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2006年02月26日
「PMA 2006」開幕 ペンタックスも1000万画素デジタル一眼レフカメラを発表!
ペンタックスの公約
2月26日(現地時間)から4日間にわたり、いよいよ米国最大のカメラショー「PMA 2006」が開催されます。
ペンタックス(株):2006年2月26日付プレスリリース
「 PMA 2006 」 デジタル一眼レフカメラ関連製品の参考出品について
「デジカメWatch」:2006年2月24日付記事
ペンタックス、PMA 2006に
1,000万画素デジタル一眼レフカメラなど参考出品
「デジカメWatch」:2006年2月26日付記事
【PMA 2006】全米最大のカメラショー「PMA 2006」明日開幕
昨年度の開催に際し、ペンタックス(株)(以降、ペンタックス)上級執行役員イメージングシステム事業本部長の鳥越興さんが日本のITニュースサービス会社、(株)Impress Watchからのインタビューに将来構想を熱く語っておられましたが、その姿がいよいよ見えてきました(2006年2月6日付記事参照)。
我々のデジタル一眼レフカメラビジネスは昨年からスタートし、おおよそ3年計画で製品ラインを充実させていきたいと思ってきました。
〔中略〕Limtedレンズのような商品は、我々のような小規模なメーカーにしか出来ないと思っています。〔中略〕これは我々の会社だからこそ、という特長だと捉えていますから、今後も拡充させていきます。
(「デジカメWatch」:2005年2月25日付記事より抜粋)
ペンタックスの現行デジタル一眼レフ製品は現在、中級機*istDS2と入門機*istDL2の2機種があります。両機種とも量販店での税込価格はポイント還元などのサービスも含めると、実質5、6万円前後と超破格値です。2003年秋に初代*istDが発売された当時の約3分の1程度の値段ですから、これでは売上げも上がらないのではないかと、ユーザーの方が心配になってしまいます。
しかし、上位機種を今年の秋頃発表するようなことをペンタックスもほのめかしていたので私も半信半疑ながら期待はしていたのですが、何と先日、同社は発表を“発売”に前倒しすることを正式に表明しました。機能の詳細は未定としながらも、ニコン(株)(以降、ニコン)の人気機種D200と同様、画素数1000万としています。
「Limtedレンズ」を含む交換レンズ開発ロードマップも公開し、また大型イメージセンサーを搭載したプロ用デジタル一眼レフの開発も進んでいることを発表するなど、「3年計画で製品ラインを充実させていきたい」と鳥越上級執行役員が語られていた構想が、一歩一歩実現に向かっている様子がうかがえます。
「PMA 2006」会場では、これらの試作品やモックアップも参考出品されるとのことです。
2001年の秋、最初のデジタル一眼レフ試作機の開発中止に落胆させられて以来、ペンタックスの関係者がマスコミなどへ語る構想にはどうも不安を抱かずにはいられなかった私ですが、振り返ってみると、その後同社がプロジェクトを頓挫させたことはほとんどないことに今頃気が付きました。時間はかかっても描いた構想は地道にコツコツと実現させる。同社は公約の守れる企業を志しているかのようです。
早くも発表! ペンタックスの1000万画素デジタル一眼レフ
さて、表題の1000万画素デジタル一眼レフですが、モックアップの写真を見る限り、*istDの正常発展型としてほぼ同じくらいのコンパクトボディで登場するようです。内部機構のスペースからニコンD200のようなパワフルな動作を期待するのは無理があると思いますが、携帯性はとても良さそうです。これなら値段も、*istDS2とそう極端な開きはないのではないでしょうか。D200とはまた違う面で画期的な新製品に思えます。これでバッテリーが汎用品なら言うことなしです。
実は、D200の2台目を予備用として買うべきかどうか、ずっと迷っていました。ペンタックスが1000万画素デジタル一眼レフを出すにしても1年以上先で、*istDより大型化し、値段も20万円近くなるかもしれないと考えたからです。それなら動作の速さでは折紙つきのD200で統一した方が良く、私はむしろ2、3年後には実現するであろう1000万画素級小型モデルに期待していたのです。
ところが、ふたが開けば見ての通り、初めからコンパクトボディ。発売は半年後、値段も予想の半分近いとなればもう迷いはありません。1000万画素のクオリティがますます身近なものになるのです。こんな嬉しい話はありません。
ただ、少しさびしい思いもあります。それは、これほど魅力あふれる新しい交換レンズ群がもう、私の地元埼玉県小川町産ではないのだということ。これからは海を越えたベトナムの新工場を中心に、それらは世界各地へと出荷されていくことになるのでしょう。光学ガラスなど部材の調達、加工はまだまだ国内を中心に行われるようですが、それも栃木県益子町の工場に限られるようです(2006年2月3日付記事参照)。
中国、東南アジアで進められる市場開拓
ペンタックスでは現在、デジタル一眼レフ本体はフィリピン工場、交換レンズはベトナム工場が主力になりつつあります。もう30年以上前から同社関係者は、将来需要増の見込める市場は中国や東南アジア諸国にあると専門誌のインタビューなどに答えてきましたが、そのシナリオを着実に実行しようというのでしょうか。
同社のデジタル一眼レフシステムの特徴は、小型軽量、低価格、そして造りやすく流通させやすい、という点にあります。流通させやすいというのは、バッテリーが汎用品なので、専用品の供給が要らないということ。造りやすいというのも部品点数や材料の削減、カメラのシャーシーをアルミダイキャスト整形からステンレスプレス整形へ変更するなど加工設備の簡素化を追及しているということです。特にレンズ側へは、特注のモーターなど一切採用しない徹底ぶりです。また、同社製の30年前の古い交換レンズもそのまま装着できるので、ユーザーは本体と安い中古レンズをそろえるだけで撮影を楽しむこともできるのです。このことは企業にとってあまり利益を生まないばかりか、裏を返せば機能の削減にも通じ日本国内ではどうも人気薄なのですが、一眼レフ未体験の顧客が多く開拓できる国々への供給を、同社は優先したい考えなのだと思います。国内工場は益子、小川とも新会社、ペンタックスオプトテック(株)として1つに再編され、今後は医療関係や光学部品の特殊精密加工など新しい分野の開拓に取り組む方針のようです。
ニコンもD200をはじめ、デジタル一眼レフ本体や交換レンズの一部をタイの工場で生産していますが、国内工場も今なお主力です。
キヤノン(株)は近年、反対に国内工場の増強に力を入れているようですが、市場戦略として写真人口を重視するより、デジタルビデオカメラなども含めたカメラ全体のあらゆる潜在的需要を、国内での技術開発力の向上によりいち早く開拓しようとしているためではないかと想像します。
今、デジタル一眼レフは買いやすくなってきたことから一種のブームになっていますが、おそらくこれは一過性のもので、国内市場が飽和するのは時間の問題だろうと私は予想しています。その後の展開はどうするのか、各メーカーともすでに舵取りを決めていることでしょうね。
「退くも勇気」。そう判断したメーカーもありましたが…。
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2006年02月10日
(株)ニコンがD200の縞状ノイズに対応
まさか!? 当サイト初公開の試写画像が…。
ニコンD200の初期製造分には、画面の一部または全面に縞状のノイズが出やすい個体が存在する。このことはすでに、デジカメ関連の各WEBサイトではポピュラーな話題になっているようです。
本日2月10日、(株)ニコン(以下、ニコン)はこの現象について、自社サイトのFAQページで正式にユーザーからの問合せへの回答を示しました。
Nikon Imaging:サポート
Q&A カメラ デジタルカメラ
↑「デジタル一眼レフカメラ 対象製品」欄の「D200」を開き、
「検索テキスト」へ「縞、スジ」と入力し検索してください。
「NIKKEI NET」:2006年2月10日付「IT-PLUS」記事
ニコン、デジタル一眼レフ「D200」の縞問題でカメラを無償調整
「デジカメWatch」:2006年2月10日付記事
ニコン、D200の「縞現象」についてFAQページで言及
~希望者に無償で調整
ネットで予約注文し、D200を発売当日に入手した私です。この現象に「無縁なはずがなかろう」と思っていらっしゃった読者の方も、決して少なくはないことでしょう。ずばり正解! “図星”です(笑)。
長らくお待たせいたしました。それではお目にかけましょう。D200購入以来、当サイト初公開の試写画像です。それにしても、記念すべき最初のカットが、まさかこのようなものになろうとは…(ご覧のとおり、>>蛍光灯<<です)。
△縞ノイズ現象の事例。ISO200撮影時(左)と、ISO1600撮影時(右)。
いずれもRAWモードで撮影し、「Nikon Editor」で現像したものです。
私の個体では今のところ、ISO100時に縞ノイズの発生は見られません。
クリックで100%大(3872×2592ピクセル)の画像が開きます。
ご注意)左は約1.13MB、右は高感度ノイズを含むため約2.70MBあります。
◎この記事中の各画像は、どうぞご自由にお使いください。
▽上の事例の左側、ISO200撮影時の蛍光灯中央下を切り出した画像です。
(上段、100%大)このように、明暗差が極端な部分に縞模様が生じます。
(下段、600%大)縞ノイズは決まって2ピクセル間隔で繰り返されます。
インクジェットプリンターを使い、上の100%大の各画像を160dpi(約A2判相当)でプリントした場合、間近で観察すれば縞ノイズを確認することはできます。しかし、観賞距離を適切に取ると、確認は非常に困難です。
個体差もあるかと思いますが、私が入手したD200は、ただちに調整が必要なほど顕著な縞ノイズが発生することはないようです。ニコンのサービスセンターへは、何かついでのときにでも持参してみようと思っています。
なお、今回お見せした事例は、この現象の発生が分かりやすいよう、特別に工夫して撮影したものであることをお断りしておきます。
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2006年02月06日
(株)ニコンより、フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ (その2) および、交換レンズ増産計画 (その2)
(株)ニコンより、フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ (その2)
(株)ニコン(以下、ニコン)が「フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ」と題し発表した2月3日付声明を改めて読み返してみたのですが(2月4日付記事参照)、その冒頭の部分が少し気になりました(以下、抜粋)。
先般、1月11日、弊社は「フィルムカメラ製品のラインアップ見直しについて」お知らせ致しました。この件につきましては主に日本国内で大きく報道され、多数のお客様から様々なご意見、お問い合わせをいただいております。
フィルムカメラから撤退するのかというお問い合わせも少なからずいただいておりますが、〔中略〕基本的に本事業を継続していくことを改めてお知らせ申し上げます。
「主に日本国内で大きく報道され」というのは多分、1月13日付「朝日新聞」に「ニコン、フィルムカメラから撤退へ デジカメに押され」という見出しで掲載された「カメラメーカーのニコンが、フィルムカメラから事実上撤退する」と報じた記事のことなどを指すのでしょうか? まさかその前日、私がこのブログにアップした1月12日付記事のことではありますまい(笑)。
私がその日の記事の最初で「まさしく最後通告だな」と正直な感想を述べ、その後に「トップメーカーがフィルムカメラから事実上の撤退予告」という見出しで話を続けたのは、新聞記事ではなくニコン自らが発表した声明を読み、言葉で記されていなくてもその状況を「事実上の撤退」と受け止めたからです。
もっとも、「見直し」や「縮小」という表現を用いた報道に比べれば、「事実上撤退する」と朝刊1面で断じた「朝日新聞」が日本中に反響を増大させたことは確かでしょう。しかし、「多数のお客様から様々なご意見、お問い合わせをいただいて」の声明再発表にしては、2月3日まで約3週間も時間がかかっています。
そこで、もっと別のきっかけがあるのではないかと自分のブログを読みあさったところ、次の引用が目に留まりました(1月21日付記事参照)。1月21日付「朝日新聞」の「天声人語」からです(以下、抜粋)。
ニコンもフィルムカメラからの事実上の撤退を発表した。こうした流れの中で『撤退しません』という富士写真フイルムのコメントが目についた。
「人間の喜びも悲しみも愛も感動も全てを表現する写真は、人間にとって無くてはならないものであり……その中でも銀塩写真は、その優れた表現力等でデジタルに勝る優位さもあり、写真の原点とも言えるものです」。なかなか熱がこもっている。
これですね、きっと! いや、間違いなく!
