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2006年11月02日
ペンタックスK10D&アドビ「Photoshop Lightroom」への期待 (1)
「Photoshop Lightroom」の楽しさ
アドビが10月19日に公開した総合画像管理ソフト、「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」(10月23日付記事参照)を試用中です。いや、素晴らしいです。本当に。
RAWモード撮影は複雑な光線下の撮影でこそ威力を発揮するもの、それだけに現像ソフトの調整も複雑で時間を要するもの、といった従来のイメージがどこかへ吹き飛んでしまうほどです。
これから試用してみようという方にはぜひ、「クイック現像」の自動調整機能「設定:AUTO」を試されることをお勧めします。パソコンのマシンパワーにもよりますが、複数のカットもまとめて処理することができます。
私のパソコン(Windows XP)のスペックはCPUがCeleron 2.4GHz、メモリが1.0GBですが、ニコンD200のRAW圧縮ファイル(1000万画素)でも、20~30カット程度なら一度に難なく処理できます。
もし処理途中で動作不安定になりパソコンを再起動させなければならない事態が生じても、そこまでの作業内容はソフトが一時ファイルに記録してくれるので、すぐに続きを再開できます。
他社のソフトや「Photoshop」付属のRAW現像機能「Camera Raw」にも、似たような自動調整機能はあります。しかし、実用性は今一歩というのが正直な感想でした。その点、ハイライトやシャドウの現像も別々に操れる「Photoshop Lightroom」なら、精度の高さはまったく別次元です。自動といっても、各機能の調整量はスライドバーに反映されるので、結果を元に手動で表現意図に沿った再調整を加えることもできます。つまり、ソフトが示してくれる模範解答を出発点に、要領よく調整が進められるというわけです。
レタッチソフトによくある自動調整はブラックボックス的なものがほとんどで、最初からそれに頼ると、どんなときどこをどう調整すればよいかノウハウがなかなか身に付かなくなる心配があります。それに比べ「Photoshop Lightroom」の自動調整は、むしろ楽しい先生になってくれる手放しがたい存在だと思います。今後もさらに精度向上が期待できそうで、実に楽しみです。
ところで、この「Photoshop Lightroom日本語版パブリックベータ 4」の「ヘルプ」を参照すると、「Lightroom〝5つのルール」を読むことができます。その最後の5つめが、とても気が利いていて説得力があるのです。まだの方はちょっと覗いてみて下さい。
K10DもDNGで「Photoshop Lightroom」に対応
-「画質革命」とRAW現像革命(?)との出会いはもうすぐ-
あとおよそひと月で、待ちに待った発売日を迎えるペンタックスK10D。ところが「Photoshop Lightroom」(2007年前半に英語版から発売予定)は、まだ発売されていないカメラのRAWファイル形式には対応していません。
でも安心。ペンタックスの方が「Photoshop Lightroom」でのRAW現像に対応してくれたからです。それは、アドビが2004年に提唱し始めた汎用RAWファイル形式、DNG(Digital Negative=デジタルネガティブ)を採用することで実現しました。DNGは、「デジタルカメラで撮影されたRAWファイル用に新たに開発された、一般に公開された標準アーカイブ形式」(アドビ公式サイト関連ページより)です。
アドビ システムズ:製品
デジタルカメラRAWファイルのアーカイブ形式、DNG(Digital Negative)
ペンタックスはカメラ同梱の画像管理ソフト「PENTAX PHOTO Browser」をこの夏、Ver.3.00へアップデートし、「ペンタックスRAWファイル(PEF)をAdobe Systems社提唱のDNG(Digital Negative)形式のRAWフォーマットへ変換」(ペンタックス公式サイト関連ページより)する機能を追加しました。この変換はたいへんスピーディです。さらにそれだけではなく、K10Dは「PENTAX PHOTO Browser」が利用できない環境でも困らないよう、カメラ専用RAWファイル形式であるPEFのほか、DNG形式でのRAWモード撮影も選べるよう設計されているのです。これは、日本のメーカーのデジタル一眼レフとしては初の試みです。
DNGの採用で、今後のペンタックスの新機種は発売時から、「Photoshop Lightroom」をはじめDNGに対応するあらゆるソフトで、RAWファイルの閲覧、現像、印刷ができるようになりました。また将来、使用中のソフトが旧バージョンとなり新機種の専用RAWファイル形式への対応サポートが終了した場合でも、ただちに新バージョンへのアップデートに追われなくて済むようになりました。
*ご参考
アドビは無償で、各社デジタルカメラの専用RAWファイルをDNGに変換するソフト「Adobe DNG Converter」を提供しています。新機種にも順次アップデートで対応するほか、販売が終了した機種も広くサポートしています。現在はすでにデジタルカメラ事業から撤退したメーカーの製品にも対応しているので、現時点でDNGに変換しておけば、将来そのカメラのメーカーが純正RAW現像ソフトのサポートを打ち切るようなことがあった場合でも、アドビをはじめ他社のDNG対応ソフトでRAW現像することができます。
「Photoshop Lightroom」は写真関係の学校に浸透するか?
10月16日付記事で「写真入門の教材としてのデジタルカメラシステム」と題して書いたことですが、私は写真関係の学校での実習に関して「撮影をサポートするソフトはカメラメーカー純正が前提」との考えから、次のように意見をまとめました。
RAW現像ソフトのパラメータがカメラ側と連動していれば、カメラで設定した彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどが正確に反映された画像をパソコンディスプレイで再生でき、かつそれらを再調整することでそれぞれの効果もシミュレーションできます(彩度やコントラスト、シャープネス、ホワイトバランスなどのカメラ側での設定については、8月8日付記事もあわせてご覧ください)。パラメータはファイル化して保存、再利用でき、実習経験の蓄積や分析にもたいへん役立ちます。カメラメーカー純正ソフトなら撮影時の各種情報も最大限に参照できるので、撮影をサポートするためのソフトとして、レタッチソフトより先に使い方を習得すべきだろうと思います。
しかし「Photoshop Lightroom」を試用し、このソフトが写真関連業界の標準ソフトとして予想以上に有望なことが分かってきたことから、私の考えも少しずつ変わり始めています。冒頭でも「楽しい先生になってくれる手放しがたい存在」と書いたように、「Photoshop Lightroom」はデジタル写真撮影の学習にもたいへん役立つソフトです。もともとフォトグラファーが撮影依頼者との間でプレゼンテーションやディスカッションに利用しやすいよう開発されたソフトですから、学校での講義や実習にも当然利用しやすいはずです。何より、世界中から厚い信頼を寄せられているメーカーのソフトですから、職業訓練の意味でも、学術研究の意味でも、また各社の同種のソフトを比較評価する力を養う意味でも、「Photoshop Lightroom」の習得を重視する学校は今後増えていくのではないかと思われます。特定カメラメーカーの指定撮影機材やその純正ソフトの貸し出しを受けての実習は、行うにしても入学当初の基礎段階に止まることになるかもしれません。
項目: 写真・カメラ
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