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2007年01月31日

ペンタックスに期待したい「Photoshop Lightroom」モジュール開発

サードパーティーが新たなモジュールを開発できるキットも用意

「デジカメWatch」が報じる発表会の模様と、関係者へのインタビューです。

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  アドビ、「Photoshop Lightroom」の説明会でデモを実施
  ~スポット修正機能など製品版の新機能を説明

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  【インタビュー】いよいよ本領を発揮しはじめた「Lightroom」
  ~スタック、ゴミ除去、複数画像の同時拡大が可能に

「デジカメWatch」の紹介記事。こちらの方が簡潔にまとめられています。

 Impress「デジカメWatch」:2007年1月30日付記事
  アドビ、写真家向けソフト「Photoshop Lightroom」を3月下旬発売
  ~7月5日まではキャンペーン価格の23,100円で販売

上記の記事によると「Photoshop Lightroom」は、

新たなモジュールを追加して機能を拡張することができ、サードパーティーが新たなモジュールを開発することも可能。このためのLightroomソフトウェア開発キットの開発が行なわれている。

とのことです。

ペンタックスに期待したい、機能拡張モジュール開発

このようなサードパーティー向けの開発キットにより、RAW調整や画像修正、WEB編集、フォトスタジオの顧客管理など、用途に応じた様々な機能の追加が期待できそうです。
RAWモード撮影時にカメラ側で設定した各種調整パラメーターを「Photoshop Lightroom」のパラメーターへ擬似的に反映させるプラグインモジュールのようなものは、開発できないものでしょうか。特に、K10DでDNG形式の撮影に対応しているペンタックスには、ぜひ期待したいと思います。
「Photoshop Lightroom」は、プロ用ソフトとしては安価で使いやすいソフトなので、写真関係の学校やカルチャースクールなどでも普及しそうです。K10Dが今述べたようなプラグインモジュールとセットになれば、これらの学校の推薦教材にもなり得るのではないでしょうか。

ペンタックスでは、ネット上で交わされるユーザーの意見も積極的に(かつ素早く)開発現場へ反映させているそうです。次の記事から一部を抜粋します。

 日経BP「Tech-On!」:2007年1月29日付記事
  技術者はネットに溺れたほうが良い?

ペンタックスのデジタル1眼レフ・カメラの製品企画担当者を訪ねたときの話です。
〔中略〕業務の一環とはいえ,全部見るのは大変です。「さすがに全部は見られませんよ」と担当者氏も笑っていましたが。
それだけの手間をかけるのはそこが宝の山だからです。「生に近いユーザーの声が聞ける。お客様相談センターから来る情報とは質も量もスピードも違う」のだそうです。その利点を生かし,ネットで拾った自社製品に関する細かい不満や要望に,ファームウエアのアップデートで素早く対応したり,次の製品の企画や改良につなげたりする。「渋る技術者に投稿のURLをメールで送りつける」ことで,改良作業が以前よりずっとスムーズに進むようになったと言います。「最近は技術者も自分でチェックするようになった。こちらより情報が早いことも多い」。
業務中にネットの掲示板を見ている暇があるのかな,と心配になりますが,開発者のモチベーション向上にもつながっているようです。

実に頼もしいですね。この秋予定されているHOYAとの経営統合後も、こうした方針はさらに発展させてほしいものだと思います(早速投稿いたしました!)。
余談ですが、1月22日に行われたHOYAの決算説明会の資料です。

 HOYA:2007年1月22日付IRニュース/HOYAクオータリー
  平成19年3月期 第3四半期連結決算のお知らせ
  (↑「同意する」をクリックし、HOYAクオータリーの「詳しい情報」へ。)

上記ページからダウンロードできる次の資料によると、出席者との間でペンタックスとの合併に関する質疑応答がいくつか交わされたようです。

 HOYA:2007年1月22日付IRニュース/HOYAクオータリー
  平成19年3月期 第3四半期 決算説明会の概要 (PDFファイル)

(ペンタックスさんは)メディカルも光学も真面目に広範囲にやっている会社というイメージで、そこに入っているものは面白いなと思うのが正直なところです。

との、鈴木洋HOYA代表執行役CEOのコメントに、期待感も高まります。
ペンタックスの真面目過ぎるほどの真面目さと他社には見られない面白さは、同業者だからこそより深く共感できることなのでしょう。

「レンズ沼」から「レンズ湾」へ、いざ~(あ、海鞘・・・笑)。

〔2月4日追記〕

2月2日にはペンタックスの決算説明会も開かれました。デジタル一眼レフ関連事業が好調とのことで、ユーザーとしても嬉しい限りです。

 ペンタックス(株):2007年2月2日付決算短信
  決算情報[平成19年(2007年)3月期]
  第3四半期財務・業績の概況(連結)(PDFファイル)

 日経BP「Tech-On!」:2007年2月2日付記事
  【決算】ペンタックス,医用機器や光部品の不振を一眼レフでカバー

 Impress「デジカメWatch」:2007年2月2日付記事
  ペンタックス、2006年度第3四半期はデジタル一眼好調で増収増益

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2007年01月30日

アドビ「Photoshop Lightroom」日本語版は3月下旬発売予定

期待通りの手頃な値段に感激!!

2007年7月5日までは発売記念キャンペーン価格で販売。
アドビストア(オンライン)価格32,000円(本体価格、税込み33,600円)のところを、アドビストア価格22,000円(本体価格、税込み23,100円)で。

どうもありがとうございます! アドビさん <(_ _)>

 アドビ システムズ:製品/「Adobe Photoshop Lightroom」

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2007年01月29日

写真館チェーン店がもったいない!

1月5日付記事でも触れたファミリー写真館について考えてみました。

ファミリー写真館チェーン店の可能性と限界

スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤスタジオパレットピノキオ(首都圏中心)といった子供向けの“ファミリー写真館チェーン店”が相変わらずの人気です。子供だけでなく、最近は成人式の記念写真キャンペーンを展開する店舗も増え、そのサービス内容は単なる「子供写真館」というジャンルには納まらなくなってきたようです。

こうなると、既存の一般的な写真館にはある意味脅威ともなりうるのですが、出店は今のところ都市部やその近郊など、ある程度集客力のある地域に限られているようです。残念なことですが、既存店も近年は後継者不足から廃業する店が目立ち、卒業・入学シーズンや七五三、成人式など混み合うシーズンには近隣の写真館の負担が大きくなる傾向にあります。利用者の視点で見ると、地域によってはチェーン店の出店が混雑緩和の新しい受け皿になり、うまくバランスが取れている例もあります。お客さんにとって選択肢が増えるということは、本来歓迎されるべきだと思います。
問題はオフシーズンです。混雑時は結果的に協力し合えるチェーン店と既存店との関係ですが、それ以外の時期にはどう共存していけば良いのでしょう? この課題については、チェーン店の方が先に手を打ち始めています。例えば、子供に喜ばれるアニメキャラクターやおもちゃなどを用いた演出写真の企画です。例えば、次のようなものがあります。

 こども写真城スタジオアリスディズニーの世界
 こども写真館スタジオマリオワンワン&うーたんと写真をとろう!
 こども写真館トム★ソーヤースヌーピーフォト
 ファミリー写真館ピノキオレゴといっしょ(ブロック玩具)

キャラクターなどの商用利用は映画会社など著作権者との契約が必要になり、小規模経営の既存店では採算上メニューに取り入れにくいサービスだと考えられます。チェーン店が既存店との無用なシェア競争を避け、差別化を図るうえでも、このような新企画をさらに推し進めることが得策だと思われます。

ところが、そこには大きな壁も存在します。1つは施設、1つは人材です。

お客さんは一度サービスに満足すると、さらにその上のサービスを求めるのが常です。眼が肥える、と言えばよいのでしょうか。要望はどんどんエスカレートしていくものです。
キャラクターの衣装を着て撮ってもらう楽しさを覚えた子供さんは、成長するにつれさらに上の楽しさを求めるようになると思います。いつまでも子供向けのメニューでは飽きてしまい、お店から離れていってしまうでしょう。せっかくつかんだ顧客なのに、とてももったいないことだと思います。

コスプレ写真館はいかが?