他ならぬ「天声人語」で他社の賞賛の引合に出された以上、「業界のリーディングカンパニー」(2月3日付、ニコン発表の声明より)を自負するニコンがそのまま黙っているわけにはいかなかったのでしょう。写真文化への貢献について、2月3日付声明の後半で富士写真フイルム(株)(以下、フジフイルム)と同様の姿勢を示したのは、同業者としての共鳴というより競争意識の表れだったのですね。それでわざわざ、改めて…。
「天声人語」もなかなか罪作りではありますが、そのおかげで今いちばん聞きたかったことを、ニコンから聞けたように思います。
2月4日付記事のはじめに私は、「『写真文化振興の担い手』について、2週間前に私がこのブログへ書き記した問いかけに応じるかのような声明を、業界の一員である(株)ニコンが昨日2月3日に発表しました」と書きましたが、これで私の問いかけに応じたわけではなかったらしいことがほぼ判明いたしました。
いえ、要はそれが言いたかったのです(笑)。
交換レンズ増産計画 (その2)
フォトテクノロジーのデジタル化が進む中、古くから写真産業界をリードしてきたニコンとフジフイルムが相次いで一層の「写真文化」への貢献をアピールしていますが、もう1社同じ意向を表明してきたメーカーを取り上げてみたいと思います。
2月3日付記事で交換レンズ増産計画についてお伝えした、ペンタックス(株)(以下、ペンタックス)です。
2005年2月に開催された米国における恒例の国際映像機材展「PMA(PHOTO MARKETING ASSOCIATION) 2005」出展に際し、ペンタックス上級執行役員イメージングシステム事業本部長の鳥越興さんが日本のITニュースサービス会社、(株)Impress Watch(以下、インプレス)からのインタビューに答え、その中で次のように語られています。
「デジカメWatch」 PMA 2005 記事リンク集:2005年2月25日付記事
「写真を撮る文化」をデジタル世界でも定着させたい
~ペンタックス 鳥越興 上級執行役員インタビュー
“写真を撮るカルチャー”とは、我々の企業文化そのものでもあるんです。
〔中略〕我々のデジタル一眼レフカメラビジネスは昨年からスタートし、おおよそ3年計画で製品ラインを充実させていきたいと思ってきました。ペンタックスの基本スタンスは“売れる製品を企画する”ことではなく、“写真を撮影するユーザーにとって良いものを”というものですから、時間に拘っているわけではありません。
カメラの世界というのは、ユーザーとメーカーが直接、密にコミュニケーションできる業界だと思っています。ユーザーも写真が好きならば、メーカーも写真文化のために努力を重ねている。そうした部分を活かし、ユーザーからのフィードバックに耳を傾けた製品作りをしたいものです。
〔中略〕デジタルカメラではカメラ屋だけでなく、家電屋さんも参入しました。彼らの経営手法はとても速い。そのスピードは我々にとっても多いに参考になりました。これにより、従来型のカメラベンダーのビジネスモデルは根底から変化しなければならなくなりました。
デジタルの世界で進化の速度が上がることは仕方がありません。企業として、その速度には対応していかなければならない。しかし、だからといって製品をコロコロと変えていては本当の意味でのカメラユーザーは育ちませんし、ついてきてくれないでしょう。我々が脈々と持ち続けてきたカルチャーは、そのまま今後も保ち続けるつもりです。
インプレスからの「どのインタビューでも、デジタル一眼レフカメラ市場全体の過熱ぶりについて伺っているのですが、この点をどのように見ていますか?」との問いに、「確かにやや過熱気味だと思います。フォトカルチャーに携わっている企業人として、あまり熱を出しすぎて業界が倒れてもらっても困ります。我々は元々、一眼レフカメラのメーカーとして成長してきた経緯がありますから、この分野への思いは人一倍あるつもりです。その思いを活かしていきたいですね」と答えられたところから始まる、鳥越さんの熱いメッセージの一端をご紹介させていただきました。
さて、見出しに「交換レンズ増産計画 (その2)」と掲げたので、ペンタックスが今後どのようなレンズを送り出すかについても触れなければなりません。同社には描写にもデザインにも、また仕上げにもこだわった高品位レンズシリーズがあります。最後に、「Limted」と刻印されたそのシリーズに対するメーカーとしての考え方を、鳥越さんへのインタビューからご紹介したいと思います。
ある意味、Limtedレンズのような商品は、我々のような小規模なメーカーにしか出来ないと思っています。Limitedが追っているユーザー層は、決して“マス”ではありませんから、マスをターゲットにしたメーカーはシリーズ化できないでしょう。これは我々の会社だからこそ、という特長だと捉えていますから、今後も拡充させていきます。
ニコン、フジフイルム、そしてペンタックス
デジタルカメラを製造しているメーカーは今挙げたほかにも数多くあるはずですが、機会ある度これほどまでに自らを「写真文化(フォトカルチャー)」に携わる企業であるとアピールしているメーカーは、なかなか見当たりません(広く文化全般を対象にアピールする企業の方が多いせいもあるかと思いますが)。そしてなぜか、私がこれまで好んで使用したカメラやレンズ(大判カメラ用も含む)は、奇しくもこの3社の製品が圧倒的に多いのです。デジタル一眼レフにしても同じです。不思議な縁だと思います。
私が写真を撮るための道具に求める理想とこれら3社のそれとの間に、どこか相通じるものがあるのか。それとも私がこれら3社に知らず知らずのうちに洗脳されてしまったのか(笑)。
「写真文化」が時代の転換期を迎え、大波打ち寄せる中、なにやら同じ箱舟に乗ってしまったような感も無きにしも非ずですが、果してその行く末や如何に? まさに神のみぞ知る、であります。
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2006年02月04日
(株)ニコンより、フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ (その1)
<管理人より>
これからの「写真文化振興の担い手」について、2週間前に私がこのブログへ書き記した問いかけに応じるかのような声明を、業界の一員である(株)ニコンが昨日2月3日に発表しました。全文をここにご紹介いたします。
(株)ニコンより、フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ
(株)ニコン:2006年2月3日付ニュース
フィルムカメラ製品ご愛用の皆様へ
平素よりニコン製品をご愛用いただきまして、誠にありがとうございます。
先般、1月11日、弊社は「フィルムカメラ製品のラインアップ見直しについて」お知らせ致しました。この件につきましては主に日本国内で大きく報道され、多数のお客様から様々なご意見、お問い合わせをいただいております。
フィルムカメラから撤退するのかというお問い合わせも少なからずいただいておりますが、1月11日にご案内申し上げました通りF6とFM10、そしてそれを支えるニッコールレンズ群40本以上、アクセサリー群については今後とも生産を継続し、フィルムカメラへの強い需要、皆様からのご支援がある限り、基本的に本事業を継続していくことを改めてお知らせ申し上げます。引き続きフィルムカメラへのご愛顧、お引き立ての程宜しくお願い申し上げます。
時代の流れに合わせデジタルカメラに経営資源を重点的に投入し今後の新しい写真文化向上に貢献していくことはもちろんですが、弊社はニコンカメラのルーツであり、独特の豊かな表現力、質感、奥深さを持つフィルム写真をこれからも大切にしてまいります。そして業界のリーディングカンパニーとして映像文化を支えて来た誇りを持ち続け、様々な写真展支援やフォトコンテストへの協賛といった活動を通して、写真文化全般の振興にも引き続き注力してまいります。
今後ともニコンを宜しくご支援いただきますとともに、ニコン製品を引き続き末長くご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
先に富士写真フイルム(株)が1月19日付で発表した声明の中で、「人間の喜びも悲しみも愛も感動も全てを表現する写真は、人間にとって無くてはならないものであり、長年のお客様のご愛顧にお応えするためにも、写真文化を守り育てることが弊社の使命であると考えております。〔中略〕更なる写真文化の発展を目指すとともに、写真をご愛顧いただけるお客様、ご販売店様の支援を今後とも続けてまいる所存です」と表明したことに続き、(株)ニコンも上記声明の中で「デジタルカメラに経営資源を重点的に投入し今後の新しい写真文化向上に貢献していくことはもちろんですが、〔中略〕業界のリーディングカンパニーとして映像文化を支えて来た誇りを持ち続け、様々な写真展支援やフォトコンテストへの協賛といった活動を通して、写真文化全般の振興にも引き続き注力してまいります」と表明しています。
声明の要旨は両社とも銀塩写真やフィルムカメラの関連事業継続を伝えるものですが、その中で「写真文化の発展」や「写真文化全般の振興」という言葉を用い、それぞれ写真文化への貢献を誓っている点が印象的です。このことはただ単に、既存事業の継続がすなわち写真文化の振興を意味する、ということではなく、また決してデジタルフォト事業ではそれが実現できない、ということでもないのでしょう。改めて考えてみるとやはり、新たに写真産業界へ進出してきた家電産業界やIT産業界に属する各企業へのけん制、自社のこれまでの実績に基づく優位性の主張とも受け取ることができるように思います。
デジタル製品はインターネットと融和し、人、物、組織間の双方向通信を世界中に広めつつあります。たいへん便利なことだとは思いますが、それでも企業が文化に貢献しようとするなら、顧客と直接、かつくり返しコミュニケーションをとる機会を自ら創り出す能力が問われることになるでしょう。そうした課題への各社の取組みに、今後も注目したいと思います。
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2006年02月03日
交換レンズ増産計画 (その1)
<管理人より>
ご参考として、次のページもあわせてお読みいただければ幸いです。
今回のペンタックスの工場拡張について、個人的には少々複雑な心境です。
比企ライフネット(当サイト):2002年8月19日付話題
小川生れの珠玉の逸品 ペンタックスレンズの思い出
交換レンズ増産計画
京セラ(株)(以下、京セラ)やコニカミノルタホールディングス(株)(以下、コニカミノルタ)のように写真産業界から撤退する企業が相次ぐ中、2月1日、私も長い間製品を愛用してきたペンタックス(株)(以下、ペンタックス)が、一眼レフカメラ用交換レンズの工場拡張を発表しました。
ペンタックス(株):2006年2月1日付プレスリリース
ベトナム工場の生産能力増強について
1月6日にもキヤノン(株)(以下、キヤノン)が、やはり同じようにレンズ工場の拡張を発表しています。
キヤノン(株):2006年1月6日付ニュースリリース
キヤノンが大分キヤノン安岐事業所内に
新工場棟の建設を計画いたしました。
工場拡張の目的として、ペンタックスは「今後見込まれるデジタル一眼レフカメラ用交換レンズの需要増に対応するとともに、より一層のコスト競争力強化を図るため」とし、キヤノンは「昨今の急激なデジタル一眼レフカメラ市場の成長に伴い、交換用レンズの需要が急速に拡大しており、今後のさらなる需要拡大に向けた生産規模の拡張が急務となっています」と説明しています。
ペンタックスは海外、キヤノンは国内での工場拡張ですが、察するにキヤノンのオートフォーカス機構はカメラ本体側ではなくレンズ側へ特殊モーターを組込む方式なので、国内工場の方がモーター製造元からの部品調達や急な仕様変更への対処などに有利という判断も働いているのかも知れません。
両社とも、デジタル一眼レフの小型軽量化と低価格化については他社に先駆けて成功しており、その自信が今回の交換レンズ増産計画にも表れているのでしょう。(株)ニコンにしてもプロ用機の早期成功やトップメーカーとしてのブランドイメージなどの支えがあるのに比べ、京セラ、コニカミノルタとも残念ながらこれらすべての点で出遅れた感は否めません。レンズの設計や製造技術は高く評価されてきた両社だけに、それら光学事業が企業の経営を支え切れなかったのは何とも皮肉なことです。
先にデジタル一眼レフの小型軽量化と低価格化に触れましたが、ペンタックスはその極致とも言える新製品を2月下旬に発売するとのことです。
ペンタックス(株):2006年1月27日付プレスリリース
気軽に撮影を楽しめる
レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「PENTAX *istDL2」
都内のある量販店では、予約時から本体価格が税込6万円を割っているのですから驚きです。キヤノンが昨年3月に発売した入門機、EOS Kiss Digital Nが同じ店で今も本体税込9万円台が相場ですから、ざっと4万円もの差があるとみて良いでしょう。
*istDL2はシャッターボタンと同軸に「デジタルプレビュー」という、言わば試し撮り専用のシャッターレバーを新しく採用した点に特長があります。特殊な技術は必要としないアイディア勝負の(これが本当の?)新機軸ですが、初心者より、厳密な撮影結果を求めるプロの方が欲しくなってしまう機能です。画像が保存されないので削除操作は必要無く、節電効果や部品の負荷軽減、記録メディアの障害回避等も期待できるのですが、このように他社には案外思い付かないような発想をさり気なく標準装備にしてしまうところが、ペンタックスには昔からありますね。
販売価格が下がればもちろん収益に影響します。一定水準を保つには、常に他社より優れた新製品を市場へ送り続けなければなりません。開発から製品反映への期間をいかに短縮するかが勝負ですが、その手法が果していつまで続けられるのか、という疑問も残ります。
どんな新技術もいつかは成熟を迎え、市場も飽和するでしょう。しかしメーカーはその後も、利用者のサポートを健全経営の元で維持していかなければなりません。
技術開発だけでなく、近い将来必ず訪れることになる成熟市場を生き抜く知恵も、メーカーは開発しなければならない時期を迎えることになるでしょう。道具として製品をみたとき、標準の機能として何が本当に大切か真摯に考え抜くことのできるメーカーに、その成功を期待したいと思います。
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2006年01月23日
読者の皆さまへ 開設4周年を迎えて
ご愛読誠にありがとうございます
おかげさまで今日、最初のWEBサイト『比企の里だより』の開設から満4年、
『比企ライフネット』にタイトルを改めてから満1年を迎えることができました。
管理人よりこれまで当サイトをご訪問くださいました全ての読者の皆さまへ、
心からお礼を申し上げます。変わらぬご愛読を、誠にありがとうございます。
今後ともご指導、ご鞭撻をくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
管理人:Hiroki,Y.
なお、4周年の記念に、というわけではありませんが、
プロフィールに“写真表現に対する私の信条”を、一言添えてみました。
(いえ、特に大したことでもないのですが…(^^;ゞ)
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2006年01月22日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (続編2)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
これからのカメラ屋さん写真屋さん…
店頭がRAWデータ現像所に?
Eメールも普及し、以前に比べ写真の焼増しをお店に頼む機会が減ったという人は多いと思います。私もそうです。
それでも、例えば午前中に友人の結婚式典を撮影し、昼過ぎに始まる披露宴の受付でそのプリントを展示したいというとき。さらにその会場で撮った何十枚、何百枚ものスナップを、夕方からの2次会でアルバムに収めて回覧したいというとき。店頭のデジカメプリントスピード仕上げは、とても頼れるサービスです。新郎新婦にとって新婚旅行は何とも慌しいものだと思いますが、そのちょっとした合間、贈られたアルバムを機内でもレストランでも、好きなときに開くことだってできるでしょう。しかも収められたプリントは、家庭用インクジェットプリンターで印刷したものに比べ、ずっと色が長持ちするのです。
店頭の業務用プリンターは写真の色調や明るさ、コントラストなどを高精度に自動調整してくれるので、カメラ側の自動調整の誤差もかなり補正されます。これを1枚1枚、パソコンのレタッチソフトに読み込んで自分で補正しようとなると、気の遠くなるような手間と時間のかかる作業になってしまいます。
ただ本当のところは、欲を言えばもっと、店頭プリントの品質にはさらなる向上を望みたい、という気持ちも実はあります。
その打開策が、カメラRAWデータからの直接自動プリントの実現です。
デジタルカメラはイメージセンサーで捉えたアナログ信号をデジタル信号に換え、内蔵処理エンジンで調整しながら画像生成し、フラッシュメモリーなどのメディアへJPEG等のファイル形式で保存します。その画像生成前のデジタル信号がカメラRAWデータと呼ばれるのですが、それを専用のファイル形式でメディアへ書き出し保存できるカメラもあります。こうすると、そのカメラのRAWファイルに対応したパソコン用ソフトにデータを読み込み、通常は撮影前に調整する色調やコントラストなどを後からきめ細かく設定し、画像生成することもできるのです。この後処理を通称「RAW現像」、対応ソフトを「RAW現像ソフト」と呼び、RAWファイルは最近「デジタルネガ」と呼ばれることもあるようです。
私が期待しているのは、このようなRAWデータの自動現像(調整)機能が、店頭の業務用プリンターにも処理エンジンとして内蔵されることです。実はすでに、家庭用インクジェットプリンターの中にはそれに近いことができるドライバーソフトと対になった製品も登場しているのですが、パーソナル用のレベルでは処理能力の将来性について疑問は否めません。
RAWデータのファイル書き出しはカメラ側にも相当負荷がかかるらしく、RAWモード撮影機能を備えた機種は今のところ、デジタル一眼レフや一部のコンパクトデジカメに限られます。その中にあっても、保存や消去、モニタ再生などが快適にできる製品はいくらもありません。RAW現像ソフトも多くはまだ開発途上中にあることから、プロの間でもスピードが求められる仕事の場合、現場での実用性については否定的な意見が多いようです。
ただそれも、店頭でRAWデータ現像の受け入れ態勢が整えば話はまた違ってくるでしょう。
業界標準化は近いか?
