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2005年08月20日

8月19日、埼群軌道新線実現へ向け署名、陳情活動準備開始

東武伊勢崎線太田駅から同東上線森林公園駅まで、
新たな鉄道路線の実現目指す熊谷市民

 8月20日付「埼玉新聞」:
  「埼群軌道新線」実現を 市民の会、10月にも発足 熊谷
  (△公開期間は1週間)

群馬県の太田駅から東武東上線森林公園駅を結ぶ鉄道「埼群軌道新線」の実現を目指す熊谷市民の会発起人会が十九日、発足した。約百人で会員募集を始め、十月中に市民の会を設立する。
埼群軌道新線は、東武熊谷線(旧妻沼線)の跡地を活用。熊谷駅を乗換駅に、埼玉県西部と群馬県東部が交流する結節点とすることで、熊谷市の活性化を図る。
発起人代表で熊谷商工会議所副会頭の木島一也氏は「熊谷市が県北の雄都となるには不可欠の鉄道であり、市民一人一人の力を結集していきたい」と述べた。
この日は約70人が出席。木島氏ら五人の発起人団を選出した。会員は法人・団体180、個人300が目標。会長には木島氏が就く見通し。市民の会発足後、署名や陳情活動に取り組む。

 (上記8月20日付「埼玉新聞」記事より)

*管理人によるコメントは、下のコメント欄へ記載しました。

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尼崎JR脱線事故について (その16)

*8月24・27日、記事の最後に最新情報を追加しました。

その後の事故調調査。運転士、事故発生まで回避行動取れず!?

 8月19日付「神戸新聞」:
  車両傾き非常ブレーキに手届かず JR脱線で運転士

〔前略〕モニター制御装置には8段階ある常用ブレーキのうち、「5」、「7」、「8」の順に制動力の強い常用ブレーキを使用。通常は使用を禁じられている「直通予備ブレーキ」もかけていたことが記録されていたが、運転士が「8」の奥にある「非常」の位置にブレーキを入れた形跡はなかったという。
その後の調査で、常用ブレーキは1秒未満の短時間で操作されており、「8」に入れるのとほぼ同時に直通予備ブレーキが引かれていることが判明。運転士が右手で常用ブレーキの操作を始めたときにはすでに電車は傾き始めており、運転士は体勢を崩して、一番奥の非常ブレーキの位置までレバーを押し込めなかったとみられる。
事故調委は、非常ブレーキをかけられなかった同運転士が、とっさに左頭上にある直通予備ブレーキを引いたとみて調べている。

 (上記8月19日付「神戸新聞」記事より)

事故調は今月末までに、「JR西脱線事故の中間報告」を公表するようです。

 8月1日付「朝日新聞」:
  JR西脱線事故の中間報告、今月末に公表 事故調

それと同時に、最終報告を待たずに「建議」として、次の事故防止対策を国に求めるとも報じられています。

 (1)急カーブに自動列車停止装置(ATS)を設置する
 (2)事後の検証に生かすため、速度を記録する装置を列車に付ける

 など。

 8月18日付「朝日新聞」:
  列車の速度超過対策、国に要求へ JR脱線事故で事故調
 8月19日付「読売新聞」:JR福知山線事故 解明待たずに建議

なお、上記8月18日付「朝日新聞」記事によると、事故調は「運転士がなぜ大幅な速度超過をしたかなどの背景要因については、中間報告には間に合わない」との見通しを示しているようです。

仮に、伊丹駅でのオーバーランミスが無かったとしても…

7月26日付記事にも記しましたが、事故当時JR宝塚(福知山)線では、一部列車に制限いっぱいの120km/hまで速度を上げなければ守れないダイヤが設定されていました。

 7月23日付「神戸新聞」:速度の上限でダイヤ編成 宝塚線など一部路線

JR西日本が脱線事故のあった宝塚線(福知山線)や神戸、京都線で、制限速度の上限で運行しなければ守れないダイヤを一部編成していたことが22日、国土交通省が指示した緊急点検で確認された。

 (上記7月23日付「神戸新聞」記事より)

また、5月25日付記事にも、次の新聞記事の引用を本日追加しました。

 5月25日付「神戸新聞」:運転士「遅ればん回で焦り」 事故調初見解

事故を起こした快速電車は遅れを回復する時間が設定されていない「余裕時分」ゼロの厳しいダイヤで、事故調委は心理的な負担がその後の運転に影響したとみて、高見運転士の心理状況なども詳しく調べる。

 (上記5月25日付「神戸新聞」記事より)

 5月24日付「神戸新聞」:「余裕時分ゼロ」集中 通勤時間帯外の日中

事故を起こした快速電車は、ラッシュ時間帯からデータイムに入った3分後に宝塚駅を発車。しかも、余裕時分ゼロの電車の中でも最短の1本だった。データイムの余裕のなさが運転士に過度の重圧を与えていたとみられる。

 (上記5月24日付「神戸新聞」記事より)

これらの記事の内容から、事故車は同線で最も定時運転の難しい列車の一つだったことが、あらためて分かります。
仮に、始発駅までの回送時も含め、運転士のミスも無く順調に伊丹駅を発車できていたとしても、現場カーブまでの短い直線コースを全力疾走しなければならない状況に変わりはなかったことになります。
もしカーブ手前で運転士の体調の急変、あるいは運転を妨げられる何らかのトラブルなどが生じた場合でも、事故を未然に防ぐ対策はほとんど備わっていませんでした。
理論上、現場のような半径300mのカーブでは133km/h以上でなければ脱線しないという解析結果があるそうですが、様々な要因が重なれば例外もありうることを、今回の事故は物語っています。
安全対策の原点にもどって考えると、急カーブ間際まで120km/hもの高速運転を許すような設計自体、避けるべきだったとしか言いようがないのではないでしょうか。
ダイや編成に無理はないか、チェックすることの重要性への認識が高まっているようですが、それ以前にそうしたダイヤを作らせないためのルールも考えられるのではないかと思えます。

見せかけではなく、本当に意味のあるサービスを

公共交通の所要時間短縮は社会のニーズであり、事業者にとって永遠の課題とも言えます。
その対応策には、電車の発車時の加速性能向上、乗り降りに時間のかかる車両への乗車口増設や座席の省略など、最高速度を上げる以外にも様々な手段があり、効果が認められています。
また、乗車区間によっては、待たないと来ない快速より頻繁に来る各駅停車を利用した方が早く着ける、という事例もあります。
見せかけではなく、本当に意味のあるサービスとは何か、事業者も役所も、そして私たち沿線住民も、協同して考え実現していけるような場が欲しいものだと切に願っています。

*管理人より
長く続いた今回の事故に関する一連の記事ですが、報道を直接追うことは、今日のこの記事で一区切り付けたいと思います。
地域と鉄道との関連いついては、話題を関西から当地も含む首都圏へ移し、機会を改めてレポートを続けたいと考えています。
未熟な長文が続き、中には気分を害された方もいらっしゃることと思いますが、ご無礼をどうぞお許しください。

〔8月24日追記〕

脱線の直接的な原因、ブレーキ操作に問題あり?

明日で事故発生から4か月になります。事故調は昨日までに、脱線の直接的な原因が死亡した運転士のブレーキ操作ミスにあるとの見方をほぼ固めたようです。今後、JR西日本の乗務員の教育指導や労務管理についても調査を進めるとのことです。

 8月24日付「神戸新聞」:制動、3地点で3秒遅れ 尼崎JR脱線
 8月24日付「神戸新聞」:運転士適性検査見直し 管理のあり方改革へ

〔8月27日追記〕

事故調、「JR西脱線事故の中間報告」公表を9月上旬に変更

 8月26日付「神戸新聞」:事故調査委、中間報告 来月提出へ

脱線車両、速度計数キロ低く誤表示

 8月26日付「朝日新聞」:
  脱線車両、速度計5キロ低く表示 事故調が対策要求へ
 8月26日付「読売新聞」:
  速度計、過小表示か…事故調指摘 精度向上「建議」へ
 8月26日付「毎日新聞」:
  速度計、数キロ低く誤表示 国交相に精密化提案へ-事故調

国交省、鉄道会社に運転士の能力向上義務化

 8月26日付「朝日新聞」:
  鉄道運転士の免許制度、改正へ 再教育方法は国管理強化
 8月27日付「神戸新聞」:運転士講習に「安全」学科 鉄道の免許制度見直し
 8月27日付「読売新聞」:国交省、鉄道会社に運転士の能力向上義務化

〔了〕


 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「  同  」:JR脱線事故 特集 関西発
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年08月15日

尼崎JR脱線事故について (その15)

事故調が指摘。運転士、緊急時の対応としても考えられない行動

 8月17日付「読売新聞」:緊急用予備ブレーキ2回…作動記録
 (△8月18日追加)

