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2007年01月24日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その2)

1月27日付記事も、あわせてご覧ください。

〔(その1)へもどる〕

レンタル暗室付き写真教室の事例

幸い、前回私が述べたようなものに近い暗室付きの民間の写真教室は、少しずつですが各地に開設され始めているようです。今後そうした動きがさらに広がるかどうかは、やはり関連機材や用品を提供するメーカー、販売会社などの積極的な協力が欠かせないでしょう。年少者が安心して利用できるよう、地元の写真クラブなどの経験者が保護者に代わって協力し合い、各教室の講師やインストラクターをサポートしていくことも大切だと思います。

カメラメーカーなどが主催する写真クラブはすでにありますが、会員の対象が原則的にそのメーカーの製品のユーザーに限られる場合が、残念ながらほとんどのようです。活動内容も撮影会やコンテストなど、イベント的なものが中心です。しかし、フィルムカメラや関連用品のメーカーの数が限られてきた今こそ、それらのユーザーのために各社が協業で支援する体制を整える良い機会なのではないでしょうか。

先進的な写真教室の経営が総じてどような状況にあるかは、情報がないため把握することはできません。ただ、各教室のサイトにある会費や暗室使用料などの料金表を見る限り、小・中学生や高校生向けの割引料金を設けている所はなかなか見つけることはできず、ある程度お金に余裕のある客層がつかめないと利益を得ることは難しいようです。そうした問題を根本から解決するため、各メーカーや販売会社などがスポンサーになり、年少者の教室利用を促すための助成活動はできないかと、私は漠然とですが考えるのです。こうしたことは、デジタルカメラしか販売しない家電系のメーカーや販売会社には、なかなかできない営業活動と言えるのではないでしょうか。

白黒写真のプリントが体験できるワークショップの事例

常設の写真教室となると経営面で様々な課題があることからすぐには広がりにくいと思われますが、ワークショップは前回も述べたように各地で開催されるようになってきました。多くは民間の主催によるもののようですが、中には公的機関が取り組んでいるものもあります。その中で年少者を対象にした、白黒写真のプリントが体験できるワークショップなどの事例をご紹介します。

 1.公営施設主催の事例

東京都写真美術館でのワークショップの事例です。小・中学校や高校の授業の一環として利用できるプログラムも用意されています。

 東京都写真美術館ホームページ「写美」
  ○ワークショップ・カフェトーク
  ○スクールプログラム

 2.公益法人主催の事例

(社)日本写真協会は「写真を通じて国際親善の推進と、文化の発展に寄与することを目的とし」、外務省の認可を得て設立された団体です。私も日ごろからご指導いただいている先輩フォトグラファー、大野広幸さんが、昨年開催された「ワクワク!子供の写真教室」体験学習の様子をご自身のブログでレポートされていますので、ご紹介します。開催場所は、大野さんのご出身地に近い飯能市(旧名栗村)の山林。参加しているのは何と幼稚園の生徒さんで、撮影からプリントまでのフルコースです!
(私が幼稚園生のとき体験したかった。子供たちがうらやましいです…。)

 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)写真日記」
  2006年9月10日付記事 マイナスイオン
  (社)日本写真協会の「ワクワク!子供の写真教室」体験学習

 大野広幸さんの紹介については、
 ブログ「比企の里から '04-'06」の2005年12月29日付記事もご覧ください。
 大野さんのホームページです。 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)」

「フィルム文化を存続させる会」の活動と、
それに応えた富士フイルムの“8mm映画フィルム事業”継続発表

さて、ここで少し話題を変えてみましょう。次の各リンクをご覧ください。

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年7月14日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」発足にあたって

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年9月2日付記事
  富士写真フイルム株式会社からの回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年11月29日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」覚書
   フィルム文化を存続・発展させるために

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年12月7日付記事
  富士フイルムへの再要望書

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  富士フイルムからの再要望書に対する回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  シングル8の継続を発表!

 富士フイルム(株):2007年1月10日付お知らせ
  シングル-8用フィルム
  「FUJICHROME R25N」「FUJICHROME RT200N」
  販売および現像サービス終了延期のお知らせ

8mm映画、楽しいですね。
私の家にも以前、父が若い頃愛用していたマミヤの8mmカメラがあって、小学6年生のとき友人たちとの日帰り旅行などで時々貸してもらったことがあります。日本ではダブル8と呼ばれた規格を採用したカメラで、16mm幅のフィルムに左右片側ずつ撮影し、現像後に縦方向に切り離して前後をつなぎ合わせるシステムになっていました。オープンリール式なので途中必要になるリールの反転が子供だった私には難しく、せっかく遠出までして良いシーンをとらえてやろうと思ったのに光線引きで台無しにしてしまったこともありました。
この規格のフィルムは既製品としてはもう製造されていませんが、16mm映画用フィルムをダブル8用のリールに巻いた加工品は海外で流通していて、日本でも通販で買うことができます。

