分、22bitA/Dコンバーターで得られる質の高いRAWデータと、画像処理能力に優れた新エンジン「PRIME」の成せる業でしょう。

去年の秋でしたが、私もこんな機能があればもっと仕事がスムーズに進んだに違いない、と思える場面を体験しました。
某大手商社の水産部門で新しい家庭向け冷凍食材を扱うことになり、都内にある本社のテストキッチンに出向いて調理例のサンプル撮影をすることになりました。調理法は和、洋、中の3種類で、広告制作会社のデザイナーさん自らが腕を振るいました。カメラは*istD。撮影はRAWモードです。
しかし、ここで問題が。食材の開発元である加工会社さんが岩手県にあるので、その社員さんが撮影に立ち会うことができません。そこでやむを得ず、同じカットをJPEGで撮り直してメールに添付し、商社の営業担当者さんの机のパソコンから送信して撮影結果を確認していただいたのです。
この方法では、RAWモードならではの結果を相手の方に見ていただけないというジレンマが残ります。かといって、私が今持っているノートパソコンではRAW現像ソフトを快適に使うことはできません。カメラ内RAW現像ができればこうした悩みも万事解決、というわけです。

ほかにもまだ例はあります。
今年の春、横浜市内にオープンするお寿司屋さんの広告撮影の依頼を受けました。店頭ディスプレイ用のメニュー撮影を先に済ませ、後日店舗内のイメージカットの撮影で訪問したときのことです。照明がタングステン光でしたので、クライアントのデザイナーさんから赤味を残した色調で仕上げてくださいというリクエストをいただきました。制作進行がタイトなので、すぐ印刷所へ入稿できるよう撮影現場でデータをCD-Rに落とす必要があり、後からRAW現像やレタッチなどをしている余裕はなかったのです。
通常、このような場合はホワイトバランスを完璧に取り、リクエストに応じた赤味が演出できる色フィルターを選んでレンズの前に装着し撮影します。また、レンズの前ではなくストロボの発光部に同じフィルターを貼っても良く、私はライティングの自由度も考慮し主に後者の方法を用いました。ホワイトバランスをストロボ光に固定すれば、どのカットもほぼ同じ色調に仕上がるのも利点です。室内照明との違和感もごくわずかです。
ここでさらに、カメラ内RAW現像という手法も使えるなら、デザイナーさんと再生モニターで確認をとりながら、より制作意図に沿った色調を選ぶことができるでしょう。幸い、少し青味がかっていた*istDに比べ、この夏発売のK100Dのモニターは色の偏りも少なく、さほど厳密さを求めなければ色調補正にも十分利用することができるレベルです。K10Dも同等か、それ以上のレベルが期待できそうです。

K10Dは、ただ単に画素数を従来より増やすだけでなく、自分にとってデジタルならではの撮影の可能性を一層広げてくれるカメラになるだろうと、到着を心待ちにしています。JPEGモード撮影での画質も早く知りたいところですが、カメラ内RAW現像の結果からも、その水準の高さが想像できます。
先月は「PENTAX PHOTO Laboratory3」に現像エンジンを提供している市川ソフトラボラトリーから、汎用RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」が発売されました。今バージョンの目玉は新技術SILKYPIX RAW Bridgeにより、JPEGやTIFF形式のファイルでもRAWと同様の調整ができるようになったことです。特にホワイトバランスの調整には有効で、私もたいへん助かっています。(8月22日付記事参照)
ファイルサイズが大きなRAWモード撮影に頼る頻度も、このようなソフトと諧調再現性に優れたK10Dとの組み合せで、大幅に減らせるかもしれないですね。楽しみです。

*ご参考

「SILKYPIX Developer Studio 3.0」試用版がこちらからダウンロードできます。
(14日間無料)

項目: 写真・カメラ

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