 8月14日付「神戸新聞」:
  予備ブレーキ2度使用 JR脱線 故障時のみ操作許可

尼崎JR脱線事故で、運転士(23)=死亡=が、事故現場のカーブと約70メートルオーバーランした伊丹駅でそれぞれ、通常ブレーキ故障時に使用される「直通予備ブレーキ」を操作していたことが、13日までの国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。
〔中略〕直通予備ブレーキは、電車のモーターを発電機として作動させる「電気ブレーキ」と、圧縮空気を送り車輪やディスクをブレーキシューで締め付ける「空気ブレーキ」が故障した際などに限って使用が認められており、保安ブレーキとも呼ばれる。別のブレーキ管とタンクを用いて空気ブレーキをかける仕組みで、運転席の天井にあるスイッチを操作する。
事故調委で、事故車両から回収したモニター制御装置を解析したところ、事故直前に直通予備ブレーキが2回にわたり操作されていたことが判明。列車自動停止装置(ATS)の解析データと照合した結果、現場カーブ内と手前の停車駅伊丹駅構内の2地点と分かった。同駅では車掌用の非常ブレーキが操作された記録も残っていたという。
ATSのデータでは、運転士は制限速度(事故当時)70キロの現場カーブ(緩和曲線)に時速110数キロでノーブレーキのまま進入、約25メートル走行した地点で常用ブレーキをかけたものの、同じレバーを操作する非常ブレーキを自身が手動でかけた記録はなかった、とされる。
〔中略〕事故調委は、一連のブレーキ操作などが緊急時の対応としても考えられない行動と指摘。事故以前に、運転士の言動や体調に異変がなかったか、上司や同僚ら関係者から事情を聴くなど調査を進める。

 (上記8月14日付「神戸新聞」記事より)

事故調は今月末までに、「JR西脱線事故の中間報告」を公表するようです。
私としては、引続きコメントを控えたいと思います。

 8月1日付「朝日新聞」:JR西脱線事故の中間報告、今月末に公表 事故調

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「  同  」:JR脱線事故 特集 関西発
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2005年07月27日

尼崎JR脱線事故について (その14)

ノーブレーキでカーブへ進入!? 異常な運転状況が判明

 7月27日付「読売新聞」:JR脱線カーブ ブレーキかけず進入

県警など分析 数十メートル走行後、作動

兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、脱線した快速電車(7両編成)の非常ブレーキが作動したのは、現場カーブで片輪走行となり、マンション手前約50メートルにある線路外側の電柱に接触した後だったことが27日、兵庫県警捜査本部(尼崎東署)と国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べでわかった。常用ブレーキがかけられたのが、非常ブレーキ作動の3秒前だったことも判明。県警は、速度超過した快速電車がノーブレーキでカーブに進入した疑いが強いとしている。
〔中略〕一方、カーブ手前1.1キロの塚口駅を通過する直前に、この日の運行で最高速度の「時速125キロ」が記録されていたことが明らかになっているが、快速電車はその後、カーブ内での常用、非常両ブレーキ作動まで、一度もブレーキがかけられていなかったことも、新たにわかった。〔後略〕

 (上記7月27日付「読売新聞」記事より)

〔8月5日追記〕

8月4日、事故調が上記の事項について、これまでの調査内容を明らかにしました。本日、新聞各紙が関連記事をネット上で公開し始めましたのでお知らせします。

 8月5日付「神戸新聞」:制動かけずカーブ進入 尼崎JR脱線事故
 8月5日付「神戸新聞」:異常運行浮き彫り 運転士心理の解明課題
 8月5日付「朝日新聞」:
  非常ブレーキ操作の記録なし JR宝塚線脱線で事故調
 8月5日付「朝日新聞」:
  非常ブレーキなぜ使わず? 首ひねる運転士ら JR脱線

事故調は今月末までに、「JR西脱線事故の中間報告」を公表するようです。
私としては、しばらくコメントを控えたいと思います。

 8月1日付「朝日新聞」:JR西脱線事故の中間報告、今月末に公表 事故調

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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2005年07月26日

尼崎JR脱線事故について (その13)

やはり余裕のなかったJR宝塚(福知山)線のダイヤ

7月25日で事故から3か月が経ちました。JR西日本では毎月25日を「安全の日」と定めましたが、初回のこの日を控えた22日、国土交通省は同社の一部路線のダイヤに異例とも言えるほど余裕が無かったことを明らかにしました。

 7月23日付「神戸新聞」:速度の上限でダイヤ編成 宝塚線など一部路線

JR西日本が脱線事故のあった宝塚線(福知山線)や神戸、京都線で、制限速度の上限で運行しなければ守れないダイヤを一部編成していたことが22日、国土交通省が指示した緊急点検で確認された。ダイヤは通常、制限速度より時速2~5キロ遅いスピードで編成され、事故後に緊急点検した全国31鉄道事業者で、余裕のないダイヤを編成していたのはJR西だけだった。
〔中略〕国交省によると、制限時速の上限でダイヤが編成されていたのは、宝塚線のほか、京都~大阪、三ノ宮~大阪などの数本。国交省が遅れを取り戻すために速度を上げる「回復運転」をしないよう指示したため、各列車は事故後、ダイヤより2、3分遅れで運行しているケースが多いという。〔後略〕

 (上記7月23日付「神戸新聞」記事より)

 7月23日付「読売新聞」:JR西一部路線「弾力性欠ける」

国交省 ダイヤ再点検

国土交通省は22日、全国の主要鉄道会社31社の運行ダイヤを再点検した結果、JR西日本の一部路線のダイヤで、「ラッシュ時の停車時間に十分な余裕がなく、弾力性に欠けていた」ことを明らかにした。 再点検は、JR福知山線の脱線事故を受け、国交省が今年5月にJR各社と全国の大手私鉄などに指示していたもので、JR西以外は、「適切だった」と結論づけた。

 (上記7月23日付「読売新聞」記事より)

「神戸新聞」の記事によれば、京都線や神戸線(ともに東海道本線の一部)の京都~大阪~三ノ宮間についても「制限時速の上限でダイヤが編成されていた」(国交省)とあります。
当ブログの5月17日付記事でもご紹介したように、伊丹市の村山茂さんも、この区間に乗務する新快速の運転士さんのお話しをメールで寄せてくださいました。
「少し遅れるともう必死です」という現場の実情が、これでようやく公に認められたことになります。

制限時速の上限をキープする運転は、ベテランにとっても難しいものとされています。勾配などの影響で速度超過を起こしやすいこと。さらに、120km/h運転ではほんの1秒間に約33mも進んでしまう上、常用ブレーキも車両の走行性能の限界近くでは特性が変化するので、短い駅間ではオーバーランも起きやすくなるのです。
また、車両や線路などの傷みも早くなり、それらの整備や交換に大きな負担がのしかかる心配もあります。
もちろん、現場職員の心身への影響も否定できません。
余裕のないダイヤ編成が今回の脱線事故を誘発した疑いは、ますます濃厚になってきたと言えるでしょう。

〔続く〕

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尼崎JR脱線事故について (その12)

参考)事故車207系電車の後継車、321系電車を試運転

 7月13日付「神戸新聞」:後継車両を公開 遺族配慮し配色変更 JR脱線事故
 7月19日付「神戸新聞」:「ゆとり仕様」321系車両を試運転
 7月19日付「読売新聞」:新車両を試運転

この新型車321系電車は、老朽化した旧国鉄時代の通勤電車の置き換え用として、すでに事故前から製造が進められていたものです。
そのため、走行性能や車体強度をはじめとする各種安全対策について、今回の事故の反省点をどう設計に反映するかは「今後の課題」(JR西日本)となります。
それでも、207系では7両編成中3両に集中装架していた動力制御装置を前後計6両に分散し、編成全体の重心を下げて脱線しにくくした工夫は評価できると思います。
従来この装置は値段が高く、装架台数を抑えるため、4~8個の主電動機(動力用のモーター)を1台の装置でまとめて制御する方式が一般的でした。
近年は製造コストも下がり、各主電動機ごとに制御装置を割り当てても不経済ではなくなったことから、321系のような試みも可能になったようです。

今回試運転が行われた321系電車は試作車で、量産車の仕様はこれから検討されるようです。
この記事の内容も“参考”程度にとどめ、これ以上のコメントは控えたいと思います。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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2005年06月14日

尼崎JR脱線事故について (その11)

207系電車のブレーキについて

1.空気ブレーキと電気ブレーキ

電車のブレーキは、空気ブレーキと電気ブレーキとの2種類に大別されます。

(1)空気ブレーキ
空気圧で物理的に車輪を押さえ、その摩擦力で制動します。
ブレーキシューを車輪の縁に直接押し付ける方式と、車輪と同軸に装着した円盤をブレーキパッドで挟み込むディスクブレーキとがあります。

(2)電気ブレーキ
動力制御装置の回路切替により、主電動機(動力用のモーター)を発電機として作用させ、その負荷で制動します。
ちょうど、自動車のエンジンブレーキに例えることができるでしょう。
長い坂を下るときには特に適しており、その際に速度を一定に保つ機能(抑速ブレーキ、定速運転指令等)を追加した車種もあります。
発生した電気の発散の仕方により、主に次の方式があります。

 a)発電ブレーキ
  電気を車体に装架した抵抗器で熱に変え、発散させます。
 b)電力回生ブレーキ
  電気を架線にもどし、近くを走るほかの電車に再利用させます。

電力回生ブレーキは、1970年代末頃からほとんどの新設計の電車に採用されるようになりました。
この方式は近年、省エネ・低公害を目指したハイブリッド自動車にも応用されています(電気は蓄電池に蓄え、発車時に再利用)。
ほかの電車が近くを走っていないときは電気が架線にもどらず、制動力が得られないため(回生失効)、自動的に空気ブレーキへ切り替わります。
また、高速域や低速域では制動力が不足するため、同じ用に空気ブレーキで補います(近年は改良が進み、全速度域で空気ブレーキ不要の電車も登場しています)。
急ブレーキや非常ブレーキの作動時は、空気ブレーキも同時に作動します。