期待される富士写真フイルム(株)やニコン(株)のノウハウ
富士写真フイルム(株)(以下、フジフイルム)が2004年11月に発売したスタジオ向けデジタル一眼レフ、FinePix S3 Pro(出力画素数約600万、税込約26万円)は、その素晴らしい色調や諧調の再現力がプロから高い評価を得ました。開発にはカラーフィルムの技術者も参画したらしく、長年蓄積されたノウハウの賜物だとも言えそうです。
RAWモード撮影も可能ですが、同社は撮影画像をカメラと直結したプリンターへ即転送し、その場でプリントが仕上げられるシステムを目指したとのこと。そのため、同社の店頭用プリンターとの相性も良く、セットでの導入を検討した写真館も多かったようです。
S3 Proの前の機種、S2 Proを私も一次期使ったことがありますが、安定した画像の仕上がりには確かに当時の他社製品よりも抜きん出たものがあったと感じています。
一方、ニコン(株)(以下、ニコン)が昨年12月に発売したばかりのハイアマチュア向けデジタル一眼レフ、D200(税込20万円未満)は、約1000万画素という高画質と、RAWモードでも極めて快適な高速大量連写機能を備え、比較的求めやすい価格ながらもプロ用機に匹敵する高性能が広い層のユーザーから人気を集めています。
また、ニコン専用のRAW現像ソフト、「Nikon Capture4」は、機能、処理能力とも現在最も完成度の高いソフトの1つとして定評があります。
ところで両社は、デジタルフォトテクノロジーの黎明期からお互いに技術協力を重ねてきた関係にあり、かつては共同開発した製品を両社同時に販売した経緯もあります。フジフイルムのFinePix S3 Proシリーズも、カメラ本体の部品はずっとニコンから供給を受けていて、もちろん、交換レンズやアクセサリー類もニコン製品と共用できます。
ここでもし、両社がさらに協力関係を深め、撮影からRAWデータの自動現像、プリントまで一括管理する店頭サービスシステムを開発したらどうなるでしょう。近い将来、コンパクトデジカメにも快適なRAWモード撮影機能が備わり、私たちは撮影後データをお店に預けるだけで、良質のプリントを短時間で得ることができるようになるかもしれません。さらにきめ細かいオーダーに対しては、店頭からブロードバンドインターネットでフジフイルム系列の現像所へファルが転送され、RAW現像に精通した熟練オペレーターの手で最高品質のプリントが仕上げられるようにもなるでしょう。
銀塩カラー印画紙には、インクよりずっと広い範囲の色彩を再現する能力があります(注)。RAWデータからの印画紙出力なら、専門業者のノウハウによりその能力が最大限に引き出されることが期待できます(すでフジフイルム系列の現像所では、FinePix S3 Proなどのプロ用自社製品に限られますが、RAWデータからのプリント受注サービスを写真館対象に始めています)。
急ぐ場合、ある程度のオーダーには店頭での調整も不可能ではありません。写真の専門店のスタッフなら、それに応える意欲を最初から身に付けているのですから。
望ましいのは、そのような店頭サービスシステムが両社の独占事業になるのではなく、写真産業界の標準規格として自由競争市場に広く公開されることです。ただし、開発に関わる知的財産所有権の問題もありますから、標準化の流れについていけない企業はどうしても出てくるかも知れませんが。
1月19日付記事でも述べましたが、カメラ屋さんや写真屋さんが「地域社会の文化や人の交流拠点」という大事な役割を今後も担い続けられるかどうか、今、写真産業界全体に大きな課題として投げかけられてます。まさに正念場。私たちがどこまでその存在を強く望むかにかかっていると言って良いでしょう。
〔3月7日補足〕
(注)後段で「銀塩カラー印画紙には、インクよりずっと広い範囲の色彩を再現する能力があります」と記しましたが、現状では銀塩カラー印画紙の能力を最大限に引き出せるデジタルプリンターは存在しないようです。果して露光用の出力部の性能に技術的な限界があるためなのか、詳しいことは私にもよく分からないのですが、同じ画像データでも、オペレーターの腕次第では最新のインクジェットプリンターの方が豊かな色調を再現できる場合もあるようです。今後の技術開発の動向は勉強中ですが、コニカミノルタのように印画紙の生産を打ち切るメーカーも出てきている昨今、比重としてはインクジェットプリンターの方が、より将来性を期待できるように思われます。なぜなら印画紙の場合需要が減ると、現像薬品も含めそれらの原材料を提供する製紙会社や製薬会社の積極的な協力が得にくくなり、仕入れ値も高騰する心配があるからです。現像薬品の廃液処理にかかる費用も値上げが予想されることから、ゆくゆくは銀塩プリントは廃れてしまう運命にあるのかもしれません。
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
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2006年01月21日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (続編1)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
これからの富士写真フイルム(株)
「朝日新聞」 :1月21日付【天声人語】
(公開期間は1週間△)
新聞社に入社して、まだ間もないころの夜だった。取材で撮ってきたフィルムを暗室で現像したが、何も写っていない。シャッターを切るたびに巻き上げたつもりだったが、フィルムの入れ方が悪く、空回りしていた。
フィルムを使わず、撮った像をその場で確認できるデジタルカメラでは、まずこんなミスは起きない。銀塩(フィルム)からデジタルへ、写真の世界で新旧の移り変わりが激しく続いている。
コニカミノルタホールディングスが、「サクラカラー」の名で知られた写真フィルムなどのフォト事業とカメラ事業から撤退するという。ニコンもフィルムカメラからの事実上の撤退を発表した。こうした流れの中で「撤退しません」という富士写真フイルムのコメントが目についた。
「人間の喜びも悲しみも愛も感動も全てを表現する写真は、人間にとって無くてはならないものであり……その中でも銀塩写真は、その優れた表現力等でデジタルに勝る優位さもあり、写真の原点とも言えるものです」。なかなか熱がこもっている。
簡便さでは、デジタルの方がかなり優位なのだろう。しかし写真とは、絶え間なく流れてゆく時間の中で、ある一瞬をとらえるものだ。そんな「時の肖像」をとどめる手だてとして、愛好家の間ではアナログの人気も根強いそうだ。
フィルムが空回りした写真は、取材の相手方におわびし、翌朝撮り直して何とか掲載日に間に合わせた。30年以上前の失敗だが、その後しばらくは、何も写っていないあのフィルムが夢の中に現れることがあった。
今朝、1月21日付「朝日新聞」の「天声人語」ですが、まるで自分のことのように読んでしまいました(^_^;ゞ
近所の友だちに誘われ、初めて上野駅へ特急電車の写真を撮りに出かけたのが小学5年生の春。めったにカメラを持たせてくれなかった父が、そのときはなぜか快く貸してくれました。さっそく、教わった通りにフィルムを装てんしてみたのですが、「何だ、やってみるとずい分簡単じゃないか」と子供心にも思えたものの、甘かったですね。
以来今日まで約30年。フィルムの装てんや現像に関わる失敗は、いくら経験を重ねてもついぞ無くすことができずにいます。巻き戻しの済んだフィルムをカメラから出そうと、良く確かめもせずふたを開けたらまだだったとか…。光線引きで最後の数枚は確実にアウト!(撮影に追われフィルム交換の時間が惜しいからと、カメラを2台以上リレーで使っているときなど特に危険)です(>_T)
デジタルフォトの場合はすぐその場で撮り直せたり、壊れたデータや間違えて消したデータもソフトで復旧できたり、完全なコピーをバックアップできたりと、失敗や不慮のトラブルの挽回策にはフィルムと比較できないほど恵まれていますね。フィルムの「優れた表現力等でデジタルに勝る優位さ」とは、例えば解像力とか、再現できる色や諧調の範囲の広さなどでしょう。もっとも、それらの点でデジタルフォトが致命的に劣っていた時代は、もはや過去のことになりました。
今私が主に心配しているのは、保存されたデータの再生が未来永劫保証できるか、ということです。データを保存するメディアの耐久性やそれらの規格の継承、画像ファイル形式等(特に機種別カメラRAWファイル形式)の規格の継承、カラースペース(色空間)等の規格の継承など、配慮されるべき要素はいろいろあります。フィルムなら例え色褪せようと傷もうと、辛うじて画像の痕跡さえ残れば、それを後世に伝え記録として活かすことはできます。しかし、デジタルデータは再生できなくなればすべての価値は失われます。
予防策として、高画質かつ耐久性のあるプロセスで何らかの支持体へ出力する方法が考えられますが、そうなると結局、現時点では画像をフィルムか銀塩カラー印画紙に焼き付けて保管するしかなさそうです。それらの製造、販売、現像サービスなどに携わる事業から「撤退しません」と公言した富士写真フイルム(株)の社会的使命は重く、同社の決断は将来、世界史に刻まれても良いはずだと私は評価しています。
つまるところ私は写真を撮る者として、家電産業界やIT産業界のことを心の隅ではまだ信頼していない、ということなのかも知れません。
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
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2006年01月19日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (その3)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
写真産業界のこれから?
「朝日新聞」 :1月19日付記事 〔1月20日引用追加〕
コニカミノルタ、カメラ・写真フィルム事業から撤退
コニカミノルタホールディングスは19日、「サクラカラー」の名で知られた写真フィルムなどのフォト事業と「α(アルファ)」シリーズなどのカメラ事業から撤退すると発表した。デジタル一眼レフカメラ事業はソニーに譲渡するが、「ミノルタ」ブランドは消える。カメラのデジタル化の中で相次ぎ参入してきた家電メーカーなどとの競争に敗れたためだ。
〔中略〕
旧コニカは1873(明治6)年に「小西屋六兵衛店」として創業し、1940年に国産初のカラーフィルム「さくら天然色フィルム」を発売した。一方、旧ミノルタは1928(昭和3)年に「日独写真機商店」として創業した老舗(しにせ)カメラメーカー。両社は03年8月に経営統合した。
〔中略〕
老舗カメラメーカーの中では「勝ち組」とされるニコンも今月、フィルムカメラからの事実上の撤退を発表している。
コニカミノルタホールディングス(株) :1月19日付プレスリリース より
カメラ事業、フォト事業の終了と今後の計画について
しかし、歴史ある銀塩写真の市場は、世界的なデジタル化の進展により、その市場規模が急速に縮小しております。
そうした状況の中で、カメラ事業、フォト事業につきましては、近年、収益が悪化しており、大幅な事業構造改革を行うことが、今後のコニカミノルタの更なる成長のため急務となっておりました。昨年11月4日にその方向性を決定し、具体的な計画を検討してまいりましたが、以下の通りに決定致しましたのでお知らせいたします。
1.カメラ事業について
〔中略〕
2006年3月末にデジタル一眼レフカメラシステムの一部資産をソニーへ譲渡することなどで、本日ソニーと合意に達しました。
それに伴い、コニカミノルタグループにおける、フィルムカメラやデジタルカメラなどのカメラ事業については2006年3月31日をもって終了することと致しました。
ソニーは今後、「αマウントシステム」に準拠し、同システムと互換性を持つ、新たなデジタル一眼レフカメラの開発を加速し、今夏の発売を目指します。
また、これまでお使いいただいているコニカミノルタブランドおよびコニカブランド、ミノルタブランドのカメラ・レンズなどのアフターサービスは、ソニーに委託いたします。
2.フォト事業について
〔中略〕
カラーフィルム、カラーペーパーにつきましては、お客様のご要望に配慮し、段階的に品種の絞り込みを進め、06年度下期末までに生産を終了致します。
ミニラボについては、本年度末までに生産を終了しますが、メンテナンス・アフターサービスは、お客様にご迷惑のかからないように、ノーリツ鋼機株式会社等へ委託し、サービスを継続してまいります。
その創業の歴史をたどれば国内写真産業の黎明期まで遡る老舗中の老舗、コニカミノルタホールディングス(株)(以下、コニカミノルタ)も、本日1月19日、カメラ、フィルム市場からの撤退を発表しました。
昨年は京セラ(株)がカメラ市場から撤退し、今月11日には(株)ニコンもフィルムカメラ関連市場からの事実上の撤退を発表したばかりです。
コニカミノルタのデジタル一眼レフは今後ソニー(株)が引継ぐとのことですが、似たケースとして昨日1月18日、韓国のサムスン関連会社はペンタックス(株)製デジタル一眼レフのサムスンブランドでの発売開始を発表しています。
サムスンテックウィン(株) :1月18日付プレスリリース (韓国語)
デジタル一眼レフ「GX-1S」 製品紹介ページ
さらに、松下電器産業(株)もオリンパス(株)製デジタル一眼レフをベースにした新製品を予定しており、デジタルフォトテクノロジーの急速な進展で写真産業界は今、大きな再編の波に揺れ動いているようです。
どうなる? 写真文化振興の担い手
富士写真フイルム(株) :1月19日付お知らせ より
弊社の写真事業への取組みについて
弊社は1934年の創業以来、感光材料を中心とした事業を開始し、一般コンシューマーの皆様をはじめ、販売店様、写真卸売業様等、様々な方々のご支援とご愛顧を受けて今日まで写真事業を展開してまいりました。しかしながらここ数年の予想を上回る急速なデジタル化の進展により、フィルムを中心とした感光材料の需要が大幅に減少し、弊社をはじめ写真業界全体が厳しい市場環境に置かれているのは事実です。弊社もこのような市場変化に対応するため、大幅な構造改革を推進しております。
しかし、人間の喜びも悲しみも愛も感動も全てを表現する写真は、人間にとって無くてはならないものであり、長年のお客様のご愛顧にお応えするためにも、写真文化を守り育てることが弊社の使命であると考えております。その中でも銀塩写真は、その優れた表現力・長期保存性・低廉な価格・取扱いの手軽さと現像プリントインフラが整備されている点等でデジタルに勝る優位さもあり、写真の原点とも言えるものです。
弊社はそのような銀塩写真を中心とした感材写真事業を継続し、更なる写真文化の発展を目指すとともに、写真をご愛顧いただけるお客様、ご販売店様の支援を今後とも続けてまいる所存です。
ご存知のように富士写真フイルム(株)(以下、フジフイルム)は創業当時から、今のコニカミノルタにとって国内最強のライバル会社として、写真産業界をリードしてきた企業の1つです。そのフジフイルムが宿命的ライバルの業界撤退に応えるかのように、同じ1月19日付で発表したのが上記の声明(全文)です。
プロによる写真展開催も写真集出版も、アマチュア対象のフォトコンテストも、大勢の人に写真表現の機会を提供し写真文化の振興に貢献していこうとする事業には、実に多くの労力やお金が必要です。それら事業の情報交換を促す媒介役として、今までは主にカメラ雑誌や全国に点在する写真屋さんなどが大きな役割を果たしてきたと思います。そして、広告主として、商品生産者として、雑誌やお店の経済活動を支えてきたのがフィルムメーカーやカメラメーカー、写真用品メーカーなどからなる写真産業界でした。
フジフイルムの声明にも表れていますが、写真産業界は「写真文化を守り育て」「更なる写真文化の発展を目指す」ため、これまで一丸となって写真表現の機会づくりに多大な労力や資本を注いできました。ときにスポンサーとして、ときにプロデューサーとして、ときには自らが主催者となることもしばしばでした。その1つの大きな業界に再編の時期が訪れたということは、写真文化振興の仕組みやその担い手にも大きな交代の時期が訪れた、と言えそうです。
家電産業界は写真屋さんを見習えるのか? 〔以下、1月20日追記〕
大学時代はずっと、副都心にある某カメラチェーン店の支店でアルバイトをしてきました。夕方になると仕事帰りの常連さんたちが集まってきて、仕上がったばかりのプリントやスライドを批評し合ったり、撮影スポットやコンテストの情報交換をしたり。そう大きな店舗ではありませんでしたが、店員さんや私も交えて賑やかなひと時を過ごしたものです。
店員さんには支店間で定期的な異動がありました。そのため常連さんには、どの支店へ行っても顔見知りの店員さんに会えるという安心感があったようです。値段より「自分が撮る写真を良く分かってくれている人からのアドバイスで買う物を選びたい」。それが常連さんたちの希望だったのだと思います。
お店にはまた、フリーのフォトグラファーの方も出入りしていて、ときどき出張撮影のアシスタントに借り出されることもありまた。いつも会うたび「頑張れよ」と声をかけてくださったのは、当時私が通っていた母校の大先輩だったからでもあります。
その私も今はフリーのフォトグラファー(一応?)として、やはり母校の同じ出身学科の大先輩が経営する、近隣のスタジオ兼写真屋さんに出入りする1員になりました。
地域の方々の家族の歴史、さまざまな人生の節目や学校行事などの撮影を長年続けて来られただけに、お店と写真好きな常連さんたちとの絆の太さは、チェーン店とはとても比べられないほどです。店主である私の大先輩も、お客さんからコンテストに応募する作品の相談を受けたり、無料ギャラリーを併設して地元写真クラブの定例写真展などのお世話をしたり、お祭りの役員を引き受けたり、そうした地域との絆を大切にされてきました。役場が発行する広報や記念出版物の制作にも貢献しています。
私は、カメラ屋さんや写真屋さんというのは、ただ物を流通するだけではなく、地域社会の文化や人の交流拠点として大事な役割を担ってきた存在だと思っています。それは、決してお金に代えることのできない共有財産の創造だったのではないでしょうか。
今、かつて私がアルバイトをしたチェーン店もその同業者も、年々支店網の縮小を余儀なくされています。近年著しい写真のデジタル化は、カメラ屋さんや写真屋さんから、急速に家電量販店へと客足を奪いました。
その家電量販店が、写真屋さんから「地域社会の文化や人の交流拠点」としての役割まで受け継いでいるかというと、残念ながら私はその疑問に答えることができません。ただ、そのまま比べるには無理もありますが、デジタルカメラよりずっと長い販売実績があるはずのビデオカメラの例に当てはめて見る限り、「否」という答えしか浮かんできません。
もし家電産業界が、デジタルカメラをビデオカメラより簡便な、付加価値の低い商品、ビデオカメラやケータイでも代用できうる商品、という程度にしか捉えていないなら、それは“大変な誤算”だと言うべきかも知れません。
ネット社会に希望が見出せるなら
今の、特に若い世代の写真好きな人たちの中には、写真を現像してもらいに写真屋さんへ通った経験がほとんどないデジカメユーザーも増えていると思います。また、「以前はそうだったけど今はほとんど通わなくなった」という人も。私もプライベートでは同様です。それだけに思いも複雑です。
ひとつ希望が見出せるなら、インターネットの普及に伴いブログや画像掲示板などのWEBツールがほとんど無料で手軽に利用できるようになり、子どもでも自分のケータイで撮った写真をその場で簡単にネット公開できる時代になったということが挙げられるでしょう。私たちが日常生活の中で写真によるコミュニケーション能力を養う機会は、コンテストや展覧会くらいしか写真表現の機会が得られなかった頃に比べ、今の方がずっと恵まれていると言えそうです。
しかし、それはあくまでバーチャルなコミュニケーションの場であって、多くは相手の顔も居場所も定かでない、お互いに匿名性の高いものだという点が気がかりです。そのことからも、思わぬネット上のトラブルに巻き込まれる危険性は、誰の身にだってあるのです(1月11日付記事もご参照ください)。
そして、そのようなコミュニケーションを中心になってお膳立てしているのは、「地域社会の文化や人の交流拠点」の役割を担ってきた写真屋さんでもなく、その主要取引先として長年にわたるノウハウを蓄積してきた写真産業界でもなく、今まさに企業買収に関わる株価操作の不正疑惑で世間を騒がせている某IT企業や、同じように企業買収に頼る経営手法で急成長を見せているその同業者なのです。
写真とは何か? どのような表現が可能なのか?
そうした問いへの新たな基準を、
デジタルフォトテクノロジーの進展は確かに示しました。
けれどもその答えは、これからもまだまだ迷走を続けるでしょう。
時代の転換期は始まったばかり。
そんなことを実感させられるニュースが相次ぐ、2006年の始まりです。
〔2月4日追記〕
これからの「写真文化振興の担い手」について、私がここで書き記した問いかけに応じるかのような声明を、業界の一員である(株)ニコンが2月3日に発表しました。詳しくは2月4日付記事をご覧ください。
〔追記文、終わり〕
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(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
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No Blog,No Life!:2006年1月20日付記事
ワイフの手作りキャップ^^V
小川町の木工芸家にして生粋のブロガー、soroさんのブログです。
「1950年代に、最初に手に入れたカメラが、蛇腹式の『セミ・ミノルタP』で、
その次に購入したのが『コニカⅠ』だった」というsoroさん。
私は昔の『minolta』や『KONIKA』のロゴが好きでした。
BCNランキング:2006年1月20日付売れ筋速報
再編進むデジカメ業界、何がコニカミノルタを撤退に追い込んだのか?