 8ミリ専門店「レトロ通販」8ミリ用生フィルム

富士フイルムが開発したシングル-8による映画制作は、ほんの真似事でしたが、高校生のときに映画研究会の編集機材を借りて体験したことがあります。カメラは写真部(光画部)の先輩のお兄さんから、10倍ズームレンズが装備された当時のフジカシングル-8のハイエンド機を貸していただきました。それらのシステムがダブル8に比べ、素人の私にははるかに扱いやすいことが実感できました。
さらにその後、日大芸術学部に進学した私は、無類の旅好きだったことと同じ写真学科の人が部員に多いこともあり、文化部連盟に属する「旅の会“群”」に入りました。連盟では毎年春になると、新入生を勧誘するため各部が制作した8mmの宣伝映画の上映会が開かれていました。学部にはもちろん映画学科もあり、人材にも機材にも事欠くことはありません。私は撮影や編集には携わりませんでしたが、“群”の宣伝映画に俳優として出演するという、非常に稀な体験もすることができたのです。今ふり返れば新入生より迎える側の方が楽しんだイベントだったような気もして、それはいかに楽屋オチが多かったかということでもありますが、センスの光る秀作もたくさんありました。いろいろな意味で、学生同士がコミュニケーションを図る貴重な機会になっていたと思います。

8mm映画を制作し上映するための各種機材は、残念ながら中古市場を探すしかほとんど手に入れることはできなくなりました。
富士フイルムも、今から22年前の1985年にフジカシングル-8シリーズのカメラの販売を終了し、昨年4月の公式発表で、今年3月にはシングル-8用フィルムの販売を、来年9月にはその現像サービスの終了を予告していたのです。
それが今月10日、フィルム文化を存続させる会の方々の熱心な働きかけにより、期限付きでも富士フイルムが8mm映画フィルム事業の継続を表明したことで、私はフィルム写真撮影の未来にも明るい希望を持つことができました。

フィルム文化を存続させる会では、8mmフィルムを存続さなければならない理由のひとつに、それが「映像教育の教材に適している」(同会覚書より)ことを挙げています。私もこれまで述べてきたように、フィルムの教材としての利点には特に注目しており、同会の考えには大いに共感を覚えます。動画か静止画かを問わず、映像表現の学習にはフィルムで撮影する手法の方が、デジタル撮影よりも制作そのものに集中できると考えるからです。
小・中学校や高校では今、WEBサイトの制作を学習する機会も増えています。それらのコンテンツとして動画や静止画を用いる際はデジタル撮影の方が合理的には違いないのですが、本来そうしたパソコンによる情報処理や通信の学習と映画や写真による表現の学習とは、別々にバランス良く並行して実践すべきものなのです。学習目的を明確にし、生徒が興味をもって作品の制作に夢中になれる環境を整えるためにも、フィルムシステムをどう存続させるべきかは、これからも十分吟味していく必要があると思います。

富士フイルムによる女性のための
「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」

富士フイルムは今日、グループ内で写真用のカメラやレンズ、暗室用品も製造販売する大手フィルムメーカーとして世界唯一の存在になりました。
(注:同社は現在、35mm判フィルム一眼レフカメラを販売していません。)
その富士フイルムが「Photodays」という、女性対象の「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」を2日間のスケジュールで開催しています。国内の主要都市を巡回する企画で、すでに福岡と仙台以外の会場は定員(30名前後)に達する盛況ぶりです。世代別では、20~30代くらいの人たちに人気があるようです。
今のところカラーリバーサルフィルム(スライド映写用フィルム。プリントもできます。)での撮影のみですが、将来はさらにこうした企画を、白黒写真のフィルム現像からプリントまで親子で(母子で?)体験できるよう発展させられたら、楽しいだろうと思います。既存のレンタル暗室を備えた写真教室とタイアップできれば、全国一斉のキャンペーンとして大々的に開催でき、知識や技術の普及効果も高まるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
富士フイルムの事例に限らず、フィルムカメラや関連用品のメーカー、販売会社の今後の取り組みに期待することとし、今回のまとめにしたいと思います。

なお私はこうしたテーマを、1月5日付記事の年頭所感で述べた「ファミリーフォトエージェンシー」の実現に向けた働きかけともセットで、自分のライフワークにしていけたら良いなと考えています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

項目: 写真・カメラ , 町づくり・町おこし

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