2.207系電車の電力回生ブレーキとインバータ制御

電車の動力には、回転速度の制御がしやすいことから、伝統的に直流電動機(直流モーター)が用いられてきました。
しかし、1980年代後半から三相交流誘導電動機をインバータにより制御する方式が台頭し、今日ではすっかり主流になっています。
インバータ制御は従来の方式と比べ、次のように様々な点で経済性に優れています。

 ・加速時の消費電力のロスが極めて少ない。
 ・回生率、制動力とも、より効果の高い電力回生ブレーキが実現できる。
 ・制御装置や電動機に、清掃や部品交換を頻繁に要するか所が少ない。
 ・編成中の動力車の数を減らしても高い走行性能が得られる。

この新方式は初め、路面電車や地下鉄、一部の私鉄などに採用されましたが、JR各社での本格採用はやや遅れ気味でした。
その中で1990年登場の207系電車は、在来線の通勤用電車では他のJRに先駆けてJR西日本が大量投入した意欲作でした。
ただ、同世代の私鉄通勤用電車と比べると、編成中の動力車の数を抑えるなど、性能よりもコストダウンを優先した設計になっています。
なお、東武東上線の地下鉄直通用9000系電車の場合、1981年製の9000型には従来方式が採用されましたが、1996年製の9050型ではインバータ制御に設計変更されています(表「各社主力電車の性能比較」参照)。


207系電車 初期型と後期型との違いは?

1.概要

JR宝塚線(福知山線)には、1991年に量産開始された207系電車が集中配備されています。
電車は基本的に4両+3両の7両編成で運用され、JR東西線を経由して学研都市線(片町線)へ直通運転されています(一部電車は他線区へも直通)。
学研都市線の京田辺~木津間では後方の宝塚寄り3両を切り離し、前4両だけが終点まで行きます。
動力車の数は、前方が4両中2両と標準的ですが、後方は3両中1両のみでコストダウンが図られています。
2004年度現在、JR西日本には4両編成が69編成、3両編成が67編成在籍し、東海道・山陽本線などでも使用されています(事故車も含む。ほかに1990年製の試作車7両編成が1編成あります)。

2.初期型と後期型との違い

207系電車は大きく初期型と後期型とに分けられ、特に動力車の制御装置や主電動機(モーター)の設計には大幅な違いが見られます。
走行性能は初期型に合わせて調整され、普段から併結で運転されています。主な違いは次の通り。
(JR西日本では両者をさらに製造番号で細かく区別していますが、その説明は割愛します。)

(1)初期型の動力車(1990年以降製造)
 ・主電動機定格出力=155kw
 ・1両当たりの主電動機の数=4個(4軸ある車輪すべてが動力付)
 ・1台のインバータが制御する主電動機の数=4個(1両に1台装架)

(2)後期型の動力車(1994年以降製造)
 ・主電動機定格出力=200kw(2002年以降製造分は220kw)  
 ・1両当たりの主電動機の数=最大4個(一部車輪の無動力化も可)
 ・1台のインバータが制御する主電動機の数=1個(1両に4台装架)

初期型は極オーソドックスな設計ですが、主電動機が1個でも故障すると動力車1両分がまったく動かなくなる弱点がありました。
後期型では電機メーカーが新しく開発したシステムを採用し、この問題が克服されています。
また、主電動機の品質が向上して定格出力(加熱等による障害が起きない一定時間内での常用出力)もアップし、走行性能に余力を持たせられるようになりました。
同時に、それほど高い走行性能が要らないローカル線などで使用する際は、余分な主電動機を開放(スイッチオフ)したり外すなどして、運転コストを下げられるようにもなりました。

後期型で採用された動力制御の新システムは、文字通り「新機軸」と呼べるもので、同時期に投入された東海道・山陽本線の新快速用223系電車にも採用されています。
また2002年以降製造の207系電車からは、主電動機や制御装置など部品類の多くが223系電車と共通になり、製造や保守整備の合理化が図られました(減速ギア比の違いから、走行性能は異なります)。
同様のシステムは、他の鉄道会社にも徐々に普及し始めているようです。

3.初期型と後期型との併結運転時の編成パターン

JR宝塚線(福知山線)、JR東西線、学研都市線(片町線)で使用中の207系電車には、次のような編成パターンがあります。

(1)4両編成(うち2両が動力車)
 ・すべて初期型=23編成(大破した事故車も含む)
 ・すべて後期型=30編成
 ・初期型の3両編成中に後期型動力車1両を加えた編成=16編成

(2)3両編成(うち1両が動力車)
 ・すべて後期型の編成のみ=67編成(事故車も含む)

初期型は当初、4両+3両の7両編成で増備されましたが、1997年のJR東西線開業と同時の直通運転開始に備え、3両編成中に後期型動力車1両を加える編成替えが行われました。
初期型7両編成のままでは、編成中の主電動機が1個でも故障すると残り2両の動力車で運転しなければならず、その場合急坂の多いJR東西線の地下線区では総出力が不十分と判断されたためです。
現在の編成パターンであれば、余力が大きく主電動機が一部故障しても運転可能な後期型動力車が最低1両は連結されるので、故障時でもダイヤへの影響を最小限に抑えられると考えられます。
なお、7両すべてが初期型という編成は1990年製の試作車1編成のみで、4両と3両とに切り離せないこともありJR宝塚線等では使用されていません。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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2005年06月07日

尼崎JR脱線事故について (その10)

急報! ブレーキ異常の疑惑浮上 事故調が調査を進める

 6月7日付「読売新聞」:脱線電車と同様の車両連結「ブレーキ異常」
 同日付「読売新聞」:207系電車、製造時違う車両連結でブレーキ異常?

兵庫県尼崎市のJR福知山線で脱線した快速電車と同型の207系は、製造時期の異なる車両を連結した場合、一時的にブレーキが利きにくくなったり、強くかかり過ぎたりする現象が起きることが6日、わかった。
JR西日本の技術者が2000年12月の日本機械学会・鉄道技術(連合)シンポジウムで報告していた。快速電車も同様の連結で、事故当日、オーバーランを繰り返しており、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会などは関連を調べる。

 (出展:6月7日付「読売新聞」 脱線電車と同様の車両連結「ブレーキ異常」)

とうとう新聞にも書かれたか…と、記事を読みながら深いため息をついてしまいました。

事故当日の夜、現場からの中継画面に映った事故調委員の方々の重苦しい表情、そして「いくつもの原因が複雑に絡んだ事故。慎重な調査が必要」とする代表者コメントが改めて思い出されます。
207系電車の性能に事故直後から疑問を抱いていた私は、手掛りも無いまま幾つものアマチュア鉄道研究家の方々の個人サイトを訪ね、同型車には増備の途中、ブレーキも含む動力制御装置の大幅な設計変更があったことを知りました。
ここで驚いたのは、JR宝塚線(福知山線)では、設計変更前と後の電車とではまったく区別されることなく、常時併結運転が行われていたということです。
設計上で性能の異なる電車同士の併結運転は珍しいことではないのですが、常に高速で発車停車を頻繁に繰り返す条件下ではあまり聞いたことがなく、私は「オーバーランや減速エラーを誘発し得るのでは」と内心思ったのです。
そこで、報道を追いながらしばらく様子を伺っていたのですが、専門家の間からはそのような問題点の指摘は一向に無く、結局自分の抱いた疑問は素人考えに過ぎなかったのだと納得するようになりました。
それでもどこか釈然としない部分もあったので、5月26日付記事に挿入した表「各社主力電車の性能比較」の207系の欄内に、備考として「合理化のため後期型の動力装置は223系との共通点が多い。性能は初期型に合わせて調整され併結運転も行われている」とだけ、記しておくことにしたのです。
(表中に記した、東武東上線の9000型と9050型との間にもこれに似た設計変更がありますが、併結運転は行われていません。)
しかし、まさかと言うべきか、やはりと言うべきか、ここへ来てこの疑問に再度触れることになろうとは!?
事故の真相解明まで、どうやら相当の時間がかかりそうな気配です。

それにしても、4年半前の学会シンポですでに、JR西日本の技術者がこの問題点を報告していたとは、記事を読むまで知る術もありませんでした。
事故調委員の方々は当然詳しくご存知のはずですから、当初からブレーキ異常も視野に入れ、物的証拠の収集解析に力を注いでこられたことと思います。
昨日になって事故調が新聞取材に応じたのは、何らかの証拠が得られたからなのでしょうか?
それとも、学会報告をよく知る記者が、独自に関係者へインタビューして記事にまとめたのでしょうか?
もし事故直前の、運転士の不可解な動作の背景にブレーキ異常もあったとしたら、社会が受けるショックは計り知れないものがあります。
批判や責任追及は当事者ばかりでなく、車両の設計開発に関わったメーカーや研究者など、鉄道工業界全体にまで及ぶことになるかもしれません。
上記6月7日付「読売新聞」記事で、JR西日本は取材に対し、

「異なる番台(同型の車両の製造順や仕様の違い等を示す管理番号)でも(併結で)運用を続けているが、実際の運転に影響があったという報告はなく、全く問題ない」

と説明しているそうです。
同紙記者は、学会シンポで報告を述べたという「JR西日本の技術者」にも、取材することはできたのでしょうか?
今後の報道の展開も気になるところではあります。