IT産業に関する新聞・雑誌・書籍の発行をしている(株)BCNのサイト。
記事中では同社集計による「昨年1年間の販売台数シェア推移」や、同じく
「レンズ交換式一眼レフの販売台数シェア推移」などのグラフ資料も公開。
各メーカーが置かれた立場をリアルに映し出しているようです。
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2006年01月12日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (その2)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
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フィルムカメラのこれから?
「朝日新聞」 :1月13日付記事 〔1月13日引用追加〕 より
ニコン、フィルムカメラから撤退へ デジカメに押され
1917(大正6)年創業の老舗(しにせ)カメラメーカーのニコンが、フィルムカメラから事実上撤退する。一眼レフ全8機種のうち6機種の生産を順次終了。残る2機種も新規開発をやめる。デジタルカメラに経営資源を集中するためだが、愛好家やプロに愛された往年の名シリーズは姿を消す。
〔中略〕
撤退の理由は、デジカメに押され、売れ行きが急減したため。ニコンは00年度にはフィルム一眼レフを108万台出荷したが、05年度は約14万台に落ち込む。一方、デジタル一眼レフは160万台に伸びる見通しだ。カメラ事業の売上高に占めるフィルムカメラの割合は3%(04年度)に過ぎない。
ただ、デジカメ市場も競争激化で価格が下落。京セラが撤退し、コニカミノルタホールディングスもカメラ・写真フィルム事業全体を大幅に縮小する。利幅の大きい一眼レフのデジタル化を進めるニコンは昨年「D70s」や「D200」などを発売して好調だが、ソニーや松下電器産業がデジタル一眼レフへの新規参入を計画しており、競争は激化しそうだ。
Nikon Imaging :1月11日付新着情報 より
フィルムカメラ製品のラインアップ見直しについて
フィルムカメラ市場が急激に縮小する中、コンパクトデジタルカメラは普及率も高まり、今後はより高機能、付加価値の高い製品が求められております。また、デジタル一眼レフカメラにおきましては、今後はフィルム一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラからの買い替え需要などの拡大が見込まれ、より高性能な新製品の発売が期待されております。
このような市場環境の中、お客様のご要望により迅速に対応するために、デジタルカメラ事業に一層の経営資源を集中し、フィルムカメラ製品のラインアップを見直ししてまいります。
継続して生産、販売するフィルムカメラボディー
F6、FM10
これはもう、「まさしく最後通告だな」というのが正直な感想です。
トップメーカーがフィルムカメラから事実上の撤退予告
継続して生産されるフィルムカメラは2機種とも一眼レフですが、FM10は他社製品のOEM供給ですから、残るはF6ただ1機種のみとなります。2004年10月に多額の開発費をかけてデビューしたばかりですから、まだやめたくてもやめられない、というのが実情なのかも知れません。
写真館やポスター制作などで使用されてきた大判カメラ用レンズ、そして引伸し用レンズについても「全品の生産を終了し、在庫がなくなり次第販売を終了いたします」とのこと。
D200購入費を大判カメラ用レンズの売却で捻出しようと考えていた私にとって、あまりにも象徴的過ぎる新年早々のニュースでした。
(株)ニコン(以下、ニコン)はいうまでもなく、これまで世界の写真産業界を、経済的にも文化的にもリードしてきたトップレベルのメーカーの1つです。
そのニコンがフィルムカメラから事実上撤退しようとしているのですから、他のメーカーも遅かれ早かれ、後に続くことになるでしょう。
今後市場に残る製品はおそらく、用途の極めて特殊なもの、趣味性の高いものに限られていくと思います。そして一般的な傾向ですが、そういった製品は値段も修理代も非常に高くなるのが普通です。
絶たれるフィルム撮影のためのプロへのサポート
レンズ付きフィルムや玩具カメラのようなものはまだまだ当分残るとは思いますが、ごく一般的なプロ向けの機材やフィルムは、これからいよいよ供給が縮小されていくに違いありません。現像などのサービスも然り、です。
都市部で大きな仕事をしているようなプロの方々は、もうほとんどデジタル撮影への対応を済ませているのではないかと思います。
ですがそれに対し、ローカルな仕事をしているようなフォトスタジオなどでは、人手も予算も足りず試験段階に止まっている業者も少なくないのが現状です。
私もプライベートでご相談をいただくこともたまにあるのですが、私自身もまだまだ勉強中の身ですから、あまりにも急激過ぎる時代の変化にこのまま翻弄されてしまいそうな不安もときに感じています。
実用面、採算面で、地方の中小スタジオの用途にもどうにかマッチする最初のデジタルカメラは、やはり2001年6月に発売の一眼レフ、ニコンD1Xでしょうか。ほんの4、5年前の出来事です。
フォトスタジオの備品はいずれも高額で、その減価償却は数年単位で計画されます。その最中にあって、フィルム撮影中心の体制を今後も継続するか否か、修理などのメーカーサポートの将来性が絶たれた今、どの業者も舵取りに悩まされていることと思います。仮にサポートが存続したとしても、採算に見合うものになるかどうか定かではありませんから。
揺れる写真教育の現場
こうした悩みは、写真を教えている専門学校や大学などにも共通しています。総合大学ならカリキュラムは4年単位ですから、今度の卒業生はデジタル撮影をほとんど授業で学んでいない場合もありえます。
フィルムオンリーの時代は、撮影機材はたとえ高価でも丈夫で長持ちしたので、中には10年以上も実習で使われ続けるものもありました。ところがデジタル撮影機材やパソコン、周辺機器などは高価なうえに教材としての価値の寿命も短く、とても従来通りの予算編成では授業運営が成り立たなくなります。カリキュラムの再編成どころか、学部学科の再編、場合によっては少子化の追い討ちまで受け、学校そのものの経営存続にまで影響を及ぼしかねない事態だとも言えます。こうした状況の中では、デジタル画像の研究に実績のある理工系の教育機関が新規に写真教育コースを設ける方が、むしろ簡単です。
もしかすると、母校の私の出身学科もそろそろ、その果たしてきた役目を終えようとしているかも知れません。伝え聞くところによると、デジタル撮影の教育は、もはや現場の自主努力に任されっきりの状態だそうですから。
話が最初に戻りますが、私が売却しようとしていた大判カメラ用レンズの中には、ニコン製品も含まれています。もう新品は手に入らないのかと思うと、何だか手放すのが惜しい気分になってきました。
私が大学の撮影実習で初めて使わされたカメラが、4×5インチのシートフィルムを使うスタジオ用大判カメラでした。翌年の新入生から、カリキュラムの変更で一般的な35mmフィルムからの実習に切り替わりましたから、ある意味貴重な体験だったのでしょう。
その意味でも愛着はあります。大事に手入れすれば一生使えるはずのレンズでした。今後も継続してフィルムが供給されるならば…。
手元に残すか、それとも本当に欲しがっている、必要としている人の元へ旅立たせるか、もうしばらく悩んでみたいと思っています。
〔2月4日追記〕
1月11日付で(株)ニコンが発表した上記「フィルムカメラ製品のラインアップ見直し」を伝える報道に対し、同社は改めて、ラインアップを見直しした上でのフィルムカメラ関連事業の継続を2月3日に発表しました。詳しくは2月4日付記事をご覧ください。
〔追記文、終わり〕
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
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No Blog,No Life!:2006年1月13日付記事
D200と、りえ(Rie)さんと
小川町の木工芸家にして生粋のブロガー、soroさんのブログです。
なんと、ニコンがかつて世に送り出したプロ用フィルム一眼レフカメラの名機、
F3やF4を愛用された経歴をお持ちだそうです。おおっ!初耳でした(@@;)
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2006年01月11日
“無料ブログ”に反対します
まず子どもたちを守りたい
小学生でも簡単に始められる“無料ブログ”。
大人の目が行き届かないところで、子どもたちが思わぬ事件に巻き込まれる危険が潜んでいます。
私はそのようなブログをはじめ、日記、チャット、掲示板、フォトアルバムなどの各種WEBツールの無料レンタルサービスに対して、ここに「反対」の意思表明をしたいと思います。
今日、1月11日は、私にとっての「“無料ブログ”反対記念日」です。
なお、対象となる「WEBツールの無料レンタルサービス」には、プロバイダーがインターネット接続サービスを利用する顧客に対し特典として提供するサービスや、有料でも無料サービスのオプションとして用意されたコースなども含みます。有料サービスの無料試用期間などは除きます。
・有料ブログサービスの例 (現在全くの無料サービスは予定されていません)
1月17付記事で、詳しくご紹介する予定です。
タイプパッド(Six Apart-TypePad) シックス・アパート(株)運営
さくらのブログ&レンタルサーバ さくらインターネット(株)運営
無料フォトアルバムサービスの利用を中止します
上記の意思表明に準じ、これまで当サイトが利用してきた無料フォトアルバムサービス「ニコン オンラインアルバム」の利用を、今月末限りで中止します。
対象になるのは、次の各ページに掲載されたアルバムです。
他のアルバム等への移転予定はありません。予めご了承ください。
「比企の里山 写真ライブラリ Part2」
「関東甲信越写真の旅 作品アルバム Part3」 (←姉妹サイトへ収録)
*管理人より
いきなり“無料ブログ”反対とは発想が極端すぎるな、と自分でも思います。
でも、誰かに対して反対運動をしようというわけではないので、今何かの無料サービスをご利用中の方はどうかそのまま、安心してお使いください。
(安心できない???)
〔1月13日追記〕
ケータイ向けWEBツールの利用も盛んです。
すでに現実のものになりつつあるようですが、自分専用のケータイWEBツールを持てるサービスが、標準機能としてこれからは当たり前になってくるでしょう。それを子どもでも、お互いのコミュニケーションに普段から利用し合うこともできるようになる。そうした時代の流れは、もう誰にも止めることはできないだろうと思います。また、止める理由もないはずです。
「“無料ブログ”に反対」は、決してそこを目的地にしているのではありません。誰でも気軽に参加できるインターネット上での情報交換を、どうすればより安全に、気持ち良く利用することができるか? そのことを考える出発点が示せるのではないかと、試みた提唱です。安心してあらゆるサービスを無料で利用できることが、いちばん望ましいことは言うまでもありません。
私は、自身の意思表明を誰かに強いるようなことは考えていません。それでももし、1人でも共鳴してくださる方がいらっしゃるなら、とても心強く思います。
〔追記文、終わり〕
水面下で増えている人権や著作権の侵害
ことのきっかけはつい最近、あるWEBサイトを管理する私の友人が、著作権の侵害を受けとことに始まります。
彼は写真作品を自分のサイトに数多く掲載していたのですが、先月、知らないブログに無断で何枚も転載されているのを見つけました。
さっそく、転載した相手に著作権者の表示をしてもらうようメールで連絡したのですが、理解は得られず難色を示されたまま時間ばかり過ぎてしまいました。
最終的には、被害者がほかにもいたらしくブログ運営会社にクレームが複数寄せられ、相手が自らブログを閉鎖することでようやく問題が解決しました。
友人にとって、こうした結末は決して望んだことではありません。なぜなら相手のブログにも多くの読者がいて楽しく交流が続いていたのに、それが失われてしまったからです。
相手も決して悪気があったのではなく、軽い気持ちで無断転載してきたのだと思います。それが結局、今まで人の作品を盗んでいたなどと読者に言われたくなくてどうしようもなくなり、すべてを隠すかのように閉じてしまったようです。
被害に遭った私の友人のサイトには、写真入りのインタビュー記事やほかの人の作品を、関係者から特別に許諾を得て掲載したページもあります。
そのため彼は管理人として、自分の著作権だけでなく、ほかの人の著作権や肖像権、プライバシーも守らなければならない立場にあります。
(私もまた同じです。画像掲示板などを運営されている方も同様です。)
不幸中の幸いで今回侵害されたのは彼自身の著作権だけで済みましたが、それでも問題解決に個人で臨んだ彼の苦労や精神的なストレスは、並大抵のものではありませんでした。
一般市民の日常生活には馴染みの薄かった
ネット上での著作権問題と人権問題
著作権や著作権法などの考え方は、これまではどちらかと言うと、著作活動や著作物利用などを職業とする専門家同士の間で生じうる利害対立の、特に深刻なケースを想定して編み出されてきたものだと思って良いでしょう。
そのような紛争は大概職業上の事情が絡む問題ですから、権利侵害の代償は損害賠償で、つまりお金の支払いで解決されることがほとんどでした。
ところが今のようにインターネット通信が盛んになり、誰もが職業とは関係なくWEB上で著作活動や著作物利用を活発に行えるようになると、一般市民も次第に、日常生活の中で著作権をめぐる紛争に巻き込まれる機会が多くなってきました。先に挙げた私の友人の場合も、管理するWEBサイトは商用目的に発展できる可能性は備わっているものの、元々は彼個人の文化活動の展開を目的としているものです。
彼が侵害された権利は多分に、著作権法で言う著作者人格権(基本的人権の一つ)に当てはまるものです。これは、著作者が本人の意に反するような形で勝手に著作物を発表されたり利用されたりすることを拒める権利です。
著作者人格権は職業に伴うことの多い著作者財産権とは異なり、権利自体を売買したり譲渡したりすることは永久にできない性質のものです。お金に代えられないものだから、紛争の経済的な解決はたいへん難しいのです。
実際、著作権法の専門家である弁護士や裁判官の間でもとりわけ難しい問題とされているそうですから、これまで著作権問題に馴染みの薄かった私たち一般市民にとっては、なおさらのことです。
社会経験の長い大人同士でさえ、いざ自分が当事者になってみるとなかなか相手との折り合いが付けられなくなるのですから、子ども同士が保護者の監督を離れてとなるとどうでしょう。私たちは、いつかの小学生の女子生徒同士の間で起きた、お互いのWEBサイトを巡っての悲惨な事件を、決して忘れてはいけません。
簡単に無料で利用できるブログなどのレンタルサービスが広まるにつれ、こうした諸々の問題が事件に発展する頻度も増していきます。未然に防ぐ対策を、急いで講じる必要があるのです。
また、事件にまではならなくても、個人間の紛争が今後ますます頻発するようでは、いくら弁護士や裁判官の数を増やしてもきりがありません。法律に頼って解決するのではなく、インターネットサービス事業者に対してもっと、抜本的な改善策を求める必要もありそうです。
そして問われる責任の所在 〔以下、1月14日追記〕
「管理人が実際にブログを借りて、大手どころの無料レンタルブログサービスを比較・調査」している人気サイト、『まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。』の管理人zumeさんはその記事の中で無料ブログサービスの収益性に触れ、次のように述べられています(『まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。』自体は、無料レンタルブログでの運営ではありません)。
まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。:2005年12月25日付記事 より
意外としぶとい?ブログサービスの運営企業(とブログ市場のゆくえ)
ブログサービスはほとんどの場合無料で提供され、それ自体が収益を生み出すものではありません。
そうなると、企業としてはブログと関連する分野(広告とか書籍化とか自社の他のサービスへの集客とか)に収益源を求めるしかないのですが、〔すべてを見る〕〔さらにその続きを見る〕
収益を生み出さない事業に、私たちはどこまでサービスを求めることができるのでしょうか。
例えばクレーム処理も大事なサービスの1つですが、先の友人の例ではブログ運営会社にクレームを寄せようとしたところ、そのための連絡フォームを探すのにたいへん時間がかかったそうです。
無料でブログサービスを提供している同社の利用規約(某大手プロバイダー利用規約から一部要約して引用します)によると、「利用者の本利用規約に対する違反行為等を発見された場合には弊社お客様センターまでご連絡ください」といった趣旨の条文が書かれています。そして「利用者は第三者の知的財産権を尊重するよう努力するもの」とし、「ご自身の著作物の著作権が侵害された場合」の情報提供も求めているのですが、なぜか肝心の連絡フォームへのリンクがそこには見当たりません。さらに「利用者の第三者への権利侵害で生じたクレームや請求は利用者の費用と責任で解決するもの」とし、「また、それらの対応に関連して弊社に費用が発生した場合、利用者は当該費用(弊社が支払った弁護士費用を含みます)を負担するもの」とあります。利用者は、権利を侵害した人が最終的に諸費用を負担し、利用者の責任による解決が先で運営会社がその代理を請け負うのは最終手段、ということに同意しなければならないことが分かります。現に各種サービス毎に定められたガイドラインの中には、「当事者間での話し合いを提案させていただくことがあります」との記述もあります。こうした文面には、利用者へ責任感をもって利用するよう促そうという意図も含まれているでしょう。しかし、その割には初めて利用する人の目に留まりにくい、登録申込ページ最下部の小さな文字列に埋没している利用規約ページへのリンク、難解な表現、まるで隠しページのようなクレーム連絡フォームには、運営会社のサービス体制の不備を感じずにはいられません。
「当事者間での話し合い」は、利用者が個人情報を正確に登録していることが前提です。また、相手が未成年の場合、保護者がその代わりを務められなければなりません。それらの不安要素をどう取り除くかも課題として残ります。
事業規模が大きくなるにつれ、クレーム処理の連絡などにかかるコストもそれ相当に増大します。商業目的の事業なら、そうしたコストは事業者自身で負うのが本来のあり方だと思います。
ところが現状では、ブログなどWEBツールの無料レンタルサービスの多くは、事業単独でクレームの処理に伴うコスト回収の仕組みを十分には備えていないようです。これはどうしたことでしょう。
zumeさんが指摘されているように「自社の他のサービスへの集客」を競い合うための、言わば単なる景品程度の認識しか各社にはないのでしょうか。
まず、利用者にマナーや規約への理解を呼びかける。それがクレームを減らすいちばん近道なはずですが、堅苦しいイメージで顧客を逃がしたくないのか、注意事項などを前面に押し出して呼びかけようという運営会社はどうも少ないようです。
インターネットという公共の通信手段を利用するからこそ、サービス展開を図るなら社会全体の利益を考える姿勢を運営会社は示すべきではないでしょうか。
あらゆるコスト負担に耐えられるよう、収益を生み出すノウハウの獲得が成されなければ、企業としての責任を果たしていると言えないのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
無料でも有料でもない、“預金型ブログ”はできないか?