例えば今、10代や20代の若者たちの間で、アニメや映画のキャラクターに扮するコスチュームプレイが人気です。衣装の多くは自慢の手作りですが、レンタル衣装があれば着てみたいと思っている潜在的な層はもっとたくさんいるはずです。実際、マニア向けのレンタル店も少なからずあるようですが、残念ながら写真撮影はお客さん個人で、という店がほとんどのようです。やはりお店にとって、著作権契約の条件がネックになるからでしょう。
憶測ですが、このような需要を想定した企画は、すでに写真館チェーン店の運営会社内でも再三検討されているのではないかと思われます。しかし人気キャラクターにも流行があり、短期間で多くのお客さんを呼んでペイしようにも、肝心のスタジオ床面積や撮影スタッフの数が逆に不足する心配があるのです。また、照明やカメラアングルなど、設備や撮影技術にもマニアを満足させる高いレベルが求められます。それらを流行が去る前に、キャンペーン期間中にだけ賄うことは、チェーン店一社だけで解決するにも限界があるように思います。大企業とはいえ、リターンが確実でない投資はできないでしょう。

そこで私は、近隣の既存の写真館へのアウトソーシングを提案します。物理的な問題を解決できるだけではありません。照明設備が移動調節式で凝ったライティングのできるスタジオが多く、映画のスチル写真のようなきめ細かい演出や屋外の出張撮影にも応じられるメリットもあります。著作権の問題をクリアする必要がありますが、そこはチェーン店の運営会社が映画会社や放送局などと交渉し、映画や番組の宣伝も兼ねたタイアップ企画として実現させれば良いのです。そうすれば、チェーン店がまだ出店していないような田舎町の中高生もターゲットに、全国的なキャンペーンを展開することだってできるはずだと思います。
 
すべてはお客さんのために

先に挙げたような新サービス創出へ写真館業界全体で取り組むようになれば、誰よりも喜ばれるのはお客さんです。そして次に期待したいのは、お客さんとの地域的な(プライベートな)つながりのより深い既存店が、顧客の反応に基づくさらに新しいサービスを企画し、チェーン店の運営会社へ持ち込めるようになることです。営業暦の長い写真館なら、そこから独立したカメラマンや、店舗へ機材の注文に来たり写真の現像を出しに通うフリーカメラマンとのネットワークも豊富です。そうした人材面での資産も全国ネットのチェーン店とうまくリンクできれば、お客さんの業界全体への期待感が大きくアップし、プロに写真を撮ってもらうことがもっともっと楽しくなるのではないでしょうか。

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2007年01月27日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? -子供のデジカメに反対-

1月23日付記事1月24日付記事に関連する“重要な補足”です。

デジタルカメラで撮るものすべては“秘密の写真”が大前提
-お子さんが写した撮影済フィルムの現像は信頼できるお店へ-

大変な事を書き漏らしてしまいました。

私は1月23日付記事「現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その1)」でこう述べました。

これは私見ですが、大人の指導のもとであれば、写真は小学校の高学年になればもう始めても良いのではないでしょうか。機材もフィルムカメラであれば、パソコンやインターネットは必ずしも学習しなくて済みます。

しかし、それでは説明が不十分でした。
私はあえてこう補足したいのです。

 ≪お子さんにデジタルカメラやカメラ付き携帯は買い与えないでください≫

と。

小学校低学年以下のお子さんなら、玩具的なデジカメを保護者の目の届く範囲内でなら、持たせてあげても良いかもしれません。いわゆる「ごっこ遊び」の範疇として。
けれどもそれを、自分で撮った写真をパソコンへ転送し、そこからメール送信やネット公開もできる年令になるまで使わせ続けることには、私ははっきりと「反対」の意思表明をしたいと思います。
それはすでに単なるカメラではなく、全世界的な通信網の個人情報端末なのだといいう認識を、保護者もお子さんも持たなければいけません。カメラ付き携帯なら、なおのことです。
自分の成長に応じてより本格的なカメラを欲しがるお子さんには、およそ中学を卒業するまでの間は、私は迷わずフィルムカメラをお勧めします。なぜなら撮影済のフィルムは、必然的に現像に出したお店で第三者の(それも地域の大人の)目を通すことになるからです。そこには見出しに掲げたような“秘密の写真”はありえません。もしパソコンでの処理やメール送信、ネット公開などの必要があるなら、現像後にプリントをスキャナーで取り込めば良いのです。費用や手間が余計にかかることは、ひとまず忘れてください。
子供は、自分が撮った写真を目上の人に見てもらい、様々なアドバイスを受けることで成長できるのです。写真の技術だけでなく、カメラを通じて社会や自分自身との向き合い方、つまり家族間や友人間、地域社会の中でのコミュニケーション能力もそこから養えます。写真が見られることを意識するというのは、同時に見られたくない、見せたくないという感情も抱くことになります。それも一つの成長だし、プライバシー権など人権の大切さについて考えるきっかけにもなると思うのです。
だからこそ、撮影済フィルムの現像をどのお店に出すかはとても重要です。値段の安さや仕上がり時間の短さだけで決めることはできません。保護者の方にはできれば、お子さんの撮った写真を自分の子が撮った写真と同じように親身になって見てくれる店員さんのいるお店を、探してあげてほしいと思います。お子さんが自宅の暗室で現像、プリントする場合も、できるだけ作業に立ち会ってあげてください。そして仕上がった写真にはちゃんと目を通してあげてください。

★ご注意★

写真の現像、プリントを受注するお店及び現像所にとっては、お客さんに依頼されたサービスを忠実に行うことが仕事であり、写真の内容までチェックするのは本来の役割ではありません。写真の著作権(版権)やそこに写された肖像権などのプライバシー権、表現の自由などは当然お客さんの側にあり、お店や現像所がそれを侵すことは法に則ってありえません。仕上がった写真の利用や管理についても、責任を負うのはお客さんです。

お子さんが児童ポルノ収集の被害に自ら巻き込まれないためにも

収集した児童ポルノをネット上で交換し合うグループの摘発が、県内でも進められています。新聞などの報道によると収集はいずれも極めて悪質な手口で、被害に遭うお子さんの中には、カメラ付き携帯で撮った自分の姿をネット送信させられるような例もあるそうです。例えば、女児に成りすました犯人が匿名で子供用の出会い系サイトへ侵入し、言葉巧みに相手を誘い、あるいは脅して被害者から自写像をだまし取るというのです。
こうした犯罪は密室犯罪と同じで、被害に遭ったお子さんも保護者へは相談しにくく犯人の手がかりもつかみにくいため、これまで摘発されているのは氷山の一角に過ぎないと思われます。あまりにショッキングな事件ですが、デジタル機器で撮られた“秘密の写真”がもたらす弊害の、ほんの一例として取り上げました。くり返しますが、それは単なるカメラではなく、個人情報端末なのです。

