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2007年04月01日

いつか、カタクリの名所に

ないしょの場所で、春を見つけました

 画題:『カタクリ咲く雑木林』(ユリ科、植栽)
 埼玉県比企郡小川町某所 2007年3月31日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:SMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACRO
 アドビ「Photoshop Lightroom 1.0」でRAW現像

 画題:『スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral) 1、2』
 埼玉県比企郡小川町某所 2007年3月31日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens(L):SMC PENTAX-FA 100mmF2.8MACRO
 Lens(R):SMC PENTAX-DA 12-24mmF4ED AL[IF]
 アドビ「Photoshop Lightroom 1.0」でRAW現像

 画題:『自生の春蘭(シュンラン)』(ラン科)
 埼玉県比企郡小川町某所 2007年3月31日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:SMC PENTAX-DA 12-24mmF4ED AL[IF]
 アドビ「Photoshop Lightroom 1.0」でRAW現像

小川町の下小川から下里にかけて、仙元山北側山麓はカタクリの名所としてすっかりお馴染みになりました。もう満開のピークは過ぎたようですが、先週は少し寒さがもどったおかげで、暖冬だった割には4月に入ってもまだ見頃が続いています。
下小川の「カタクリとオオムラサキの林」は、地域住民の皆さんが林床の下草刈りを地道に続けられるなどして、絶滅寸前だったカタクリやオオムラサキ(夏に羽化するタテハチョウ科の蝶)が生息できる環境を回復させてきた所です。

実は、上の写真は第2の「カタクリとオオムラサキの林」を目指し、下小川三区コミュニティ倶楽部の方々からご厚意とご指導を受け、株分けしていただいたカタクリの増殖に地域で取り組んでいる場所で撮影したものです。
どこなのかは、当分ないしょです。
1年前に何株か植栽し、私も下草刈りや落ち葉かきのお手伝いをしています。2度目の春も花が咲けば見込みあり、ということなので、どうやらこのままうまく定着してくれそうです。
そうそう、ここではコナラなどの雑木林の育成もしていて、去年の夏には樹液を求めて集まってきたカブトムシやクワガタ、それにオオムラサキの姿も目撃されたそうです。
周辺では、写真のシュンランのように貴重な植物の自生する様子も観察できます。こうした環境を、大切に維持していきたいと思っています。

家の前の公園では、ソメイヨシノの花がだいぶ開いてきました。近くの山々も、自生のヤマザクラで少しずつ淡いピンクに萌え始めています。

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2007年02月06日

柳沢発言に見る「産む機械、装置」とはどのようなものか?

2月4日付記事の続きです。次の各記事へトラックバックします。

 「J-CAST ニュース」:2007年2月5日付記事
 →橋下徹弁護士 「柳沢擁護」に熱弁

 「livedoor ニュース」:2007年2月5日付記事
 →橋下徹弁護士 「柳沢擁護」に熱弁

そもそも、「産む機械、装置」とはどのようなものか?

1月27日に松江市で開かれた自民党県議の後援会の集会で柳沢厚生労働相が発言した内容について、非難の声が高まっています。

 「朝日新聞」:2007年1月28日付記事(抜粋)
 →「女性は子ども産む機械」柳沢厚労相、少子化巡り発言

柳沢厚労相は年金や福祉、医療の展望について約30分間講演。その中で少子化問題についてふれた際、「機械と言って申し訳ないけど」「機械と言ってごめんなさいね」などの言葉を入れながら、「15~50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと述べたという。

この件について柳沢厚労相は、次のように釈明しています。

 「朝日新聞」:2007年1月30日付記事(抜粋)
 →「支持率下がったら本当に残念」柳沢厚労相が釈明

柳沢厚労相は30日の閣議後の記者会見で、自らの発言が「非常に不適切だった」と改めて陳謝し、内閣支持率が下がる可能性については「もしそういうことがあれば、本当に残念ですし、大変申し訳ない」と話した。「人口推計を説明するためにそういう表現をしてしまった。一般的にそういう考え方をもっているわけでは全くない」と述べ、国会での議論を通じ釈明する考えを示した。

「人口推計を説明するために」「産む機械、装置」という表現をしたそうですが、少子化問題を考える上で果たして分かりやすい説明に結びつくのでしょうか?