さて、これまで述べてきたように、ブログを初めとするWEBツールの利用やWEBサイトの運営には、管理者が守るべき著作権や人権などの権利がいつ第三者に侵害されるか分からないという、大きなリスクが絶えず伴います。
その他レンタルブログサービス事業に必要なコストも含め、それらを誰がどのように負担するかは、非常に重要な問題であるにもかかわらず、まだ議論が足りないように思われます。
そこで私個人の試案ですが、1つの折衷案としてお金を預け入れて利用する
“預金型ブログ”を、ここに提案したいと思います(あくまでたたき台です)。
なお、すでに同様の事例をご存知の方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せくださると幸いです。
“預金型ブログ”とは、利用者から預かったお金を運営会社が他の関連サービスの事業投資にあて、その利益をブログサービスの拡充や預金者である利用者の利子へ還元する運営方式です。利率は、利用者の希望に応じてバナー広告などの宣伝効果により変動する方式を取り入れても良いでしょう。
無料ブログと大きく違うのは、有料ブログと同じ様に金銭的な手続が必要になる、というところです。
私がこの方式で特に強調したいメリットは、次の2点です。
1.未成年者、とくに小中学生などの年少者の利用に関して、
保護者の監督が促される。
2.申し込みに際して利用者が個人情報登録を偽証しにくく、
責任の所在が保証される。
無料方式に残された課題として、先に指摘した不安要素をどう取り除くか、その解決を試みたつもりです。同時に、利用者と運営会社との契約関係が相互に行き来するお金を介し緊張感をもって結ばれることで、両者の社会的モラルの向上も期待できると考えました。
利用者は利子が得られるだけでなく、自分のブログにバナー広告などを掲示し、その代理店である運営会社から広告収入の一部を利子に上乗せしてもらう方式を選ぶこともできます。自然とブログの訪問者数を増やそうと努力するようになり、記事のレベルも高まり、WEBサイト運営への興味も持続できるようになるでしょう。
一方、運営会社も各利用者のブログへの読者訪問を促すため、安定した基金による企業努力で、情報交換のためのポータルサイトや様々なイベントなどの運営に一層力を入れるようになるでしょう。
残念なことですが、無料ブログでは前者の動機が、有料ブログでは後者の動機が持続しにくい傾向は否めません(無料ブログでバナー広告掲示を許可したサービスも増えていますが、多くはまだ、代理店との契約手続も含めセルフサービスのようです)。
その点“預金型ブログ”なら、利用者も運営会社も向上心を持って協力し合い、社会全体の利益につながるWEBサイト運営に、進んで努めることができるようになるのではないでしょうか。
子どもさんも保護者の方と一緒に利用するなら、豊かな創造性や経済観念、社会的能力などを養う貴重な機会にもなると思うのですが、いかがでしょう。
新しい社会作りのために、「ネットと金融の融合」は加速するか?
最後になりますが、お金を運営会社が預かるということは、利用者にマナーやモラル、利用規約に反する行為をさせないための抑止効果も期待できます。
運営会社もお金を預かる以上、利用者離れから解約金支払いに追われることのない様、サービス向上に務めなければなりません。
法的整備も必要でしょうから、今すぐ実験を始めるのは無理があると思いますが、私の記事がその一歩を踏み出すきっかけになればと願い終わりとします。
著作権法の目的や新聞記事引用のことなどについても、
機会があればあらためて述べてみたいと思います。
長文を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
管理人
*主な有料ブログサービスのご紹介
1月17付記事で、詳しくご紹介する予定です。
*トラックバック先へのリンク
管理人の気紛れ日記:2006年1月11日付記事
最近のネット事情
私の友人のブログです。
ブログブームに伴い増加するネット上のトラブルに関し、
多くのWEBサイト管理人へモラル向上を呼びかけています。
ブログ問題をめぐる市民キャンペーン、私と共に同時発動です。
まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。:2005年12月25日付記事
意外としぶとい?ブログサービスの運営企業(とブログ市場のゆくえ)
記事中引用させていただいたzumeさんのブログ記事です。
無料ブログを使う人も使わない人も、とにかく読んで面白い!
私もほぼ毎日チェックしている、お気に入りのブログです。
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2006年01月10日
一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (その1)
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
デジタルカメラのこれから?
「デジカメWatchi」:1月10日付【インタビュー】 より
ニコン デジタルカメラのこれから ~後藤統括部長に聞
ニコン待望のハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「D200」は、早くも入手難。同時発売の「AF-S DX VR Zoom Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G(IF)」はさらに大人気で、来春までは入手しづらい状況が続くとか。
との書き出しで始まるニコン執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長、後藤哲朗さんへのインタビュー記事を興味深く読みました。後藤さんは、
「デジタル一眼レフカメラ市場には、まだまだ伸びしろがあるでしょう」「今後、コンパクト機市場はまだまだ大きくなる余地があります」
と答えておられるのですが、この種の期待に私は「どうかな?」と、実は前から半信半疑な気持ちでいます。
一眼レフカメラはレンズ交換できる万能機。その分、コンパクトカメラはシンプルで手軽な方がいい。そうした役割分担は多分に、デジタルカメラの普及以前に作られた固定観念のように思えるのです。
かつてフィルム1本で間に合うようなロケの場合、その場で目的別にカメラを使い分けたくても、残念ながら撮影途中でフィルムを移し替えることはできませんでした。だから、1台で様々なレンズやアクセサリーが使える一眼レフは、たいへん便利で経済的なカメラでした。
一眼レフ…ひょっとして妥協の産物?
ところがデジタルカメラの場合、規格が合えば撮影途中でも1つの記録メディアを複数のカメラで使い回すことができます。メディアの値段も安くなったので、予め用意したカメラすべてにセットすることも、無理なくできるようになりました。
そうなると望遠撮影にはもっとそれに合った設計のカメラが、さらに接写にも、連写にも、ワイド撮影にも、それぞれ使いやすさを追求したカメラが使いたい、と希望が膨らんでくるのです。
それなのに、そういった希望に応えてくれるのは、現状ではデジタルカメラでも一眼レフ以外にほとんど選択肢はありません。
コンパクトデジカメはサイズをフィルムに制約されず、たいへん小さく高性能な製品が増えてきました。その用途を手軽な携帯用だけにとどめないで、もっと撮影目的に応じた製品をバラエティ豊かに揃えて欲しいと思うわけです。
それらを組み合わせて使う方が、大きく重い一眼レフと、それに負けないくらい嵩張るレンズやアクセサリー類をいくつも持ち歩くより、ずっと荷物全体の量も小さくできるのではないでしょうか。
個性豊かな多くのメーカーがともに発展できる市場づくりを
一眼レフカメラは、交換レンズもアクセサリーも各社独自の規格で市場競争に晒されますから、当然それに勝てず淘汰されるメーカーも出てきます。昨年は京セラ(株)が、カメラ市場そのものから事実上撤退してしまいました。社会的には大きな損失で、非常に残念に思います。
それに比べ、撮影目的に合わせたカメラの開発には規格に縛られない自由があり、無限の発展が期待できます。より多くのメーカーが、それぞれ得意とする技術や個性を発揮できる余地があるのではないでしょうか。
フィルムオンリーの頃のような万能一眼レフとお手軽コンパクトという市場の2極化は、そろそろ改められるべきだと思います。特にコンパクトカメラの場合、今のように似通った製品ばかり市場にあふれ価格競争が過熱していくと、結局は各社共倒れになってしまう気がします。
今後京セラは光学機器分野ではケータイ関連の事業に専念するようですが、企業存続のためとはいえ、カメラ市場からの撤退は少し早すぎた決断だったかも知れません。
いつかは、フィルムも見直される日が…
さて、近年はデジタルカメラばかりがもてはやされ、フィルムカメラはメーカーの開発現場でもすっかり隅へ追いやられてしまったかのようです。
「パソコンは苦手」
「使い慣れた古いカメラのままでいい」
「デジカメしか使っていこなかったから、フィルムカメラはかえって新鮮」
「レンズ付きフィルムで十分」
そのようなユーザーに支えられ、辛うじて市場に生き残っているような感じさえあります。ここで、先述のインタビューの中で後藤さんが語られている、
「アプリソフトのPicture Projectで提案している数多くたまった写真の管理をよりシンプルにするための方法など、いろいろなお客様のことを想定して、検討しています」
という点について、少し考えてみたいと思います。
果たして、「管理をよりシンプルに」することはできるのか?
コンパクトデジカメが200万画素に達して、今年で約7年。ユーザーが爆発的に増え始めてからは3~4年といったところでしょうか。撮りためた写真の量は、一般ユーザーの日常生活レベルでは、まだそれほど多くはないと思います。
しかし10年後、20年後となるとどうでしょう?
昔の写真をもう一度見たい、プリントしたいと思ったとき、その都度管理ソフトを立ち上げ、いくつもの保存場所から目的のファイルを探し出す苦労に、いったいどれ程のユーザーが耐えられるでしょうか?
こればかりはパソコンの得意、不得意とは関係なく、作業そのものへの好き、嫌いが分かれるところでしょう。まして、他の人が撮った写真となると…。
理屈ではなく、感情を伴う生理的なものですからどうしようもありません。
フィルムなら、透かして見るだけで何が写っているかは一目瞭然です。
便利さや機能性云々以前に、自分はフィルムカメラとデジタルカメラと、本当はどちらが“好き”だったのか。いつかそのときになって、きっと初めて気が付くのかも知れないですね。
写真ファイルの管理には私も日頃から頭を悩まされていますが、今のところ、これがベストという方法はまだまだ見つかりそうにありません。
何やら爆弾を抱えているようで、「ちょっとコワイな…」なんて思いながら、日々過ごしています。
*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
(その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
(その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
(その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
(続編1)これからの富士写真フイルム(株)
(続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?
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2006年01月03日
2006年を迎えて -カメラとネットをツールに-
出版社時代に私が編集部で仕事を学んだ期間は短かったのですが、その間常々上司から言い聞かされてきたことは、「先ず読者の側に立って原稿に接しなさい」ということでした。
同時に、「著者と一緒になって原稿に酔ってはいけない」とも。
辛い役目でしたが、著者との打合せの段階で折角の原稿をお返ししたり、ご多忙を承知で書直しをお願いしなければならないこともしばしばでした。
どのような読者が何のために、どういった本を求めているのか?
その視点さえ明確な企画なら、必ずそこから得られるものがある、ということを教えていただいたと思っています。
今、新年を迎えながらも、過ぎた当時をつい昨日のことのように思い出します。
このサイトについてもそうなのですが、今は自分が写真を撮ったり文章を書いたりと、言わば著者の立場に立っています。
ベテラン編集者のクールな眼で見られたとしたら、果たしてその採点はいかがなものでしょう?
正月とは言え、自分の原稿にではなく、酔うなら“お酒”でほどほどに。
肝に銘じなければと自らに言い聞かせている、今日この頃です。
パブリック・ジャーナリストとして
さて本日1月3日の夕方、ネットを見ていたらライブドアニュースセンター長補佐でご自身もライブドアのパブリック・ジャーナリストでもある、小田光康さんの「広がるマスコミ被害、メディア批判の必要性」と題するアップロードされたての最新記事が目に留りました。
パブリック・ジャーナリスト(募集概要)とは、「livedoorニュースが認定した市民記者です。インターネットを活用し、これまでのマスコミが報道できていなかった様々な問題や話題を、多様な視点から取り上げ、取材・発信することが期待されています(ライブドア:パブリック・ジャーナリストについて より)。」
小田さんは「犯罪被害者への救済策などを盛り込んだ犯罪被害者等基本計画が昨年12月27日に閣議決定された」ことについて、「集団的過熱報道(メディアスクラム)といった『マスコミ被害』の重大さを無視してきたマスコミによって、市民一般が有する取材・報道の自由や、国民の知る権利までもが制限されてしまった」ことを指摘し、「マスメディア界はその自助努力でチェック・アンド・バランスが可能だと再三にわたって主張してきた。だが、昨今の頻発する不祥事からしても、もはやそれも空論、いや欺瞞(ぎまん)であることが判明してしまった」と、この記事の中で結んでいます。
ここで述べられた「空論、いや欺瞞(ぎまん)」の文字を見るとき、私は昨年8月11日付の「朝日新聞」社説、「61年目の出発 ホリエモンの予言」を思い出さずにはいられません。「敗戦から60年。人も、社会も、大きな節目を迎える。ここから日本はどこへ向かうのか、シリーズで考える(2005年8月11日付「朝日新聞」社説より)」とした第1回目でしたが、その一部を抜粋します。
(ホリエモンことライブドアの)堀江社長は、もうひとつ予言した(※)。「市民が情報を発信する時代になる」というのだ。
〔中略〕
ネット社会では個人がブログなどで発信する。インターネットは世界最大の口コミ網だ。そんな内容である。
市民からの発信が盛んになるのは悪いことではない。しかし、である。報道の専門集団のいない社会では、だれが情報を発掘し、真偽を見分けるのだろう。
(※編注:1つ目の予言は「ネットと放送の融合を加速させる」 というもの。)
(上記 2005年8月11日付「朝日新聞」社説より)
小田さんは記事中、「去年、戦後60年を迎えた。政府や政治家、省庁や官僚に対する戦争責任について問う報道は数多くあった。それはそれでいい。しかし、ついに戦前・戦中の大政翼賛広報機関と化した現存する大手マスメディアが、自らの戦争責任について言及することはなかった」とも述べられています。
「戦前・戦中の大政翼賛広報機関と化した現存する大手マスメディア」の実態については私も昨年夏、東京都写真美術館の10周年特別企画コレクション展第3部「再生 12人の写真家たちと戦争」で目の当たりにしました。同展挨拶文の冒頭に、次のような解説がありました(抜粋)。
1930年代に入って出現したフォトジャーナリズムは、写真がその媒体の長所を生かすことができる新たなジャンルとして、多くの写真家たちが夢と希望を抱きました。しかし1937年に日中戦争が勃発し、日本中のすべてが大きな戦争へと巻き込まれていく中、フォトジャーナリズムも国策プロバガンダのための道具として利用されていきます。これは写真家たちが期待し、望んでいたフォトジャーナリズムとは違っていました。自分たちが苦心して撮ったものが、時には切り刻まれ、偽装するために別の写真に作り替えられるなど、写真家たちにとって屈辱に堪えなければならない苛酷な状況だったからです。
(上記 企画展「再生 12人の写真家たちと戦争」挨拶文より)
テレビやラジオ、新聞など、マスメディア事業には莫大なお金がかかります。その費用は視聴者や読者からの直接収入だけで賄えることはほとんどなく、広告収入など経済界(ときに政界)や国家の支えなくして運営は成り立たないのが実情です。
先の「朝日新聞」の社説を読み返すと、そのような自らの置かれた状況に対する認識がそこにはあるのか、疑問に思えてなりません。
社説とは読者に向けてのメッセージだと私は受け止めているのですが、「報道の専門集団のいない社会では、だれが情報を発掘し、真偽を見分けるのだろう」との問いかけの先には、読者の姿が見えてきません。
マスメディアから視聴者や読者が離れ、経済界や政界、国家に事業運営の多くを委ねざるを得なくなったとき、小田さんが述べられた「戦前・戦中の大政翼賛広報機関」のような大手マスメディアが復活しないとも限らないのです。
小田さんは記事の最後で、「今年は、市井の人のパブリックな視座から、権力化したマスメディアを監視しつつ、マスコミ被害に関する報道や、メデイア・クリティーク(批判)に力点を置いていきたい」と抱負を述べられています。
私はライブドアのパブリック・ジャーナリストに応募するつもりはありませんが、カメラやネットをツールに市民の視点で発信していく以上、ローカル情報専門ながらもパブリック・ジャーナリストの一員であることを自覚し、2006年を迎えようと思っています。
ご参考として、ライブドアのパブリック・ジャーナリスト募集要項から、挨拶文の一部を抜粋します。募集は2004年11月18日から随時行われているようです。
日本社会は高度成長期を経て世界の経済大国の仲間入りを果たしました。しかし、国民一人ひとりの豊かさへの実感はいまなお不十分です。一体それは何が問題なのでしょうか。そこで、livedoor ニュースでは、インターネットを活用したパブリック・ジャーナリストシステムを構築、それを通して生活の現場、仕事の現場から寄せられた生の声をお届けすることで、豊かさを感じさせない日本社会の問題点に光を当て、それらを一つひとつ解決に導いていく一助になりたいと考えています。
(上記 ライブドアのパブリック・ジャーナリスト募集要項挨拶文より)
「朝日新聞」2006年1月1日付社説に思うこと 〔1月4-5日追記〕
先の例もそうなのですが、この頃「朝日新聞」の社説はどうも変だ、と感じている人は少なくないのではないでしょうか。
新年早々の社説からして何だ? と思わせるような見出し。
「武士道をどう生かす 2006謹賀新年」。
1月1日付「朝日新聞」社説:武士道をどう生かす 2006謹賀新年
(△公開期間は1週間)
昨年は郵政民営化で勝者と敗者が明暗を分けた。織田信長を好む小泉首相は気迫で総選挙の勝負に出ると、造反派のもとに「刺客」を送る非情さも見せた。
〔中略〕
「戦国武将に比べれば、いまの権力闘争などなまっちょろい」
甘えやもたれ合いの時代が去ったからこそ、これが余計受けたのか。いまは能力や成果を争う「競争」の時代だ。
しかし、それはちょっと嫌な言葉も生んだ。「勝ち組」と「負け組」である。
(上記 2006年1月1日付「朝日新聞」社説より)
冒頭からの抜粋ですが、ここで私は、ライブドアの堀江社長がご本人の意思とは無関係に当の「刺客」扱いされてしまったことについて、コメントするつもりはありません。気になるのはこの続きです。
小泉首相の靖国神社への参拝が「せっかく緒についた『東アジア共同体』の機運にも水を差してしまった」と述べたかと思うと、「武士道」に関する2冊の本から一部を引用し、こう続けています。
1世紀ほど前、新渡戸稲造は英語で出版した名著『武士道』のなかで、「いつでも失わぬ他者への哀れみの心」こそサムライに似つかわしいと書いた。弱者や敗者への「仁」であり、「武士の情け」「惻隠(そくいん)の情」のことである。
最近では数学者の藤原正彦氏がベストセラー『国家の品格』でそうした側面を強調し、武士道精神の復活こそ日本の将来のカギを握ると唱えている。
ならば「武士道精神に照らし合わせれば、これはもっとも恥ずかしい、卑怯(ひきょう)なこと」(藤原氏)だった日中戦争に、いまだけじめがつかないのでは話にならない。あの時代、アジアでいち早く近代化に成功した「勝ち組」が「負け組」に襲いかかったのがこの戦争だった。
(上記 2006年1月1日付「朝日新聞」社説より)
「勝ち組」が「負け組」に襲いかかった、とは本当に妥当な認識でしょうか?
