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2007年01月29日

写真館チェーン店がもったいない!

1月5日付記事でも触れたファミリー写真館について考えてみました。

ファミリー写真館チェーン店の可能性と限界

スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤスタジオパレットピノキオ(首都圏中心)といった子供向けの“ファミリー写真館チェーン店”が相変わらずの人気です。子供だけでなく、最近は成人式の記念写真キャンペーンを展開する店舗も増え、そのサービス内容は単なる「子供写真館」というジャンルには納まらなくなってきたようです。

こうなると、既存の一般的な写真館にはある意味脅威ともなりうるのですが、出店は今のところ都市部やその近郊など、ある程度集客力のある地域に限られているようです。残念なことですが、既存店も近年は後継者不足から廃業する店が目立ち、卒業・入学シーズンや七五三、成人式など混み合うシーズンには近隣の写真館の負担が大きくなる傾向にあります。利用者の視点で見ると、地域によってはチェーン店の出店が混雑緩和の新しい受け皿になり、うまくバランスが取れている例もあります。お客さんにとって選択肢が増えるということは、本来歓迎されるべきだと思います。
問題はオフシーズンです。混雑時は結果的に協力し合えるチェーン店と既存店との関係ですが、それ以外の時期にはどう共存していけば良いのでしょう? この課題については、チェーン店の方が先に手を打ち始めています。例えば、子供に喜ばれるアニメキャラクターやおもちゃなどを用いた演出写真の企画です。例えば、次のようなものがあります。

 こども写真城スタジオアリスディズニーの世界
 こども写真館スタジオマリオワンワン&うーたんと写真をとろう!
 こども写真館トム★ソーヤースヌーピーフォト
 ファミリー写真館ピノキオレゴといっしょ(ブロック玩具)

キャラクターなどの商用利用は映画会社など著作権者との契約が必要になり、小規模経営の既存店では採算上メニューに取り入れにくいサービスだと考えられます。チェーン店が既存店との無用なシェア競争を避け、差別化を図るうえでも、このような新企画をさらに推し進めることが得策だと思われます。

ところが、そこには大きな壁も存在します。1つは施設、1つは人材です。

お客さんは一度サービスに満足すると、さらにその上のサービスを求めるのが常です。眼が肥える、と言えばよいのでしょうか。要望はどんどんエスカレートしていくものです。
キャラクターの衣装を着て撮ってもらう楽しさを覚えた子供さんは、成長するにつれさらに上の楽しさを求めるようになると思います。いつまでも子供向けのメニューでは飽きてしまい、お店から離れていってしまうでしょう。せっかくつかんだ顧客なのに、とてももったいないことだと思います。

コスプレ写真館はいかが?

例えば今、10代や20代の若者たちの間で、アニメや映画のキャラクターに扮するコスチュームプレイが人気です。衣装の多くは自慢の手作りですが、レンタル衣装があれば着てみたいと思っている潜在的な層はもっとたくさんいるはずです。実際、マニア向けのレンタル店も少なからずあるようですが、残念ながら写真撮影はお客さん個人で、という店がほとんどのようです。やはりお店にとって、著作権契約の条件がネックになるからでしょう。
憶測ですが、このような需要を想定した企画は、すでに写真館チェーン店の運営会社内でも再三検討されているのではないかと思われます。しかし人気キャラクターにも流行があり、短期間で多くのお客さんを呼んでペイしようにも、肝心のスタジオ床面積や撮影スタッフの数が逆に不足する心配があるのです。また、照明やカメラアングルなど、設備や撮影技術にもマニアを満足させる高いレベルが求められます。それらを流行が去る前に、キャンペーン期間中にだけ賄うことは、チェーン店一社だけで解決するにも限界があるように思います。大企業とはいえ、リターンが確実でない投資はできないでしょう。

そこで私は、近隣の既存の写真館へのアウトソーシングを提案します。物理的な問題を解決できるだけではありません。照明設備が移動調節式で凝ったライティングのできるスタジオが多く、映画のスチル写真のようなきめ細かい演出や屋外の出張撮影にも応じられるメリットもあります。著作権の問題をクリアする必要がありますが、そこはチェーン店の運営会社が映画会社や放送局などと交渉し、映画や番組の宣伝も兼ねたタイアップ企画として実現させれば良いのです。そうすれば、チェーン店がまだ出店していないような田舎町の中高生もターゲットに、全国的なキャンペーンを展開することだってできるはずだと思います。
 
すべてはお客さんのために

先に挙げたような新サービス創出へ写真館業界全体で取り組むようになれば、誰よりも喜ばれるのはお客さんです。そして次に期待したいのは、お客さんとの地域的な(プライベートな)つながりのより深い既存店が、顧客の反応に基づくさらに新しいサービスを企画し、チェーン店の運営会社へ持ち込めるようになることです。営業暦の長い写真館なら、そこから独立したカメラマンや、店舗へ機材の注文に来たり写真の現像を出しに通うフリーカメラマンとのネットワークも豊富です。そうした人材面での資産も全国ネットのチェーン店とうまくリンクできれば、お客さんの業界全体への期待感が大きくアップし、プロに写真を撮ってもらうことがもっともっと楽しくなるのではないでしょうか。

項目: 写真・カメラ , 町づくり・町おこし

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