それでは、どうしてもお子さんにデジタルカメラやカメラ付き携帯を持たせなければならない事情がある場合は、どうすれば良いのでしょうか?
この問題については、世の中でも様々な意見が交わされているようです。お子さんの成長の仕方にも一人ひとり違いはありますから、一概に解決策を見出すのは難しいでしょう。
私はまず、使用目的や条件などをはっきり決めて、買い与えるのではなく保護者の持ち物を貸し与えるという形をとることが妥当だろうと思います。もちろん、ずっと持たせたままにするのではなく、機器や保存されたデータは保護者が責任を持って管理することが前提です。その後、本人の成長を見極めたうえで譲り渡せば良いと思うのですが、いかがでしょう。

ある写真屋さんでの思い出(中学校時代)

話の内容が重くなってしまったので、少し気分転換したいと思います。たびたびで恐縮ですが、私の思い出話です。
中学校時代、当時の住まいの最寄り駅だった東武東上線成増駅は急行も止まる駅で、駅周辺の商店街も活気があり、写真屋さんも何軒か集まっていました。その中の行きつけの一軒に、現像の仕上がった写真を取りに行ったときのこと。プリントの入った袋を差し出す店員のお兄さんから尋ねられたのです。

「きみ上手いね。写真好きなの?」

それは週末に家族で日帰り旅行をしたときの、埼玉県の長瀞と秩父の三峰山で撮ったスナップや風景写真でした。
お兄さんは私の撮った写真を1枚1枚ていねいに、構図やカメラアングル、光線やシャッターチャンスのとらえ方について褒めてくれたのです。それまで私は家族の誰からもほとんど自分の写真を褒められたことはなく、本当のところ果たして素質があるのかどうか自信を無くしかけていたのです。だから、思いがけず嬉しかったですね。
お兄さんは気さくに、私の撮り方について的確なアドバイスもしてくれました。上達のための手がかりをどこへ求めて良いか図りかねていたところへ、助け舟を出してもらえたような安堵感に、これからの希望がふくらんだものです。

しかしどうしたことか、その店でお兄さんに会えたのは一度限りでした。思うに、普段は出張撮影などで不在のときが多かったのかもしれません。きっと今の私と同じような仕事をされていたのでしょう。お店は大きなスーパーのテナントで入っていたのですが、残念なことに間もなく閉店でビルごと取り壊されることになり、通うこともできなくなってしまいました。

写真のことでいろいろ悩みがあったとき、特に年少者にとっては身近に相談相手がいるというのは心強いし、励みになるものです。そうした相談窓口もカメラのデジタル化で、近頃は小さな写真屋さんから大きな家電屋さんへとすっかり様変わりしつつあるようです。そこには商品知識だけは豊富な店員さんはいるのですが、実践的な撮影のアドバイスとなるとどうなのでしょう。目の前のお客さんが普段撮る写真を見ることなしに、理屈だけでどこまで適切な対応ができるのか、私には疑問に思えるのです。

カメラメーカーさんへのお願い(独り言)

完全な機会制御式の手動カメラというのは、良くできたものはメンテナンスしながら大切に扱えば、50年以上使うことだってできます。一眼レフとなると構造が複雑で磨耗しやすい部分も多いため、長持ちさせるのはやや大変ですが、それでも30年以上使おうと思えば何とかできるものです。
メンテナンス代を考えれば、買い換えた方がかえって安いという説も確かにあります。ですが、思い出を残すために撮る写真は、時としてそれを写したとめたカメラにも思い出を宿すことがあるのです。その写真とカメラの持ち主にとっては。

画材や筆記具、楽器、スポーツ用品などは学校の授業でも使われるため、技術・家庭科で使う道具類も含めそれらをつくる各メーカーでは教材として買ってもらう場合、どのような道具に仕立てたら良いかということは常に各部署で考えていることと思います。しかしカメラの場合、少なくとも高等教育までは、生徒が授業で使う機会はほとんどありません。クラブ活動でも、残念ながら近年写真部は減少傾向にあります。
保護者の方がお子さんへそれらの教材を初めて贈るときは、子供の成長を願い、決して贅沢はさせないもののできるだけ長持ちする使いやすい道具を選んであげたいと思うのが、親心だろうと思います。

これは私のお願い、といっても独り言に過ぎないのですが、仮にもしも、もしも小・中学校に写真の授業があるとしたら、カメラメーカーさんにもどのようなカメラが教材として贈り物に喜ばれるか、一度じっくり考えてみていただけたらと思うのです。商品企画や開発、設計に携わる方々にはそれこそ我が子に、おられない方なら親戚や友人、知人のお子さんに贈るつもりで、ぜひこんなカメラを持たせてあげたいと思うようなカメラを、つくり上げてもらえたらと願うのです。
お子さんがそんなカメラと青春をともにし、いつか大人になりもう一度使ってみたとき、ああ、あのとき両親は本当に良い物を選んでくれたんだなぁと感じてもらえれば、それもまた一つの幸せなのではないかと思えるからです。

これがベスト、と言えるスタイルのカメラはなかなかできないとは思いますが、今述べたような姿勢でカメラづくりに取り組んでくれるカメラメーカーさんがどこかにあるなら、とても嬉しいことですね。

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2007年01月24日

現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その2)

1月27日付記事も、あわせてご覧ください。

〔(その1)へもどる〕

レンタル暗室付き写真教室の事例

幸い、前回私が述べたようなものに近い暗室付きの民間の写真教室は、少しずつですが各地に開設され始めているようです。今後そうした動きがさらに広がるかどうかは、やはり関連機材や用品を提供するメーカー、販売会社などの積極的な協力が欠かせないでしょう。年少者が安心して利用できるよう、地元の写真クラブなどの経験者が保護者に代わって協力し合い、各教室の講師やインストラクターをサポートしていくことも大切だと思います。

カメラメーカーなどが主催する写真クラブはすでにありますが、会員の対象が原則的にそのメーカーの製品のユーザーに限られる場合が、残念ながらほとんどのようです。活動内容も撮影会やコンテストなど、イベント的なものが中心です。しかし、フィルムカメラや関連用品のメーカーの数が限られてきた今こそ、それらのユーザーのために各社が協業で支援する体制を整える良い機会なのではないでしょうか。

先進的な写真教室の経営が総じてどような状況にあるかは、情報がないため把握することはできません。ただ、各教室のサイトにある会費や暗室使用料などの料金表を見る限り、小・中学生や高校生向けの割引料金を設けている所はなかなか見つけることはできず、ある程度お金に余裕のある客層がつかめないと利益を得ることは難しいようです。そうした問題を根本から解決するため、各メーカーや販売会社などがスポンサーになり、年少者の教室利用を促すための助成活動はできないかと、私は漠然とですが考えるのです。こうしたことは、デジタルカメラしか販売しない家電系のメーカーや販売会社には、なかなかできない営業活動と言えるのではないでしょうか。