ここで、「明日、60回目の終戦記念日を迎える。あの戦争は、もう1年早く終わらせることができたのではないか。 開戦の愚は置くとして、どうしてもその疑問がわいてくる」との書き出しで始まる同新聞の昨年8月14日付社説、「なぜ戦争を続けたか 戦後60年に考える」についても振り返ってみましょう。
政治家や軍人は戦後になって、「戦争は欲しなかった」と口をそろえた。
手厚い待遇を受け、安全な場所にいる高官たちは、政策を決める会議で自ら信ずるところを発言する責任がある。それを果たさなかったという告白だ。そんな無責任な指導者のもとで命を落とした数百万の人たちはたまらない。
つまるところ、指導層のふがいなさに行き当たる。あの無残な1年間の理由はそれしか考えられない。
確かに、戦争終結への動きを憲兵がかぎまわり、軍部には負けを認めぬ狂信的な一団がいた。だが大臣や将軍たちにはそれを抑える権限と責任があったはずだ。ところが、行きすぎを本気でただした形跡はほとんど見つからない。
検閲があったとはいえ、新聞も追従する紙面を作った。重い戒めとしたい。
〔中略〕
さて、いまの時代である。言論の自由がある。もちろん、会社で上司に異を唱えれば冷遇され、場合によってはクビになるかもしれない。
だが60年前と比べれば、筋が通った説に理不尽な仕打ちはしにくい時代だ。それなのに、明らかに被害が膨らんでいくばかりのときに決断を先送りする体質と、われわれは別れを告げただろうか。
惰性で続く公共事業、経営の暴走による企業破綻(はたん)。戦争とは比べられないが、思い当たる事例は余りに多い。
逃げずに決断するのは容易ではない。しかし、その強さを持つことが真の豊かな社会につながるのではないか。
(上記 2005年8月14日付「朝日新聞」社説より)
思うに、欲しない戦争を仕掛けるというリスクを犯さざるを得ないほど、どちらかが追い詰められていたこと自体、最早どこにも「勝ち組」など存在し得なかったのではないでしょうか。そもそも、「卑怯(ひきょう)なこと」だと説明するのに、わざわざベストセラー本の言葉を借りて「武士道精神に照らし合わせ」るまでもないことのように思えます。かえって問題が本質からそれてしまったようです。
同新聞の社説も担当する委員によって論調が変わるようですが、大会社ですから内部にも様々な意見の違いや葛藤を抱え、編集方針が揺れ動いているのかもしれません。比べるなら昨年8月14日付の社説の方が、事実をありのまま語っているようです。また、先の8月11日付社説から3日あとにはなりますが、「重い戒めとしたい」の一言からは報道人としての良心がうかがえ、救われる思いがしました。「筋が通った説」ですが、勇気の要る発言です。
再び「武士道をどう生かす 2006謹賀新年」に戻ります。この社説では、最後にこう話をまとめています。
武士道で語られる「仁」とは、もともと孔子の教えだ。惻隠の情とは孟子の言葉である。だからこそ、子供のけんかをやめて、大国らしい仁や品格を競い合うぐらいの関係に持ち込むことは、アジア戦略を描くときに欠かせない視点である。秋に新たな首相が選ばれる今年こそ、大きな転換の年としたい。
〔中略〕
(「勝ち組」と「負け組」との)国民の二極分化が進む日本では、まだまだつらい改革が待っている。競争や自助努力が求められる厳しい時代だからこそ、一方で必要なのは弱者や敗者、立場の違う相手を思いやる精神ではないか。隣国との付き合い方は、日本社会の将来を考えることとも重なり合う。
自分の幸せを、少しでも他者の幸せに重ねたい。
(上記 2006年1月1日付「朝日新聞」社説より)
「つらい改革が待っている」とありますが、この一文にしても「隣国との付き合い方」に関する「武士道」云々の引用の仕方にしても、本気で読者の側に立って、そこまで歩み寄って書かれたものなのでしょうか? 「自分の幸せを、少しでも他者の幸せに重ねたい」との表現に、読者はそうあって欲しいと訴えるメッセージというより、自分はそうするつもりだという「勝ち組」の優越感への自己陶酔にも似たものを感じてしまうのは、私の心が貧しいせいなのでしょうか?
「競争や自助努力が求められる厳しい時代」に、結局この社説は迎合する形で終わっていますが、どうもすっきりしません。「思いやる」という精神論以前に、もっと具体的に、相手も自分も追い詰めるような不毛な行いは避ける知恵を見出さなければいけないのではないでしょうか。活かし合えるはずなのに、お互いそれができないとしたら、行き着く先にはそれこそ貧しいだけの「日本社会の将来」しか待っていないような気がします。『国家の品格』について、私はまだ読者によるいくつかのレビューしか目を通していなのですが、著者である藤原正彦さんが望まれているのは、そんな「日本社会の将来」ではないはずだと思うのですが。
たとえ貧しくても豊かさが実感できる、そんなふる里の将来を思い描きながら、私は身近な日本の風景を撮り続けていきたいと思っています。
長くなりましたが、最後に、『国家の品格』出版元の新潮社公式サイトに掲載されている同社の月刊誌、「波」2005年12月号の特別対談から、
藤原正彦さんの言葉の一部を紹介させていただこうと思います。
(アダム・スミスのころから、それぞれの人間が利潤を最大にするように利己的に働けば、社会全体が神の見えざる手に導かれるという)予定調和でこの社会がうまく行くと。しかし、そこにあるのは結局、お金の概念だけなんです。人間の幸福はどこにもない。現在はやっている市場経済も全く同じです。何をするにも「消費者のため」と言いますよね。消費者が安く米を買えれば、日本から百姓がいなくなって、美しい田園がなくなってしまっても構わない、と。
つまり、流行中の新古典派経済学は根本的に間違っていると思うのです。人間の幸福は眼中になく、個人や社会の富裕度をいかにして高めるかしか考えない。「穏やかな心で生きる」を価値として認める余地などどこにもないですから。
〔中略〕
私がこの本で「国家の品格」の条件としたのには四つあって、その中の一つが「美しい田園」なんです。美しい田園が保たれていることは、その国が金銭至上主義に毒されていない証です。もう一つ、学問や芸術など、「役に立たない」活動が盛んであること。こうしたものがなくて経済だけが発展している国は、腹の底で世界中にばかにされるんですね。
「国家の品格」を守るためには、たとえGDPが半分になってもいい。日本の人口はこれから半分になりますが、GDPも半分になればいい。たかが経済です。それよりも、美しい田園や、伝統的な国柄を取り戻す。そのことを、また戦闘的ですけれども、今度は全ての日本人の首っ玉を捕まえて教え込みたいんです(笑)。
(上記 「波」2005年12月号:特別対談 山田太一×藤原正彦より)
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livedoorニュース:2006年1月3日17時50分付記事
広がるマスコミ被害、メディア批判の必要性
この記事の最初の方でご紹介した、小田光康さんによる記事です。
木工房・ソロ:No Blog,No Life! 1月2日付記事
TESSARの故障、朝日新聞の昨日の「社説」
小川町の木工芸家にして生粋のブロガー、soroさんのブログです。
元旦の「朝日新聞」社説に触れられ、
「(日本が反省すべきことは)軍産複合体制のアメリカのネオコン政権に
かたく連帯してしまっている日本のネオリベ政権を、日本国民の6割以上
が支持しているという現実にあるのではないでしょうか。
そして、その支持の背景には、体制側に身を寄せてしまったかのような、
マスメディアの報道の変質があるのかもしれません」
と、鋭く指摘されています。コメント欄での、
「私たちは、こんなマスメディアに対してもどんどん批判していくべきで
しょうね」
という訴えに、私も同じ思いを抱きました。
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2006年01月01日
主なデジタル撮影機材一覧
*当サイト管理人所有の主なデジタル撮影機材です。
カメラ及びレンズ
カメラ本体
・Nikon D200 (23.6×15.8mm 有効1,020万画素 正方配列)
交換レンズ (「…APS」はイメージセンサーサイズAPS-C判専用)
・Tokina AT-X PRO SD 12-24mmF4(IF)DX …APS
・SIGMA 17-70mmF2.8-4.5 DC MACRO
・AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mmF3.5-5.6G …APS
・AF-S Zoom Nikkor ED 24-85mmF3.5-4.5G(IF)
・AF Nikkor 50mmF1.8D
・Tokina AT-X PRO MACRO 100mmF2.8D
・SIGMA 70-300mmF4-5.6APO DG MACRO
・SIGMA 135-400mmF4.5-5.6APO DG
その他
・PENTAX *istD (23.5×15.7mm 有効610万画素 正方配列)など
*以下は内容が流動的なので割愛させていただきます。
〔2006年1月1日UP/2月6日最終更新〕
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2005年12月23日
ニコンD200は2台体制、ペンタックス*istDも現役続投!
D200を操作した第一印象
家の周りで少しD200の試し撮りをしてみましたが、今のところ初期不良も見つからず、予想以上に良い出来です。かつてのD1シリーズのスピーディな操作性を受け継ぎつつ、さらに使いやすさに磨きをかけた、という感じです。それが20万円を大きく割る値段で発売されたのですから、これから他社はどう対抗策を講じるのだろうと、つい余計な心配までしたくなってしまうほどです。
ただ、気を付けるべきは電源の管理。あまりに至れり尽せりな高機能と操作性の良さに甘え、贅沢我侭し放題だと、すぐに電池が消耗してしまうようです。充電に要する時間も考えると、真剣に節電方法を考える必要がありそうです。
*istDの後継機が気になるものの…?
さて、今まで愛用してきたペンタックス*istDですが、来年秋にはより画素数を増やした後継機の発表をメーカーもほのめかしていて、私も新型との置換えを考えていました。つまり、D200と併せて最新鋭ハイエンドモデルの2台体制が構築されるという目論みです。
ですがD200の快適さを知ってしまった以上、私はもう1年も待てません(笑)。プランを前倒しして、春が訪れる前には2台目のD200を調達するぞ、という気になってしまいました。*istDには当分先まで、電源調達の楽な現役サブカメラとして続投してもらおうと思います。
*istDの後継機も気にならないわけではないのですが、3年位待った方がカメラもレンズも益々選択肢が増えて、値段も下がってくれそうな気もしますので。
予算対策
購入を見送ったニコンの手ブレ補正付ズームレンズ、DX18~200mmですが、2台目のD200にはその予算を回すことにしました。不足分は、ペンタックスの撮影機材のうち、D200のシステム拡充で使用頻度が少なくなるものを売却し、捻出することにします。
なお余談ですが、今回導入のD200とシステム一式の予算は、今後使用する見込みの無い4×5インチ判や6×7センチ判などのフィルムを使う機材の売却によって捻出されるものです。私がこれま経験しなかった、大革命とも言える主要撮影機材の総入れ替えですが、ほとんどすべて物々交換で実施される、というわけなのです。
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2005年11月28日
ついに発注! ニコンD200 (その2)
充実してきた交換レンズの選択肢
私がニコンD1X、D1Hを買い揃えた2001年末頃、デジタル一眼レフの現役製品は、他社を見渡してもまだほんの数機種を数える程度でした(スタジオ用などの特殊なタイプを除いて)。
*2001年末現在の主なデジタル一眼レフ製品(価格は税別定価)
【ニコンFマウント交換レンズ使用機種】
・ニコンD1X(23.7×15.6mm 有効533万画素 長方配列)59万円(電池別)
・ニコンD1H(23.7×15.6mm有効 266万画素 正方配列)47万円(電池別)
・コダックDCS760(27.6×18.4mm 有効609万画素 正方配列)89万円
・フジフイルム FinePix S1 Pro
(23.3×15.6mm 有効310万画素 ハニカム配列)37.5万円
【キヤノンEFマウント交換レンズ使用機種】
・キヤノンEOS-1D(28.7×19.1mm 有効415万画素 正方配列)75万円
・キヤノンEOS D30(22.7×15.1mm 有効311万画素 正方配列)35.8万円
こうして挙げてみても僅か6機種しかありません。今思えば何と少ない選択肢でしょう。交換レンズだってニコンFマウント、またはキヤノンEFマウント仕様のフィルム一眼レフ用交換レンズを選ぶ以外、何ら制約なく撮影するには選択肢がなかったのです。
なお余談ですが、キヤノンEOS D30の機能は、今ファミリーユーザーに大人気の同、EOS Kiss Digital Nにも及ばないものでした。プロでも買うのを躊躇するほど、桁違いの高額商品ではないですか。
当時は各社とも、カメラのイメージセンサーの特性とレンズの特性とのマッチングについては試行錯誤を重ねているような段階でした。そのためフィルム撮影では評価の高いレンズでも、デジタル撮影だと画面周辺が極端に暗くなったり像が滲むなど、予期せぬ結果が生じる例もありました。特に広角系のレンズでは、ほとんどの製品に多かれ少なかれそのような傾向が認められ、私も中古品ですら10数万円もするような高級品に救いを求めるほかなかったのです。正直、APS-Cサイズの画面には無意味に大きく重いレンズで、かつ値段から期待されるほど高画質でもありませんでした。
その後2年ほど経ってからでしょうか。ようやく各社ともイメージセンサーにマッチしたレンズを、広角系ズームレンズから市場へ投入し始めるようになりました。もっともニコンの場合、優先的に製品化されたのは、私などとても買い換えられないほど高価なプロ仕様のレンズばかりでしたが。
2003年秋にペンタックスから*istDが発売されたとき、とてもスリムで値段も手頃な広角系ズームレンズも同時発表されました。
SMC PENTAX-DA 16-45mmF4ED ALというレンズですが、なかなか頼れる良く写る玉で、今は私の備品の中でも特に出番の多いレンズになっています。
そうした背景もあって私は、*istD発売とほぼ同時にニコンのシステムを一式すべて売却してしまったのですが、未練が全くなかったわけでもありませんでした。また何年かしたら自分にも納得できるような製品が出揃って、再びニコン(もしかしてキヤノン?)ユーザーになるときが来るかもしれないな、とも思っていたのです。
11月26日、次の2品をネットで某店に予約注文しました。
何年かどころか、たった2年しか経ってないじゃないですか(爆)
・ニコンD200
・AF-S DX VR Zoom Nikkor ED18~200mm F3.5~5.6G
(12月12日訂正。入手が遅くなりそうなのでキャンセルしました。)
レンズは追々追加していくつもりです。サードパーティ製も実力派のレンズが続々登場してきているので、これは買い物が楽しくなりそうですね。
今度はカメラもレンズも妥当な値段とサイズなので、ペンタックスとも仲良く併用できるし、何とも嬉しい限りです。
*istD(系)には電池が外付けストロボと共用できるという合理性があり(単三4本)、かつ汎用リチウム一次電池や単三アルカリ乾電池でも全機能が作動する頼もしさがあります。それにレンズも含め、システム全体が実にコンパクト!