仮に受精卵を出産の段階まで育てる機械が開発されれば、例えば絶滅が心配される動物の繁殖などに応用することはできそうです。しかしその後、どう野生へ返すかについては、自然環境や生態系のバランスとの関連について慎重な調査や議論が必要だろうと思います。さらにそれを人の不妊治療へ適切に用いることは可能かとなると、倫理上、社会上、様々な観点から極めて難しい問題をかかえることになりそうです。
「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらう」という柳沢発言は、そのまま受け止めれば機械の改良、つまり製造費や維持費の削減、自動化、小型軽量化等を図っていけば少子化問題も解決する、という説明になります。ところが、私たちも産まれてくる子供たちも機械ではないからこそ、少子化問題の解決がなかなか思うように行かず、多くの悩みを抱えているのです。そもそも、性格上実用化が極めて難しい機械に例えること自体、あまりに軽率だと言わざるを得ません。説明を分かりやすくするどころか、かえって問題の焦点が見えにくくなってしまったのではないでしょうか。

「一人頭で頑張ってもらう」、というのは立派な正論だと思います。もっとも、ここで言う「一人頭」には本人が自ら望んで加わるのが自然な営みです。実際、私も身近な人たちから、独身で子供もいないことを心配していただくことがあります。“身近な人たち”の心配だからこそ、深く身に染みるものです。
今回の講演は、「年金や福祉、医療の展望」がテーマだったそうです。私見ですが、柳沢氏には“厚労相の立場で”自らの方策を啓蒙し、問題の焦点を分かりやすく説明する役割が期待されていたはずではないでしょうか。
その能力と人選の責任が今、厳しく問われているのだと思います。

よみがえる「蛍の里」(埼玉県比企郡小川町)

私の自宅のすぐ側、小川町中爪内洞沢(うちぼらざわ)の谷津は、ようやく「蛍の里」として知られるようになりました。去年の夏は過去最大規模のゲンジボタルの群舞が見られ、遠く県外からもたくさん見学の人たちが訪れ賑わいました(2006年7月8日付記事参照)。
1950年代までこの谷津の小川や田んぼでは、夏の夜になると「提灯いらず」と言われたほど多くの蛍が見られたそうです。それが農薬の影響で次第に姿を消し、ついには減反政策もあって田んぼは荒地に変わってしまったのです。
今はこの谷津にお住まいを移されている地元ご出身の清水浩史さんは、30年も前から荒地の整備に取り組んでこられました。その甲斐あって元の美しい環境はもどりましたが、多くの野生動植物が復活したにもかかわらず、なかなか蛍たちは帰ってきてくれませんでした。そこで6年前、30匹だけほかの場所から蛍の幼虫を小川へ放したところ、彼らが仲間を呼んできてくれたのでしょうか、年々その数は増えていったそうです。
幻想的な蛍の光は、雄と雌とが呼び合う求愛行動だそうです。清水さんは仲間の遠ノ平山遊会の皆さんとともに、小川の草陰に産み落とされた蛍たちの卵をやさしく見守り、幼虫が水から上がって土の中で蛹(さなぎ)になる初夏には、踏み荒らされないよう訪れる人にも注意を呼びかけるなど地道な保全活動を続けられています。

△春爛漫の内洞沢(2005年4月中旬撮影)
  すぐ側を走る東武東上線の車窓からも、蛍の生息地は良く見えます。


(↑画像をクリックすると大きなサイズでご覧になれます。)

△内洞沢に舞うゲンジボタルの光跡(2005年6月24日、21時15分頃撮影)