白黒写真のプリントが体験できるワークショップの事例

常設の写真教室となると経営面で様々な課題があることからすぐには広がりにくいと思われますが、ワークショップは前回も述べたように各地で開催されるようになってきました。多くは民間の主催によるもののようですが、中には公的機関が取り組んでいるものもあります。その中で年少者を対象にした、白黒写真のプリントが体験できるワークショップなどの事例をご紹介します。

 1.公営施設主催の事例

東京都写真美術館でのワークショップの事例です。小・中学校や高校の授業の一環として利用できるプログラムも用意されています。

 東京都写真美術館ホームページ「写美」
  ○ワークショップ・カフェトーク
  ○スクールプログラム

 2.公益法人主催の事例

(社)日本写真協会は「写真を通じて国際親善の推進と、文化の発展に寄与することを目的とし」、外務省の認可を得て設立された団体です。私も日ごろからご指導いただいている先輩フォトグラファー、大野広幸さんが、昨年開催された「ワクワク!子供の写真教室」体験学習の様子をご自身のブログでレポートされていますので、ご紹介します。開催場所は、大野さんのご出身地に近い飯能市(旧名栗村)の山林。参加しているのは何と幼稚園の生徒さんで、撮影からプリントまでのフルコースです!
(私が幼稚園生のとき体験したかった。子供たちがうらやましいです…。)

 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)写真日記」
  2006年9月10日付記事 マイナスイオン
  (社)日本写真協会の「ワクワク!子供の写真教室」体験学習

 大野広幸さんの紹介については、
 ブログ「比企の里から '04-'06」の2005年12月29日付記事もご覧ください。
 大野さんのホームページです。 「大野広幸写真の世界(夢・希望・明日)」

「フィルム文化を存続させる会」の活動と、
それに応えた富士フイルムの“8mm映画フィルム事業”継続発表

さて、ここで少し話題を変えてみましょう。次の各リンクをご覧ください。

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年7月14日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」発足にあたって

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年9月2日付記事
  富士写真フイルム株式会社からの回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年11月29日付記事
  「フィルム文化を存続させる会」覚書
   フィルム文化を存続・発展させるために

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2006年12月7日付記事
  富士フイルムへの再要望書

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  富士フイルムからの再要望書に対する回答

 「フィルム文化を存続させる会」ブログ:2007年1月11日付記事
  シングル8の継続を発表!

 富士フイルム(株):2007年1月10日付お知らせ
  シングル-8用フィルム
  「FUJICHROME R25N」「FUJICHROME RT200N」
  販売および現像サービス終了延期のお知らせ

8mm映画、楽しいですね。
私の家にも以前、父が若い頃愛用していたマミヤの8mmカメラがあって、小学6年生のとき友人たちとの日帰り旅行などで時々貸してもらったことがあります。日本ではダブル8と呼ばれた規格を採用したカメラで、16mm幅のフィルムに左右片側ずつ撮影し、現像後に縦方向に切り離して前後をつなぎ合わせるシステムになっていました。オープンリール式なので途中必要になるリールの反転が子供だった私には難しく、せっかく遠出までして良いシーンをとらえてやろうと思ったのに光線引きで台無しにしてしまったこともありました。
この規格のフィルムは既製品としてはもう製造されていませんが、16mm映画用フィルムをダブル8用のリールに巻いた加工品は海外で流通していて、日本でも通販で買うことができます。

 8ミリ専門店「レトロ通販」8ミリ用生フィルム

富士フイルムが開発したシングル-8による映画制作は、ほんの真似事でしたが、高校生のときに映画研究会の編集機材を借りて体験したことがあります。カメラは写真部(光画部)の先輩のお兄さんから、10倍ズームレンズが装備された当時のフジカシングル-8のハイエンド機を貸していただきました。それらのシステムがダブル8に比べ、素人の私にははるかに扱いやすいことが実感できました。
さらにその後、日大芸術学部に進学した私は、無類の旅好きだったことと同じ写真学科の人が部員に多いこともあり、文化部連盟に属する「旅の会“群”」に入りました。連盟では毎年春になると、新入生を勧誘するため各部が制作した8mmの宣伝映画の上映会が開かれていました。学部にはもちろん映画学科もあり、人材にも機材にも事欠くことはありません。私は撮影や編集には携わりませんでしたが、“群”の宣伝映画に俳優として出演するという、非常に稀な体験もすることができたのです。今ふり返れば新入生より迎える側の方が楽しんだイベントだったような気もして、それはいかに楽屋オチが多かったかということでもありますが、センスの光る秀作もたくさんありました。いろいろな意味で、学生同士がコミュニケーションを図る貴重な機会になっていたと思います。

8mm映画を制作し上映するための各種機材は、残念ながら中古市場を探すしかほとんど手に入れることはできなくなりました。
富士フイルムも、今から22年前の1985年にフジカシングル-8シリーズのカメラの販売を終了し、昨年4月の公式発表で、今年3月にはシングル-8用フィルムの販売を、来年9月にはその現像サービスの終了を予告していたのです。
それが今月10日、フィルム文化を存続させる会の方々の熱心な働きかけにより、期限付きでも富士フイルムが8mm映画フィルム事業の継続を表明したことで、私はフィルム写真撮影の未来にも明るい希望を持つことができました。

フィルム文化を存続させる会では、8mmフィルムを存続さなければならない理由のひとつに、それが「映像教育の教材に適している」(同会覚書より)ことを挙げています。私もこれまで述べてきたように、フィルムの教材としての利点には特に注目しており、同会の考えには大いに共感を覚えます。動画か静止画かを問わず、映像表現の学習にはフィルムで撮影する手法の方が、デジタル撮影よりも制作そのものに集中できると考えるからです。
小・中学校や高校では今、WEBサイトの制作を学習する機会も増えています。それらのコンテンツとして動画や静止画を用いる際はデジタル撮影の方が合理的には違いないのですが、本来そうしたパソコンによる情報処理や通信の学習と映画や写真による表現の学習とは、別々にバランス良く並行して実践すべきものなのです。学習目的を明確にし、生徒が興味をもって作品の制作に夢中になれる環境を整えるためにも、フィルムシステムをどう存続させるべきかは、これからも十分吟味していく必要があると思います。

富士フイルムによる女性のための
「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」

富士フイルムは今日、グループ内で写真用のカメラやレンズ、暗室用品も製造販売する大手フィルムメーカーとして世界唯一の存在になりました。
(注:同社は現在、35mm判フィルム一眼レフカメラを販売していません。)
その富士フイルムが「Photodays」という、女性対象の「フィルム一眼レフカメラはじめて教室」を2日間のスケジュールで開催しています。国内の主要都市を巡回する企画で、すでに福岡と仙台以外の会場は定員(30名前後)に達する盛況ぶりです。世代別では、20~30代くらいの人たちに人気があるようです。
今のところカラーリバーサルフィルム(スライド映写用フィルム。プリントもできます。)での撮影のみですが、将来はさらにこうした企画を、白黒写真のフィルム現像からプリントまで親子で(母子で?)体験できるよう発展させられたら、楽しいだろうと思います。既存のレンタル暗室を備えた写真教室とタイアップできれば、全国一斉のキャンペーンとして大々的に開催でき、知識や技術の普及効果も高まるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
富士フイルムの事例に限らず、フィルムカメラや関連用品のメーカー、販売会社の今後の取り組みに期待することとし、今回のまとめにしたいと思います。

なお私はこうしたテーマを、1月5日付記事の年頭所感で述べた「ファミリーフォトエージェンシー」の実現に向けた働きかけともセットで、自分のライフワークにしていけたら良いなと考えています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