<参考> 日本機械学会公式サイトからの引用です。

第7回 鉄道技術連合シンポジウム プログラム(抜粋)
 (J-RAIL 2000) 2000年12月13~15日開催

12月13日 OS20 特別セッション(車輪-レール系)
16.40~17.40 車輪滑走と制御 〔座長 曽根悟※(工学院大)〕
 1112 VVVF車両における電気ブレーキと空気ブレーキ
      との協調について(207系電車の場合)
 ○大上和久(JR西日本),今村洋一

※(管理人注)
曽根悟(そねさとる)工学院大学教授・東京大学名誉教授は、鉄道をはじめとする交通システム工学の専門家としてたいへん著名な方です。
事故直後からテレビの報道番組などに数多く出演されているので、覚えておられる読者もいらっしゃると思います。
5月26日にはJR西日本から、「企業風土の刷新」のため教授を社外取締役に迎える方針が発表され、話題になりました。

 5月26日付「神戸新聞」:JR西社外取締役 曽根・東大名誉教授就任へ
 5月26日付「読売新聞」:専門家の工学院大・曽根教授、JR西社外取締役に

私は学生時代、カメラを携え全国各地を鉄道で旅しましたから、今も鉄道への愛着は人一倍ありますし、ある程度の予備知識も持っています。
しかし、専門的に鉄道を趣味にしているアマチュア研究家の方々のようなレベルには、到底及びません。
今回の事故の悲惨さや原因の複雑さ、社会への影響の大きさを考えると、これ以上の深追いはもう、自分の力量では無理だろうと感じています。
まず最低限、207系電車の動力装置とブレーキの原理について間単にお話しし、後はテーマを地元の東武東上線の方へ移して行きたいと考えています。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年06月06日

尼崎JR脱線事故について (その9)

スピードアップ もう一つの理由

5月31日にJR宝塚線(福知山線)運転再開時の所要時間延長を公表したJR西日本は、同線快速用電車や東海道本線新快速用電車の予備車の増強も、合わせて公表しました。

 無理のないダイヤ編成で定時運転をしやすくすること。
 予備車を増強して車両故障に備えること。

安全で正確な輸送サービス提供のためには、どちらも欠かせない条件だと思います。
ここでは一見、2つの異なる計画を同時進行させるような印象を受けますが、同社が国土交通省へ提出した「安全性向上計画」の文面をよく読んだところ、両条件は元々密接に関連していることが分かってきました。
そこには、同社がこれまで必要最小限の車両数で高速過密輸送を賄ってきたことが、はっきりと記されています。

 6月4日付「神戸新聞」:予備車両80台増強 ラッシュ時 運用にゆとり

尼崎JR脱線事故を受けて、JR西日本は、新快速や快速として走る223系と207系の高速車両を新たに80両配置することを、4日までに明らかにした。
〔中略〕(同社が)国交省に提出した安全性向上計画の中でも、「(経営全般にわたる効率化の進展により、次第に余力が減少するなど、余裕のない事業運営となっており、こうした状況が)弾力性に欠けるダイヤ編成や輸送力の増強に対応した安全設備整備の遅れを招いた」と総括している。
これを受けて、安全性向上計画で「設備の信頼性向上」の項目で高速車両80両の導入に触れ、事故前の投資計画と比べて、80億円を上積みした。

 (上記6月4日付「神戸新聞」記事より)

上記引用文の補足として、次の「安全性向上計画」本文8頁目からの抜粋も、併せてお読みください。

1 安全に係る現状の総括(反省すべき点・課題)
 6.運行面・設備面での安全対策において

(3)車両配置について
・車両配置にあたっては、車両の運用効率の向上を図る観点から、全般検査、要部検査に必要な予備車は配置しているものの、車種によっては、車両故障等に対応する予備車が少ない状況にある。
・また、配置箇所での滞泊時間の短縮や車両の運用周期の長期化に伴い、車両故障時には、他区所からの臨時の運用や、検修計画の大幅な変更が発生するなど、現場作業に余裕がなくなり、厳しい車両繰りを強いることとなった。

 (計画の全文は、次の5月31日付JR西日本資料をご覧ください。)
   資料)安全性向上計画(PDF)

さて、JR西日本が車両性能限界の120~130km/hもの高速運転に踏み切った背景として、並走する私鉄との過度なスピード競争が指摘されています。
もとより、それが健全なサービス競争であれば、利用者からは好意的に評価されるでしょう。
しかし、安全対策が遅れているにもかかわらず、守れるはずもない運行計画を無理してまで実行しなければならなかったのは何故なのか?
「サービスアップ」も否定はできないのですが、根本的な理由は、まさに予備車両の不足にあったように思えます。
始発駅を出た電車が終点から速やかに戻って来なければ、後続の電車が足りなくなり、新たに車庫から出さなければなりません。
もしその余裕が乏しければ、予めダイヤ上で可能な限りスピードアップをして、車両運用の回転を早めるほかに有効な対策は無い訳です。
ただし、このような運用の仕方では、当然ですが車両や線路、送電施設などを酷使し、次第にそれらの検査周期や寿命を縮めて行きます。
今回の脱線事故では、これまでのところ県警が当初疑っていた車両や線路などの異常は発見されていません。
それでも、乗務員の間に予期せぬトラブルへの漠然とした不安が蔓延していたとすれば、精神的にもプレッシャーが増し、健全な職務遂行の妨げになっていたとも考えられます。
予備車削減でコストを切り詰めても、そのツケに後から追われる悪循環が事故の背景に潜んでいたとは言えないでしょうか?
国鉄民営化後、JR西日本の幹部は業績改善で早く企業としての社会的評価を得ようとして、成果を焦り過ぎていたのかもしれません。

〔続く〕

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 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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2005年06月01日

尼崎JR脱線事故について (その8)

*5月26日付「事故車、JR西日本207系電車の走行性能を検証」の続きです。

JR西日本が「安全性向上計画」に“所要時間延長”を盛り込む

 6月1日付「神戸新聞」:安全投資600億円増 JR西、国交相に計画提出
 5月31日付「朝日新聞」:JR西日本が安全性向上計画を提出

垣内剛JR西日本社長は昨日5月31日の午後、国土交通省本省を訪れ、北側国土交通相に安全性向上計画を提出しました。
 (計画の全文は、次の5月31日付JR西日本資料をご覧ください。)
   資料)安全性向上計画(PDF)

この計画案は、事前にJR西日本側と国交省側との内部間で協議を重ねた末まとめられましたが、各紙報道から読み取る限り、事故に対する反省の示し方については最後まで両者の間にすれ違いがあったようです。

 6月1日付「読売新聞」:社長決意「肉声」遠く…安全計画
 5月31日付「読売新聞」:安全性向上計画 「謝罪」と「誓い」盛る
 5月28日付「毎日新聞」:国交相、JR西社長に反省文書き直し求める
 5月25日付「神戸新聞」:認識ズレ大きく 「安全性向上計画」策定大詰め

当ブログ記事では数ある事故の反省点のうち、ダイヤ上の所要時間と制限速度との関連いついて、車両の性能も含めて取り上げてみたいと思います。

速度制限をめぐって、計画策定の段階でJR西日本と国交省との間には、次のような認識の違いが見られました。

JR西日本:
「速度は国の法令に基づいている。ルールを守っていれば事故は起きなかった」
「車両に能力があるのにスピードを落とすことは、乗客への背信だ」

国交省:
「ルールうんぬんよりも、あれだけの事故を起こしてしまったのだから、制限の見直しは当然」

 (上記5月25日付「神戸新聞」記事より)

紙面からは取材内容の一部しか窺えませんが、自粛運転での反省表明を求める国交省に対し、JR西日本側は理屈で抵抗していたように受け取れます。
結局、JR宝塚線(福知山線)は全線の最高制限速度を100km/h以下に抑制。東海道本線でも、新快速の所要時間については三ノ宮~京都間のうち、大阪までの間を1分延長するなどの見直しが盛り込まれました。

 5月31日付「読売新聞」:福知山線、最高速度100キロに抑制
 同日付「神戸新聞」:安全重視意外な波紋 三ノ宮―大阪・新快速1分延長

JR宝塚線(福知山線)の全線で100km/h以下に速度制限するのは、脱線現場となった急カーブの制限速度を70km/hから65km/hへ下げるとともに、手前の直線区間との制限速度差を35km/h以内に抑えるためだそうです。
同線では、運行再開に向けて新型ATS(自動列車停止装置)による速度超過防止対策が施されるとのことですが、どんなシステムでも「絶対安全」ということはないはずです。
複数のトラブルが重なって自動減速が間に合わない場合でも、脱線しないような運転計画や安全設計を考える余地は元々十分あったと言えるでしょう。
伊丹駅の前後以外は全線に渡りカーブの多い線ですから、そもそも100km/hを超えるような高速運転は、曲線が連続する区間に合わせた特殊設計の車両に限って行われるべきでした。
そうした車両であれば、車体が遠心力でカーブの外側へ傾くのを防ぐ機構が台車に装備され、重心も低く一般の車両より高速で走行することができます。
もっとも製造費や維持費がかかることもあり、JR西日本では今のところ、他の路線の一部の特急にしか投入していません。