清水さんたちは、単に蛍の観光名所を作りたいのではありません。蛍も人の暮らしも含め、たくさんの動植物で構成された豊かな生態系を取りもどそうとされているのです。そのため、命の源である小川の水源地を常に監視し、保水力のある山林を産廃処理施設開発から守るため自費で買い取って手入れをするなど、並々ならぬ努力をされています。
蛍の幼虫の餌はカワニナなどの淡水産貝類ですが、その数が少なくても多過ぎても生態系全体のバランスが崩れるので、人工的な飼育は極力避け、環境整備を中心に活動計画を立てられているのだそうです。

清水さんにお会いするといつも、蛍にまつわるいろいろなお話を聞かせていただくのですが、彼らを産卵装置に例えるようなお話はうかがったことがありません。分かるのは、水源地や豊かな生態系のバランスを守ることの大切さです。

自然で飯が食えるか!?

「自然で飯が食えるか!?」というような台詞が、1960年代の日本でしばしば聞かれたそうです。今でもそんなことを言う人はおられるかもしれません。
人の暮らしを含めた自然の循環も、また経済の循環も、どうすれば円滑にできるかは根本的にあまり違わないように思えます。
私たちの暮らしの源になる食料も資源もエネルギーも、結局のところ自然界からしか得ることはできないのですから。自然が飯そのものなのです。

2月4日付記事へもどる。

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2006年12月20日

ホンダが小川町ひばりが丘に新エンジン工場建設 2009年稼動予定

*取り急ぎお知らせいたします。
 11月13日付「ホンダ関連の工場候補地から滝ノ沢町有林は外れる見通し」
 もあわせてお読みください。

 本田技研工業(株):2006年12月19日付「Honda広報発表」
  2006年末記者会見 福井社長スピーチ骨子
  2006年年末社長記者会見映像

 「NIKKEI NET:クルマ」:2006年12月19日付記事
  ホンダ社長「2007年国内販売、新型車投入などでプラスに」

 「朝日新聞」:2006年12月21日付記事
  ホンダ 小川にエンジン工場

 「埼玉新聞」:2006年12月20日付記事
  ホンダ 小川町にも新工場 エンジン生産 「寄居」から分離
  ↑記事は12月26日(火)までネット公開されます。

 「毎日新聞」:2006年12月20日付記事
  ホンダ:小川町に新工場、09年稼働 低燃費車エンジン製造

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2006年11月13日

ホンダ関連の工場候補地から滝ノ沢町有林は外れる見通し

11月10日に小川町議会全員協議会で町執行部が説明

5月25日付記事「ホンダ関連の工場用地になりうる小川町角山の滝ノ沢町有林」の中で私は、

滝ノ沢町有林では現在、NPOふうどや私も参加させていただいている里山クラブ“you-you”などの団体が、里山環境を活かした野外体験活動や自然観察等に活用し、同時に下草刈りや遊歩道整備などの保全活動も年数回実施しています。
こうした活動は町の『小川町環境基本計画』に基づくものですが、『小川町第4次総合振興計画』とは担当課が異なり、今後住民や関係者も交え、両計画の間で何らかの調整が図られることになるかもしれません。

と書きました。今年3月に策定された『小川町第4次総合振興計画』(PDF)の中で、滝ノ沢町有林を含む一帯の地域も工業・流通系活用地に指定されているからです。
6月と9月に開かれた小川町議会定例会の一般質問では、ホンダ関連企業の工場誘致にあたり、より条件の良い土地の確保とそれに伴う本振興計画等の見直しの必要性について複数の議員が指摘しました。
町でも、ホンダから用地は分散せずにまとめてほしいとの意向を受け、町有地だけでは不十分との見方から候補地の検討を進めていたようです。
このたび、11月10日に開かれた小川町議会全員協議会で、工場誘致の具体的な候補地について町執行部から議会への説明があったそうです。内容については管理人判断により現時点では控えさせていただこうと思いますが、第4次総合振興計画では住宅地や保全森林とされている区域の一部で、滝ノ沢町有林からは少しだけ離れた場所になります。