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2007年01月23日

読者の皆さまへ 開設5周年を迎えて

ご愛読誠にありがとうございます

おかげさまで今日、最初のWEBサイト『比企の里だより』の開設から満5年、
『比企ライフネット』にタイトルを改めてから満2年を迎えることができました。
思えば開設以来、度重なるURL変更や編集方針の変更、サイト名の変更
など、一言で表せないほど幾多の変遷がありました。しかし、そうした中で
なお、5年前の初アップ以来、公開され続けているコンテンツがあります。
こちらです。

…けっこう、脱力系のサイトだったんですね、初めた頃は(^_^;ゞ
でも、力を抜くことで隠れていたパワーが活かされることも、
時にはあるのかも知れないなぁと思う、今日この頃です。。。

管理人よりこれまで当サイトをご訪問くださいました全ての読者の皆さまへ、
心からお礼を申し上げます。変わらぬご愛読を、誠にありがとうございます。
今後ともご指導、ご鞭撻をくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 管理人:Hiroki,Y.

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現像用暗室のある写真教室はどうですか? (その1)

1月27日付記事も、あわせてご覧ください。

パソコンVSソロバン&和文タイプライター

もう20年近く前の話になりますが、私が初めて就職した出版社では、書類の作成に和文タイプライターが大活躍していました。ワープロも当時1台だけ導入されていたのですが、印刷も含め全体の動作は遅く、手書き原稿を清書するだけなら熟練社員による和文タイプの方が早いし、仕上がりも美しかったのです(私は打てませんでしたが)。
その後数年を経て、和文タイプもワープロもその役割はパソコンに取って代わりましたが、総務部や社長室のソロバンはずっと健在でした。

今日、和文タイプライターを勉強できる機会というのは、世の中からほとんど失われてしまったようです。まず、中古品の入手からして困難で、かつメーカーのアフターサービスも近年ほぼ終了してしまいました。
対して、パソコンが普及するまで和文タイプと同様にオフィスの必需品だったソロバンですが、今も全国各地にソロバン教室や珠算塾などがあって、子供の習い事としても根強い人気があるようです。和文タイプに比べれば習得しやすく、お金もかからないという面もありますが、パソコンが普及してもなお一定の需要を保ち続けているのには、ほかにも様々な理由があるからでしょう。ソロバンの使い方をアニメーションで説明するパソコン用ソフトが登場するなど、逆転現象(?)さえ見受けられます。
私が小学生だったときソロバンの授業があり、私は大の苦手だったのですが、得意な子の暗算の素早さは正直、とてもうらやましく思えました。珠算を習得し、さらにイメージトレーニングを重ねることで、ソロバンは使わなくても素早く計算できるようになる、ということです。

暗室のある写真教室を

前置きが長くなりましたが、私は前々から、白黒写真の現像用の暗室も備えた写真教室が各地にできれば良いのに、と思うときがありました。近年は中学や高校でも少子化のせいか、いえ、それ以前に先生方が本当にお忙しいこともあって写真部は減少傾向にありますが、その代りを民間の教室として実現できれば、小学生や年配の方も一緒に参加でき楽しいだろうと考えたのです。

このごろは、大人も子供も交えた地域社会のつながりが希薄になってきていると言われ、子供をとりまく様々な社会問題や事件が目立つようになったのもそのためだと指摘されることがあります。写真というメディアにはこれまで、事物を記録し伝えると同時に、社会や人の意識を映し出す鏡として、つまり表現や相互コミュニケーションの手段として広く用いられてきたという実績があります。そのような写真を大人も子供も一緒になり、撮影から現像、プリント、展示発表に至るまで体験することによって、希薄になったと言われる地域社会の役割を見つめ直すきっかけが作れるのではないかと、期待したいのです。

今から3年ほど前は、レンズ付のデジタル一眼レフも安くて20万円前後はする高価な機材でした。そのため、初心者が本格的に写真の勉強を始めようと考えたとき、ズームレンズとのセットで数万円でも買えるようになったフィルム一眼レフを選ぶのは、至極当然でした。白黒フィルムに白黒印画紙、現像用薬品や暗室用品も、関連メーカーの努力によってここ数年の間にかつてないほどの改良が加えられ、私が考えるような写真教室の実現にはこの上なく良い環境が整ったように思えたものです。事実その頃、初心者を対象にした白黒写真のワークショップが各地で開催されるようにもなっていたのです。

ところが、ここわずか1、2年の間に、環境は激変しました。ズームレンズとのセットでも10万円以下で買えるデジタル一眼レフが各社から続々発売され、フィルム一眼レフは初心者用はもちろん、プロやハイアマチュア用の製品も含め、数えるほども生産されなくなってしまったのです。フィルム関連製品もすっかり減ってしまいました。本当に、あっという間の出来事でした。

ソロバン教室と写真教室

ソロバンは計算を助ける道具として長い歴史を持ち、暗算力が養えるなど実生活で役立つメリットが私たち日本人の間では広く認められています。そのため、電卓やパソコンが普及してもソロバン教室は全国各地で運営され、子供を通わせる保護者が絶えることはありません。
フィルムカメラはどうでしょう。日常生活の中の実用品として、その役割はもうすでにデジタルカメラやカメラ付携帯に取って代わられてしまったようです。写真の専門家の中には、写真表現の基本はフィルム撮影、それも白黒写真にあり、現像やプリントを自ら手がけることでその理解や能力も高まると説く人も少なくありません。しかし、そのような主張が広く一般に認められるまでには、今のところどうも至っていないようです。写真は1839年に画家で興行師のダゲールによる発明が公式発表されてから(フランス科学アカデミーにて)、まだ168年の歴史しか持っていません。さらに日本でカメラが大衆層に広まったのは1960年代以降、ほんの半世紀前のことなのですから、考えてみればそれも無理のないことのように思えます。

ところで、写真を始めるのは果たして何才ぐらいからが良いのでしょう。意見はいろいろあると思います。美術や音楽、文芸、演劇、舞踏などと違い、技術のレッスン以前にまず、人として成長するための社会教育が必要だという考えもあるかもしれません。写真が現場に出て目の前の事物に対しカメラを向けなければ撮れないものである以上、そのことが誰かの権利を侵してしまう場合もありうることまで、予め学んでおく必要はあるかと思います。このことは、パソコンや携帯、インターネットに潜む様々な問題をどう子供たちに理解させるか、という、小中学校の教育現場が今直面している課題にも通じる部分があると言えます。
これまで、デジタルカメラで写真を学ぼうとしてきた人たちのほとんどは独学で、必要な知識の多くはインターネット上で交わされる情報から得てきたのではないかと考えられます。これには、写真を専門に教える学校でさえ、デジタル撮影や撮影後の画像処理の手法を一度に大勢の学生へ教える体制が、まだ十分に整っていないという実情もあります。機材や関連ソフトの操作方法がメーカーはもちろん製品によってもかなり異なり、そのことがテキストやカリキュラムの作成など学習プロセスの構築を一層難しくしているようにも思えます。プロフォトグラファーの現場でも、急激なデジタル化を受け少なからぬ戸惑いや混乱が認められています。
これは私見ですが、大人の指導のもとであれば、写真は小学校の高学年になればもう始めても良いのではないでしょうか。機材もフィルムカメラであれば、パソコンやインターネットは必ずしも学習しなくて済みます。私の場合、初めて父からカメラを借りることが許されたのは、小学5年生になった春のことです。そして、中学1年生のとき先生へ懸命に働きかけ、夏休みの間だけ廃部になっていた写真部を復活させてくれたのは、小学生の頃からお父さんの暗室用品を借りて白黒写真のフィルム現像やプリントを勉強してきた級友たちでした。高校受験が近づくとさすがにお互い写真どころではなくなりましたが、それまでの熱中できた年月は今も、私にとっては貴重な経験として蘇ってきます。
2006年8月23日付記事2006年9月2日付記事も併せてお読みください。)