デジタル時代は、カメラもますます各社の個性が反映され、多様な製品が市場に満たされていくようになるでしょう。フィルムオンリーの頃のように、自分が信頼できる、あるいは好きな1社のシステムだけ揃えればそれで安心、という時代ではなくなるかもしれませんね。
PS.
D200もそうですが、DX18~200mmはもっと品薄必至だと、ネット上ではもっぱらの噂。先にカメラ本体だけ届いても装着できるレンズといったら…。
え、ピンホール???
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2005年11月27日
ついに発注! ニコンD200 (その1)
驚嘆!? 手ブレ補正付高倍率ズームレンズの衝撃
ニコンが新型デジタル一眼レフ、D200を発表してから間もなくひと月。
19日発売の各カメラ雑誌の新製品特集を見たところ、本機は文字通り「衝撃」をもって迎えられているようです。
同時発表の手ブレ補正付高倍率ズームレンズ(AF-S DX VR Zoom Nikkor ED18~200mm F3.5~5.6G)も話題の対象ですが、取材時点では調整が十分ではない試作品しか用意されていなかったのでしょうか。どの特集もブレ補正効果は賞賛しているものの、描写力については詳細なコメントが乏しく、その実力は依然謎のベールに包まれたまま?
ニコン公式サイト:製品情報 DXニッコールレンズ
AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18~200mm F3.5~5.6G(IF)
ニコン公式サイト:11月1日ニュースリリース
AF-S DX VR ズームニッコール ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)の発売~
11月1日付「デジカメWatchi」:
ニコン、「AF-S DX VR ズームニッコール ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」
ところが昨日、偶然にもプロ写真家の那和秀峻さんが、ご自身のWEBサイトで実写画像を公開されているのを見つけてしまいました。
撮影日は何と11月25日。つい2日前! 撮れたてのホヤホヤです。
おそらく試作品ではなく、調整済みの完成品によるものでしよう。
那和秀峻のフォト&カメラ:トップページ
那和秀峻のフォト&カメラ:デジタルカメラ実写画像
那和秀峻のフォト&カメラ:同 ニコンD200
さて、ニコンの光学設計陣が社運を賭け全力で開発したであろう秘策の新玉、11倍ズームレンズの描写は如何に?
まず私が真っ先に確認に走った(?)のは、下から2番目のビルの側面。最も広角側の開放絞り付近で撮ったと思われるカットです(Exif情報でも18mm)。
いや驚きました。これほどの高倍率ズームであるにも関わらず、レンズのクセが目立ちやすい意地悪なシーンなのに、画面周辺部でも像の乱れがごく僅かです。
従来の交換レンズが流用できるといっても、画面が小さいAPS-Cサイズ判のデジタル一眼レフでは、焦点距離の換算値が35mmフィルム判(フルサイズ)の1.5倍になってしまいます。つまり、広角レンズの商品構成が手薄な中で、デジタル一眼レフ本体の方が先行して流通する状況が続いていたわけです。
それだけに、APS-Cサイズ判のデジタル一眼専用として開発されたこのレンズは、広角側の描写性能だけは断じて妥協できなかったのでしょう。
直線が画面周辺で歪む陣笠型の歪曲収差が少し認められますが、実用上問題ない程度で、さすが優秀な設計だとため息が出ました。
次は一番下の木の葉のアップ。ひと目で惹かれる背景の美しいボケは、最も望遠側、200mmの開放絞りでの描写でした。
ズームレンズはボケ像に不自然な滲みや流れの生じるものが少なくないのですが、被写体の持つ雰囲気を壊さない、実に素直な描写だと感じました。
注目すべきはシャッター速度。1/80秒とやや遅めですが、ブレが抑えられているのは、正にこれこそ手ブレ補正機構の効果でしょうか。
そして、ここでのコメントは最後になりますが、なぜか最初に掲載された塀。
酷ですね~(どーしてですかぁ? 那和先生^^;)
(↑注、11月27日現在。)
焦点距離は中望遠域にあたる50mmで、絞りは開放に近いf5.6ですが、画面四隅の像が見事放射状に流れています。
実は、平面を真正面から写すことは、大概のズームレンズにとって鬼門と言える作法なんです(超意地悪テスト?)。ある程度絞った状態、あるいは奥行きのあるシーンでなら開放絞りでも、多分このクセ(光学用語で「像面特性」と呼ばれます)は無視できるのではないかな、と想像します。
いきなりこの試写画像を見た人が、このレンズのすべての評価をこれだけで下してしまったら? ちょっとこわい気もしてしまいますね。
50mm単焦点レンズなら、2万円前後で買える高性能で明るくコンパクトな製品がすでに流通しています。用途に応じて使い分けてくださいという、メーカーの考えかもしれません。
ここでもう1人、プロ写真家の田中希美男さんのWEBサイトもご紹介しましょう。
やはりD200や新ズームレンズに関する貴重なコメントを、写真日記の中で書かれていらっしゃいます。
那和先生ともよくカメラ雑誌の新製品座談会などで同席する機会が多いようですが、田中先生の情報も頼りになる…と言いますか、カメラ界のご意見番としては“重要参考人”級の大御所であらせます(@@;)
This is Tanaka:トップページ
This is Tanaka:Photo of the Day(2005.11)
〔続く〕
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2005年11月13日
ニコンD200の衝撃 (その3)
*管理人より(11月18日記)
当ブログのCGIを設置しているレンタルサーバーがメンテナンス中だったため、しばらく記事の投稿をしずらい状況が続いていました。昨晩より通常通り動作するようになりましたので、後半に記事の続きを追記しました。
カスタマーサポートセンターへ質問してみました
ニコンの新型デジタル一眼レフ、D200の仕様についてですが、公式サイトの製品情報欄だけでは詳しく分からない部分もありますね。
ニコン公式サイト:製品情報 デジタル一眼レフカメラ D200
サポート欄のQ&Aやデジチューターのページを見ても、D200関係のコンテンツはまだ準備中のようです。
ニコン公式サイト:サポート Q&A デジタルカメラ
ニコン公式サイト:サポート デジチューター(取扱説明)
そこで先日、修理・お問合せのページからカスタマーサポートセンターへアクセスし、思い切って直接電話で問い合わせてみました。
ニコン公式サイト:サポート 修理・お問合せ
ニコン公式サイト:同 カスタマーサポートセンター(お問合せ窓口)
問合せ件数は予め5件としましたが、即答できない内容についても、その日のうちに丁寧な返信をいただくことができました。
質問内容は次の通りです。
1) 撮影直後、メディアへの書込み中でも画像の再生、削除はできますか?
2) 撮影直後にヒストグラムや白飛び警告が再生モニターに出るよう設定
できますか?
3) 拡大再生は何倍までできますか?
4) RAWモード撮影時のメディアへの書込みは、圧縮と非圧縮とどちらが
速いですか?
5) イメージセンサーを清掃する際、バッテリー電源でもシャッター開放は
できますか?
〔11月18日追記〕
カスタマーサポートセンターからの回答
さて、上記質問に対する回答です。
発売前の製品に関することなので、詳細未定の部分までは回答が得られませんでした。また、出荷時までに仕様変更される個所もあり得ることを、予めご承知おきください。
1) 撮影直後、メディアへの書込み中でも画像の再生、削除はできますか?
できます、とのこと。
連写後に全画像の書込みが終了しないと再生、削除ができないタイプでは、大量連写の際に相当もどかしい思いを強いられることになります。この点は、さすがに抜かりありません。
2) 撮影直後にヒストグラムや白飛び警告が再生モニターに出るよう設定
できますか?
これも、できます、とのこと。
最近では入門機でもできる機種が登場していますから、もはや常識と言える機能ですね。複雑な光線の下で露出確認の試し撮りをするのに、たいへん助かります。
3) 拡大再生は何倍までできますか?
・Lサイズ(3872×2592ピクセル)で撮影=約25倍
・Mサイズ(2896×1944ピクセル)で撮影=約19倍
・Sサイズ(1936×1296ピクセル)で撮影=約13倍
いずれもJPEGモード(RAWとの同時記録も可)の場合です。
D1シリーズでは再生時に元画像とは別の再生用縮小画像が表示される方式でしたので、あまり拡大できずがっかりさせられました。1000万画素級の機種では僅かなブレやボケも影響が現れますから、この高倍率の拡大再生機能は確認のため、積極的に活用したいものです。
4) RAWモード撮影時のメディアへの書込みは、圧縮と非圧縮とどちらが
速いですか?
正確なデータはまだ出ていないのですが、圧縮した方が速い、とのこと。
圧縮処理の高速化が図られ、ファイルサイズが小さくなる分、書込みが速くなるのでしょう。メディア容量も節約できるので、RAW現像時の解凍に若干時間がかかるとしても、これは魅力です(メーカーによると圧縮RAWは、肉眼で認識できるほどの画像劣化は無い、とされています)。
D1シリーズでは圧縮にたいへん時間がかかり、連写の際バッファ容量と電源を相当無駄遣いされ、悔しい思いをさせられたものです。まだ大容量メディアが甚だ高価で、長時間駆動できるストレージャーも無かった頃のことです。
5) イメージセンサーを清掃する際、専用バッテリー電源でもシャッター開放
はできますか?
残量が十分あれば可能、とのこと。
D50、D70、D70Sも同仕様だそうですが、それらより前に開発されたD2シリーズの場合、プロ用機というのに、ACアダプターを使わないとセンサーの清掃ができない仕様です。万一清掃中にバッテリーが切れ、シャッター幕やミラーが元の位置にもどる際、清掃具に当たって破損しないようにするためです。しかし、これでは屋外ロケ中にセンサー上のゴミの写り込みに気付いたときでも手の施しようがありません。同仕様のD1シリーズを使用していたときも、やはりこのため、さんざん不便な思いを強いられていました。その点、ペンタックス*istDではバッテリー電源のみでOKでしたから、買い換えたときは本当に救われた思いがしたものです(注:シャッターをバルブ開放撮影にして清掃するのは、センサーが通電中のため静電気でホコリを吸い寄せるため、逆効果です)。
なおD200でも、マルチパワーバッテリーパック装着により単三バッテリー6本(アルカリ乾電池、ニッケルマンガン電池、リチウム電池、ニッケル水素充電池など)で撮影中の場合、残念ながら清掃は不可、とのことでした(*istD系では単三4本で可)。
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2005年11月03日
ニコンD200の衝撃 (その2)
ニコンD1Hの思い出
1999年。
この年はデジタル写真界にとって、非常にエポックメイキングな年でした。
コンパクトデジカメが各社共200万画素台に突入し、インクジェットプリンターも、写真として十分鑑賞に耐えられる画質を持つ製品が続々登場したのです。
そして、忘れもしない、その夏のニコンデジタル一眼レフ、D1の発売です。
定価65万円(バッテリー別)。それこそがD1のセールスポイントでした。
270万画素弱のスペックでこの値段というのは、今思えばまだまだ高価ではありました。それでも、コダック製の同水準の機種が200万円以上もした当時の相場からは、これからいよいよあらゆるジャンルの写真のデジタル化が始まるのだ、という確信を抱くのに十分な出来事だったのです。
私が本気で自分のパソコンが欲しいと思ったのはその頃でした。そして翌年の正月、プリンターとセットで初めてのパソコンを手にしたのです。
2年後の2001年夏、D1は細部の操作性が改良されるなどして、定価も47万円(バッテリー別)に抑えられ、D1Hとして再登場しました。
私も意を決して、発売されたばかりのD1Hを初めてのデジタル一眼レフとして購入したのです。
中学時代からペンタックスユーザーだった私が、同社がすでにデジタル一眼レフの試作品を発表していたにもかかわらず(そのときは製品化に至りませんでしたが)、あえてD1Hを選んだのはその連写性能に惹かれてのことでした。
フィルム交換に煩わされるようなことなく、またその費用に悩まされるようなこともなく、5コマ/秒の高速大量連写に没頭できるカメラ。
デジタル化が写真表現にもたらすものとは何か? という課題を自らに問う意味でも、私はこの高速大量連写を実際に体験してみる必要があると感じていたのです。
結局、270万画素弱の画質には少々物足りなさを感じ、倍の画素数を持つ兄貴分のD1X(連写は最高3コマ/秒。定価59万円、バッテリー別。)まで購入することになったのですが、D1Hの方はあまり出番の無いまま2年が過ぎてしまいました。
そしてペンタックスの待望のデジタル一眼レフ、*istDの購入を境に、大きく重たくバッテリーも嵩張るD1兄弟は急に色褪せて見えるようになり、レンズ一式すべて売却してしまったのです。
後日ときどき、*istDに比べてはるかに動体に強いオートフォーカスや、微妙なシャッターチャンスをも逃さない短いシャッターレリーズタイムラグ、雨や埃にも安心な防滴、防塵構造が恋しくなるときはありましたが。
そして新たな再会へ
D200はもちろん、上位機種のD2シリーズには及びませんが、かつてのD1兄弟が同時にかかってもかなわない、それらに勝るとも劣らないスペックを持ち合わせて登場しました。
あくまで個人的な感想ですが、D200は2002年春登場の中級機、D100(定価30万円、バッテリー類込)の後継機というより、D1兄弟の正常発展型モデルのようにも思えました。しかも画素数は1020万画素にまでアップしています。これは、フィルムで比較すると6×7判に迫る高画質が期待できる画素数です(プリントで観賞する場合の見かけ上の目安として)。
扱いやすい大きさ、重さでありながら、クオリティの高い画像を、一息に高速大量連写できるシステム。
それが、学生でもアルバイトをすれば手に届く値段で実現したのは、私が知る限り、これが世界で最初の出来事です。
写真とは何か? どのような表現が可能なのか? そのことを問う新たな基準が今、広く一般に開かれたのです。
D200。それは写真を撮る多くの人々に対し、至ってフェアな存在だと言えるでしょう。
〔続く〕
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2005年11月02日
ニコンD200の衝撃 (その1)
崩された、プロだけの聖域
昨日ニコンが正式発表した新型デジタル一眼レフ、D200は衝撃でした。
ニコン公式サイト:製品情報 デジタル一眼レフカメラ D200
ニコン公式サイト:11月1日ニュースリリース
デジタル一眼レフカメラ「ニコンD200」の発売について
11月1日付「デジカメWatchi」:
ニコン、プロ/ハイアマ向けデジタル一眼レフ「D200」
少し前から、大体のスペックは海外サイトからも伝わっていましたが、ショックなのは値段です。税込約45万円の最上位機種、D2Xに迫るスペックから、私は30万円近い値段を想像していたのです。
ところが何と、都内大型店では軒並み20万円を切る値段で予約受付を始めているではないですか(12月16日発売予定)。私が今愛用しているペンタックス*istDは、アマチュア用中級機という位置付けの製品ですが、2年前の秋に発売と同時に購入したときは、結構これに近い値段でした。プロ仕様のデジタル一眼レフも、一般ユーザーの手に届く時代が来たのです。
一方で今年は、各社の入門機が7、8万円程度で買えるようになりました。
ほんの6、7年前までは200~300万円は出さないと買えなかった、プロしか持ち得なかったデジタル一眼レフ。そんな聖域はもうありません。
ニコンD200の、プロ仕様を象徴するスペックをざっと挙げてみました。
・1,020万画素(APS-Cサイズ)。
・5コマ/秒の高速大量連写が可能(バッファRAW時22枚、JPEG時54枚)。
・RAWとJPEGの同時記録可能。
・シャッターレリーズタイムラグ0.05秒。
・多様なシーンに対応する高速、高精度のオートフォーカス。
・マグネシウム合金ボディに防滴、防塵処理。
・10万回の使用に耐えるシャッターユニット。
など。
〔続く〕
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2005年03月14日
思い出の『男衾村 - 復興計画』
約6年半にわたって地域紹介&写真素材サイト『男衾村 - 復興計画』を運営されきたT.Iinoさんが、今日の作品のアップを最後に、定期更新を一旦休止されることになりました。
私もほとんど毎日のように楽しませていただいてきた、最もお気に入りのサイトの一つでした。
『男衾村 - 復興計画』
http://www.obusuma.com/
プロフィールによると、今は22歳の大学生とのこと。
そろそろ社会人になる準備で忙しくなる頃でしょうね。
私がIinoさんの作品世界に初めて触れたのは、確かまだご本人が高校生の頃のことだったと思います。
身近な草花や昆虫、空や森や田畑を細やかに見つめる瑞々しい感性、そして、うんと大人びたウェブデザインや選曲センスの良さに一気に引き込まれてしまいました。
それは、長距離通勤に忙殺されていた当時の私に、再び写真を撮る喜びを思い出させてくれた、今でも忘れることのできない衝撃的な出会いだったのです。
後の私に自分のサイトを開設する勇気と、貴重なヒントを与えてくれた、言い換えると“恩人”と呼んでも良いくらいの影響を与えてくれた若者の一人になりました。
驚くべきことにIinoさんは、開設間もない頃を除けば、今日の日を迎えるまで一度も毎日の作品アップを欠かしたことがありません。
その間発表された作品は、実に2,500枚を数えます。
そのクオリティの水準も常に一定の高さを維持していて、本当に頭の下がる思いです。
説明が後になりましたが、男衾(おぶすま)という村は、すでに地図上には存在しません。
50年前の“昭和の大合併”で私の住む小川町のお隣り、寄居町の一部になりました。
(その翌年、旧男衾村の一部が寄居町から小川町へ編入された経緯があります。)
今は、東武東上線の駅名や公共施設などに、往時の名をとどめるに至っています。
Iinoさんのお住まいは、よく写真に撮られる風景の様子から、小川との町境に近い地区なのではないかと想像しています。
それだけに『男衾村 - 復興計画』には特別な親近感もあり、また張り合いも感じていました。
サイト休止はやはり残念な思いが残りますが、今、こうして画面の向こうに、幻だった『男衾村』の生き生きとした姿がよみがえりました。
Iinoさんが心の中に描いてきた計画が完成したことに、心から祝福の言葉を贈りたいと思います。
おめでとう、そしてどうもありがとう。今まで本当におつかれさまでした。。。
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2004年10月10日
カメラ、買いますか?