この情報は里山クラブ“you-you”会長の佐藤章さん、小川町議会議員の森田みどりさんから教えていただいたほか、同じ町議員の柳田たえこさんのブログもあわせて参考にさせていただきました。
柳田さんのブログの11月11日付記事から、一部を転載させていただきます。

10日に帰着後、午後6時から全員協議会。
3月に議決した第4次総合振興計画基本構想と第3次国土利用計画の一部変更について執行部から説明を受けました。本田関連企業の誘致を積極的に受け入れるため4次総の計画では住宅地、保全森林となっていた一部区域を工業・流通系活用地と変更するものです。
今後のスケジュール(予定)としては、11月、一部変更方針の決定、一部変更案の作成、審議会の開催(4次総の審議会委員が再登用)地区説明会、パブリックコメント(ホームページ)を経て12月議会に議案として上程されます。

(このことについての柳田さんのコメント)
区域を変更することは慎重に考えなければならないと思います。当初の期待したもくろみとは違う結果にならないか、長期的に見てどうなのか。町の将来をしっかり見据えて考えたいと思います。

 「おげんきですか 柳田たえこです」
  2006年11月11日付記事 土地利用の変更について より

住民グループがホンダへ宛てた『環境影響評価計画に対する意見書』

小川町里山クラブ“you-you”は、この春ホンダが小川町との境に位置する寄居町富田地区への新工場進出を公表したことから、滝ノ沢町有林を含めた小川町での住民による里山保全活動への理解と配慮を求めるため、同社に宛てて次のような『環境影響評価計画に対する意見書』を提出しています(転載承諾済)。

『環境影響評価計画に対する意見書』(抄)

 小川町里山クラブ “you-you”
  会長 佐藤 章

 環境からみえる小川町の現状

 1980年代後半、小川町は経済優先・地域環境置き去りの行政が先行し、プリムローズCC破綻に象徴される乱開発を招きました。その負の遺産は21世紀の小川町の町づくりに大きな障害となっております。
 自然豊かな里山は利権がらみの業者に買収され、バブル崩壊後はゴミが放置され、業者は倒産し、里山は不法な産廃業者の暗躍する場となってしまいました。こうした現状を憂慮し、里山の保全整備に汗を流す町民グループが、里山文化の再生と継承・地域コミュニティの創出の夢に向かって活動しています。

 21世紀は環境創生時代

 21世紀は環境創造時代です。今までのような守りの環境評価ではなく、育成する・創出する環境評価が求められています。それは企業・住民・行政が一体となって始めて可能となります。
 工場建設のための造成は必要最小限度にし、周囲の環境に調和し里山の自然の生態系を深め、高める「ホンダ」の企業戦略が求められています。これは貴社の製品が環境に優しく、工場建設が地域の人から愛される戦略にもつながります。

 町は里山づくりのモデル地区と指定
 角山滝ノ沢町有林(7.2ha)

 今回の環境影響評価書の寄居工場の近くに位置する、小川町角山滝ノ沢町有林(7.2ha)は、小川町の環境基本計画で町が「里山づくりのモデル地区」と指定し、町民がボランティアで調査整備活動を行い5年目に入っている里山です。
 町有林の整備計画は2001年からの3年間の調査活動を経て2005年に策定し、のべ1000人以上の町民が関わり、憩いの森・循環の森・体験の森とゾーン区分し、里山文化の再生と継承、地域のコミュニティの創出、グリーンツーリズムの拠点、子供たちの環境教育の場になっております。
 昨今の「ホンダ工場」の流れの中で、行政の一部には町有林に「ホンダ」の関連企業の誘致の考えもあるとのことですが、貴社においては、人の心を育て、里山文化を再生する活動に対し特段の配慮を要望いたします。

 地域に寄与する工場建設を

 地球温暖化・排気ガス・水質汚染・金属類の粉末の飛散・騒音・交通渋滞等に十分対処し、里山の生態系の保全と育成、資源循環型社会を目指して、人づくり・物づくり・地域づくりに寄与する大企業「ホンダ」の名にふさわしい工場になることを期待し意見書とします。