また東海道本線についてですが、新快速用の223系電車は確かに130km/hで走行できる性能を備えています。
ただしその性能をフルに発揮させるには、新幹線のように途中通過駅のコースをなるべく直線に近付けるなど設備の改良が前提になります。
伊丹市の村山さんがメールで教えてくださった現役運転士さんの証言を読ませていただく限り、現実の新快速は走行性能を発揮しにくい設備環境で、ギリギリまで背伸びしたダイヤで運行されているようです(5月17日付記事参照)。
物理的に設備改良が不可能なら、減速後スムーズに130km/hまで再加速できる性能を電車に持たせなければなりません。
技術的には、採算が合うなら編成中の動力車の両数(モーター付車輪の数)を増やすことで解決できる問題なのですが、223系はその数を徹底的に減らす方針で開発された車両だったのです。

〔続く〕

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2005年05月28日

尼崎JR脱線事故について (その7)

5月26日付記事の続きを中断し、27日現在の新しい情報をお知らせします。

速度超過防止用ATS等の整備義務付け
国土交通省がカーブの基準や鉄道各社の対象か所数を公表

 5月27日付「神戸新聞」:ATS必要2400カ所 尼崎JR脱線
 5月27日付「読売新聞」:ATS新設必要 48社2400か所 国交省が通達

国土交通省は尼崎脱線事故の対策として、去る5月9日に速度超過防止用ATS(自動列車停止装置)等の整備を鉄道事業者へ義務付けることで決定。緊急整備の対象となる急カーブについて理論的な調査基準を示し、鉄道各社へ調査を求めていました。
昨日27日、同省は各社提出の調査結果から割出した対象か所数を公表するとともに、ATSの設置基準を通達。この基準に基づき再精査した上で、6月末までに具体的な整備計画を提出するよう各社へ指示しました。
なお、計画作成に際して新型ATSの導入までは義務付けていませんが、旧型ATSの改良は求めています。
また、中小私鉄への財政支援も検討されるとのことです。

 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
 ○5月9日 第5回対策本部を国交省本省で開催
  急曲線に進入する際の速度制限に関する対策等について
   資料)ATSによる曲線速度超過対策の例(PDF)
 ○5月27日 大臣会見
  急曲線に進入する際の速度制限に関する対策について
  ~速度超過防止用ATS等の緊急整備~
   資料)試算された条件をあてはめた場合の曲線の個所数(PDF)

再び求めたい、鉄道界全体での安全への取組み

私は5月16日付記事の中で、「事故の背景が徐々に明かされつつある今、かつて経験し得なかった新たな課題を鉄道界全体に突きつけた事故なのでは、とも思い始めています」と書きました。
その「新たな課題」へ取組む第一歩が、今ここに踏み出されたのだと期待しています。
鉄道は人の生命を預かる産業でありながら、道路交通や航空、船舶などに比べると、安全基準や従事者のための教育指針・資格などの情報が、あまりにも一般に公開されてこなかったように思われます。
確かに、自家用として広く普及している車やヘリコプター、ボートなどと違い、鉄道はまず専属の職員しか運行に従事しませんから、設備も含め事業者に一切の管理を委ねようという考え方もあるかもしれません。
しかしそれでは、事業者の安全に関する質を私たち利用者が見極めることは、なかなかできません。
これまで、鉄道事業者が何らかの経営判断を下そうとしたとき、関与できたのは国、地方自治体、筆頭株主、主要取引銀行くらいだったと思います。
そのうち、もし安全より目先の利益が優先されようとした場合、抑止力になるとしたら法による国の規制以外は無いのではないでしょうか。
けれど、だからといって規制ばかり増やして行くと、鉄道の経営や技術開発が萎縮してしまう心配があります。

では、どうすれば良いのでしょう。
ほかの乗り物や公共交通であれば、事業者側が重大ミスを起こし得るなら、「買わない」、「乗らない」という選択を示すことで、顧客や利用者側からも安全強化を促すことができるでしょう。
それに比べ、鉄道事業者には路線を占有できる強みがあり、利用者は選択の自由を縛られているのが実情です。
今回事故を起こしたJR宝塚線のように他社との競争が激しい線区でさえ、「安全こそ重要なサービス」という競争意識は、少なくともJR西日本側には芽生えなかったようです。

私は、必要なのはやはり、各事業者からの安全管理に関わる積極的な情報公開と、そのための国による何らかの指針の策定だと思います。
そして、管理基準については単に規則で義務付けるだけでなく、さらに何段階かの努力目標とすべき基準を設け、それが満たされた線区については第三者機関からの認定が受けられるような制度も有効なのではないかと思います。
認定を得る過程で目標達成度については逐次情報公開されますから、利用者からの関心や評判は高まるはずです。
同時に、沿線の付加価値や鉄道事業者の評価を高める意味でも、自治体、株主、銀行等の理解や協力も得やすくなるのではないでしょうか。
例えば、危険な踏切への跨線橋(歩道橋)設置などは自治体の協力も必要ですが、沿線利用者にとって身近な地元自治体との共同事業も認定対象になれば、利用者の安全対策への参画も一層しやすくなると思います。
 (共同事業の事例は、次の4月22日付東武鉄道資料をご覧ください。)
   資料)東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近における緊急踏切対策について

もっともそれ以前の問題として、JR西日本に限って見れば、社内での情報共有の仕方についても見直す必要があるように感じました。
事故後のJR西日本側の記者会見をニュースで見ていたときも、カーブの危険性やATSシステムなどについて、会社幹部らは報道陣の質問に対し、正確に答えられていたとは思えませんでした。
特にATSについてですが、旧型(ATS-S)でも応用次第で、カーブやポイントなど、速度制限か所の手前での速度超過に対する自動停止は可能です。
一方新型(ATS-P、大手私鉄でも同様のタイプを広く採用)は、主に運転士が黄色信号を見落としたときの自動減速のために開発されたもので、これも意図的に応用しなければ制限か所手前の速度超過防止には役立たないのです。実際、新型ATSを急カーブなどでも役立てている路線は、全国的にまだ限られているようです。
 (新、旧別の対策方法は次の5月9日付国土交通省資料をご覧ください。)
   資料)ATSによる曲線速度超過対策の例

また運転技術の研鑽についても、乗務員同士の意見交換が円滑に行えるような職場環境を整えるなどし、かつ現場からの提言を会社経営に反映できるような企業改革も必要だと思います。
新人運転士が、ベテランでさえかつて経験したことのないような短い駅間での高速運転に対し、もう孤独な運転席での試行錯誤に悩まされることがないようにして欲しいものです。

1960年代の高度経済成長期には、急速に増え続ける輸送需要への対応に追われ、古い車両や設備の交換が追い着かず、三河島や鶴見の脱線衝突事故のように重大な鉄道事故が相次ぎました。
しかし当時は、安全対策を人員の配備で強化できる時代でもあり、その貴重な経験は鉄道界全体の財産として、人から人へと受け継がれて行きました。
今は、鉄道技術も随所で各社独自のノウハウによる自動化、ハイテク化が進み、並行して経営合理化のための人員削減も行われる時代になりました。
車両も設備も、見かけは確かにどの路線も立派になってきましたが、それらを使いこなすのは結局人です。にもかかわらず、頼りとなるはずの装置の品質など、どうも人の目に見えない部分で各社間に差が生まれつつあるようです。
鉄道の「安全神話」を受け継ぐには、現場にも、事業者にも、行政にも、そして私たち利用者にも、暖かい人間の眼差しが必要なのだと感じています。

〔続く〕

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2005年05月26日

尼崎JR脱線事故について (その6)

事故車、JR西日本207系電車の走行性能を検証

今回脱線事故を起こした電車は、207系と呼ばれる比較的新しい電車です。
グループ各社に先駆けJR西日本が独自開発した新性能通勤電車で、1990年代初めに近畿圏へ続々投入された後、宝塚線(福知山線)・東西線・学研都市線(片町線)直通の快速運用を中心に使用されています。
1960年代以来あまり改良のなかった国鉄時代の電車に比べ、走行性能や節電効果を高めるための新機軸が積極的に盛り込まれており、デビュー当時は「ハイテク電車」として注目を集めたようです。
その性能を改めて検証するため、次表に一連の記事中で取り上げた他の電車との比較をまとめてみました。


(↑画像をクリックすると大きなサイズでご覧になれます。)

比較対照としたのは、同じJR西日本の東海道・山陽本線新快速用223系、私の地元で東武鉄道東上線の地下鉄直通用9000系、そして京浜急行の京急本線快速特急用2100形(がた)の3車種です。
車種ごとの諸元は次の各社の公式サイトを参照しました。東武、京急が詳しく情報公開しているのに対し、JR西日本は製造初年と最高速度だけでしたので、仕方なくネット検索で複数のアマチュア鉄道研究家の方々のサイトを参照させていただきました。

 *各鉄道会社公式サイトと車両紹介のリンク集*
 JR西日本鉄道ギャラリー 車両図鑑 207系
 JR西日本鉄道ギャラリー 車両図鑑 223系
 (↑上記各車両の詳しい諸元は公式サイトに記載されていません。)
 東武鉄道電車の設備概要
 京浜急行京浜急行車輌図鑑 2100形

なお余談ですが、東武鉄道は1897(明治30)年創立、京浜急行電鉄の前身は1898(明治31)年創立で、現存する日本の鉄道会社としては特別に長い歴史を持っています。

最高速度だけが走行性能の評価を決めるのか?