私が考えるような暗室を備えた写真教室が、子供も大人も含め社会にとってどれほど有益なものになりうるかは、あまり前例の無いことでもあり先に挙げたような漠然とした期待しか述べることができません。願わくば、ソロバン教室と同じくらい広まって欲しいというのが私の心情ですが、その前に必要な製品が今、採算悪化を理由に市場からどんどん消え、風前のともし火となりつつあります。

フィルムカメラはソロバンと同じようにこれからも生き残れるのか? それとも和文タイプライターと似た運命をたどるのか? 写真のデジタル化の流れを遅らせて良い理由は少しもありませんが、せめてあと少し、検証のための機会は残されて欲しいと切に思うのです。

欲しい、子供も大人も満足できるフィルム一眼レフ

一眼レフに限らずフィルムカメラは急速に品数が減り、特殊な用途のものか熱心な写真愛好家向けの高級機種などに製品の種類が絞られてきています。その中で一部の安価なコンパクトカメラ等はなお健在ですが、せっかく限られた時間の中で存分に写真の勉強を楽しもうというのなら、やはり自由にレンズ交換のできる手頃な値段の一眼レフが欲しいところです。

ニコンFM10(税込希望小売価格38,850円、レンズ別売)は唯一、現行製品の中ではその条件を満たすフィルム一眼レフだと思います。極めてオーソドックスなスタイルの完全機械制御式の全手動カメラで、その各操作部の配置や使い方は、例えば私が30年近く前に買ったアサヒペンタックスKMともほとんど共通です。つまり、ある程度写真の経験を積んだ中年以上の世代の人であれば、説明書の注意事項に目を通すだけで、すぐにでもFM10の使い方を初心者へも説明できるというわけです。写真教室の貸し出し用としても管理しやすいのではないでしょうか。その上交換レンズの一部は同社のデジタル一眼レフとも共用できますから、将来デジタル撮影も勉強したいという人にとっても、買い物が無駄にならないように済ませることもできます。
FM10は現在新品で買えるフィルム一眼レフの中では最も安価な製品ですが、コンパクトで子供にも扱いやすく、写真の基本を学ぶには十分過ぎる機能と性能とを持っていて、ベテランをも満足させるカメラです。その「基本を学ぶ」段階で、初心者にとってすぐには理解しにくく、ベテランでも説明に苦労しやすい要素にレンズの“絞り”があります。この点は一眼レフなら一目瞭然で、交換レンズをカメラから外しレンズ側に設けられた絞り調節リングを回して見せれば、それが私たちの眼でいう“瞳”と同じ働きをするものであることが子供でもすぐ理解できるでしょう。さらにFM10ではシャッターを切らなくても、実際にカメラを覗きながら絞りを段々と変え、効果の変化が連続的に確認できるレバーも備えられています。これにより、絞りがレンズを通る光の量だけでなく、ピントの合う範囲やその前後のボケの量まで調節する役割を持っていることも、容易に理解できるはずです。
こうした学びやすさはまさに一眼レフならではの利点ですが、残念ながら今ではFM10以外の国内メーカーの一眼レフはデジタル一眼レフも含め、絞りを原則的にカメラ側の電子ダイヤルなどで調節するものばかりになってしまいました。しかも、その操作方法は同じメーカーの製品でも機種によって異なり、初めて接する機種ではベテランでさえ、説明書を熟読しなければ分かりずらい場合もあるのではないかと心配されます。また、調節は絞りの設定を示す“F値”という数値で合わせなければならないため、初心者はまずその意味を理解しなければ、絞りの効果をスムーズに撮影で活かすことはできません。メーカーにとってはこれでレンズ側に絞り調節リングを設けなくて済むことになり、自由な設計ができるようになる訳ですが、このタイプのシステムでは今のところ、カメラを覗きながら絞りの効果を連続的に変化させ確認することができないのです。これでは写真入門のハードルが、以前より高くなってしまったと言えるのではないでしょうか。
フィルム一眼レフに限ったことではありませんが、昔の手動式カメラでは、試行錯誤をくり返しながらも自然に写真が写る仕組みを学習できたものです。今の自動化や高機能化が進んだカメラ、特にデジタルカメラでは実践より先に理論を学ばなければならないことが多く、それを嫌えばずっと自動任せから抜け出せなくなってしまうおそれがあるように思えるのです。

FM10の発売元はニコンですが、一説によるとその設計は長野県にある光学機器メーカー、コシナによるものだと言われています。コシナにはペンタックスと交換レンズが共用できる一眼レフを生産してきた実績があり、FM10はそのニコン向け仕様だという説です。幸いペンタックスは今も、絞り調節リング付の交換レンズをフィルム一眼レフとデジタル一眼レフの両ユーザー向けに発売しており、新製品も予定されているようです。ほかにも条件の似た一眼レフシステムを発売しているメーカーは国内にあるかというと、残念ながら今では見当たらなくなってしまいました。願わくばペンタックス仕様のFM10のようなカメラも近いうちに登場し、子供も含む初心者の選択肢が少しでも広がってほしいものだと思います。

〔続く〕

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2007年01月07日

ちょっと遅めの初夢 -フィルムカメラ再び-

ペンタックスブランド誕生50周年記念の年明けに

お正月気分がまだ抜けません。
昨年末の記事(12月31付)でも触れた「カメラ年鑑 2007」(日本カメラ社刊)をめくりながら、ふと思い出してしまいました。
今からちょうど50年前の1957年、それは「ペンタックス」の名を初めて冠した35mm判一眼レフカメラ、初代アサヒペンタックスが発売された歴史的な年だったのです。

当時、月刊「アサヒカメラ」誌(朝日新聞社刊)は9月号掲載の「ニューフェース診断室」記事の冒頭で、

国産第2号のペンタプリズムつき一眼レフとして生まれたアサヒペンタックスは一眼レフ専門メーカーである旭光学が、全力をそそいで完成したカメラだけに、発表当初から人気を呼び、売れ行きも好調のようである。このカメラは、初めから本格的な量産型として世に送り出され…〔中略〕…ペンタプリズム式一眼レフというものが、日本で流行するかどうかの試金石になるという、重要な意義も含まれている。…〔中略〕…ペンタックスが、将来よりよいカメラに発展する一助ともなれば、このリポートは意義深いといってよかろう。

と紹介しています。
初代ペンタックスが「試金石」としての大役を見事果たせたことは、翌年発売の2代目アサヒペンタックスKの名が、新発売された話題のデジタル一眼レフK10Dにも受け継がれていることを見ても明らかです。