 「雑木林」6号(2006年11月12日 小川町里山クラブ “you-you”発行)より

ホンダも物づくりに取り組む企業として、自然環境や生態系の観測、評価方法については高度な技術とデータの蓄積を持っていることと思います。そのようなノウハウがこの地域へ活かされることを、大いに期待したいと思います。

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2006年09月25日

オリンパスが木製デジカメの試作品を「フォトキナ2006」へ参考出展

ヒノキの美しさを生かした外装
強度はエンジニアプラスチック以上

 「BCNランキング」:2006年9月26日付記事
  オリンパス、木材の三次元圧縮成形加工技術を開発、
  天然の木目を外装に

オリンパスは9月25日、面精度の高い金型加工技術による木材の三次元圧縮成形加工技術を開発発表しました。
同社はこの新技術で、ヒノキ外装のデジタルカメラを試作。9月26日(現地時間)からドイツで開催される写真・映像関連の見本市「フォトキナ 2006」へ参考出展するそうです。

オリンパスは、人がモノに対して情緒的価値を持てるモノづくりとは何かを考えてきました。
その一つの回答が、今回開発した自然素材である「木」を使った三次元圧縮成形加工技術であり、この技術により本来「木」が持っている天然の色・つや・木目の美しさの表現、電子機器の外装・筐体に使うことができる薄さと硬さを両立しました。

 オリンパス(株):2006年9月25日付ニュースより抜粋
  オリンパス、木材の三次元圧縮成形加工技術を開発

↓木製デジカメ試作品の画像は、次のページが豊富です。

 「デジカメWatch」:2006年9月25日付記事
  オリンパス、木材をカメラなどの筐体に用いる技術を開発
  ~木製筐体のデジカメをPhotokinaに参考出品

 「ITmedia +D」:2006年9月27日付記事
  プラスチックより堅い木製デジカメ

日本は木製カメラの主要生産国

カメラはもともと、木で作られるのが普通でした。
世界で初めて市販された写真機「ダゲレオタイプカメラ」(技術は1839年のフランス学士院科学アカデミーで発表)も木製でしたし、今日の4×5インチ判(通称シノゴ)以上の大きなシートフィルムで撮影するカメラも、携帯向きのものではまだまだ木製品を見ることができます。
そのような携帯向きの折りたたみ式木製大型カメラはフィールドカメラや組立暗箱と呼ばれ、イギリスで発展した後世界中で生産されました。今はもう、実用品として常時生産しているメーカーは極めて少なくなりましたが、日本は古くから指物の技術が培われてきたこともあり、東京都内を中心に数軒のメーカーや販売会社が残っていて、世界有数の木製カメラ生産国として業界では知られています。
これも不思議な縁ですが、世界的に人気のあるメーカーは、ウィスタ(板橋区常盤台)、エボニー(板橋区大山)、タチハラ写真機製作所(北区豊島)など、なぜか東武東上線の沿線周辺に集まっています。
私もエボニーやタチハラの木製カメラを愛用していますが、タチハラの4×5判には大学の卒業制作でもお世話になりました。標準レンズ1本と数枚のフィルムホルダーだけを持ち、新雪の武蔵嵐山渓谷や早春の越生梅林、彼岸花咲き乱れる東松山の都幾川堤を撮り歩いたのも、今は懐かしい思い出です。

限られていたカメラ向きの木材

タチハラでは国産素材にこだわり、北海道の日高山脈で育った樹齢300年以上の朱利桜(ヤマザクラの一種)を十分枯らして加工していますが、近年は資源が枯渇してきこともあり、他社では輸入木材の方が主流になりつつあります。ウィスタでは奈良県吉野産の桜材や輸入の紫壇、黒檀材の中から素材を選べますが、エボニーでは強度の利点からも輸入の黒檀、マホガニー材の使用に徹しています。
工芸品としての趣きも魅力ですが、カメラが精度と耐久性とを求める精密光学機器である以上、使用できる木材も自ずと限られてしまうのは止むを得ません。趣味でカメラを手作りするなら自由に素材選びを楽しむこともできますが、商品として買ってもらおうとなると話しは別です。