最近、行楽地やイベント会場などで特に思うのですが、カメラを持った人を見ることが少なくなってきたような気がします。
いや、決して写真を撮る人たちが減ったわけではないのですが。
むしろ、増えていると言った方が良いかもしれません。
ケータイで。レンズ付フィルムで。
ちょっと前までは、自分で写真を撮りたいと思ったらまず、カメラを買う必要がありました。
それも、決して安い買い物ではありませんから、積極的に使わなければせっかく憧れの製品を手に入れても無駄になってしまうという、ある種のプレッシャーがつきまとっていたように思います。
どんなにカメラが小型化され、何でも自動でやってくれるようになっても、このプレッシャーが写真人口の上昇に歯止めを掛けてきた、と言っても過言ではないでしょう。
ところが今や、ケータイの撮影機能でも十分きれいな写真が撮れるようになり(動画も)、併せてお店でのケータイプリントも安くなりました。
もう、写真を撮るのにプレッシャーを伴うような買い物などしなくて良いのです。
また、もし撮影機能付のケータイを選ぶこと自体がプレッシャーになるという人がいても、すでにレンズ付フィルムという抜け道があります。
特に写真を撮るつもりはなくても、そばで楽しそうにケータイで撮っている人を見ていたら自分も撮りたくなった。
そんなときでも、あらゆる所でレンズ付フィルムを気軽に買うことができるのです。
便利な世の中になりましたね。
脱カメラ! もう、カメラが日用品として売れる時代は終わってしまうのかもしれません。
それでも写真を撮るためにあえてカメラを買うならば、仕事上どうしても特別な機能を必要としているか、趣味として特別な分野の撮影をする場合に限られてくるでしょう。
となると、各カメラメーカーは今後、どんな選択を迫られるのでしょうか?
観念してケータイ市場にユーザーの多くを譲り渡すのか?
それとも、ケータイユーザー層を新たな潜在的市場としてとらえ、より魅力的なカメラの開発に力を注ぐのか?
いずれにせよこれからの時代、カメラを買った人はますます、何か“特別な覚悟を決めた人”、とみなされるようになることは、どうも間違いなさそうです。
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2004年10月03日
さようなら、アベドン
ファッション、ポートレート写真界の巨匠、リチャード・アベドンさんが、10月1日に脳内出血にともなう合併症のため、テキサス州の病院で亡くなられたそうです。
ニューヨーク出身。81歳でした。
○朝日新聞公式サイト
トップページ:http://www.asahi.com/
関連ページ:http://www.asahi.com/obituaries/update/1002/001.html
8月3日には、アンリ・カルティエブレッソンさんが亡くなられたばかりです。
http://sato.hiki-life.net/archives/2004/08/post_2.html
世界的な写真の巨匠が相次いで他界され、残念な気持ちは拭い切れません。
ブレッソンさんは街頭でのスナップ撮影、アベドンさんは特にスタジオでのポートレート撮影で指導的な役割を果たしてこられました。
得意とする手法や、報道と商業という活動の場の違いこそあれ、「人」をテーマに時代の変遷を写してこられたという点では共通し、多くの若い写真家にとって目標となる存在でした。
アベドンさんは高齢にもかかわらず、9月25日に倒れるまで、仕事を続けていらっしゃったそうです。
アベドンさん、そしてブレッソンさんにも改めて、心からご冥福をお祈りいたします。
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2004年09月14日
初心者向けデジタル一眼レフ「PENTAX *ist Ds」発表
ついに、と言うべきか?
とうとうデジタル一眼レフも店頭で10万円(注:レンズ別売)を割る時代が来てしまいました。
その快挙をやってのけたのは、ほかでもない我が長年愛用のPENTAX!
その名は「*ist Ds」(*は発音しません)。
11月上旬発売予定で店頭価格9万円台の見込み。
○PENTAX公式サイト(9月14日付プレスリリースより)
http://www.pentax.co.jp/japan/news/2004/200439.html
○PC Watch(9月14日付記事より)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0914/pentax1.htm
○ 同 (9月15日付記事より)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0915/pentax.htm
○Digital Photography Review(9月14日付記事より)
http://www.dpreview.com/articles/pentaxistds/(英文)
去年のちょうど今頃、PENTAXが待ちに待った(いや、ホント)デジ一眼「*ist D」を発売したとき、その店頭価格は18万円台でした。
それでも私は「安くなったもんだ」と思って購入したのですが、今度のはその半値に迫る安さです。特別謝恩セールでもないのに?
4、5年前まで200万画素台のデジ一眼だって200万円はしたんだよ~。
600万画素ともなるとざっと360万円!(いずれもKodak製)
当時デジタル撮影なんて自分には無縁の世界だと思ってたのに!(←勉強不足でした<(_ _)> )
営業戦略上は「初心者向け廉価版」という位置付けです。
確かに、撮影シーンに応じてダイヤルの絵文字を合わせるだけで、絞りやシャッタースピード、さらには彩度やコントラスト、シャープネスまで、専門知識がなくてもカメラが自動的にセットしてくれる機能も追加されたのだから、誰もがコンパクトカメラ感覚で多彩な表現ができるでしょう。
でも、その予告されたスペックを検証して私は愕然としました。
「これの? どこが? “初心者”向け?」
そう、あまりにも出来が良いんです。相変わらず真面目過ぎです、PENTAX!
初代「*ist D」から必要性の薄い贅沢機能を削り、足りない部分を充実させた改良機、ではないですか、これ。
・撮影直後のクイックビュー(再生)でヒストグラムを表示可能。
・白飛び警告表示を新採用。
・バッファ枚数が6枚から8枚にアップ。
・撮影体勢を保持したままISO感度、ホワイトバランスなどの設定変更が可能。
・パソコンへの転送が高速のUSB2.0にアップグレード。
など諸々の改良で、プロの撮影現場の要求に一層応えられるモデルに仕立てられているのです。
仕事の能率上がりますよ(専門用語が多くてスミマセン ^_^; )。
さらに、「*ist D」用に発売される交換ファインダースクリーンが本機でも使えるほか、好評の見やすい高倍率ファインダーを視度調整範囲も拡大した上で踏襲。
高機能のRAWデータ現像ソフトを同梱(この価格帯の製品では稀です)。
レンズマウントもボディシャーシも金属製を踏襲するなど「廉価版」でも妥協はありません。
それでなおかつ、ただでさえ小型軽量だったボディがもっと小型軽量に? やってくれますねー。
(ついでに、普通の単三アルカリ乾電池4本だけで全機能使用可能。←ここ、ポイント大。)
40年前、PENTAXが名実ともに一眼レフの専門メーカーとして地位を確立することになった歴史的商品が発売されました。「ASAHI PENTAX SP」です。
そのカメラ、開発現場では“プロ用機”として設計していたそうですが、コストダウンの成功とその使いやすさから、むしろファミリーユーザーの間で大ヒットしたのでした。
もちろん、世界中のプロカメラマンからも愛用されましたから守備範囲は大変な広さです。
同世代の他社製品の多くが寿命を迎え使えなくなって行く中、「SP」はまだ中古カメラ店で手頃な値段で売られています(さすがにもう、PENTAXではほとんど修理は受けていませんが)。
社風というのは、そうめったなことでは変わらないものなんですね。
「*ist Ds」にも「SP」と通じるものを感じます。
↑往年の名機「ASAHI PENTAX SP」。残念ながら部品の消耗で、内臓露出計と高速側のシャッター速度が不調。でも、一応今でも撮影はできます。ある縁でいただいたものです。
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2004年08月10日
ペンタックスの新レンズシリーズ
小川町にも本社部門の施設があるペンタックス(株)(本社、東京都板橋区)が今日発表したニュースによると、10月下旬に「デジタル撮影時の画質を高めた一眼レフカメラ用新レンズ『SMC PENTAX-D FA』シリーズ」の第1弾として、SMC PENTAX-D FA マクロ100mmF2.8と、同マクロ50mmF2.8を発売するということです(オープン価格)。
○ペンタックス公式サイト
トップページ:http://www.pentax.co.jp/japan/index.php
ニュースリリース:http://www.pentax.co.jp/japan/news/2004/200434.html
商品写真は、下記サイトの記事の方が大きなサイズで閲覧できます。
○PC Watch
トップページ:http://pc.watch.impress.co.jp/index.htm
関連記事「ペンタックス、デジタル一眼に対応したマクロレンズ2本」:
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0809/pentax.htm
現行(やがて旧型^^;)のマクロ100mmは私も愛用していますが、この新型の小型軽量ぶりには正直驚きました(注:フードは外せます)。
■全長が短いことの利点
現行のマクロ100mm(焦点距離)の全長が103.5mmなのに対し、新マクロ100mmは何と80.5mm!
同仕様の他社製品の全長が概ね95~130mmですから全長の短縮化ではトップレベルと言えます。
マクロレンズとは高倍率の接写に対応できるレンズの総称ですが、全長が長いと被写体に近寄ったとき、レンズ先端の影が画面に入るなどの不都合が生じてしまいます。
新マクロ100mmでは、最大接写時のレンズ先端と被写体との間隔(ワーキングディスタンス)が、13cmも確保できます。
現行製品より約2cm伸びるだけですが、接写ではこの差が非常に大きな差になることもあるわけです。
新マクロ50mmの方は、ワーキングディスタンスについては現行製品と大差ないですが、それでも小型化の努力は大いに認められるべきでしょう。
■デジタル画像の特性に最適化
デジカメの撮像素子(CCDなど)の表面には赤外線の悪影響やモアレの発生を軽減するフィルターが装着してあるのですが、フィルムと違って表面がピカピカしているので、逆光気味の光線だと撮影レンズとの間で乱反射を生じさせ、画像を不鮮明にしてしまう要因にもなっています。
レンズに直接光が当たらないよう手の平などで影をつくればかなり防げますが、困ったことに、このフィルターはシャッターを切った瞬間しか露出しませんから、試し撮りでもしない限り乱反射を予測することは難しいのです。
実は、私もたびたび泣かされています。
新シリーズではこのような乱反射に対し防止処置を強化。これまた嬉しいこだわりです。
■塩素系有機溶剤を海外も含むペンタックスグループで全廃(2003年10月)
ペンタックス(株)は今年5月、「環境報告書 2004」を初めて編集・発行し、その中で塩素系有機溶剤の全廃が2003年10月までに完了したことを報告しています。
○ペンタックス公式サイト
「環境報告書 2004」ダウンロードページ:
http://www.pentax.co.jp/japan/company/environment/report/2004.html
塩素系有機溶剤とは、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの総称で、主にレンズや金属部品の洗浄などに使われてきました。
この物質が2年前の8月、小川町角山の旧小川事業所(現、オプティカル・テクノロジーデパートメント)の土壌から基準の996倍もの高濃度で検出されたと報じられました。同じ物質は敷地内の地下水や近隣の井戸水からも検出されています。今のところ健康面での被害報告はありませんが、人体に対し発がん性があり、肝臓や腎臓を害するおそれもある危険な物質です。
この件に対して「環境報告書 2004」では16頁目に「OTD(オプティカル・テクノロジーデパートメント)の土壌改善対策」という見出しで触れていますが、対応については
「現在は応急対策工事を終えて恒久対策工事を行っており、ホームページにも掲載して社外に対応状況を公開しています」
と述べるにとどまっており、報告書としての形を成していない点は残念でした。
同社サイトで関連ページを探すことは非常に困難なので、私の方で下記ページにリンクをまとめました。どうぞご覧ください。
○関連ページ(常連読者の方にはお馴染みのページです):
http://okumusashi-hiki.jp/main/topics/topics02/020819/
恒久対策工事の完了は2008(平成20)年5月末の予定とのことです。
なお、報告書では「社会との関わり」という章の一節、「地域コミュニケーション」の中の「地域行事への参加」の項で、小川町七夕まつり(モデル撮影会の後援)についても紹介しています(21頁目)。
小川町では土壌や地下水汚染の象徴になってしまったペンタックスですが、現在取り組んでいる環境対策を一層進め、地域の模範的な存在になって欲しいと、私は願っています。
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2004年08月05日
さようなら、ブレッソン
今日の朝日新聞の夕刊を開いてハッとしました。
「仏人写真家・マグナム創立メンバー カルティエブレッソン氏死去」
○朝日新聞公式サイト
トップページ:http://www.asahi.com/
関連ページ:http://www.asahi.com/obituaries/update/0805/001.html (公開終了)
▽写真展のお知らせ(静岡市)
『何必館・京都現代美術館所蔵 アンリ・カルティエ=ブレッソン展』
会場:静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ
期間:2004年10月9日(土)~24日(日)
※詳細は下記サイトをご参照ください。
○グランシップ公式サイト
トップページ:http://www.granship.or.jp/
関連ページ:http://www.granship.or.jp/gran_event/hcb/hcb.htm
8月3日、世界的な写真家のアンリ・カルティエブレッソンさんが、フランス南部の自宅で亡くなられたそうです。1908年パリ郊外の出身。95才でした。
日本では、52年の写真集『決定的瞬間』が非常に有名で、スナップショットによるルポルタージュフォトの分野では神格的といっても良いほどの、お手本とすべき存在でした。
巷で暮らす人々の何気ない仕草をストレートに捉えた作品がメインで、その点では純然とした記録写真と言えるのですが、その動きのとらえ方、背景や構図、光線を読む眼など寸分の隙もなく、どの作品もシャッターを切る間際まで、画面の隅々へ計算が行き届いているのです。
ブレッソンさんは47年、戦場写真家として功績を残したロバート・キャパらとともに、写真家集団マグナム・フォトを設立したことでも知られています。生粋の報道写真の指導者ですが、その作品が高い記録性を持ちながらも見事な造形美も持ち合せているのは、若いころに美術家を目指していたからでもあるのでしょうか。
私がブレッソンさんの偉大さを知ったのは高校生の頃でしたが、写真とはこのように撮ることができるものなのかと、作品が掲載された本を眺めては心酔したものでした。
世界中の大勢の人々に写真の可能性を教えてくださったブレッソンさんのご冥福を、心からお祈りいたします。
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