走行性能について最高速度しか誇ろうとしないJR西日本のコマーシャル意識には、正直落胆しました。
私が一番知りたかったのは、表の「最高速度」欄の隣に記した「加速度」の方だったのです。
加速度とは、発車してからある程度の速度に達するまでに、毎秒、時速何キロずつ速度が上がって行くのかを示した値です。
間接情報では、207系の加速性能は国鉄時代の水準よりも改良されているようですが、ご覧のように、私鉄にはもっと加速性能の高い電車も在籍しています。
宝塚線の快速は停車駅が多く、最高速度で走れる区間も短いことから、無理に速度を上げてもダイヤが遅れた場合の回復効果は少ないことが、事故調の調査でも確認されています。
加えて、207系電車は開発段階ですでに、地下を走る東西線への乗り入れが予定されていました。
地下区間は公道に沿って建設されるため、急な勾配やカーブが多く、使用される電車には高速性能より加速性能の高さを求められるのが普通です。
私には、設計時点でモーターの減速ギア比をより大きくし、最高速度を若干下げてでも加速性能を高めた方が、始発から終点までトータルでの所要時間を縮められたように思えるのです。

東武東上線の9000系電車は四半世紀も前に基本設計が成されましたが、東京地下鉄有楽町線に乗り入れる関係で、最初から加速性能重視で開発されました。
当時は建造コストのかかる電車で、増備も乗り入れに必要な両数に抑えられましたが、今日ではコストの問題もほぼ解消されています。
その結果東武では1996年秋以降、新造通勤電車は一貫して加速性能が優れた車種を投入し続けています。
なお東武は公式サイト上の電車の諸元欄で、非常ブレーキの性能(減速度)も公開しています。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
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2005年05月25日

尼崎JR脱線事故について (その5)

事故から1か月 事故調が初の公式見解示す

今日で事故から1か月が経ちました。
23日の兵庫県警の発表によれば、19日現在でけがをされた方は549人にのぼり、うち入院中の方は139人とのことです。
気がかりなのは、なお重体の方が6人もおられるということ。あらためて心からお見舞いを申し上げます。

 5月23日付「朝日新聞」:JR脱線事故、25日で1カ月 なお139人が入院
 5月24日付「読売新聞」:尼崎脱線 重体なお6人

さて、新聞報道によると昨日24日、事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)は事故発生の経緯について、遅れの回復を焦った運転士が「カーブぎりぎりまでブレーキ操作を遅らせようとした結果、大幅な速度超過でカーブに進入、脱線を引き起こした」とする初見解を公式の場で示しました。
5月25日付「読売新聞」記事より)

 5月25日付「神戸新聞」:運転士「遅ればん回で焦り」 事故調初見解
 5月25日付「神戸新聞」:「車両に異常なし」事故前乗務の運転士ら証言
 5月25日付「読売新聞」:福知山線 遅れ回復 30秒限界
 5月25日付「毎日新聞」:事故車両、非常ブレーキ4回「運転士、負い目に」

事故調の担当委員はこの日、国交省本省での会見で、事故を起こした運転士の心理状態に関する分析を次のように報告しています。

1.事故直前の心理状態について
「遅れを取り戻そうという一心で、カーブ手前で極力、強いブレーキをかけるつもりだったのだろう」
5月25日付「読売新聞」記事より)
事故を起こした快速電車は遅れを回復する時間が設定されていない「余裕時分」ゼロの厳しいダイヤで、事故調委は心理的な負担がその後の運転に影響したとみて、高見運転士の心理状況なども詳しく調べる。
5月25日付「神戸新聞」記事より *8月20日引用追加)
<参考>
事故を起こした快速電車は、ラッシュ時間帯からデータイムに入った3分後に宝塚駅を発車。しかも、余裕時分ゼロの電車の中でも最短の1本だった。データイムの余裕のなさが運転士に過度の重圧を与えていたとみられる。
5月24日付「神戸新聞」記事より *8月20日引用追加)

2.始発駅への回送中に赤信号を見落としたことについて
「宝塚を定時で出発しているが、ATSの非常ブレーキで止まるのは運転士にとって不名誉なことで、運転指令所にも連絡していなかった。それが負い目になり、通常の運転ではなかった可能性がある」
5月25日付「毎日新聞」記事より)

なお、ブレーキなど車両の異常についても調査が進められていましたが、現時点ではトラブルの形跡はなく、前日に事故車へ乗務した複数の運転士からも「異常はなかった」との証言が得られています。
5月25日付「神戸新聞」記事より)

また、通常の運転ではカーブ手前の塚口駅付近から減速を始めますが、その後の直線部分で電車の性能いっぱいまで高速運転を続けたとしても、最大30秒しか所要時間を短縮できないことも確認されました。
5月25日付「読売新聞」記事より)

〔続く〕

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 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
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2005年05月24日

尼崎JR脱線事故について (その4)

時速120km運転は速過ぎか?

JR西日本宝塚線(福知山線)の直線区間の最高制限速度は、2003年12月のダイヤ改正で100km/hから120km/hへ引上げられました。
一気に20km/hのアップですが、在来線でのこの速度は特に目新しいものではありません。
旧国鉄(現JR)が1968(昭和43)年10月1日に実施した「ヨン・サン・トオ」と呼ばれるダイヤ改正で、電車特急「とき」(上野~新潟間)が高崎線内で120km/h運転を開始した経緯があります。
もっとも、その後長い間、この水準での高速運転は途中停車駅の少ない長距離特急などに限って行われてきました。

ところが、今回120km/hで高速運転した後事故を起こしたのは、通勤区間を走る停車駅間隔の短い快速電車です。
宝塚を出ると、尼崎までの7駅のうち、通過するのはたった3駅のみ。
この間をノンストップで走る特急などと違い、途中の伊丹駅を出てから現場の急カーブまで、わずか4kmちょっとの距離しかありません。
参考までに私の地元を走る東武東上線で例えると、この距離は小川町から次の武蔵嵐山までの途中、嵐山町志賀の信号所付近までの間に相当します。
線形が違うので比較はできませんが、120km/hに達した後、速度を50km/hも落とすまでどれほど短い距離しかないか、運転の煩雑さが窺えます。

数年前に私が宝塚線の快速に乗車したとき、最高制限速度は東上線と同じで、まだ100km/hでした。
それが先のダイヤ改正で120km/hまで引上げられていたことを、事故のニュースで初めて知ったとき、内心かなり驚かされてしまいました。
そこで、ほかにもこのような運転が行われている路線はないか、時刻表やネットなどで調べてみましたが、今のところまだ見当たりません。
伊丹市の村山さんがメールで教えてくださった、同じJR西日本の新快速にしても、最高の130km/hまで出す区間の駅間距離は10km以上離れています。
首都圏の私鉄でも、京浜急行の品川~横浜間で快速特急(JR西日本の新快速に相当)が最高120km/h運転をしていますが、やはり駅間距離には余裕があります。

最高速度いっぱいで走り続けることができる最も距離の長い区間が、わずか4kmちょっと。その一寸先は制限速度70km/hの、半径300mの急カーブ。
宝塚線の快速は、ダイヤ改正から脱線事故までの約1年半、前代未聞の過酷な運転を強いられてきたのだと言えそうです。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
 共同通信社ニュース特集・尼崎JR脱線事故
 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月23日

尼崎JR脱線事故について (その3)

事故調の最新情報 運転士の心理状態と脱線事故との関連について

 5月23日付「神戸新聞」:始発駅でATS作動し非常制動 尼崎JR脱線

 *その後の追加情報リンク*
 5月24日付「神戸新聞」:非常ブレーキ30分に3回 死亡の運転士
 5月24日付「神戸新聞」:非常ブレーキ4回作動 始発から脱線事故まで
 5月24日付「読売新聞」:始発前 降格級のミス 高見運転士、報告もせず
 5月24日付「朝日新聞」:非常ブレーキ計4回 「異常な状況」JR脱線事故調
 5月25日付「毎日新聞」:事故車両、非常ブレーキ4回-事故調解析

新聞報道によると22日、事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)はATS(自動列車停止装置)記録装置の分析から、亡くなった運転士が事故車を始発駅へ回送する際、赤信号で停止しなかったためATSによる非常ブレーキが作動していたことを確認しました。
後部に乗務していた車掌の証言では、運転士が自ら非常ブレーキをかけたものと思いホームで理由を問いただしたものの、無視して運転席に向かったそうです。
この不自然な対応から、運転士が自分のミスあるいは車両の異常等を故意に隠そうとしていたか、平常とは違う心理状態にあった疑いが強まってきました。
事故調では、運転士の心理状態と脱線事故との関連についても解明するとのことです(上記の追加情報リンクもご覧ください)。

当ブログでは、事故の真相については専門機関の正式な報告を待つこととし、以前ご紹介した伊丹市の村山さんの近況をお伝えするとともに、これからの鉄道の安全対策について沿線利用者がどう参画できるか考えたいと思います。