地場産業との結び付きに期待

お隣のときがわ町は「木のむら」を宣言するスギやヒノキの名産地で、私の住む小川町とともに、昔も今も日本有数の建材や建具、家具の産地です。ところが地元ブランドで流通する機会が乏しく、近年は安い輸入木材におされてしまい、関東でさえ知名度はそう高くありません。需要低迷から林業も斜陽化傾向で、手入れの行き届かなくなった森林の荒廃も心配されています。新しい木材の需要開拓は、これまでにも度々町おこし、村おこしの一環として検討されてきたようですが、まだ大きな成果は得られていないのが実状です。

今回オリンパスが発表した成形加工技術は、これまでカメラにはほとんど不向きだったヒノキ材も、装飾性を兼ね備えた適材に変えられるところが快挙だと思いました。デジタルカメラのような製品なら部材はそれほど大きくなくて済むので、例えば間伐材の新しい需要の掘り起こしに結び付くかもしれません。また、かつては薪や炭などの燃料や堆肥材料を得るため利用されていた雑木林も、豊かな植生を回復させ様々な装飾用木材の生産林として活用できれば、放置による荒廃も防止でき素晴らしいと思います。併せて、プラスチック使用と比べ環境への負荷がどう変わるかも、注目したいところです。

私は表現のための道具として、楽器や画材、筆記具、舞踏などの小道具には今も伝統的に木材が豊富に活かされているのに、なぜかカメラは急速にプラスチック化されてゆくことに寂しさを感じていました。だから、ヒノキのように私たち日本人に愛されてきた身近な木材がカメラにも利用できる時代が来たことに、新鮮な感動を覚えました。
願わくばそう遠くない将来、地域の学校アルバム撮影の仕事でも、子供たちのために地元産の木材が使われたカメラを持って訪問できるようになれば良いな、と思っています。

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2006年07月08日

内洞沢のホタルが「朝日新聞」で紹介されました

取り急ぎお知らせいたします。
ゲンジボタルは最盛期を過ぎましたが、これからはヘイケボタルを7月いっぱい楽しむことができますよ。

 「朝日新聞」 : 西埼玉版 2006年7月8日付記事
  ホタル復活 小川町

小川町にホタルの郷ができた。国道に近い湿地帯で、あたりが闇に包まれると、無数の光が交錯する。耕作放棄で荒れ果てた里山を町民らがよみがえらせた。最盛期は過ぎたものの、今も夕暮れになると、1匹さらに1匹、ほのかな光が闇に浮かぶ。(加賀谷直人)

「先週は顔にぶつかるほど飛んだよ」
沢筋を歩く清水浩史さん(65)がいった。

清水さんが生まれ育った小川町中爪にある内洞沢は国道254号の上部に広がる。昭和20年代後半まで、沢は、ホタルの光で「提灯(ちょう・ちん)いらず」といわれた。

(上記、2006年7月8日付「朝日新聞」記事より抜粋)

*次の当サイト記事も、あわせてご覧ください。

 ブログ「小川町ライフ '04-'06」 : 2005年5月1日付記事
  グラウンドワーク“里の杜”づくり実行委員会が創立5周年記念イベントと、
  蛍の生息地、内洞沢(うちぼらざわ)の見学会を開催しました