話の流れが飛びとびになりそうなのでまとめます。
私の心は高校時代にまでさかのぼり、写真の勉強のため初めて買うフィルム一眼レフを探すつもりで「カメラ年鑑 2007」を眺めていたのでした。現像タンクや引伸機などは、写真部(私の母校の場合、正しくは光画部)の暗室に揃っています。
さて、35mm判の選択肢は4社8機種。うち、貧乏学生の懐事情に見合うものは2社3機種。新製品は無し。さあ、決めるのだ!
「やっぱ、ニコンFM10(希望小売価格税込38,850円)かな…」
純然たる機械制御式の全手動カメラで、フィルムを入れさえすれば電池が無くても写真が撮れる頼もしい存在です。小さくて可愛らしいのは女子部員にも喜ばれそうだし、何よりお父さん(お爺ちゃん?)が小さかった自分を写してくれたときのカメラみたい、というところがどこかしら郷愁をそそります。
ところが発売元のニコンはもう、FM10に使える交換レンズを開発する気配がありません。むしろ、徐々に減りつつあるようです。最新シリーズのレンズでは、装着できても絞り機構が連動せず、露出(明るさ)の調整ができないのです。
「…却下」(←独断)
反対に、こうしたクラシカルな一眼レフにも使えるような交換レンズの発売を今後も予定しているのが、かのペンタックスです。
最新シリーズのひとつ、D FAレンズシリーズはオートフォーカス式のデジタル撮影対応設計ですが、マニュアルフォーカスの操作性も見直され、かつ30年以上前の35mm判フィルム一眼レフにも何ら不自由なく使用できるという優れもの。デザインも「なんとなく、クラシカル」です。今はまだ、2年ほど前に発売されたレンズが2本あるだけですが、メーカーの「レンズ開発ロードマップ」(PDFファイル)によれば、今年は少なくとも望遠レンズ2本が追加される模様です。気になるのは肝心のカメラ本体ですが、
*ist(イスト。*は発音しません)。…それだけ?」
希望小売価格税込68,250円也。予算オーバー。
想定の範囲外でした。無念。
(↑強引?)

話がぜんぜんまとまらないので、まとめます。
「中古を探す…」
前に、要はニコンFM10にペンタックスD FAレンズが使えれば良いのではないでしょうか。と言いますか、ペンタックスもFM10のような機種を発売すれば良いのではないでしょうか。
既報の通り今年10月、ペンタックスは光学材料メーカーのHOYAと経営統合し、新会社HOYAペンタックスHDが発足します(2006年12月27日記事参照)。実はそのHOYAの傘下にある写真用品メーカーのケンコーが、ついこの間までベッサフレックスTMという、FM10に“とても”よく似た(それでいてずっと高級感のある)一眼レフを発売していたのです。税込定価も52,500円ですから、まぁ、想定の予算内ということにします。交換レンズも、初代アサヒペンタックスと共通の規格でした。しかし残念なことに、その規格のレンズの開発をペンタックスは1975年以降打ち切ってしまっています。もどかしいですね。

もどかしいのでまとめます。
ベッサフレックスTMはりんごのふる里、長野県にある光学メーカー、コシナが設計、生産を請負ったカメラでした。それは、同社がかつて他のブランドで輸出用、通販用に生産していた(ひょっとしてまだ生産している?)一眼レフをベースにリニューアルしたものです。そのベースとなった一眼レフこそ、何を隠そう、ペンタックス現行のD FAレンズが使用できる規格のカメラだったのです。
そのような一眼レフをペンタックスの商品として、ペンタックスブランド誕生50周年記念事業の一環として、世に出すことはできないものでしょうか。コシナはファンの注文がまとまれば、過去の製品でも再生産してくれる職人気質の良心的なメーカーなのです。いや、やるだけならそう難しくはなさそうだから、あとは商談が成立し得るかどうかの問題でしょう(余談ですが、以前ペンタックスから発売されたFAマクロ100mmF3.5という交換レンズは、コシナの製品とほぼ同じものでした)。ベッサフレックスTMの生産も済んだので、その分工場にも余裕があるのではないかと思われるのですが…。
じゃなくて、ペンタックス50周年記念カメラは出るんです、きっと。ベッサフレックスTMはその試金石で、だからあえて生産は去年中に打ち切られた。発売元のケンコーも、その親会社のHOYAももとより承知の上。2年前に先行発売された2本のD FAレンズも、そのカメラに似合うデザインの検討を兼ねたものに違いありません。加えて国産眼鏡レンズでは知る人ぞ知る老舗中の老舗同士が創設するHOYAペンタックスHDの発足、ペンタックスデジタル一眼レフの決定打と言うべき新生Kシリーズシステムの充実、そしてコマーシャルフォトグラファー等に期待の大型イメージセンサーを採用した645 Digitalの発表、それらすべてのタイミングがピタッと重なったのももはや単なる偶然ではなく、今年のために水面下で着々と準備が進められてきた一連の事業なのではないでしょうか。

際限なく妄想がエスカレートしていきそうなので、このくらいにしておきます。
これはあくまで個人的な心情ですが、ペンタックスには国産初の35mm判一眼レフカメラ、アサヒフレックス1型を生み出しそのオーソドックスなスタイルを確立させたメーカーとして、これからもずっとこうしたジャンルのカメラを、他社がやめても発売し続けていって欲しいと思うのです。私もそうですが、ペンタックスの一眼レフで写真入門を果たした思い出を持つ人は、プロの中にも少なくはありません。また、まだ使った経験のない人でも、いつか余裕のできたとき、興味のあるレンズとの組み合わせを選んで持ち歩いてみたいと思っている人も結構いるようです。フィルムで写真を撮る機会は私もだんだんと少なくなってきていますが、このカメラで写真を撮りたいと思うから昔ながらのフィルムを使う、という発想もあって良いと思います。船員を目指す学生さんは、今も練習帆船で世界の海へ実習航海に出て行くではないですか。船乗りを夢見る若人たちの憧れです。
私見ですが、現像などの後処理も含めフィルム撮影とデジタル撮影とを同時に体験することは、混乱するどころか、どちらか一方に偏るよりもずっと学習効果が高まるように思われます。フィルム撮影や現像処理の経験があるからこそ画像処理ソフトの覚えも早く、逆に画像処理ソフトを使いこなせればこそ撮影や現像のシミュレーションに活用することだってできるはずです。でも、そのためのフィルムカメラが生産されなくなれば、そうした体験も叶わなくなります。
物だけではなく人や文化も創り続ける。それが歴史あるメーカーの責任というものかもしれませんね。ペンタックスは35mm判だけでなく、フィルムサイズのより大きい645判6×7判の一眼レフも生産している世界唯一の奇特な総合一眼レフメーカーでもあるのです。

ところで「カメラ年鑑 2007」によるとコシナは昨年、独逸の名門光学メーカー、カール ツァイスとの共同開発による35mm判一眼レフカメラ用高級交換レンズシリーズの生産をスタートさせています。それらはニコンFM10の規格やベッサフレックスTMの規格にそれぞれ合わせて設計されたものですが、どうして今のペンタックスにも使える規格のものがケンコーから発売されないのでしょう。もしかすると、先述のペンタックス50周年記念カメラ(妄想)の発売にタイミングを合わせ、商品企画として密かに用意されているのでは?
昨年秋のフォトキナでの、ペンタックス幹部の方の自信に満ちたインタビューの真相も気になります(2006年10月5日付記事参照)。