在来線の最高制限速度の基準について

田中邦裕さんのブログ、『たなか@さくらインターネット』の5月11日付記事に、在来線の最高制限速度の基準についてこんな説明があります。

法令での基準があるとすれば、「踏み切りのある路線においては、非常ブレーキ後600m以内で停止しなければならない」と言う、国土交通省から出された技術基準だけです。 〔中略〕(その基準も今は)規制緩和の流れの中で「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」に変更され、600mルールは無くなりました。

「非常ブレーキ後600m以内で停止」という以前の基準は、鉄道趣味誌等では新型車両の特集記事などでしばしば話題に取り上げられていました。
このことは、いかに最高制限速度を上げるかは、パワーアップよりブレーキの改良にかかっていたことを裏付けていると言えるでしょう。
しかし、当局や鉄道会社が利用者に向けて、広く基準を公開したことはなかったように思います。

さて、「スピードアップ」は昔から、鉄道会社の宣伝文句としてたいへん注目されてきました。
今もダイヤ改正の前に、「最高時速○○○キロ運転開始!」などのキャッチコピーが入ったポスターを、駅や車内で見かけることがあります。
かつてはこうした謳い文句も、利用者からはあくまで“公称値”という印象を持たれてきたと思います。
実際問題として、制限いっぱいの高速運転には、相当高度な運転技術が要求されます。
例えば下り坂を走る場合、最高速度に達したら直ちに加速をやめ、ブレーキ操作(車両の機能によっては定速運転操作)に移らなければ簡単に速度超過してしまうでしょう。
上り坂から徐々に平坦コースへ変わる部分も速度超過しやすく、高速運転の難しいところです。自動車の運転と同じですね。
このためダイヤ上では、あえて最高速度を出さなくても定時運転が保てるよう、運行計画に余裕を持たせるケースがほとんどだったようです。
制限速度のアップ分は、ダイヤの遅れを取り戻す分というより、運転操作をしやすくするための速度超過までの余裕分、と考えることもできたのです。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

 *通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
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 「神戸新聞」特集・尼崎JR脱線事故
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 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
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2005年05月17日

尼崎JR脱線事故について (その2)

参考図書のご紹介

1.『列車ダイヤのひみつ』富井規雄 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/rikukoutu/ressya-himitsu.html
 ○著者紹介(電気通信大学大学院 教員紹介ページより):
    http://www.is.uec.ac.jp/ww/s56.html

本書は、鉄道関係の良書を刊行している出版社として定評のある成山堂書店から、今年2月に発売された新刊です。
著者は、電気通信大学大学院の客員助教授でもある、(財)鉄道総合技術研究所の富井規雄さん。

本書の目次を見ると「3.遅れないダイヤを作る」とあり、「4.遅れないように運転する」の各節には「運転士の訓練」、「乗客が列車を遅らせる」、「事故を未然に防ぐ」とあります。
今回事故を起こした快速は途中駅の乗客の乗降で遅れが生じ、運転士の回復運転への焦りから伊丹駅でのオーバーラン、そして急カーブでの速度超過による転倒脱線に至ったと見られています。
JR西日本宝塚線(福知山線)の各電車とも、ダイヤ上で遅延回復の余裕時分が見込まれているのに対し、この快速に関しては余裕ゼロだったことが、すでに県警の捜査で確認されています。
事故を誘発した要因を探るには、富井さんが説くダイヤの「ひみつ」と、現実の同線ダイヤの「ひみつ」との違いを、じっくり比べてみる必要がありそうです。
乗客の視点にも立って書かれた本書は、沿線利用者が事故防止への取組みに参画するための“貴重な手引き書”とも言えるでしょう。

2.『クイズ鉄道100線の歌』村山茂 著(成山堂書店刊)
 ○版元公式サイト
  トップページ:http://www.seizando.co.jp/
  本書紹介ページ:
    http://www.seizando.co.jp/mokuroku/tetsudo.html
 ○表紙画像(紀伊國屋書店BookWeb 本書紹介ページより):
    http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4425923111.html

前回もお話しした伊丹市の村山茂さんは小学校で先生をしていらっしゃいますが、29才のとき、1985年までは国鉄(現JR西日本)にお勤めでした。
鉄道への深い愛着から子供さんも対象に執筆された『クイズ鉄道100線の歌』という著書も成山堂書店から刊行されていますので、この場をお借りしてご紹介したいと思います。村山さんにとっての記念すべき処女出版です。
(手前味噌で恐縮ですが、私もイラストを少し描かせていただきました(^^;ゞ)
本書は、全国のどのJR線を歌ったものか、歌詞をヒントに当てるという楽譜付のユニークなクイズ集です。
作詞、作曲はもちろん、ピアノがご趣味という村山さんご自身の作!
(奥さまもピアノの先生です。)
実際に各線を訪ねて書かれた写真付の解説も楽しく、国鉄時代に職場で学んだ数々の体験談もコラム「待合室」として挿入されています。

村山さんがメールで伝えるJRスピードアップの現状

村山さんからいただいたメールによると、犠牲者が最も多かった前から2両目は尼崎、大阪を経て地下鉄御堂筋線に乗り換えるのにも便利で、事故の1週間前にも2両目に乗ったばかりとのことでした。そして、

「あのカーブは私もいつも気になっていたとこで、レールのきしむ音がよくきこえます。さらにカーブの東海道線をわたる陸橋も運転士が苦労しているようです」

と、以前から抱いていたスピードアップに伴う不安を話してくださいました。
また、ほかにも次のようなスピードアップの例を挙げてくださいました。

「京都から姫路間の新快速の運転士から聞いた話ですが、停車駅が増えても所要時間がかわらないので、かなり疲れるようです。私が車掌をしていたときでも、京都と大阪(ノンストップ)が29分でかなり速かったです。それが今では新大阪と高槻に停車して27分ですから、それこそびっくりするような速さです」

この新快速は2000年3月11日のダイヤ改正で、全て223系という最新型車両に置換わり、全便とも最高速度130km/hでの運転が開始されました。
村山さんが乗務されていた頃の新快速は、比較的直線部分が多い複々線の内側線(各駅停車用)を走っていたそうです。その後、増発に対応するため運転本数に余裕のある外側線(長距離列車用)に、ルートが変更になりました。
ところが外側線は、通過駅では用地の都合上、ホームの外周をS字カーブ(反向曲線)で迂回する線形が多く、どうしてもスピードダウンになってしまいます。

「ですから少し遅れるともう必死です」

と、最高速度をできるだけキープしながらも頻繁に加減速や途中駅停車を繰り返す運転について、その難しさを説明してくださいました。

〔続く〕

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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 「朝日新聞」ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
 「毎日新聞」尼崎列車脱線特集

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2005年05月16日

尼崎JR脱線事故について (その1)

4月25日午前9時18分頃、兵庫県尼崎市で発生したJR西日本宝塚線(福知山線)脱線事故から、今日で3週間が経ちました。
この日、伊丹駅を1分半遅れて発車した上り快速電車は、遅れの回復運転で速度を上げたまま現場の急カーブに進入し、転倒脱線を起こしたようです。
死者107人、負傷者461人(5月1日現在)という大惨事に、私も胸が重苦しくなるような思いで毎日を過ごしています。
今はただ、お亡くなりになられた方々のご冥福と、怪我をされた方々の1日も早い回復をお祈りするばかりです。

 西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
 国土交通省福知山線における列車脱線事故について
    同   :航空・鉄道事故調査委員会

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 「読売新聞」特集 尼崎・脱線事故
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ご無事だった伊丹市の村山茂さん

覚えておられる読者もいらっしゃると思いますが、昨年このブログに12月4日付で、「『阪神・淡路大震災から100学んだ』出版 (伊丹市の村山茂さん)」という記事をご紹介しました。
村山さんも伊丹駅は日常的によくご利用になるので、私も事故直後から安否がたいへん気がかりでした。
その後、メールでご家族の皆さまとも事故には遭われなかったことがわかり、本当にほっとしました。

現場となった尼崎~塚口間の急カーブは、私も村山さんのお宅を訪問する際、何度か通ったことがあります。
数年前なのでまだ快速のスピードアップはされていませんでしたが、自分が乗ったことのある区間で、乗ったことのある207系電車が、まさかあのような大惨事を起こすなんて。
直後のテレビ中継を目にしたとき、私は愕然として何も言えませんでした。
事故の真相は、警察や事故調(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会)の報告を待つよりほかにありませんが、当事者のJR西日本も調査に協力すべく、情報開示を積極的に進めて欲しいと思います。

どのような性格の事故だったのか!? 今後の対策は!?