 ブログ「小川町ライフ '04-'06」 : 2005年6月25日付記事
  6月24日、内洞沢のゲンジホタルが間もなく最盛期です

 ブログ「小川町ライフ '04-'06」 : 2005年6月27日付記事
  6月26日、内洞沢のゲンジホタルが最盛期を迎えました

 「比企の里山 写真ライブラリ」 : 2004年12月バックナンバー

 「比企の里山 写真ライブラリ」 : 2005年1月バックナンバー

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2006年05月25日

ホンダ関連の工場用地になりうる小川町角山の滝ノ沢町有林

5月22日付記事からの続きです。
11月13日付「ホンダ関連の工場候補地から滝ノ沢町有林は外れる見通し」
 もあわせてお読みください。

『小川町第4次総合振興計画』で工業・流通系活用地に指定

お隣の寄居町へホンダ新工場が進出することを受け、県も系列部品メーカーの集積に期待し、周辺の用地探しに動き出すそうです。
新工場予定地に近い小川町域もその対象になると見られ、5月21日の小川町長選で「隣の寄居町にホンダの工場が進出することもあり、企業誘致を積極的に進めていきたい」(5月20日付「埼玉新聞」記事より)と主張する現職の笠原喜平候補が再選を果たしました。

小川町は今年3月、『小川町第4次総合振興計画』(PDFファイル)を策定し、工業・流通系活用地は、その第2編、第3章、第3節に収録の「土地利用構想図」(本文P.11)に示しています。そのうち新工場予定地から極めて近いのが、第3次計画時も工業・流通系活用地に指定されていた、角山地区に広がる滝ノ沢町有林を含む一帯の地域です。
公有地ですから県の用地探しでは最初から候補に挙がると予想され、用地代が町の収入になれば、客観的にはたいへん有望な用地と見なされると考えられます。これから分譲されるひばりが丘住宅団地や隣接するみどりが丘団地からも近く、通勤も至便なことから、職を求めて小川を離れた人たちが戻ってくる可能性もあるでしょう。

『小川町環境基本計画』に基づく滝ノ沢町有林での環境活用と保全活動

この町有林いついて私は、昨年11月に町が『小川町第4次総合振興計画(基本構想・基本計画)案』に関する意見等の公募をした際、文京系活用地として見直すことはできないか、メールで要望を提出しました(2005年11月14日付記事参照)。「昨今の社会・経済情勢から考えるともはや現実味がありません」というのが大きな理由の一つでしたが、これまで記した動向から、状況は大きく変わってきたと受け止めざるを得ません。
滝ノ沢町有林では現在、NPOふうどや私も参加させていただいている里山クラブ“you-you”などの団体が、里山環境を活かした野外体験活動や自然観察等に活用し、同時に下草刈りや遊歩道整備などの保全活動も年数回実施しています。
こうした活動は町の『小川町環境基本計画』に基づくものですが、『小川町第4次総合振興計画』とは担当課が異なり、今後住民や関係者も交え、両計画の間で何らかの調整が図られることになるかもしれません。
どちらの担当課にも、自然環境保全や希少な野生動植物の保護などについて専門的な知識や経験を培われた職員さんがおられ、私も町内の団体活動等を通じ、様々なご指導をいただいています。
私としては、当然のことですが調整が行われる際には公正に取り進められることを期待し、必要に応じ滝ノ沢町有林界隈で撮影した野生動植物や団体の活動記録等の写真も資料として提供に応じられるよう、準備を整えておかなければならないと考えているところです。


<追記>

都市近郊では自然環境や生態系、歴史的景観などを開発から守るため、自治体が地権者から水源地や雑木林、古い街並などを買い取る動きがしばしば見られます。
また、地権者の方から自治体へ、そのような目的で土地を寄贈する事例も少なからずあるようです。

 「埼玉新聞」 :2006年5月24日付記事
  荒幡の原風景を末永く 所沢「ドレミの丘公園」完成 土地所有者、寄付
 (↑公開期間は7日間です。)

 「東京新聞」 :2006年5月25日付記事
  荒幡小の児童が合唱で開園祝う 所沢・ドレミの丘公園
 (↑公開期間は約1ケ月です。)

小川町にはそのような土地が売る(貸す)ほどあるのですから、事情を説明しなければ(あるいはしたとしても)、都市部やその周辺の方々からは「恵まれているなぁ」と思われるかもしれませんね。

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