表題に「ちょっと遅めの初夢」と書きましたけど、「初夢」じゃなくて“白昼夢”、でしたね。
長い長い初白昼夢で、たいへん失礼いたしました。

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2007年01月05日

2007年 年頭所感 「ファミリーフォトエージェンシー」の実現を

「今はデジタルカメラが広まって、誰でもすぐ必要な写真はパソコンで作れるようになったから、プロの写真家さんも仕事が減って大変でしょう」

世間話のついでにそんな同情ともとれるようなことを、最近はときどきですが、尋ねられるようになりました。同業者の中には、

「これだから一般のお客さんは分かっていない。撮った写真を並べて比べればプロと素人との違いは歴然としているのに」

とこぼす方も、当然ですが少なくはありません。
ですが、プロであればこそ、こうしたお客さんからの指摘には、謙虚に耳を傾け考えてみるべきではないかと思うのです。
なぜ私たちは期待してもらえなくなったのかを。

写真の需要が減ることはありません。デジタル技術の進歩で印刷コストが安くなり、インターネットも普及したことから、写真が活用される機会は今後ますます増えていくでしょう。
飲食店を例にすると、店内メニューや折り込み広告に載せる、自慢の料理や店舗の写真がまず必要でしょう。店主がホームページやブログを運営していれば、更新用にもっとたくさんの写真が欲しくなります。
ところが、かなり多くの店主の方々が、

「プロに頼むと高くつくから、忙しくても自分で撮るよ」

と考えていらっしゃるようです。そのような話を聞くと兎角プロの側は、

「そんなに経営が苦しいのだろうか。お客さんが呼べるのにもったいない」

と考えがちです。しかしそこには、極めて重要な課題が浮彫りにされていることを、もっと強く認識しなければなりません。
「高くつく」と思われてしまうのはなぜでしょう。それは本当に予算が足りないせいなのでしょうか。

違いますよね。誰もが皆同じように思っているはずなんです。
せっかくお金を使うのだから、自分の意思で楽しく使いたい、と。
ならば、プロに大切なお店の撮影を頼むのだから、どんな人に依頼しようか、楽しみながら相手を選び納得してその仕事を任せたいと、店主の方々も本当は思っていらっしゃるはずなのです。

でもなぜ、その手段が無いのでしょう?
そこが最大の課題だと、私はこの頃思うようになりました。

メニューや広告などの制作を請負ってくれる業者はいろいろとあります。特定の業界を得意とする制作会社や広告代理店も少なくありません。ただ店主側にとっては、派遣されるカメラマンが結局は業者側のお仕着せになり、自分の店のイメージづくりに時間を割いて相談に乗ってもらえないのではないかという心配が残ってしまいます。
これは、カメラマンの技量だけで量れる問題ではありません。お店の写真に限らず、どんな用途の撮影でもセンスのことなど難しい相性の問題もありますから。もし近所のカメラ屋さんや印刷屋さんの紹介、個人のつてなどで良いパートナーを見つけることができるなら、それはお互いにとってかなりラッキーな出会いと言えるのかもしれません。

プロカメラマンの世界には昔から、フォトエージェンシーという幅広いサービスを担う業界の窓口があります。ただし、その事業のほとんどはマスメディアを対象としたもので、一般の個人客の私的な利用に適した営業内容ではありません。基本的にプロ同士の仲介業であり、そこで扱われる写真の多くは、主に新聞や雑誌など大量印刷物への掲載を目的としたものなのです。

話は急に変わりますが、スタジオアリススタジオマリオトム★ソーヤピノキオといった子供向けの“ファミリー写真館”と呼ばれるサービスが相変わらず繁盛しているようですね。大企業が全国的にチェーン店を展開しており、進出された地域の個人経営の写真館からは、

「あんなのは写真館じゃない。貸し出しせずに写真を買わせる貸衣装屋だよ」
「たくさん撮ってお客さんに選ばせるなんて、素人カメラマンのすることだね」

などと、手厳しい批判を浴びせられる場面もしばしばです。商売敵ですから。

ここでまた本題にもどります。そんなファミリー写真館ですが、そこではお金を楽しみながらどう使うのか、主導権はあくまでもお客さんの側にありますよね。店主に案内されるままお決まりの記念写真しか撮ってもらえないような写真館では、お金の使い方も公共料金を事務的に払っているような味気ないものになってしまいます。今や生産者側だけでなく消費者側もクリエイターであり、エンターテナーでありたいのです。

近い将来、個人商店や中小企業からの撮影依頼、あるいは一般客の私的な利用をマーケットにしたフォトエージェンシーが実現するなら、私はファミリー写真館などのチェーン店を展開できるようなお客さんのニーズを上手につかめる企業に、その役を買って出て欲しいと思っています。すでに各地に営業網があり、地域にお住まいの方々、とくに若い世帯にブランドイメージが浸透しているというのは、単に子供向けの貸し衣装屋さんでは終わらないビジネスチャンスを開拓しているのも同然なのではないでしょうか。
また個人経営の写真館の中には、お客さんの年令やキャラクターに合わせ、その人たちが楽しめるような変化に富んだ撮影を叶えてくれる素敵なお店もたくさんあって、私もそのような写真館を実際に知っています。よりハイレベルな撮影を希望されるお客さんに、ファミリー写真館でそのような個人経営の写真館も紹介するサービスが始まれば、写真はもっともっと身近で楽しいものになるはずだと、私は思うのです。競うべきは個性や特色であって、無闇なシェア争いはお客さんを振り回し、疲れさせてしまうだけでしょう。誰のためにもならないと思います。

私がこのサイトを完全な商用目的にリニューアルし、写真撮影の仕事をお請けできるようにすることも考えられます。しかしながら、個人でできることには限界があります。
例えば結婚式の披露宴のスナップ撮影をお承りして、万が一直前になってノロウィルスやインフルエンザなどに私が感染してしまったら、大至急代理のカメラマンを手配しなければなりません。ですが、私の人脈だけではそのような急な事態にまで対応し切れない場合も考えられます。これではいけませんね。
だから地域社会に密着した、それでいて幅広い営業網やサービスのノウハウも兼ね備えたフォトエージェンシーの実現を、私は願うのです。
いっそのこと“ファミリーフォトエージェンシー”(仮称)と名付けてみましょうか。

私自身が起業するわけにもいきませんので、2007年はまず、具体的にどのような企業に創業のラブコールを送るか、候補者探しの第一歩を踏み出したいと思っています。
賛同していただける方のご意見やご協力も、心からお待ちしております。

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2007年01月01日

新年明けましておめでとうございます 2007年 元旦


*クリックで大きな画像が開きます(オリジナル画像のダウンロードはこちら)。

 画題:『初冬の日光男体山』
 埼玉県比企郡小川町東小川 自宅の窓から
 2006年12月10日撮影
 Camera:PENTAX K10D
 Lens:PENTAX-FA☆ 400mmF5.6ED[IF]
 アドビ「Photoshop Lightroom」ベータ4でRAW現像

謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
1年前のこの時期は体調を崩してしまい、
皆さまには本当にご心配、ご迷惑をおかけしてしまいました。
おかげ様でその後は病気もけがもなく、
家族ともども健康な毎日を過ごしております。
この冬は暖冬のようですが、いろいろな病気の流行が心配されています。
健康管理には一層気をつけて参りたいと思います。
本年もよろしくご支援、ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

 2007年 元 旦  管理人:Hiroki,Y.

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