 ・1962(昭和37)年5月3日、国鉄(現JR東日本)常磐線三河島事故
   …死者160人、負傷者296人
 ・1963(昭和38)年11月9日、国鉄(現JR東日本)横須賀線鶴見事故
   …死者161人、負傷者79人

「三河島」、「鶴見」とも、日本の鉄道史上で重大事故の象徴のように語り継がれてきた事故です。
いずれも、貨物列車の脱線現場に2本の電車が相次いで巻き込まれるという、悲惨な多重衝突事故でした。
その後、事故の教訓からATS(自動列車停止装置)が全国に普及し、また脱線原因についても実験線で実物車両を用いた詳細な研究が進められました。
死者50人を越す大事故は今回の脱線事故まで42年間皆無で、それだけに日本の鉄道界が誇ってきた「安全神話」の崩壊は世界中に衝撃を与えたと報じられています。
現場へは反対方向からも特急が接近中でしたが、その運転士が前方の異常に気付き緊急停止するとともに、防護無線で付近の列車を一斉停止させたとのことです。
危うく二重三重の事故になるのを回避できたのは、正に不幸中の幸いでした。
かつての大事故を知る人なら、誰もが今回の事故から当時のことを思い出したことでしょう。

スピードを出し過ぎ、急カーブで脱線。
私ははじめ、これは極めて初歩的な事故なのでは、という印象を抱きました。
と同時に、JR西日本の経営や労使関係などに、何か固有の問題が潜んでいるのでは、とも疑いました。
しかし事故の背景が徐々に明かされつつある今、かつて経験し得なかった新たな課題を鉄道界全体に突きつけた事故なのでは、とも思い始めています。

高度経済成長最中の首都圏で起きた60年代の大事故は、急激な運転本数増に現場の設備や技術が追い着かなかったという社会的背景がありました。
それゆえ、事故後の様々な対策は国家プロジェクトとして、国の予算を用いて進められてきたわけです。
一方今回の事故の背景としては、現場付近を並走している阪急宝塚線に対する、過度なスピード競争の存在が指摘されています。
そのことから、マスコミの報道はJR西日本の経営のあり方に対し、関心が集中してしまっているようです。

後で述べますが、私はいろいろと調べてみた結果、鉄道技術はハード、ソフトとも、まだまだ発展途上中にあるのだと、認識を新たにしました。
その可能性が活かされるかどうかを考えたとき、当事者となる特定の鉄道会社に経営責任を負わせるだけでは、鉄道の将来に水を差すだけで何の展望も開けないのではないかと心配しています。
この事故を契機に、整備新幹線やリニアモーターカーなどと同じくらい、在来線の安全対策や可能性についても、社会全体の関心や期待が注がれることを望んでやみません。

長くなりますので、尼崎JR脱線事故について思うことは、今後数回に分けて述べたいと思います。
また、比企地域と都心とを結ぶ主要鉄道網のひとつである東武東上線についても、後ほど検証してみたいと思っています。

参考ブログのご紹介

田中邦裕さんのブログ、『たなか@さくらインターネット』の5月11日付記事、
「実は裏付けの無い最高速度」にトラックバックします。

尼崎JR脱線事故についてネット検索していたら、偶然にも、さくらインターネット(株)取締役最高執行責任者という方の個人ブログを発見しました。
管理人の田中邦裕さんは、私も昨年秋からブログCGI「Movable Type」設置を機に利用させていただいている同社レンタルサーバサービスの創業者です。
もちろん、田中さんご自身も「Movable Type」の愛用者(そうでなくっちゃ!)。
自己紹介を読ませていただいたら、何とお生まれは1978年! 27才という若さではないですか(羨ましい)。
創業はまさに、日本のインターネット黎明期にあたる1996年。舞鶴工業高専在学中だった18才のときから、この事業を始められたんですね。
同社の料金設定は極めてリーズナブル。サービスメニューも無駄なく充実。サイトデザインも私好みです(公式サイトはこちら)。
田中さんがいなかったら、今の私のサイト運営もあり得なかったんだろうな~と感じています。とっても頼もしい限り(^^)
(そう言えば、さくらインターネットとの出会いも、偶然アフィリエイト広告を目にしてでした。)

さて、もう一度田中さんの自己紹介にお話しをもどしますと、ご趣味は「旅行」とあります。具体的にはやはり、「鉄道旅行」(嗚呼、懐かしい響き…)なのでしょうか?
脱線事故に関する一連のブログ記事を拝読しますと、鉄道について非常に造詣が深いので驚きました。

新幹線の実験中に車輪の蛇行動で脱線しかけたと言う話がありました。しかし、これは乗客を乗せる前の実験段階であり、その後も繰り返し実験行い、ある程度の確証を得た上で制限速度を設定しました。〔中略〕今後、シミュレーションや実験などの客観的な裏付けを行い、根拠のある速度制限の方針を明確に打ち出し、安全が担保できる最高速度を設定していくことが、国に突きつけられた大きな課題ではないでしょうか?

とのご意見には、大いに共感を覚えます。皆さまにもご一読をお勧めします。

〔続く〕

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2004年12月09日

東上線ダイヤ改正で小川の夜に革命!? (2005年3月17日)

「東武東上線ダイヤ改正 2005(平成17)年3月17日(木)実施」

東武鉄道(株)は12月7日、東上線(池袋~小川町~寄居間、営業キロ75.0km)のダイヤ改正を2005(平成17)年3月17日(木)に実施すると発表しました。
概要は8日、同社の公式サイトでも公開されました。
また、同社によると2007(平成19)年度中にも東上線ダイヤ改正を予定しているそうです。
こちらの資料の中で触れられています(PDF)。

  ○「TOBULAND 東武鉄道沿線情報」(東武鉄道の利用者向け公式サイトです)
    トップページ:http://www.tobuland.com/
    関連記事見出しページ(What's New「乗る」欄12月8日付):
     http://www.tobuland.com/whats_new/index.html
     「東上線全線でダイヤ改正を平成17年3月17日(木)に実施します」(PDF)
     http://www.tobu.co.jp/news/2004/12/041207.pdf

今回のダイヤ改正は、武蔵嵐山~小川町間信号所新設と併せた複線区間延伸に伴うものです。
電車増発が大きな目玉で、私たち小川町住民もその実現を長年待ち焦がれていました。

  ※話題のこーなー(2003年5月18日 記)
    「東武東上線 複線化工事進む」

この改正で特急は、池袋~小川町間を最短59分、遅くても61分で結ぶようになります(車両はほかの電車と同じですが、特急料金や前売券は不要です)。
ただちょっと残念なのは、土・休日のみの運転になってしまうこと。
もっともその代わりに、池袋~小川町間の急行は大幅に増発され、全体的な便利さはぐんと増すことが期待できます。

私が特に画期的だと感じたのは、平日夕方ラッシュ時の増発。
何と、池袋発17:00~20:00まで、毎時5本の急行すべてが小川町行きになります。
また、平日の小川町発池袋行き最終は現在、22:52の準急(池袋着0:09)ですが、それまでの上り電車の運転頻度も改正後は増えることが予想できます。
つまり、夜の小川の交通の便が、飛躍的に良くなる!

・この春オープンしたばかりの“おがわ温泉花和楽の湯”
・焼きとん(豚かしら肉串焼き)が評判、町外のファンも多い駅前通りの“太田ホルモン”
(まだまだあるけど、あんまり教えると常連さんたちから怒られそう^_^; )

東上沿線にお住まいのみなさん。休日のハイキングだけじゃないですよ。
これからは通勤、通学、買い物帰りもちょっと足を伸ばして、武蔵の小京都、小川町の夜の旅情を満喫してみませんか?
電車なら地酒だって、地ビールだってぜんぜん平気。お待ちいたしております<(_ _)>

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2004年10月26日

『懐かしい東上線風景』のポスターを車内展示(10月30日~11月14日)

開業90周年を記念し、『懐かしい東上線風景』のポスターを車内展示

東武鉄道(株)では東上線(池袋~小川町~寄居間、営業キロ75.0km)が開業90周年を迎えたことを記念して、「懐かしい東上線風景」のポスターを車内展示します。
展示に使われる車両は主力通勤電車の8000系。
1963(昭和38)年のデビュー当時のボディーカラーに復元されるということで、鉄道ファンの注目も集めています。
ベージュとオレンジのツートンカラー・・・覚えている方、いらっしゃいますか?

≪詳細≫

 【期 間】10月30日(土)~11月14日(日)
 【場 所】旧塗装8000系の車内にて(1編成6両)
 【時 間】常時営業運転
 【主 催】東武鉄道(株)
 【問合せ】東武鉄道(株)東上業務部営業課
   〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-15-2
   電話03-3985-4164

  ○「TOBULAND 東武鉄道沿線情報」(東武鉄道の利用者向け公式サイトです)
    トップページ:http://www.tobuland.com/
    東上線開業90周年記念行事関連ページ(「What's New」9月27日付):
     http://www.tobuland.com/whats_new/index.html
     http://www.tobu.co.jp/news/2004/09/040924-1.pdf(PDFファイル)

≪付記≫

旧塗装8000系は、翌年2月頃まで運転されます。
また、運転初日の10月30日(土)には、お披露目の臨時電車も運転されます。
(注:乗車申込み受付は終了しています。)

 池袋9:33発→(途中ノンストップ)→森林公園10:28着

今回旧塗装に復元される車両は、1963(昭和38)年に製造された東上線の最古参です。
当時としては優秀な台車を備え、座席のクッションも上等で、41年を経た今もその乗り心地は他社線の最新型通勤電車と比べてまったく遜色がないように思います。
(個人的には、初期の8000系が東上線では一番揺れが穏やかだと感じています。)
8000系は20年間にわたって712両も増備され、今も全車が東武鉄道の各線で活躍中です。

≪11月上旬には、新型通勤電車“50000系”も仲間入り≫

省エネとバリアフリー化とリサイクルコスト削減を極めたとされる新型通勤電車“50000系”も、近く東上線に配備されます。
旧塗装の8000系と並ぶシーンも見られるかもしれませんね。

  ○「TOBULAND 東武鉄道沿線情報」より、関連ページ(「What's New」5月31日付):
    http://www.tobu.co.jp/news/2004/05/040531.html

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